第二話 ちょっと状況が・・・。
「・・・・・くぁ~・・・。」
朝一番、起きたばかりの俺はでっかい欠伸をした。
「・・・ねむ・・・・。」
頭がまだ覚醒し手をらず眠気が俺の頭のほとんどを支配している、そんな時。
ピーンポーン。
玄関のチャイムがなった。
「んぁ?・・・誰だ・・・?」
今は朝の七時、こんな時間に訪ねてくる奴なんかいないんだが・・・。
「まぁ・・・いいや、寝よ・・・。」
そのまま二度寝の体制にはいった俺の耳に。
ピーンポーン
再度、チャイムがなった。
「・・・誰だよ・・・。」
いいや、無視無視。
ピーンポーン
「・・・・・・・・・。」
ピーンポーンピーンポーン
「・・・・・。」
ピーンポーンピーンポーンピーンポーン
「・・・・・・・・・・・・。」
ピピピピピピピピピピピピピピピピーンポーン
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ついに俺は切れて玄関に向かった・・・向かってしまった。
「うるーせよ!新手のいやがらせかコラァッ!!!」
そして俺は・・・玄関を開けた・・・開けてしまった・・・。
「やっと、出てくれましたか。まったく何回チャイムを押せばいいんですか。私は高橋名人じゃないんですよ?」
これが・・・俺を変えてくれた二人との出会いだった。
玄関を開けると声は聞こえたのにそこには誰もいなかった
「・・・・・あれ?」
なんで誰もいねぇの?まさか幽霊か!?やめてこないで怖いのいや!
「どこ見ているんですか、下ですよ下。」
と下の方で先ほど聞こえた声が聞こえたので、下を見る。
そこには・・・・。
「はじめまして、あなたが慎さんですね。」
二人の女の子がいた。
「・・・お、おう。俺が慎だけど・・・。」
・・・あ、つい普通に答えちまった。
「そうですか・・・あなたが・・・。」
そう言って少女 (念のため言っとくけど小学三年生ぐらいの子と幼稚園児ぐらいの子な?)は俺に向かって頭を下げた・・・って、ちょっとまて。
「な、なんで頭を下げるんだよ。」
「それは今日からお世話になるんです、挨拶はきちんとしないといけません。」
へぇー・・・今日からお世話ねぇ・・・・って。え?
「・・・・・はい?」
頭が混乱している俺をよそに少女は俺に向かって言った。
「改めまして、今日からお世話になります、湊優香です、こっちは妹の美香。」
「・・・・はい?」
もう・・・分けが分からないよ・・・。
それからしばらくしてーーーーーーーーーーー
とりあえず優香が「家に上げてもらってもかまいませんか?さすがに歩き疲れました。」と言ってきたので言われるがままに家に上げてしまった。
「・・・・・とりあえず、詳しく聞きたいんだが。」
「はい、何が聞きたいんですか?私たちの年ですか?私は10歳です妹は4歳。」
「へぇー、んじゃ俺の予想は当たってたのか・・・じゃなくて!」
「それじゃなんですか、私たちの3サイズですか?気持ち悪いですね死んでくださいロリコン。」
「ちげーって言ってんだろ!!!一遍泣かすぞゴルァッ!」
さすがに切れた、けどそんな俺に向かって優香は「やれやれ」と言う顔をしていた、ムカつく幼女だ・・・。
「では、何が聞きたいんですか?」
「なんでお前が折れる形になってるのか分かんねえが・・・まぁいい、なんで俺がお前らの面倒見なきゃならねえんだ。」
「さぁ?」
さぁ?・・・って。
「何がさぁ?だよ!」
「だって、私たちもここに行けって言われただけですもん。」
そう言うと優香は一枚の紙を差し出してきた。
「・・・・・・・・・・確かに俺んちの住所だな。」
紙には俺の家の住所が書いてあった。
ちなみに俺は一人暮らし、オンボロアパートに住んでいる。
「つーか・・・誰に俺んち行けって言われたんだよ。」
「まりさんです。」
まり?
「まりって・・・誰だよ?」
「まりさんはまりさんですよ?」
イラッ☆
「だから!どんな奴だって聞いてんだよ!!!」
「んー・・・、さぁ?」
また・・・さぁ?かよ・・・。
「はっきり言って私も分かっていないんですよ。」
「分かってないって・・・お前らの両親は何も言わなかったのかよ?」
「・・・・私たち二人は元々孤児院にいたんですよ。」
孤児院・・・。
「あー・・・なんつーか、すまん。」
「いけ、気にしてないですし。」
そう言って床は「こほん。」と咳払いを一回して
「ある日、いきなりまりさんと言う方が訪ねてきまして、私たち・・・と言うよりそこにいた職員に「「あの子たちを引き取りたいので、ここの住所に連れて行ってもらっていいですか?」」と言っていたんです。それでその後にまりさんに「「ここに慎って言う名の男の子がいるわ、短気だけど、あなたたちの事情を言えばきっとお世話してくれると思うから、ここに行きなさい。」」」と言われまして・・・。」
「なんであった事もねえ俺に世話してもらえると・・・ん?事情?なんだよ、事情って。」
その瞬間・・・この部屋の空気が変わった。
・・・え?地雷踏んだ?
優香は悲しげな表情をして、妹・・・美香の頭を撫で始めた。
・・・つーか、さっきから妹の方は寝てた。
「・・・私たちがいた孤児院は・・・最悪な場所でした。」
たぶん、この時に見た優香の顔を俺は一生忘れないと思う。
「・・・私たちはその孤児院で・・・いじめられていました。」
・・・いじめ・・。
「・・・最初は軽い事だったんです、ですが・・・。」
この時、俺は気付いた。
優香は・・・震えていた。
「・・・・・もういい。」
「え?」
「・・・辛い事を無理に思い出すことはねぇ。」
この時俺の脳裏には一つの記憶がよみがえっていた。
俺が・・・グレはじめたころの記憶。
今は・・・どうでもいいか・・・。
「今は、その事は聞かねえ、いつか・・・話せる時がきたらでいい。」
「え?」
なんだよ、その顔。めっちゃ以外って顔しやがって。
「だから・・・その・・・。」
・・・改めて言うと恥ずかしいな・・・・。
「・・・なんですか?」
えぇい!男は度胸!
「俺んちに好きなだけいればいいってことだよ!」
「え!?い、いいんですか!?」
んだよ・・・。
「最初からそのつもりだったんだろ?」
「え、えぇ・・・ですが・・・。」
「最初は嫌がってたのにってか?」
「ま、まぁ・・・。」
やっぱ、ちょっとは大人びてても子供だな。
「わけが分かんねえ奴の面倒は見ねえよ、だけど・・・お前らには理由があるだろ?」
「・・・・・・・・・・・。」
「それに・・・けっこー深い闇もな・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
優香は黙って俺の言葉を聞いている。
「そんな子供に「そんなの知らねえよ。」って言うほど俺は落ちぶれてないんでな。」
「・・・不良なのに?」
「うっせ。」
そこは突っ込むなよ。
「ともかくだ!お前らがこんなオンボロアパートでいいんだったらここにいればいい。」
「・・・・・うぅっ・・・。」
「おうぁ!?」
なんと優香は泣いてしまった。
「おおおお俺なんかしたか!?」
「いえっ・・・!ごめんなさい・・・、ちょっと・・・。」
「うえぇーと!えーっと・・・」
女の子が泣くのに弱い男、それが俺。・・・不良なのに。
「・・・おねーたん・・?」
幼い子供の声が優香の横から聞こえた。
「美香・・・。」
「おねーたん、なんでないてるの?」
「美香、よく聞いてね?」
おぉー、妹の前だと強いおねーちゃん。
ちなみに俺はまだ慌ててる。
「・・・うん。」
「もうね、あそこに戻らなくていいの。」
「・・・お家はどーなるの?」
「今日から・・・ここが私たちのお家だよ。」
「・・・うー?」
そういってきょろきょろ室内を見渡す美香。
そして俺を目にとめる。
「・・・・どうした?」
「・・・・ぱぱ?」
ぱ!?ぱぱ!?!?
「・・・そうだね、あの人が・・・慎さんがパパだよ・」
「・・・ぱぱ・・・。」
じっと俺を見つめる幼女。
「・・・な、なんだよ。」
「・・・・・ぱぱ!!!」
「どうぁ!?」
急に俺の胸に飛び込んでくる美香(幼女)
「なななな!?何?」
「・・・よろしくね、ぱぱ♪」
「・・・おう・・・。」
なんつーか・・・俺、不良っぽくなくね?
もっとがんばります・・・。