第9話 検索結果 2
健介は再び資料室に立っていた。
ここはほとんど使われていないようだ。
また、健介しか人がいない。
パソコンの前に座る。
「本城竜彦」
すばやくキーをたたく。
先ほどの本城の様子を見た健介の手がひとりでに動いたのだ。
数百件のヒットがあった。
どのタイトルを見ても本城の栄誉を書き記したものだとわかった。
しばらく天井を見上げる。
いや、焦点が合っていないから、空を見つめているのだろう。
先輩の話を思い出し、打つ。
「氷室和貴」
またもや、数百件のヒット。
力はいろいろなところに残る。
郷原は長官の権力。
氷室は自らの実力。
後者は前者に消された。
やはり、数々の功績がタイトルにあがっている。
現在は当時の氷室の位置に本城がいる。
本城と同じように氷室の部屋も警察組織から、
楯やトロフィーや賞状が並んだ豪華な部屋だったのだろう。
2人とも優れた洞察眼を持っていた。
ここで初めて、健介はその2人が似ていることに気づいた。
そして、また、キーをたたく音が部屋に響く。
「氷室竜一」
10件に満たなかった。
以前見たレポート以外よさそうなのはなかった。
健介は立ち上がり、その「氷室家の事故死」を棚から抜き出した。
そして、長机に広げる。
氷室竜一の文字だけを捜索する。
無数に散らばる文字の中からその4文字を拾い集める。
それは、海に沈んだ小石を探し当てるよりたやすかった。
「氷室竜一(8歳)」の字を見つける。
健介は記憶の中の情報と照らし合わせる。
これもまた、海の小石よりやさしかった。
もっとも、自分の情報が海ほどの広さだとはいわないが。
現在、本城竜彦は23歳。そう、僕より3歳上だ。
そして、ストリートチルドレン抹殺は15年前。
本城竜彦は当時8歳。
……だからどうした。
本城刑事と氷室竜一は別人に決まっている。
なんせ、氷室竜一は死んでいるのだから。