第6話 検索結果
健介と本城は田中の家を訪れた後、田中を連れて本部へ戻った。
彼は車の中では放心状態だった。
彼は暴れたりすることもなく難なく本部に戻ることができた。
本城は健介に田中を押し付けてどこかへ行ってしまった。
健介は彼についての手続きなどにおわれることになった。
そのおかげで午後7時ごろになった。
田中の家を出て4時間ほどたっていた。
時間も半端だし、本城は消えてしまうしでやることがなくなった健介は
この機会に本部の資料室でレポートの役に立ちそうなものを探すことにした。
資料室へは以前一度行ったことがあったので、
健介は迷うことなくたどり着くことができた。
部屋の左側は長机と椅子が置いてあり、
奥の机には3台のパソコンが置いてあった。
そのパソコンにはこの部屋にある資料や本の位置が記録されている。
部屋の右側は綺麗に書類や本が棚に納められていた。
健介はパソコンの前の椅子に腰掛けた。
パソコンはすぐに使えるようにずっと起動してある。
健介は画面に表示されている「書類・本名検索」をクリックした。
すると検索欄が出てきたので、
「ストリートチルドレン抹殺」
とすばやく打ち込む。
健介は小さいころからパソコンをいじっていたので
タイプは得意だった。
「検索中」
という文字と絶え間なく動く警察庁のマスコットの警察犬の絵が現れた。
数秒すると検索結果が現れた。
9件ヒットした。
本棚からその書類を取り出した。
9束のレポートだった。
健介は長机にレポートを広げて読むことにした。
ここには健介しかいなかったので気兼ねなく調べることができた。
9束のレポートを読んでみると、
先輩に聞いた話と同じことが書いてあった。
それに加えて、雇われた殺し屋のリーダーは
今回殺害された津田俊彦であることがわかった。
さらに、津田は依頼者である郷原武志元長官の古い友人であることもわかった。
健介はそのことをほかの紙に書き写した。
まだ、これだけでは目を引くレポートにはならない、と健介は思った。
9束のレポートを元の位置に戻してから、
再びパソコンに向かった。
検索画面を開き、
「津田俊彦」
と入力してみた。
またあの警察犬が走り回った。
今度は5件のヒットがあった。
その中には先ほどの郷原が津田に依頼したことが書いてあったレポートも
含まれていたので実質3件のヒットだ。
今度も数枚の紙がクリップで留められ、クリアファイルに収められた書類だった。
それらを見て健介は驚いた。
なんと、津田は元刑事だったという。
しかも郷原武志と同期だった。
だが、25歳のときに津田は刑事を辞めている。
この後に殺し屋になったのだろうか、と健介は思った。
健介はさっきと同じ紙に走り書きした。
これはレポートとは関係なさそうだが、
今回の事件に使えるかもしれないと思ったからだ。
津田の同期の名前も数人書いておいた。
書類を棚に戻してから最後に
「郷原武志」
と検索してみた。
先の2つよりも警察犬が長く走っていた。
1000件以上のヒットがあった。
画面をスクロールさせて飛び飛び書類・本のタイトルを見ていると、
ひとつの書名が飛び込んできた。
「氷室家の事故死」
健介は手元の紙にある走り書きと画面を見比べた。
氷室。
手元の走り書きにも氷室の文字がある。
氷室和貴
津田の同期の人間だ。
「氷室家の事故死」というレポートを書棚から持ち出し、
机の上に広げた。
「2063年4月 氷室和貴とその妻である美咲が自動車事故により死亡。長男の氷室竜一は事故当時自宅におり、事故には遭っていないが、その後行方をくらましている」
氷室と郷原武志は同期で仲がよかった、ともかかれていた。
おそらく、これが検索の網にかかったのだろう。
2063年といえば今は2078年だから15年前だ。
なぜ、息子の氷室竜一は行方不明になっているのか。
レポートの内容ではわからなかった。
健介は事故の内容を簡単に同じ紙に書いた。
その後もいろいろ検索してみたがめぼしい資料は見つからなかった。
健介が疲労の息を漏らしたころには10時を回っていた。
「もうだめだ。帰ろう」
誰もいない資料室に健介の声が響いた。