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第11話 復讐

健介は食事を終えてもいすに座っていた。

そして、考えた。


もし、僕が氷室竜一ならどうする?

そして、氷室竜一と本城竜彦が同一人物だとしたら。

津田俊彦に保護され、名前を変え、刑事になり、

実績をあげたところで、親代わりの人物を殺される。

加害者は郷原命。

おまけに、郷原命は両親を殺害した郷原武志の息子だ。

郷原一族に周りの大切な人を奪われた。

どうする?


「復讐」


健介はそう呟いて、椅子を倒して駆け出した。



30分後、健介は本部のエレベーターに乗り、34階へ向かっていた。

ドアが開くと同時に本城の部屋に駆け込んだ。

そこには本城の姿はなかった。

しかし、部屋の電気はついていたので、まだ、近くにいるのかもしれない。


35階へ上がった。

エレベーターから伸びるまっすぐな廊下の一番奥の、

両開きの扉の上に「郷原 命長官」と書かれている。


廊下には人が健介以外いなかった。

本来、立ち入り禁止なのだろうが、今はそんなこと言ってられない。


扉の近くによってみた。

中から声が聞こえる。

扉が少し開いているようだ。

かすかに中が見える。


「郷原命。なぜ、津田俊彦を殺した?言わなければ撃つぞ」


銀の拳銃を構えた本城の姿が見えた。


「え、あ、あれだ。俺をこ、殺そうとしていると聞いたからだ」


郷原命声は震えきっていた。

本城は完全に郷原を圧倒しているのだろう。


「なるほどな。じゃあ、本当に殺したんだな」


真犯人があっさりと確定した。

郷原のしまった、といった顔を確認してから、本城は続けた。


「俺の親はお前の親父に殺されたんだよ」


そう言って顔に手をやった。

そして、目から何かを取り出したようだ。

床に何か落ちた。


「カラーコンタクト……銀眼……氷室」


郷原が途切れ途切れに漏らした。

最初、健介は意味がわからなかった。

頭の情報が重なり合うにつれて、形をなしていった。


「お前は、氷室竜一なのか。親父が殺したはずじゃ……」


郷原命はストリートチルドレン抹殺の事件を知っているようだ。

やはり、本城が氷室竜一だったのだ。

カラーコンタクトで銀眼を隠していたというわけだ。

あの黒い瞳は偽りのものだった。


郷原命は大声で怒鳴った。


「おい、聞いてないぞ!出て来い、津田!」


健介は耳を疑った。

そして、本城……いや、氷室の顔にも驚きの表情がうかがえた。


部屋の奥から見覚えのある人物が出てきた。

どこかに隠れていたようだ。

津田ではない。

津田と呼ばれた男が言った。


「俺は知ってたんだがな、郷原」


ふざけるな、そう言って郷原が津田と呼ばれた男に殴りかかった。

しかし、銃弾がそれをさえぎった。

郷原は血を噴出して、倒れた、いや、死んだ。


「お前が早く殺さないからだぞ、竜一」


津田と呼ばれた男が氷室に言った。

さらに続けた。


「お前もわからないことが多いだろう。俺は津田の顔でもないしな。

 この部屋は完全防音だから、銃声も外に漏れていないだろう」


そう言って、扉のほうを見た。


「開いてるじゃないか」


その瞬間、健介は拳銃を構えて部屋の中に入っていた。

目の前の2人は驚いていた。


「中条君」


本城、いや、氷室が驚いた顔で言った。


「お?お前誰だっけ?」


笑いながら、津田と呼ばれた男が言った。


「先輩!なんでですか?」


健介は叫んでいた。

健介の前にいた、津田と呼ばれた男、それは、先輩だった。


「まぁ、待て。銃を下ろせよ」


健介は言うとおりにした。

邪魔が入ったら面倒だろ、と言って、先輩は健介を横切り、扉を閉めた。

先輩は元の位置の戻った。

氷室がまず口を開いた。


「津田さん……なんですか?俺の知ってる顔とは違う」


「それを説明するのも今回の計画から話さなければな、

 俺は、郷原に本城を殺さないか、と持ちかけた。

 そして、俺は殺されたふりをした。

 そのことによって、俺は存在が消えたわけだ。

 だから、一人の刑事をのっとったわけだ」


氷室は口をはさんだ。


「のっとった、ってことは。

 殺したんですね?家族も」


津田は笑った。


「そのとおりだ」


健介は先輩が代わっていたことに気づかなかった。

あの気さくな先輩がこんなやつに代わっていたことに驚いて、

口をきけなかった。


「中条。変わったとき気づかれるかと思ったが、

 お前のバカっぷりには笑わされたぜ

 それと変装の自信を取り戻させてもらったよ

 殺し屋は変装もできるんだぜ」


健介は津田に銃を向けた。

まだ、津田は笑っていた。


「俺は、どうやって、竜一に接触しようか悩んでいたんだ」


氷室がその先を見通して言った。


「そして、レポートを持った中条君が現れたわけだ」


「ああ、ラッキーだったな。

 津田俊彦が経験したことを中条に徐々に教えていき、

 竜一にも伝えさせる。

 そうすることで、結局はここに集まるように仕向けたんだ」


健介は怒りをあらわにして怒鳴った。


「そんなことなら、先輩を殺さずに直接、郷原を殺せばよかったじゃないか!」


「それじゃあ、だめなんだ。

 俺の目的は、氷室と郷原を足をつかせずに殺害することだからな」


氷室は驚いて聞き返した。


「俺を殺す?冗談でしょう?」


まぁ、聞けよ、と言って津田は話し始めた。


「俺と、氷室和貴と郷原武志は同期で親友だった。

 だが、俺だけ、2人より能力が低く、だんだん離されていった。

 そして、縁を切ったも同然のようにあしらわれた。

 2人をうらみながら、殺し屋に転職したんだ。

 そして、ストリートチルドレン抹殺のときに竜一を拾った。

 郷原は警察のトップだったから、警察内部にしのばせる武器として、

 育てるために拾ったんだよ。

 お前が氷室竜一だと名乗った以外にも氷室の息子だとわかる理由があった。

 お前がつけているペンダントだ。

 そして、そこに倒れている郷原もつけているだろうな。

 代々、これを守っていこうな、と親友の間で交わした、

 クサイ約束だ」


氷室はそばに倒れている、郷原の胸元を探った。

銀色のペンダントが垂れていた。

氷室は立ち上がり、自分のペンダントを掲げた。

同じ銀のペンダント。

昔、父からもらったペンダント。


津田も胸元から取り出した。


「報復のしるしだ。俺を認めさせてやるんだ」


ペンダントを放り投げ、空を舞うペンダントを銃で撃ち抜いた。

ペンダントが三つに裂けた。

あの3人のように。


氷室は津田に銃を構えた。

そして、微笑を交えながら言った。


「あなたに教えてもらった銃で、あなたを殺すことになるとは」


津田の顔つきが変わった。

怒りがあふれているように見えた。


「その微笑、いやなとこだけ、親父に似るんだな、死んでくれ」


津田は氷室に銃を構え、引き金に指を添えた。

さらに、もう一丁腰のホルスターから銃を取り出し、

健介に構えた。


「中条。お前を殺せば完全犯罪だ。

 もう、この世には津田俊彦はいない。

 俺は無事にここ脱出して、お前の先輩だったやつとして生きる」


健介は津田に銃を向けた。


「あなたを撃つなんて」


津田は笑う。


「撃てるのか?」


健介は何も言わなかった。

氷室が代わりに口を開いた。


「さぁ、誰が勝つか?俺は撃たれる気はないです」


氷室はペンダントを投げ捨てた。





銃声が響いた。



[終わり]


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