第10話 憩いの場 3
やはり、先輩はあの、憩いの場でコーヒーとサンドイッチだった。
いや、コーヒーを飲み、サンドイッチを食べていた。
仕事をしていないのだろうか、と思うのだが、
今回はこちらに好都合なので、気にしないことにした。
先輩は近寄ってきた健介を見上げて言った。
「こりゃ、どーも。佐藤さん」
「その佐藤さんが先輩に聞きたいことがあるんです」
健介は答えた。
「どうした?中条?」
名前覚えてるじゃないか。
毎回のことなので普段は気にしないのだが、
ことが急なだけに、苛立っていた。
あの資料室での希望、いや、希望とはいえない、発見だ。
発見を確かめなければならない。
「例の発令、ストリートチルドレンのことです」
先輩は、座れ、と言い、晩御飯を進めてきた。
もう、夕方だった。
落ち着いて断ってから、切り出した。
「氷室家の息子の竜一はまだ生きているんですか?」
単刀直入だ。これに勝るストレートはない。
先輩は目をこわばらせ言った。
「ああ、生きている」
「やっぱり」
「また、調べてみたんだがな、
ストリートチルドレン抹殺では、竜一は死ななかったらしい」
「なぜ?トップレベルの殺し屋達が数人いたんでしょう?」
「その一人であり、リーダーだった津田俊彦が竜一をかくまったそうだ」
まさか、意外な名前が出てきた。
今回担当した事件の被害者ではないか。
「そして、郷原には嘘の報告をして竜一は死んだということになった」
健介はしばらく空を見つめて考え、聞いてみた。
「その竜一と本城刑事は同一人物ってことはないのですか?」
先輩は笑った。
「そんなわけないだろ。竜一はどこかでひっそり暮らしてるんじゃないか?」
やっぱり、自分の憶測に過ぎなかったのか。
健介は肩を落とした。
いや、しかし竜一が生きているかもしれないということはわかった。
これも大きな収穫だ。
そんな考えは先輩の質問にもみ消された。
「ところで、本城刑事にそれについてのことを聞いてみたのか?」
「はい、本城刑事も調べたことはあるそうですが、
詳しいことは知らないそうです。
あ、でもなんか少し様子がおかしかったです。
それで、さっきみたいなこと考えたんですけどね」
「なるほどな。さて、俺は仕事に戻るか。
お前疲れてるだろ?
俺が飯をおごってやるよ。
ほれ」
そう言って、千円札をくれた。
ここ最近でお札の柄がよく変わった。
国の代表がコロコロしているからなあ、と思った。
気づくと先輩はどこかへ行った後だった。
健介はカウンターでカレーライスを注文した。