三月ウサギの独り言
「・・・・もうすぐアリス・・くる・・・。」
事の発端は眠りネズミのこの一言だった。
巨大な『ハートの城』の草木が生い茂る庭の一角には
そこだけ時間の流れが違うかのような、奇妙に大きな十人用テーブルとイス
その上にごてごてと所せましに並べられたティーポッドやらケーキなどがおかれた空間がある。
はた目から見れば、たぶん屋外のちょっとした大きなお茶会用のものにも見えなくもないが
参加者はたったの三人、それも毎回同じ
―――――――ぼくと、帽子屋と、眠りネズミの三人である。
「アリスがくるだと!?ここに?どういうことだ眠りネズミ。」
「言葉のとうり・・・、ありす・・・くる。」
そう短く説明して、再びワンホールケーキにつっぷして寝ようとした眠りネズミを
帽子屋が激しく揺さぶっている。
そのたんびに帽子屋の被っている彼の背丈の半ほどもありそうな黒のシルクハットが、
その頭の上からずり落ちてきて、眠りネズミに当たりそうでなんともあぶなっかしい。
毎回思うけど・・・良くあの帽子落ちないよね。
「・・・まぁ、帽子屋。そんなに興奮しなくても。ネズミがかわいそうだよ。」
「これが興奮せずにいられるか!!ついにこの恨みを晴らす時が来たんだぞ!!」
「まぁ、薔薇がなくなったのはざんねんだとは思うけど。」
この国の象徴であるバラがなくなって以来、薔薇に命をかけているといっても過言ではないほど
薔薇を愛している帽子屋は、毎日まだ見ぬアリスを痛めつける方法ばかり考えていた。
まぁ、だからアリスがくるっていうのを聞いてこんなに興奮するのも無理ないけど・・・
あ~ぁ、もう帽子の中からナイフやら銃やら物騒なものを持ちだしてるよ・・・・
「べつに銃とかぶっ放すのは良いけど、帽子屋わかってる?」
「なにがだ?」
「この国の薔薇が消えるってことは、それだけ今回のアリスの影響力が強いってことだよ。」
そう、この『夢見の国』にある薔薇の花は外部の影響を受けない
唯一の絶対不動のこの国の象徴。
それが消えたということは――――――
さすがに帽子屋もそれに気づいて、武器を探す手を止めた。
「でもなぁ、三月。それじゃぁ、俺のきがおさまらないぜ・・・。」
「まぁ、それは後々考えればいいと思うよ、・・・今はお茶会を楽しもう。」
「それも、そうだな。」
すっかり冷静になった帽子屋の横で、ぼくは空を見上げてそっと呟いた。
「・・・はやくきてくれないかなぁ、ぼくのアリス。」
まだ見ぬ、愛しい少女を想って。
奇妙に続くこの想い
それは、キミに向けられたものなの―――――?
え~と、更新遅くなってすいませんでした。
作者です。
こんかいは三月ウサギ視点で書いてみました。
どうだったでしょうか?分かりにくいところもあると思いますがご了承ください。
それでは、感想などがあったらお聞かせ願いたいと思っております。
では又(^.^)/~~~