御対面
「ここが、女王様のいらっしゃる、大広間の入り口です。」
白兎に案内されて辿り着いたのは、ピッカピカの金色と、目に痛い赤色で装飾された
それはそれは大きな扉の前だった。
「ねぇ、白兎。この扉の金色の部分ってもしかして・・・」
「えぇ、全て純金でできていますよ。」
やっぱり・・・
さっきの部屋といい、この扉といいなんでこんなに豪華なものが多いんだ、この城は。
庶民の中の庶民と言う生活をしてきた私にはついていけん・・・・・
「はぁ・・・じゃぁ、さっさと入りましょう。
あんまりもたもたしていると料理が冷めちゃうわ。」
「ちょっと待ってください!!アリス。私が先に入ります。」
扉に手をあてて、力を込めて押そうとしたとき
突然白兎が慌てたように、私の手をとり、真剣な様子で言った。
「どうしたの?別に先に入っても、あとに入っても同じじゃない?」
「いえ・・・なんというか、女王様は首を狩るのが好きでして
扉を開けるときは必ず鎌を投げてくるので、アリスは待っていた方が安全かと・・・」
いや絶対そっちのが安全だから。
鎌投げるってどんな女王様よ・・・
しかも、首を狩るのが好きって・・・?
「それ、先に行ってよ!!もし開けてたら、私の首飛んでたじゃん!!」
「すいません、アリスが鎌を投げられたことがないのを忘れていました。」
なんで忘れるのよ・・・
つーか、この言い方だと白兎は鎌を投げられているのが日常茶飯事っていうことよね
なんだか、目の前のこいつが不憫になってきた。
「そう・・・、もう忘れないでね。じゃぁ、白兎先お願い。」
「はい。では、安全になったら呼びますので、そうしたら入ってきてくださいね。」
笑顔で私にそういうと、白兎は扉を押して大広間の中に入っていった。
その瞬間
ガっシャーン
ガスっ
何この音!!白兎大丈夫なわけ!?
つーか、女王様ホントに鎌投げたのかよ!!
何かが割れる音
何かが刺さったような音
そんな想像するだけでも恐ろしい音の後に続いたのは
「アリスー。もう大丈夫ですよー。」
といういつもと変わらない白兎のノー天気な声だった。
身構えながらもその声を信じてそっと扉を押しあけ入ると
広がったなんとも息をのむような美しい空間の奥に
ひときわ目を引く豪華な玉座と思わしき所に座っている
人形のような顔立ちの華やかなドレスを着た少女と、見慣れた白兎の姿が視界に入った。
あ~、なんでこんなに奥行きが広いんだよ。
また走らなければならないじゃないの。
手招きする白兎を見てそんなことを思っていると
ドンッ
となにか柔らかいものが体に当たってきた
「アリス~、会いたかったわ~」
視線を下げるとドアップに映る先ほど見た人形のように整った少女の顔。
艶やかな髪は、赤薔薇も恥らいそうな深い深い紅色。
きめの細かい真珠のような白い肌は、頬の部分が淡いピンク色に染まり、
瞳はひときわ目を引く、春の菫のような澄んだラベンダー色だ。
それはいいんだけれど・・・・
なんでそんなアニメの中でしか見たことのないような美少女に
私は抱きつかれているのかしら?
目の前の少女の両腕はしっかり私の腰のところに回されており
手錠のようにがっちり固定されている。
背も低いし、見たところ私より年下みたいだけど、力が半端なく強い。
身をよじろうとしても、腕で締め付けられた腰のせいで全然身動きが取れないし
なによりも空気が足りない。つーか苦しい。
「女王様!そんなに強く抱きつくとアリスが死んでしまいます!!」
金魚のように口をパクパクさせて空気を吸いこもうとしている私を見て
白兎が慌てたようにそう言うと、女王と呼ばれた少女は残念そうに私の体から離れて
眉を思いっきりしかめ、白兎をにらみつけた。
「うぅ、白兎の意地悪、別にアリスに抱きついていただけじゃない。
私がアリスを殺すようなへまをするはずないのは分かっているでしょう?
それにアリスもうれしそうだったもの。」
いや、ちょー苦しかったです。
・・・ん?まてよ?
今、白兎、女王様ってこの子のこと呼んでなかった?
てことは・・・・
「ねぇ、白兎。その子がもしかして、例の女王様?」
「え?あ、はい。そうですよ、この方がここ『ハートの城』の主人
もといこの国、『夢見の国』の最高統治者である女王様でございます。」
えぇ!!
女王様?この子が!!
確かに華やかなところがあるけどまさか女王様とは・・・・
あ、部屋のお礼言わないと!!
「え、えと、藤岡アリスと申します。
あの、部屋を貸して頂きほんとにありがとうございました。」
私が頭を床につんのめりそうになるほど深々と下げてからそういうと
女王様はふわりと微笑んで
「いいのよ、あの部屋はもともと使う人がいなかったから。
それよりもアリス、体は大丈夫?」
と心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「あ、はい。今はぴんぴんしてます。本当にありがとうございました。」
「そう、それはよかった。あの部屋はもうあなたのものだから
好きなだけ使って頂戴。これからもこの城にいてくれるんでしょう?」
「あ、はい、まぁ。」
「やった!!いっぱいお話しましょうね!!」
手を叩いてはしゃぐ女王様は、女の私でもぎゅうっと抱きしめたくなるほど可愛い
一時は鎌を投げるとかでビビったけど、本当に素敵な人だなぁ。
「あの、女王様。今日はアリスが女王様にお願いがあるといううことなのですけれども。」
「あら、アリスのお願いなら何でも聞くわ。なにがほしいの?」
あ、そうだった。
あ~、でも朝食さめてるよねぇ、これは
どうしよう・・・・
「え~と、本当は朝食の量がちょっと多いので
女王様とかこの城の人達と一緒に食べれればいいなぁ、と思ったんですけど
もうさめてるとおもうので・・・」
「あら!そんなこと?いいわよ別に冷めていても。
アリスと一緒にご飯を食べれるだけで、私すごく嬉しいわ。」
う~ん
でも部屋を貸してくれた人に冷めた朝食を食べてもらうのはちょっと・・・
「いいじゃないですかアリス。女王様もこう言ってくれていることですし。」
悩んでる私をよそに残りの二人はすっかり同意している。
それでも私が困ったような顔をしていると
「それじゃぁ、帽子屋たちを誘いましょう。
あいつらはいつも冷めたものしか食べてませんから。
冷めたものが大好きなはずですよ。」
と白兎が顔を輝かせてきりだした。
「ん~、いいのかなぁ。おなかこわさない?」
「大丈夫ですよ、いつも冷めたものしかやってませんから、おなかは強いはずです。」
「あはは・・・・それは、冷めたものが好きとは言わないんじゃないかな」
なんかかわいそうだなその人たち・・・
よりによってこの白兎にいじめられているんだものね・・・
うぅ、想像したら寒気がしてきた。
「じゃぁ、行きましょう。レッツラゴー。」
キャラが崩れた白兎を止めるすべはなく
私は渋々その帽子屋とかいう、かわいそうな人たちのもとへ向かったのでした。
大広間から出るときに見た
割れた花瓶の破片と
その上に刺さっていた私よりも大きな鎌は幻と信じたい・・・
すいません。白兎のキャラが崩れました。
なんかもうわけわかんなくなってますね
駄文です、ほんっっっっとうにすみませんでした。
次回は帽子屋が出てくる予定
あ、あと多分三月とかそこらへんも
また、感想などありましたらぜひ聞かせてもらいたいなと思っております
ではまた($・・)/~~~