ここどこ?―――ハートの城です
甘い甘い果物のような匂い
それで目を覚ました私は、あまりにびっくりして心臓が飛び出そうだった。
―――――ちょっと待ってよ?昨日あたしは、たしか変態紫猫に追いかけられて
白兎に助けられて・・・それで、どうしてこんな豪華な部屋のベットで寝てたわけ?
上品な淡いピンク色と白という柔らかい色調で整えられた部屋には、いかにも高そうな家具が
バランス良く置かれている。部屋の奥行きは少し小さなパーティ会場くらいの大きさがあり
よく見ると私が今のっているベットにもフリルがちょうどいい感じについた、肌触りのいい
シルクのようなカバーが付いている。
まさか・・・・ホテルとかじゃないよね。
とは思うものの、こんなお金のかかりそうな部屋がある家を持っている友人なんて
当然この世界に来たばかり私にはいないわけで、思い当たるのといえばホテルしかない。
まさか・・・白兎・・・、いやいやいや、それはない。ていうか、ないことを祈ろう。
あんな紳士な白兎が女の子の私を連れ込んで・・・・なんてことするわけないでしょう。
そう思ったところで、運悪く昨日の狂ったように笑う白兎の姿が思い出されて
もしかして、ありえるかも、なんていう馬鹿な考えが私の頭をよぎったところで
いきなり、ガチャ、と部屋のドアが開き、さっきまであたしが頭を悩ませていた人物―――白兎が
トレーに乗ったご飯らしきものを持って入ってきた。
「おはようございます。アリス、よく眠れましたか?」
たぶん・・・これは何もなかったわね・・・。
いつもと変わらない白兎の態度に私はホッと胸をなでおろし
続いて朝からずっと気になってた問題をはっきりさせるために口を開いた。
「眠れたっていうか・・・私こんなところに来た記憶が全くないんだけど。ここどこよ?」
「あぁ、ここは『ハートの城』ですよ?別名『赤の城』とも言いますけどね。
昨日アリスが突然気絶しちゃったので、私がここに連れてきたのです。」
は?・・・・城?
ずいぶんメルヘンな単語ね・・・。
つーか、その前になんで気絶なんかしたんだろう、私。
どうりで、ここにきた記憶が全くないわけだよ。
「白兎、大変だったでしょう。私連れてくるの、重いし・・・。」
「いいえ?そんなことありませんよ。軽すぎというくらい軽かったです。
アリスはもうちょっと食べたほうがいいですね、朝ご飯です。食べてください。」
そう言いながら、はにかみ、テーブルの上にトレーの上のお皿―――もとい、朝ご飯を並べていく姿は
とてもきまっている。
なんだろ・・・白兎って妙にこういう執事みたいな感じが似合うのよね・・・
「ねぇ、白兎、このご飯、ちょっと量多すぎない?」
「そうですか?私はいつもこれくらいは普通に食べていますが・・・。」
どんだけ食べるのよ・・・。
部屋にある一番大きい、ゆうに十人くらいはすわれそうなテーブルのうえが
お皿だけで半分くらいは埋まっている。
トースト、ジャムをはじめビスケット、紅茶、マカロン、ステーキ、とおよそ朝ご飯と断定していいのか
というものをはじめ、緑色だの、紫色だの、えたいのしれない液体がざっと二十皿少し並べてある。
「白兎・・・これ朝食?」
「はい、朝はあまり食べられないことが多いですけど、これくらいですね朝食は。」
これで、あまり食べれない方なのかよ・・・
「おなか壊したことない?」
「一応、ないです。」
すご、つーか、そんな細い体のどこにこれだけの食べ物がはいるのよ。
「あの・・・白兎?私こんなに食べれないんだけど。」
「そうですか・・・じゃぁ、ちょっと処分しましょう。捨ててきますね。
アリスはどれが食べれそうですか?」
処分!!う~、さすがにそれはもったいない気がするよ
せっかく、誰か分からないけど作ってくれたのに。
「ちょっと待って、処分って別にそんな勿体ないことしなくても・・・
そうだ!この城ってほかに住んでる人いる?」
「えぇ、女王様とか、いろいろいますけど。」
「じゃぁさ、その人たち何人か誘って一緒に食べようよ。」
そういうと、白兎の顔が途端に苦いものになった。
手を額にあて、どうしようか迷っているみたいだ。
「ねぇ、白兎、どうしたの?」
「いえ・・・アリスがそうしたいならいいのですが、
この城の者たちはちょっと、普通と違うというか、頭のねじが足りないというか
とりあえず、少々危険なのです。」
「チェシャ猫みたいに?」
「それよりも危険です。」
うわ・・・じゃぁ、だめじゃん。
あのチェシャ猫より危険なら、まず私、命ないじゃん。
でも、どうしよこのご飯の量一人じゃ食べれないし・・・・
「私が食べましょうか?」
困っている私を見て、白兎が申し訳なさそうに
頭の上のうさ耳をたらして、顔を覗き込んできた。
「いや、いいよ。白兎もうご飯食べたでしょう?
正直なんか自分の中のイメージ崩したくないし。」
「は?」
「いや、こっちの話!!」
頭の中に白兎がご飯を次々と笑顔で飲み込む映像が流れたことは秘密にしておこう。
それよりも・・・
「その人たちって、チェシャ猫みたいにいきなり襲いかかってくるような人?」
「それはないです、一応ある程度の理性はある人達ですから。」
理性か・・・ってことは話もちゃんと通じるし
納得してくれたら来てくれるんだよね。
「よし!きめた。理性があるならちゃんと話も通じるじゃん。
会って話して、来てもらおうよ。・・・だめ?」
「・・・そうですね、それでは私も行きましょう。
まず、女王様のところへ行った方が楽かもしれません。この部屋を提供してくれたのも彼女ですし、
なにより、昨日からずっとアリスとしゃべりたがっていたので、
喜んできてくださると思いますよ?」
「そうね、あたしもありがとうって言いたいしね。」
女王様か・・・どんな人だろう。
やっぱしこんなきれいな部屋を貸してくれたんだもの
いい人だよね。
「死体がごろごろ転がってないといいですけど・・・・」
部屋を出たときに、後ろから聞こえた白兎の言葉は聞かなかったことにしよう。
白兎、超大食いです、また新たな能力?がはっけんされましたね(笑)
受験生なのでへいじつPC使えなくなりまして・・・
更新は土日になりそうです。スイマセン・・・
昨日、初めての感想がきました。
ほんとにありがとうございます。
作者は感動で涙が出そうでした。
これからもがんばりますのでよろしくお願いします
もっと多くの方に読んでもらえるよう精進致しますので
読者の皆さまどうかよろしくお願いします!!
ありがとうございました
では、次話で($・・)/~~~