アブサン
掲載日:2026/05/28
解き放たれた悪夢の行方は
割れたグラスにだけ映り込む
面影と幻影の違いを語ることにおいて
曖昧な矛盾を消し去ることはほぼ難しい
多くを語りて 多くを見落とす
多くは些細な風のように
多くはまた全てをまた無に返す
耳鳴りが始まった
駝鳥は昨晩亡くなった
幻聴 錯覚 そしてまた幻聴
か細い女の金切り声
誰かが遠くで呼んでいる
蜃気楼のように揺れながら
瞬く光の忍び足
全ては過ぎ去り 消えていく
静寂 波纹 予兆
ヒタヒタと歩み寄る足音に
誰もがそっと耳を傾ける
虚ろな視線のその先で
大きな目玉が昼食中
口はどこに? 何を食べてる?
ソーセージと目玉焼き
共食い 争い そしてフィナーレへ
口元から垂れ堕ちる真っ赤な涎
指の先から滴り落ちる涙
悲しみと孤独は時に誰かを
底知れぬ快楽に招き込む
出口のない快楽の坩堝
そこはいわば地獄の果ての果て
誰かがまた呼んでいる
入り口しかない閉ざされた世界
終わりなき永遠の螺旋階段
粉々に砕け散ったグラスの欠片
それはまるで万華鏡




