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おやすみ、僕らの

自分でその背を押したくせに

作者: 白川 優雨
掲載日:2026/03/30

 夜の駅前であなたを見送った。ありがとうと澄んだ視線に晒されて、どこかに穴があく。

 きっとあのリビングで向かい合って座ることはもうない。食べかけのハンバーガーの苦手な場所に、あなたの歯型がつくことはない。考えて、辞めようとして、辞めれないことに気づく。それだけで痛い。


わかってたはずなのに。


 あなたの気持ちに漬け込んで、あたしは隣に座った。手探りで話し出した手縫いの生活が、眩しくて、あたしだけが影を伸ばす。分かりやすく、あたしは話を置き換えた。拾ったこっちのは隠して埋める。バレないようにした。

 いっつもLINEで送られてくるのは、あの子とあなたの拙い文。ちょっと楽しみにしてたから、開く度に重たくなる。読んだフリして返す。あたしまで拙くなる。言葉に躓いた。

 それでもふたりは距離を縮めて、ゆっくりと並んでいく。あたしの事なんかじゃないよ。きっとあなたたちふたりのこと。息が詰まる。

 今日あなたは会いに行く。私と反対の電車に乗って。少しだけ洒落た服を重ねて。ヒロインの元へ、飛んでいく。

 扉が閉まる時、初めてあの子に見せるような、明るい顔を向けてくれた。眩しくて。眩しくて。あなたが行ってしまった後。しばらくうずくまって、目を開けられなかった。何度拭っても、光は消えなかった。


 分かってる。分かってるんだよ。だあれも悪くないんだよね、きっと。ただちょっと痛いんだなって思っただけ、それだけ。

 でも、わがままを言うなら、つよがりを言うなら、本音を許すなら、

あたしなら、なんでもしてあげるのに

そう思ってしまう。


 あぁ、あたし悪い子だ。あたしも含めてあなたも全部、みーんな痛んでしまえ。

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