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アヴァロンストーリー ~赫眼の冒険者と旅の仲間 名無き大地を旅する~  作者: I.M.カート
第2章 旅の仲間結集譚 狙われた聖教国編
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第19話 魔法剣士と商人

 俺達がバジリスクと死闘を繰り広げている一方、バジリスクの目から放たれた閃光は、聖教国内の避難所にまで届いていた。


 その結果、避難所の中では不穏な空気が漂い始めた。


 その中でパウロ、オットー、アクセル、ハンクという4人の商人達は、防衛に当たっている方で何かが起きていると勘づいていた。

 

「今のは、一体…」

「きっと、誰かの魔法だろう。」

「いや、それにしては静か過ぎる。

 あれだけの光を放つ魔法なら、何か衝撃音があっても良いハズだ。」


 オットーとハンクは険しい顔をしながら、閃光の正体について言い合っていた。


 その時、避難所を護っていた聖騎士が外へ呼び出された。


「やっぱり、何かあったんだ…」

 

 アクセルが不安な口調で言うと、パウロが立ち上がった。


「少し、様子を見て来ます。」


 パウロは、避難民達を掻き分け、扉の前まで行き、外を覗いた。


 外では、避難所を護っていた聖騎士と、報告に来た聖騎士が戦況についてを話していた。

 

「何だと?!

 それでは、後衛の弓士は全滅したと言うのか?!」

「ああ…残念だがそうだ…

 皆、バジリスクに石化させられてしまった…」

「それでは…防衛網は突破されたという事か?」


 厳しい戦況に聖騎士は険しい顔で聞いたが、報告に来た聖騎士は顔を横に振って答えた。


「今は、白狼殿が何とか持ちこたえている。

 だが、それもいつまで持つか…」


 (アルベルトさんが…1人で?!)


「打開策は何かあるのか?」

「何もない…

 あの目さえ封じられればと思ったのだが…

 狙った時点で、石化されてしまう…」


 (どうしよう…とりあえず、皆に状況を伝えよう。)


 パウロは扉から離れ、3人の元へ戻った。


「パウロさん、何か分かりました?」

「状況は、思っていた以上に悪いです…

 バジリスクと言う魔物が現れ、アルベルト…白狼殿が何とか持ちこたえている状態です。」


 アクセルの質問にパウロが答えると、商人達は沈黙した。


 暫くすると、オットーが何かを思い出したし話し始めた。


「確か、バジリスクの厄介なところてのは、“目を見ると石化する”てところじゃなかったか?

 だから、目を潰せれば…」

「もう、試みた様です。

 目を狙った時点で、目を見てしまい、皆石化してしまいました。」


 オットーの意見に、パウロは険しい顔で答えた。


 その時、アクセルが何かを思い付き話した。


「なら…目を狙わずに潰せれば良いのではないですか?」

「何を言っている…そんな事出来るわけ無いだろ…」


 アクセルの“目を狙わずに潰す”という意見は、現実的でないと却下されてしまった。


 しかし、パウロはその非現実的な意見から、思い付きを得て、小さ声で話した。


「なら…目意外を狙って潰せれば…」


 その言葉を聞いて、オットーはパウロへ詰め寄った。


「パウロ殿、それはどういう意味だ?」

「いえ、ちょっとした思い付きです。

 ほら、盗人が逃げる時に、粉の入った袋を追手の顔に投げて、目を潰すて話を良く聞きませんか?」


 パウロの意見に、一同は納得した顔を見せた。


「もし…もしですよ。

 袋に入った粉の様に、バジリスクの目を潰せる物があれば、この状況を打開出来ると思うんですよ。」

「しかし、そんな物があるわけ…」

「それなら、良さそうな物があります。」


 アクセルが言葉を遮り、説明を始めた。


「わたしは以前、フジノ国付近で、周囲に植物が生えていな温泉を見つけました。

 そこでわたしは、休憩がてら煙草を吸おうとしたのですが、誤ってその温泉に煙草を落としてしまったのです。

 すると、落とした煙草が温泉に触れた瞬間溶けてしまったのです。」

「煙草が溶けた?!」

「はい。

 その時は、信じられませんでしたが、後に森に生えていた植物を同様に温泉に入れてみました。

 すると、その植物も煙草と同様に溶けてしまいました。

 それで、わたしはこの温泉が原因で周囲に植物が生えていないと考え、これは除草薬として売れるのではないかと考えたのです。」


 商人達は、その“不思議な温泉”の話を黙って聞いていた。


 そして、パウロが口を開いた。


「つまり、その()()()なら、バジリスクの目を潰せるという事ですか?」

「可能性はあります。

 魔物といっても、植物と同様に生物である事は変わらないハズです。」

「試してみる価値は、あるかも知れません。

 その除草薬は、今どこに?」

「外にある、わたしの荷馬車に積んであります。」


 パウロは、再び立ち上がった。


「その除草薬と荷馬車の特徴を教えてください。」

「荷馬車には、ベルヌ商会の刻印がされています。

 除草薬は、分かりやすい様に容器に“赤い印”を着けておきました。」

「分かりました。

 ありがとうございます。」


 パウロは、再び扉の前まで行き、今聞いた情報と策を伝える為に外へ出た。

 

 しかし、外に聖騎士はいなかった。


 (まさか…もう、防衛網の方へ…)


 パウロは、聖騎士に追い付く為、急いで荷馬車から除草薬を探した。


 (ベルヌ商会…ベルヌ商会…

 あった!

 後は、除草薬だ。

 赤い印の容器…これか!)


 パウロは除草薬を持ち、聖騎士を探しに結界の近くまで行った。


 (聖騎士は一体どこに…いた!)


 2人の聖騎士が、連絡用に作られた結界の隙間から外へ出ていた。

 パウロも、聖騎士を追いかけて結界の外へ出た。


 結界の外へ出ると、パウロは地獄の様な有り様に驚愕した。


 しかし、止まっている暇は無かった。


 (アルベルトさんが、いつまで持つか分からない…

 急ごう!)


 パウロは、聖騎士の後を付けて行った。


 戦いの場に着くと…


「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ー!」


 パウロ前にあったのは、バジリスクに左腕を咥え上げられ、悲痛な叫び声を上げていた俺の姿だった…


 ………

 ……

 …


 パウロが、戦場へ来る10分程前。


 バジリスクとの戦いは、激しいながらも硬直状態に陥っていた。


 それは、相手も俺も止めの一手を撃てずにいたからだ。


 クソッ…

 何とか、目を潰す方法は無いのか…

 目さえ潰せれば…


 俺は、攻撃の期を伺いながらも、目を潰す方法を探した。


 それか…せめて、顎の下まで行ければ…

 そのまま、頭を貫け…


 その時、バジリスクは両手の爪を交互に使って、小刻みに攻撃を仕掛ける戦法から、腕を大きく振りかぶった力任せの戦法へ変えてきた。

 

「うあっ!

 クソッ!

 こいつ…急に、動きを変えてきやがった!」


 俺はその攻撃を瞬時に受け止めたが、同時に強い衝撃が腕を巡った。


 チッ…思いっきり来ると、腕に響く…

 このままだと、消耗戦だ…

 …ん?何だ?

 こいつ…さっきより動きが鈍いぞ。


 俺は、バジリスクの攻撃の速度が遅く成っている事に気付いた。


 おそらく、硬直状態の攻防戦から、最初に強い攻撃に出たバジリスクは、守りに入っていた俺以上に消耗した為だろう。


 この動きならいけそうだ!


 俺は、バジリスクの攻撃を受け流し、剣を振り上げ、腕を1本切り落とした。


 よし!まずは、1本!

 次は…


 その時、バジリスクは急に、俺の目の前へ頭を付き出した。


 今だ!こまま、頭を…

 いや、待て!

 これは…


 バジリスクと目が合いそうに成った俺は、慌てて目を瞑って視界を遮った。


 しかし、それこそがバジリスクの狙いだった…


 バジリスクは、その隙を逃さず、左腕に喰らい付き、空高くまで持ち上げた。


「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ー!」


 う…腕がちぎれそうだ…


 バジリスクは、首を左右に振り回し、咥えた腕を引きちぎろうとした。


 クソッ!

 なら、せめて…魔法でも喰ってみろ!


 俺は、喰われた左腕に魔力を集中させて、魔法を放とうとした。


炎の(フレイム)…』


 バジリスクは、それを感じ取ったのか、結界へ向けて投げ飛ばした。


「うぁぁぁー!」


 「グァ!!…

 …ひゅ…ひゅ…」


 クソッ…しくじった…

 

 左腕は、関節に大きな穴が開き、白いシャツが赤色に染められていた。


 マズい…目が霞む…

 バジリスクの毒か…


 バジリスクが、ゆっくりと向かってきた。


 まさか…このまま喰う気か…

 クソッ…どうすれば良い…


 バジリスクは、目の前まで来た。


 もう…ここまでか…


 その時、聞き覚えのある声が耳に入ってきた。


「おい!蛇野郎!!

 その人から離れろ!!」


 この声は?!


 俺は、声の方へとっさに向いた。


 パウロ?!

 何で、ここに?!


 バジリスクは、パウロの方を向いた。


 クソッ…やめろ!


「ひぃ!!

 これ…これでも、喰らってろ!!」


 パウロは、手に持っていた容器をバジリスクに向けて投げた。

 

 容器がバジリスクの頭部に当たり、割れて中の液体が顔を覆った。


 バジリスクの顔は、煙は放ちながら焼けただれていた。


 ピュギャァァァー!!


 バジリスクは、悲痛な唸り声を上げた。


「凄い…思った以上の威力だ…

 アルベルトさん、今です!!

 バジリスクの目は、潰れました!!」


 何?!

 確かに、焼けただれて…目が潰れている!!


 俺は、再び剣を強く握り締め、最後の力を振り絞って立ち上がった。


「うぉぉぉ!!」


 左腕は使えないが、右腕だけで充分だ!


 バジリスクは、左右に揺れながら、踠き苦しんでいた。


 俺は、バジリスクの崩れかかった体勢を崩す為、右に揺れた瞬間、右足を斬った。

 バジリスクは、保つ重心を失い、右へ倒れ込んだ。

 俺は、その瞬間を逃さず、バジリスクの頭部が落下してくる所に陣取り、剣を掲げた。

 

 バジリスクは、それに気付く事も、避ける事も出来ず、倒れると同時に、顎から頭にかけてを剣に貫かれ、絶命した。


「はぁ…はぁ…」


 終わった…


 限界を迎えた俺は、その場に倒れた。



「やったー!!

 アル…?!

 アルベルトさん?!

 アルベルトさん!!」


 パウロは、倒れた俺の元へ駆け寄った。


「まだ…息をしている!

 でも…浅い…

 誰か…誰か!!」


 パウロの呼び声で、負傷して寝込んでいたクレアが起こされた。


「白狼殿?!」

「はぁ…あ、貴女は聖騎士ですよね?!

 は、早くアルベルトさんを!」

「分かっている…」


聖なる癒し(ホーリーヒール)!』


 クレアが神聖魔法の呪文を唱えると、俺の身体は美しい光に包まれ、左腕にあった噛み傷が癒えていった。


 しかし、目を覚ます事はなかった…


「どうして?!」

「毒がかなり進行している…

 こうなっては、私の力では…」

「助ける方法は、無いんですか?!」

「…急いで、彼を聖堂へ連れていこう!

 あの方なら…」


 俺は、クレアにだき抱えられ、パウロと共に聖教国へ入って行った。

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