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5話 出オチクッキング

2話がコピペミスってたのに気付いたので修正しました!

起きている異変が分かった私は一先ず原因を探ろうと村の人達に話を聞くことにした。


「もう1ヶ月ぐらい、甘いものを食べてなくてねぇ。儂らにも、原因が分からんのじゃ」


「はいはい…期間は1ヶ月、つい最近か…他に異変はありましたか?」


「あぁ…後は魔物がよく現れるようになってね。そこのお嬢さんがよく来てくれるんだよ」


エマの方を指して老人が答えた。


「はい、お世話になってます。原因が解決出来ずいつも申し訳ないです…」


「いやいや、寧ろ助かっとるよ。見ての通り、若いもんが少ないから活気も無いし、そんな村を助けに来てくれるのはあんたぐらいだよ」


中々、いい関係を築けているみたいで何よりだ。これなら調査自体は滞りなく出来そうではある。


「教えてくれてありがとうございます」


礼を言ったあと、今度はその魔物が現れる場所へと向かうことにした。


「その、なんとなく…原因は分かっているのですが、私の予想が当たっているとすると、私一人での解決は無理そうなんです」


向かう途中、エマが私に向けて言った。なるほど、だから私へと手紙を出していたのか…それを無視していた私、割と最悪じゃない?


「流石は私の弟子ね!えっと、案内してもらえる?」


「…はい!」


うーん…エマでも解決できない案件…か。

そんなの…絶対めんどいやつじゃん…



 * * *



「こちらです」


案内されたのは村近くの湖。それも…かなり広い湖だ。見る限り、水が綺麗で透明な表面を覗けば私の顔が写った。


「はへぇ…これ、飲めそうなぐらい綺麗だねぇ…」


「はい、実際、ここから井戸へ水を引いているみたいです」


「ふーん…」


ふむ、暫く家に帰ってないから鏡が無くて困ってたけど…うむ、まだ私、美少女のまま…


ブクブク…ブクブク…


「ね、ねぇ、なんか水面がブクブク言って…」


「っ!師匠離れてください!」


「────へ?」


瞬間、私の身体は何かに挟まれ辺りが真っ暗になる。

そして…


ザブンッ!


全身が、濡れる感覚。…何が起きてんの…


「明らかに…魔物…だよね。」


幸いこの空間では息ができる。ただなんか…妙に生臭い感じと、生命の感じが奥底からしてるんだよなぁ…


────多分今、私食べられかけてる。

うわぁ…どうやったら死ぬのか幾らでも試したことはあるけど食べられて溶かされるは初めてだなぁ……


「じゃない!」


あっぶな死ぬことを受け入れるところだった。

えっと…とりあえず呼吸は出来るし完全に噛み切ってない感じ殺すつもりは無い…のかな?


「でも生臭くなりたくないから!ごめんね!」


奥側に向けて、魔術を放つ。使ったのは…雷の魔術。水棲の生き物にはこれがよく効く…


「あばばばばばば!!??」


全身が痺れる感覚。あっ…待って…そっかぁ…

私も水の中に居るんじゃん…やっちゃった…



 * * *



「お師匠様!」


湖の中へ我が師匠が引きずり込まれた。その光景にエマは叫んだ。だが…自分の師であるならばそこまでの問題にはならないとすぐに切り替え、事態の対処へと移る。


「あの魔物は…人魚姫喰らい(マーメイド・イーター)…なら、お師匠様は生きてるはず…魔物の方は問題無い。だったら…!」


自分の師は魔術においては確かに人外の域である。が…その他のことが少し、ほんのちょっぴり、抜けているのだ。

…だから、ここでエマがすべきことは必然と導き出せる。


「まぁ、抜けてるところが可愛いんですけどね。師匠は…」


エマは探知魔術を発動した。その魔術で、師匠の魔力を探り…


「────見つけた」


沈んでいく魔力を見つけた。あぁ…そういえば泳げないって言っていた気がする。

既に魔物の魔力は消えた。予想通り、恐らくは師匠が討伐したのだろうと判断し、師匠を引き上げるために思案する。


「…師匠、雷を水中はダメでしょう…」


魚にも効きやすいだろうが師匠も巻き添えを食らっているみたいだ。さて、つまるところ今この湖に入るのは危険なわけで…


「なら…丁度いいものがありますよね。」


昨日師匠に見せた光の鎖の魔術。これを昨日、またも改良したのだ。


「属性は必要無いんですよね。少なくとも師匠相手なら。無属性の方が元素に関与しない分精度を高めやすく強度が上がる。」


ひと手間減らしただけ。それだけでも魔術は大きく変化を見せる。

白色の光を放ちながら透明な鎖はエマが導き出したフィーナの位置へと向かっていく。


「封印術式は必要ありませんね。寧ろ師匠の魔力を吸収する術式に」


フィーナへと辿り着いた鎖を身体へ巻き付くよう操ったあと、更なる術式を付与する。


「…これが師匠の魔力ですか……ふへぇ……あっ、いけないいけない…引っ張らなきゃ。」


腹の奥底が温まる感覚に危うく囚われるところだった。エマは首を振り次の工程へ移る。


「引き寄せる……うん。これぐらいまで行けば後は…直接!」


エマは自身に身体強化魔術を掛ける。もうこれ以上魔力は必要ない為吸収の魔術はやめ、鎖の維持と身体強化に集中する。


「よいしょっ……と!!」


思い切り引っ張った反動で尻もちを着いたが…なんとか自身の師を陸へと引き上げることが出来た。

一安心…


「……寒い…」


「気が利かなくてすみません!」


エマは急いで自分のローブを貸した。



 * * *



…本当に、最悪の気分だった。色んな死に方をしてきたが…溺死というのは、本当にキツかった。


1回死んだと思ったら生き返った先も湖の中でまた死ぬ。頭がおかしくなりそうだったし生きた心地がしなかった。


「うぇ…まだ水が溜まってる…」


もう一生分の水を飲んだ気がする。見た感じは綺麗な水なのが救いである。まぁ、私ならお腹を壊すことは無いだろうが。


「師匠、大丈夫ですか…?」


「うん…なんとか…まだ頭はクラクラするしお腹は重いし全身びしょ濡れで寒いけどなんとか、ね」


「全然大丈夫じゃないですよ!早く火に当たれる場所を探しましょう!」


「うん…ズズ…ヘクチュ!」


あれぇ…なんかやけに冷えるなぁ…


「もう!『火よ、来たれ…火の精霊 サラ』」


「うぉぉ…生き返るぅ…」


エマが生み出した火によりようやく身体が温まってきた。…なんかこれ、もしかしてだけど…


「ねぇエマ。もしかしてだけど私の魔力使った?」


「はい。そうですね。引き上げる際私の魔力だと足りなさそうだったので…」


「ふむぅ…」


私の魔力量は生きてきた年数だけあってかなりの量である。だが今の私は…明らかに、魔力が減っている。だからやけに寒く感じるのだろう。


「エマなら魔力効率の術式使えるはずだから…うん、やっぱり…」


私の予想はあっていそうだ。


「エマ!ちょっと確かめたいことがあるの。いいかな?」


「はい、何でしょうか。」


「えっとね────」



 * * *



私達はあるべきことを確かめるべく昨日のケーキ屋に来た。情報収集を頼んでいたモチとルカも合流である。


「お菓子を作るところを見たい?」


「はい、もしかしたら原因が分かるかもしれません」


「うーん…また不味いのが出来ても悪いからねぇ…」


ケーキ屋の主人は渋っていた。職人として美味しくないものを出すことが許せないのだろう。


「では…私たちに作り方を教えて頂けませんか?材料費とかは私が持つので!」


「えっ、師匠?」


「ほう…そりゃ悪くない。折角だし今日は料理教室でもやろうか」


「ありがとうございます! 」


我ながら名案だ。これならば…美味しいものを食べれるかもしれないしそのレシピも手に入れられる。一石二鳥だ。


「あのぅ…魔女様…やめておいた方が…」


「え、なんで?」


珍しく、ルカが引き止めてきたが…なんでだろ?

えっ…なんでモチも、エマまで…そんな目で見るの?


「…ほんとに、何?」



この時珍しく個性的なメンバーの気持ちが一致したとは、フィーナは知る由もない。



 * * *



「じゃあまずは卵を割ってみようか」


「はいっ!」


最初の方、返事は良かったしやる気もあった。でもなんで…教えられただけで普段家事しない人が出来ると思っちゃったんだろ。


「あびゃっ!」


1個目、力加減をミスって無駄にした。


「そっと、そっと…よし!あれ?」


力加減は良かったものの割り方をみすって殻がめちゃくちゃ入った。

なんとか2個ボウルに入れた後、今度は混ぜる工程…なのだが…


「うりゃりゃりゃ!」


「魔女様!ダメです!」


「うぇ!?」


いつの間にか…卵蒸発してた。なんで?

ルカが珍しく怒りたそうな、申し訳なさそうな顔をした。


「師匠、あの、無理はなさらないように…」


「魔女様、食材は命なんです!少しでも無駄にしないよう!それが無理なら料理はダメ、なのです!」


……私は何を間違えたんだろうか。2つ目の工程にして戦力外通告されちゃった。


「魔女様は料理をすると何故か魔術を編んでしまっているのです」


「そうなんですよね…だから家事出来ないって、師匠が言ってるのに…」


…そういえばそうだった!知識はあっても何故か料理だけは出来ないんだった…!

忘れてたなぁ…だからあんなに見られてたのか…


「ごめんなさぁい…」


私は大人しく2人が教えられているのをモチをモチモチしながら待つことにした。

ルカの言葉…重いなぁ…珍しく怒ってたなぁ…



『流石に同情するぜ、ご主人様』


「うぅ…私の味方はモチだけだよぉ…」


『あの二人、怒らせると怖いからな。大人しくしてろ』


「はぁーい…」



 * * *



「魔女様!出来たであります!」


「……」


「お師匠様。モチさんがえらいことになってます」


「…はっ、良い匂い…」


その甘い香りが香ってきてようやく私のぼんやりしていた意識は戻ってきた。あれ?手元のモチ…なんかまん丸にまとまってない?これ、大丈夫なやつ?


「ま、いっか……言った通り()()んだよね?」


「はい。こちらが昨日のものと同じ、こちらが魔女様の指示通りに作ったものです!」


テーブルに2種類のケーキが置かれる。どちらも昨日食べたチョコケーキに見た目はソックリである。


「さて…じゃ、モチ。こっちどうぞ」


当然のように私は昨日と同じものをモチに渡し、私は作り方を少し変えた方を手に取る。


「いただきまーす」


フォークで1口分切り分け、口に含む…うん、甘い…ちゃんと甘い!苦味も無い。


「うまぁ…ぃ…」


なるほどこれは…確かに、美味しい。これなら村の名物と言えるだろう。

それにしても美味しいなぁ…幾らでも食べれちゃう。


「師匠、どうですか?」


「…はっ、そうだった。調査のためだった」


危うく普通に食べ切るところだった。

急いで説明しなければ。


「エマ、私の仮説は正しかったみたい。あーん」


「えっ…むぐ!?」


エマにも食べさせる。最初は不安そうな顔だったが徐々にその顔に幸福感が現れてくる。


「美味しい…私の、知ってる味です」


「だよね!良かった」


私の味覚がおかしくなったっていう線も無くなった。村の人達にもさっさと説明しよう。


「これからはまた、甘いものをいっぱい食べて欲しいからね。」



〜設定紹介〜

人魚姫喰らい…鏡のような鱗をもつ巨大な魚型の魔物。名前の由来は自身の鱗によって水面に反射した者の顔を見て食べるかどうかを決めるため。


つまりフィーナは美しい!そういうことです!

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