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41話 魔王の凱旋

_( _´ω`)_フゥ

────3年後


様々ないざこざを経てセレスティアは、魔王となった。


それはまあフィーナがアルクトゥルスの胸ぐらを掴む騒動に始まり、セレスティア誘拐事件(自力で帰還)、アルクトゥルス暗殺未遂(セレスティアが止めた)、魔王城爆発事件(セレスティアに怒られ修復済)等…


実行犯は全部フィーナだったわけだが、最終的にセレスティアの「兄様が悲しみますよ」の一言により事態は収束し、今となっては笑い話だ。



 * * *



セレスティアは王となったことで、色んな景色を見た。


兄が言っていたことも、多少なりとも理解が及んだ。


────力を得たい。


セレスティアはこの数年間でその意味を痛いほど理解した。理解せざるを得なかった。


初めに実感したのは…父に1度負けた時。


真剣に鍛錬してきた力で挑み、敗北を喫した。兄に負けた時とは違い、純粋な力負けだった。

打ち勝つために知恵を蓄えて、策を弄したら案外簡単に1本取ることが出来た。


〜〜〜


次に感じたのは、王座に就いた時。


今でも覚えている。セレスティアが王冠を授かった時の周囲の目や言葉。


「あれが…?」


「下賎な人の血が混ざっているのだろう?」


「…どうやら兄方も居たらしいがそちらは…」


詳しい話は聞けなかった。ただ兄がまだ何かを隠しているのが分かったことは収穫だった。


その時はただひたすらに期待に答えよう、前とはまた違った風に人々を導き認めてもらおうと思っていた。


〜〜〜


最後…1番新しく、記憶に残っているそれ。


王座に就き、父の政策を引き継いで魔族領を順調に平定していく中でのこと。


圧倒的な力、ただ一つでセレスティアは統治を成立させていた。言葉で納得するような連中ばかりじゃないのだ。歯向かうものはねじ伏せ、その力を見せつけてきた。


反発もあったが少なかった。寧ろ魔族は実力主義であるため喜んで着いてくるものの方が多かった。



…そんな中で、セレスティアはとある噂を耳にした。



────レオンハルトは殺されたのだと



絶句した。ありえないと拒否した。絶対に違うと、たくさん調べた。人族の領地にだって忍び込んで、徹底的に……


調べた末で…理解した。兄が力を求めた訳を。


兄は反発勢力によって暗殺されたのだと知った。

そうなる可能性を見越してセレスティア達には何も伝えず自分一人で人族の方へと来たと、唯一信頼出来たとされる臣下から聞いた。


セレスティアは…ここまで来て、どうしても分からなかったことがあった。それは…


危険を犯してまでやりたかったことはなんなのか。


「守りたい」と言っていたのは間違いではないだろう。だが…あの兄がただそれだけで動くわけが無い。

だからその臣下に聞いてみれば、答えはすんなり返ってきた。


「叶えたい夢があったそうです」


「…夢?」


「はい。…恩師に何か一つでも多く遺したいと、彼はよく口にしていました」


それが何を指すのか…セレスティアはすぐに理解した。あの本のことだろう。


…だから、お前もやりたいようにやれと。


自分はここまでする余裕はあるから守ってやる、だから好きに生きて欲しい。そう願ったのだ。


なんて馬鹿な兄なんだと思った。そして同時に────これ以上ない誇らしく思った。


セレスティアはそこから吹っ切れたように…魔族領を物凄い勢いで平定し史上初の完全な統治を成立させた。



 * * *


 * * *


 * * *



…カラカラコロコロ…



「…以上です。私は知らなかったのですよ。力以外で何かを…未来を掴む方法を」


「そう、ですか…」


エマは膨大な量の情報を整理しながら、返事を口にした。あまりにも壮絶で…納得のいく話であった。


「疑問の解消になりましたか?」


「えぇ、それはもう。ありがとうございます」


「こちらも暇つぶしにはなりましたから」


外を見れば魔王城が見えるぐらいの所まで辿り着いていた。エマは遠視の魔術で様子を伺う。


「…何やら人だかりが?」


「新たなる魔王が、本当の意味で成ったのです。皆称えるために集まって、帰還を待っているんです」


抜かりない、とエマは口には出さずに思った。

ここまでの規模なら恐らくはセレスティアがショウシアへと来る前から準備していたはずだ。つまり、セレスティアはどうにかなると確信していたということで…


「そういえば私達がここを訪れることも…」


「それは…乙女の秘密というものです」


「なるほど、魔術ですか」


全てを言わずとも2人とも察する能力が高い。きっとこの場にフィーナが居れば戦々恐々としていたことだろう。


「…そろそろ起こしましょうか。英雄不在の凱旋は盛り上がりませんからね」


「はい…そうですね」


エマがアルセリアの身体を揺さぶる。しかしながらアルセリアは中々起きない。当然だろう。エマでさえかなりの疲労を感じている。


「ぅゅ…」


「仕方ありませんね…セレスティア様は見てないで師匠を起こしては?」


「そうしましょうか…お手柔らかにどうぞ」


エマは今の言葉で確信する。今までは敢えて厳しく、強くアルセリアに接していたのだと。


「もう厳しくはしなくていいんですか?」


「1人前に役割を果たしたのですから、不要です。まぁ…グレるようならば再教育しますがね」


「…だそうですよ、アルセリアさん」


その声は当人には聞こえておらず、なおもすやすやと眠っている。

その顔を…安らいでいる顔を見て、エマにほんの悪戯心が芽生えた。

起こすついでに…耳元へと口を寄せる。


「…起きないと────」


「っ!?!?」


「…凄い勢いですね」


アルセリアは本当に、一瞬びっっくり、と体が震え上がってから飛び跳ねるようにして起き上がった。


「エマ!?今のは!?あれ?何…何があって…!?あれ…?」


「おはようございます、アルセリアさん」


「えっと……おはよう?」


「寝癖が付いてますよ、アルセリア」


「ぅえ!?母上!?」


アルセリアはまだ寝惚けているようだがなんとか目は覚めたらしい。

慌ただしく表情がコロコロと変わっていくのはやはり見ていて面白い。


「…何言ったんです?」


「別になんでもないですよ、ただこれ…師匠にも効くんですよね」


「へぇ…」


セレスティアは面白いことを聞いたと言わんばかりの顔をしてから…フィーナの耳元へと口を寄せる。それしてエマと同じように…


「んゃぁぁぁぁぁぁ!!!???」


悲鳴が、馬車の中で響き渡った。



 * * *



「我らが王の帰還である!どうか、歓声と拍手を!」


フロウの淡々としつつもハッキリした声でそう述べられた、数秒後────



街道都市ネグロードの城門でざわめきと拍手の音が鳴り響く。


「魔王様!!ありがとう!!」


色んな声があって…どれも、アルセリアを称えるものだった。

アルセリアはニヤつきそうになる口角をキュッと引き締めてから…馬車の御者台へと出る。


そして、一息ついてから口を開いた。


「民よ!声をありがとう!」


一瞬の静寂。次の言葉を待つように。


「…そして、すまなかった!今回、我は我1人の無力さを思い知った!」


困惑。しかし続ける。


「我は一人で王たる器ではない!だから…皆と共にある王でありたい!」


強く、強く…想いを込めて言った。


アルセリアはこの遠征で学び、成長した。


もう皆から心配される未熟な魔王ではない。

だがその力を誇示し続けられる魔王でもない。


アルセリアは、自分の無力さを知ったからこそ、誰かと共に立つ王になると決めたのだ。


「少し長く話してしまったが…聞いてくれてありがとう!」


アルセリアはゆっくりと荷台の方へと戻っていく。

言い切った、言い切れたと…自分を少し、褒めようとした…その時。


少し遅れた歓声が再び湧き上がった。


「大成功ですね」


「やるじゃん」


「すごいです!」


『まぁまぁだな』


度を共にした仲間たちからの賞賛。周りの民には少し失礼かもしれないが…それが何よりも嬉しかった。感極まったアルセリアは最も世話になったエマへと抱き着いており…


「よく、出来ましたね」


その光景を、ただ1人の母親は優しい目で見守っていた。




エマがやったのは「起きないとフゥーってしますよ」って感じのこと。ただ息遣い上手すぎるのとフィーナは耳が弱いだけです。


ようやくセレスティアの過去編締めれた…恐らくは次回で魔族領編自体の終わりです!またしばらくプロット組むため休みが増えると思いますがご了承を!

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