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25話 竜討伐

最近投稿時間遅くて申し訳ない!

アルセリアは住宅の屋根上から、上空を飛来してこちらへ向かってくる巨大な存在を見つめていた。


「……緑竜か。」

遠目でしか見えなかったその存在は間違いなく意志を持ってこちらへと飛んできている。まるで、この先にある何かを求めるように。


竜────というより、魔物は魔力を求め行動する。それはその生命の根源そのものであり人を襲う理由でもあるからだ。


「我は魔王……民を脅威から守るのもまた、使命の一つ。」


正直言ってしまえば…怖かった。前の魔女に挑んだ時だって見栄を張って大きな声で誤魔化してただけである。だから本物と会った時気絶した訳だが。


「聞け!皆の者!今を持ってこの我────魔王ネクシアがショウシアの街へ襲い来る竜を撃滅してみせよう!」


それでも、口は勝手に動いていた。いつもそうだ。いつも…出来るかも分からないのに、見栄だけは張ろうとする。

期待に応えることも出来ないのに。


「魔王様…?」


「あのちっこいのが…?」


「無理だ!嬢ちゃん!大人しくノクス様の到着を…」


あぁ…いつもこうだ。下の者は母上の方が凄いと心配して…母上は私に自分よりも優れたものを見出してか、期待する。

その心配を越えようと、期待に応えようと…いつも、頑張っているのに────


『ガルゥゥゥゥァ!!!』


考え事をしていたら既に姿がはっきりと見える距離まで近づかれているではないか。

今は考えていることは放り投げ…目の前に集中する。


「しゃぁぁ!!!」


竜は初手、尻尾による薙ぎ払いを狙ってきた。それに対しアルセリアは魔力操作によって起こした重力をぶつけ竜の尾は弾かれる。

アルセリアは住宅街に被害を出さないようにするべく自身も空へ飛び追撃を狙う。


「これでもっ…食らっとけぇ!!」


『グルゥゥゥ!!』


弾かれ、体制の崩れた竜の腹へ掌底をぶつけ、同時に魔力の塊が放たれる。竜は一瞬怯むもすぐさま体制を立て直し、大きく息を吸い込んだ。


「なっ…息吹(ブレス)か!」


まずい、このままでは街に被害が出てしまう。それだけは…それだけは、避けなければ。

息吹に対しては…どうすればよいのか。それを経験の浅いアルセリアは知らない。ただそれでも何とかしなければという強い目的意識だけが竜へと挑ませる。


「『重力精霊魔術(グラビティ・コネクト)』」


竜に対して()()をアルセリアは発動した。魔術と単純な魔力操作による現象は大きな違いがある。それは…精霊による元素の介入。

緑竜の肉体は重力によりアルセリアに支配される。いつでも…殺せるように。


『ァァァァァ!!!』


竜は構わず息吹を放つ。それは風による不可視の衝撃波だ。瞬きする間に…アルセリアの眼前まで魔力の塊が押し寄せてくる。


「まだ、終わっとらん…!最後まで大人しくせえ!!」


精霊により生み出された岩の塊が、緑竜の息吹を遮るように押し寄せる。

ただ、アルセリアの魔術の精度がそこまで高く無いせいか、まだ幾らか息吹が通り抜けてくる。

このままでは街に被害が出るのも時間の問題────


「加勢します。そのまま維持を。」


隣で聞き覚えのある声がした…と同時に、それは起きる。

無数の光の鎖が展開、同時に風の刃が竜の頭部目掛け飛来する。


『ギャァァァァァ!!!!』


その刃が命中し…竜は悲鳴を上げる。それでも…魔術は止まない。確実に息の根を止めるまでは。


「トドメはどうぞ。」


「…っ…礼は後じゃ!」


その所業をやってのけたただ一人の少女——エマの言葉で、唖然としていたアルセリアも動き出した。

既に鎖によって身動きを封じている以上重力魔術による支配は必要ないため解除し…アルセリアは、手のひらに魔力を溜めた。


「なんとなく分かったぞ…そこじゃな?」


エマの風が飛来していた位置は見ていた。頭部…の、少し下。近づいてみれば逆さに生えている鱗があった。

きっとこれが弱点なのだろう。


「トドメ、じゃ!!」


強力な力により拘束された竜の逆鱗へとアルセリアが手のひらを重ねた。

そして…瞬間、魔力の塊が豪速で逆鱗に激突し、回転する。ゴリゴリと、逆鱗を抉っていく…


『ァァァァァァ!?』


竜は最後の力を振り絞り暴れるが、更に鎖が巻き付き…無慈悲なまでに抵抗を許さなかった。

それは、力の差を分からせる所業で…竜の抵抗は次第に弱まっていった。


「…終わりですね。」


最後、アルセリアの魔力の塊がトドメを刺し…竜の身体は拘束されたまま、ぐったりとしている。

エマは最後まで油断なく…竜の身体を安全な場所まで運び、拘束を解く前に一撃加えてから拘束を解いた。


その手慣れた様子は…まるで、狩人のようで…アルセリアへと力の差を見せつけるには十分だった。



 * * *



上空にてアルセリアがトドメを刺したのを確認して…私は念の為貼っていた防御結界を解いた。


「やっぱり私要らないじゃん…」


アルセリアの実力を誤認していた…とも言えよう。測ろうにも判断材料があれだったし…


「それにしてもエマ…ちょっとウキウキしてない?あの魔術竜に使えるとは思ってたけどやっぱり…」


エマが加勢してからは一方的だったとしか言えない。あまりにも無慈悲過ぎてちょっと見てられなかった。

ルカに留守番させててよかったよ…刺激が強すぎる。


「……んお……フィーナもおったのか。」


降りてきたアルセリアと眼が合った。…倒した割には浮かない顔してるな?


「浮かない顔してるね。」


「お主でも分かるかえ…」


何か悩んでるみたいだねぇ…まだこれ試練前なのにそんなで大丈夫かな。

まぁ何にせよ今のところは私は監督役でしか無いため口出しもしないし手出しなどもっての外。


「何を悩んでるのか知らないけど…ほら、見てごらん?」


屋根の下の、魔族たちが避難している広場を指さす。アルセリアの視線もそちらへと向き…


同時に歓声が湧いた。


「魔王様!!ありがとう!!」


「さっきは悪かったー!!」


「かっこよかったぞ!!」


キャーやらわーやら五月蝿いが、どれもこれもアルセリアを称えるものだ。


「……我1人じゃ無理だった……」


ただ思いの外、アルセリアは嬉しそうではない。飛んで喜んで……なんなら威張り散らすと思ってたからちょっと意外だ。


「アルセリア、この後すぐ……行った方がいいよ。何か言いたいことがあるなら早めにね。」


「ぬ…分かった。」


アルセリアは1度深呼吸してから、民衆の方へ堂々とした佇まいで発言する。


「今……竜は討たれた!皆、安心してほしい!……これから先、この国に、我────魔王ネクシアがいる限り!この地を守り続けよう!」


「ォォォォォォ!!!」


アルセリアの宣言に民の興奮は最高潮だ。


「よく出来るね?私、今みたいなのちょっと苦手なんだけど。」


「……こんなんデケェ声出しどりゃ誤魔化せるもんじゃ。それより、さっさと行くぞ。」


そう、適当に言うアルセリア。その顔は…ちっとも嬉しくなさそうで、寧ろ…無理をして辛そうに見えた。


 * * *



竜を解体し終えたエマと留守番させていたルカを回収して、私達は……その地へと足を踏み入れた。

封印領域ショウシア。ショウシアの街のすぐ側にある、樹海だ。


「今、昼前ですよね?なんでこんなに暗いんですか?」


「ここは魔力濃度が更に濃いからね。エマも気を付けて。」


2人には既に私が色々加えてるから大丈夫だろうが。


「……」


「あれ、大丈夫なんですか?」


「どうあろうと見守るしか無いからね〜」


アルセリアは黙って私達の数歩先を歩いていた。多分試練に向けて集中でもしてるんだろう。


「なんかモヤモヤしてるです?」


「ん?」


ルカが目先の…それを指差した。それは、紫色のいかにも禍々しい感じの塊。


「あー……もうここまで来てるのか。ルカ、エマ、あれには触れちゃダメだよ。」


「どうしてですか?」


「あれはね、魔力の塊なの。それも…良くないものが混ざってる。」


その良くないものこそが、試練に関するものなのだ。

だから私は近付かないようにしか言えないし、それ以上はやらない。


「……」


「少し先を急ぎ過ぎなのでは?」


「そうかもね……ルカ、大丈夫?」


「僕は大丈夫です!」


足場が悪いし…ルカは大丈夫とは言うものの先程から少々足取りが覚束無い。

エマはこういう所を歩き慣れているからか体力面での不安は無いが先程竜に使った魔術を考えると魔力的な問題がある。


「少し休憩しようか。アルセリア。」


そして当の本人である、アルセリア……黙って堂々と歩いているし問題は無いだろうが…1度、息を入れるべきだ。少し無理をしている気がするのだ。


「なんじゃ……口出しは無用じゃと言ったろう。」


「今無理をすれば先に影響が出るよ。」


「……まだ余力はある。お主らが行かぬのなら先に行くぞ。」


意地でも早く止めなきゃって…そう焦ってるんだ。分かりやすい子だ。

先の竜討伐はエマの介入が無ければ街を守ることは出来なかったと理解しているんだ。


「…あ、そう。じゃあお好きに。私達は休むよ。」


「師匠…?」


最悪は起こさないでほしい。それが…セレスの願いなんだろう。

それだけなら別に離れてたってやりようはある。


「そうかい…ようやく静かになりそうじゃ。」


「邪魔になってたか。こりゃ悪いね。」


アルセリアはそれだけ言い残すと先へと進んでいく。その時ちらっと見えた横顔はどこか寂しそうに見えた。


「よかったのですか?」


「どう思う?エマの見解は。」


「私は試練の内容が分からないので…明確なことを言えませんが、少なくとも協調性の無さは上に立つ者としてどうなのかなと。」


「その通り。あの子は…母親や、物語の英雄に強い憧れを持ってしまっているから。だから…魔王というのを間違えて考えているんだろうね。」


確実なことは言えないが、そういった面があるのは確かだ。

何にせよ…今のあの子には何を言っても無駄だろう。竜討伐のこともあってか一人で何とかしようと気を張り詰め過ぎている。


「ルカ、お茶を用意して。エマは防御結界。」


「はいっ!」


「…了解しました。」


私はアルセリアを念のため遠視の魔術で覗いておく…と。

あ、木の幹に躓いて転んでる。…泣きそうじゃん…


〜世界観設定紹介〜

魔物・・・魔力によって進化をした果ての生物。人間に危害を加えようとするものばかりでは無いものの大抵は駆除対象。魔力を求めて人を襲うと研究で証明された。

竜・・・魔物の1種。蜥蜴に似た生き物が進化した結果だとされている。度々竜による被害報告が挙げられるが賢い生物なため理由なく人を襲うことは少ない。



アルセリアの戦闘シーンのセリフ難しかった…

魔術は一応使えるけど4分の3は魔族なので魔力操作による攻撃が大半ですからね、何言わせればいいのかかなり困りました。

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