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『不死王と色彩の魔女』

第1幕 不死王誕生


昔々、不死王と呼ばれたとある王が居ました。


かつてその王は死ぬことを恐れ、死なないための魔術を完成させたのです。


しかしその魔術は魔術足りえず、それでも諦めぬという王の意志によりやがては呪いへと昇華したのです。


呪いを得た王は恐れを知らぬ絶対の存在となったのです。



第2幕 不死王朝のはじまり


死を過去のものとした王はやがては隣の国、果てや他の種族の領域まで侵略していきました。


王は全ての種族、世界から忌み嫌われやがて不死王という称号でしか呼ばれぬ存在となります。ですがそれでも王は良かった。名前など必要なかったから、どうせ皆、自分よりも先に死ぬのだから。


不死王の支配は長きに渡りました。数十、数百年、はたまた最も長かったのかもしれません。覚えている人などもうどこにも、居ないのですから。


第3幕 少女の旅


大陸は不死王に恐れ、衰退して行きます。やがて滅びゆくのだろうと誰もが確信していました。


ですが不死王による統治が始まって500年は経った頃でしょうか。希望が、産まれました。


その希望はたかが1人の人間に託されたものでした。

その人間は不死王を穿つべく、1人戦いを始めたのです。


少女は人間の国の帝に言いました。

必ず不死王を討つと。その信念に心を打たれた帝は協力を決意した。


少女は魔族の王に言いました。

自分と力比べをして負けたのなら協力して欲しいと。少女に負けた王は自らの命を掛けると宣言した。


少女は獣人族の長に言いました。

あんまりにも弱腰だからびっくりしたと。その挑発に怒り狂った長は一族を率いて果たすべき恨みを果たすため進軍を開始した。


少女は精霊達の王に誓いました。

必ずや不死王を討ち世界に平和をもたらすと。そのために貴方達の力を改めて貸してほしいと。

精霊達に迷いはありません。かの絶対的な王は本来いるべきでは無い存在ですから。二つ返事で少女の願いを聞き入れました。


第4幕 決戦


少女が旅を始めやがて魔女と呼ばれるようになった頃。


不死王は大陸に飽き足らず、天を求めました。

天空に住む者たちさえも、不死王の手により次々に支配されて行きました。結局のところ、翼が生えているだけで不死王からすればいつかは死ぬ存在なのです。


立ち向かうもの、逃げ惑うもの、神に祈るもの、それら全てを無意味だと不死王は嘲笑いました。


しかし…神に祈りが届かなかった訳ではありません。

少女が、魔女が不死王を討つべく精霊達を従え天へと昇ってきたのです。


互いに言葉はなく、しかし互いに討つべきと理解します。長い長い、最後の戦いが始まったのです。


不死王はその名に恥じぬ、永遠と言える魔力と命を魔女へとぶつけました。次第に魔女は押されていきます。ですが、1度たりとも諦めようなどと考えませんでした。魔女は、諦めが悪いと街でも評判だったのです。



魔女は命懸けで、最後の魔術を使いました。それは誰も見たことの無い、精霊王全ての力を扱った綺麗な虹色の魔術です。


虹の光はやがて不死王を包み、永遠の時に封じ込めたのです。


かくして不死王朝は終わりを告げます。1人の魔女の命と共に。


第5幕 魔女への祝福


魔女と共に戦った者達、帰りを待っていた民達。

彼らが何を思い、何を嘆いたのか────

それを正確に知る術は、もう残っていない。

ただ一つ確かなのは、不死王が消え、大陸に平穏が戻ったという事実だけだ。


人々は語り合い、書き残し、

やがて一人の魔女の物語を形にした。その魔術があまりにも鮮烈であったが故に、彼女はいつしか、こう呼ばれるようになったという。


────『色彩の魔女』

それが彼女の本当の名だったのか、本人がそれを望んだのかは、誰にも分からない。

だが少なくとも、この平和が偶然でなかったことだけは、忘れてはならないと────


そう、記す者は信じたのだ。


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作者・アウグストゥス・レオンハルト・フォン・ローゼンシュタイン

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