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19話 新たな地に向けて

今回少し、いや大分短めです!

私は学院長室を訪れていた。ユーリに、ケジメを付けさせるために。


「学院長、うちのバカ弟子が申し訳ありませんでした。」


ユーリの頭を押さえつけ強制的に頭を下げさせる。


「いえ、何もフィーナ様が謝る必要は…」


「そうですね、ユーリ。分かってるよね?」


「っ…」


「素直に謝れる人はカッコイイカモー」


「すみませんでしたぁぁ!!!」


…こいつ面倒くさいと思ってたけど上手く使えばチョロくて助かるな。


「ま、そういうことなので、詳しい話はユーリから聞いてください。」


「もう…行かれるのですか?」


「生憎、ここへ来たのも別の目的があったからです。それにユーリが手を加えて私が教師になってたみたいですし、流石に悪いですよ。」


「そうですか…」


少し残念そうな顔をするレーニア。でも仕方あるまい。もうここに居る理由も無いし未だ死ぬかも分からない。それに教師の良さは分かったけどずっと教師でいたいかと言われれば…嫌かな。


「また無事に生きて帰れた際にはここを訪れましょう。それで如何ですか?」


「っ…お気遣い、ありがとうございます。あの、次はどちらへ行かれるのですか?」


「帝国領を目指そうかと。」


それを聞いたレーニアは何かの書面を手渡してきた。

レーニアの、名前が記された。


「でしたらあちらの魔術学院に手紙を出しておきます。魔術学院の設備を自由に使えるようにと。使用の先にはそちらを見せてください。」


「え…いや流石にそこまでは…」


「妹を、助けてくれたのでしょう?私にとってそれは最も大事なことなんです。だから、お礼をさせて下さい。」


お礼、お礼か…それだと断るのは…忍びない。

ここで私の出来ることはただ1つ。


「ありがとう、レーニア。」


「こちらこそです、フィーナ様。どうかご無事で。」


名残惜しい気持ちを胸に、私は学院長室を去る。


「あの…!」


「わっ、ミレリア?」


部屋を出てすぐ、壁際にひっそりとミレリアが立っていた。どうやら私を待っていたらしい。私も心配だったし、丁度良かった。会いに行こうと思っていた。


「この前は大丈夫だった?」


「はい。エマさんが守ってくれたので…あの、フィーナ先生。」


「何?あ、あともう先生じゃないよ。」


ジィっと、私の顔を見つめるミレリア。レーニアに続いてなんなんだ。私の顔、何か付いてる?


「…貴方は、もしかして……いえ、やっぱりなんでもありません。」


「え?ちょっ、気になる…」


その言い方ずるい!エマがよくやるやつ!


「今言う必要は無いかなと。それよりもまた、旅に出るのですよね?良かったらこれ、食べてください。」


小袋が手渡される。なにやら甘い香りが漂ってくる。これは…


「それぐらいしか私が渡せるものはありません。」


「いや、嬉しいよ。とても…気持ちが籠ってて。」


「そう、ですか…」


ミレリアはどこか寂しそうな、そんな顔をしていた。

全く…そういう顔するから別れが寂しくなるんだよ。


「ミレリア、レーニアを大事にね。」


「当然です。」


「そう…じゃあもう行くよ。また、どこかで!」


ニコッと笑い手を振ると、ミレリアも笑顔を浮かべた。


「はい!先生!」



接した時間は短いにも程がある。それでも彼女の気持ちや、考えは伝わったし、共感した。だから願うのだ、2人の幸せを。


「ユーリにもう少し説教するべきだったかな。」


あの2人の関係を壊そうとしていたなんて…ちょっと怒りが再燃しそう。落ち着け落ち着け…



 * * *



私達は王都を出て飛行魔術での移動を開始した。次なる目的地を目指して。

遠目に小さくなっていく王都を見ているとやっぱり少し寂しい気分になるなぁ。

しばらく、風を切る音だけが私達の間を流れていた。


「ねぇ、ところでなんで帝国なの?」


気持ちを切り替えるべく、私は口を開いた。


「次の行先の話ですか?聞いてなかったんですか?師匠。」


「うえっ!?言ってたっけ?」


「冗談です。まだ言ってないですよ。」


クスリと笑うエマ。…昨日からもうすっかりいつもの調子に戻っちゃった。あれはあれで良かったけどこっちの方がやっぱり落ち着く。


「なんだ…えと、じゃあ、教えてよ。」


「そうですね…正直、理由なんて曖昧なものです。特に考えたわけじゃありませんし、ただ、あの本での魔女様達の道筋を辿ってみようかと思いまして。」


「帝国からだったっけ…」


「そうですよ?内容覚えていないんですか?」


「自分が出てくる話とかちょっとむず痒いじゃん!」


多分この本の作者であろうあいつにこの話をする時も正直気恥ずかしかった。私は別に、世界を救おうだとかそういう事のために不死王の封印へ行った訳じゃない。自分の目的あっての行動だったのだ。

それをおだてられるとちょっと…


「それで、帝国に行ってどうするの?」


「この本通りならば、皇帝様に会っていますね。というかこの大陸全ての種族の『王族』らしきものに出会い協力を求めています。」


「そんなことあったかな…あったような、無かったような…」


もしかしたらその辺は作り話って可能性もある、あんまり覚えていないし気にしてもしょうがないか。


「せっかくですし今読みましょうか。」


「はいっ!僕も聞きたいであります!」


「じゃあ、聞かせてもらおうかな。」


この際だ、今のうちに内容を把握しておくべきだろう。そうでないとこれからの道筋すらも分からないままエマに負担をかけてしまう。


「では、失礼して…」


本を開き…エマが、その英雄譚を柔らかい声音で語り出した。



 * * *


それは、不死王と一人の魔女の物語。淡々としていて、感情を抑えた文章だった。英雄譚というより、記録に近い。

────不死王誕生。

────不死王朝のはじまり。

────少女の旅。

────決戦。


幕が進むにつれて、胸の奥が少しずつむず痒くなる。

自分の話を、他人の言葉で聞くというのは、何度経験しても慣れない。


やがて、最後の章に差し掛かる。


────「色彩の魔女」。


その名を見て、私は小さく息を吐いた。


「……相変わらず、律儀だね」


誰に向けた言葉でもない。褒めすぎず、貶しもしない。ただ、事実を事実として残そうとした文章。

きっとこれは、書いた本人なりの距離感で、私を過去に送るための本なのだ。


「師匠?」


「んー……悪くはないかな。」


勝手ながら感想を述べさせてもらうとしたらそれだけだ。よく話として出来ている、そう思った。

エマはそれ以上何も聞かず、本を閉じた。


「帝国って今どんな感じなの?」


「それがですね……」


「僕、調べてきたであります!」


『なんかうまいもんはあるのか?』


3人と、1匹の使い魔が空を進み行く。次なる地への期待を胸に。

とりあえずここまで、序章から1章と想定していたところまで書けました。正直もっと学院らしさを出したかったとも言いたいんですけど、目的を達成した以上はもう残る理由も無く経つことに。ここからある程度の流れは組めているのできっと面白く出来ると思います!


次章なんですが恐らくキャラ設定と本文でエマが語った「不死王と色彩の魔女」の原本を投げたらになるかと思われます!後原本考えるのに時間が掛かったせいで書き溜めが消えました!投稿遅れるかもです!

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