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13話 モフモフは全てを救う

挨拶(?)を終えた後私とレーニアはひとまずユーリを待つことになった。ミレリアは授業があるらしくいそいそと帰っていったわけだが…初対面の、しかも一か月限定とはいえ上司と二人きりの空間。正直…


「めっちゃ気まずい…」


聞こえないように呟く。というかレーニアの方を見る限り多分あっちも同じこと考えてそうだな。

さっさと来いよユーリぃ!


「あの…ユーリさんの、お師匠さん…なんですよね?」


気まずい空気の中、レーニアが口を開いた。


「まぁ一応そうなります、ね。はい…」


「では貴方がユーリさんの敬愛している魔女様…ということですか?」


「えっ?」


それはそうなのだろうが…改めて敬愛されてると他の人の口から聞くのは少し…ちょっとあれだ。なんとも言葉に言い表しにくいのだが…


「敬愛…されてるのかはわかりませんが。はい。魔女として…活動しています。」


「そうですか。では、魔女…ということはフィーナさんは何かの功績を?」


まじまじと、私の目を見て尋ねてくる。

この質問の意図としてはこうだ。魔女というのは国における重要な役割を果たしていたり、偉大な功績を残した女性の魔術師のことだ。だから何をしている人なのか…ということだろう。

ま、私って最近は特段何もしてないわけだしね。


「えぇ…昔も昔に…少々喧嘩を諫めたのですよ。」


眼を瞑り、差し出されていた紅茶を啜りながら答える。少し誤魔化したが偉大な英雄ともてはやされるよりも適当に流してほしいのだ。

だって…あの時のことなんて話しても覚えているのはきっと私だけだから。


「……そうですか。」


それだけ言うと沈黙が訪れる。あれ?今度はこっちが会話を繋げなきゃいけない感じ?

じゃあ…そうだなぁ…


「レーニアさん…随分とお若く見えますがおいくつなんですか?」


「……」


……あ、やっべ女性に対して年齢はちょっとデリカシー無かったかも…

慣れない敬語で頑張っているせいで頭が回りにくい!もう!


「ご、ごめんなさい!」


「ふふ…別に聞かれて困ることじゃありませんからお構いなく。」


ほっ……全く…私の口はすぐ滑るんだから気を引き締めなきゃ。


「今年で28になります。学院長になったのは今年からですね。」


「えっ若…」


「はい?」


不思議そうな顔で見られてる。思ったことが口に出ちゃったんだよぅ!

魔族の血が混ざってるのは分かってたからもうちょい…失礼だけど行ってると思ってたの!


「…それを言ったらフィーナさんの方がお若く見えますけど…」


「あはは…私の年齢は…その、秘密なので。」


流石に1000歳ですと言って信じる者はいないとは思うけども。

私の言葉にどこか納得したように相槌を打つレーニア。魔術師の年齢というのは見た目からじゃ分からないため聞かれることを好かない人は一定数いるのだ。


再び話題が無くなり沈黙の中お茶を啜っていると…私の帽子の中からもぞもぞと何かが動く感じがした。

お、やっと起きたな…


『おい、ご主人様よ…ここはどこだぁ?』


無駄なダンディボイスで私に尋ねてくるのは使い魔のモチ。いつも通りマイペース過ぎるが…話題としては丁度いいか!


「おはよう、モチ。ここは昨日言った王立魔術学院だよ。」


『あー…なんか言ってたな。飯は?』


心底どうでもよさそうに返事をして飯の催促。相変わらずこいつは…


「その子…喋れるのですか?」


「あ!いや…えっと、魔術で…」


やば!傍から見たら一人で会話してた人じゃん!


「いえ、それは分かったのですが…その、そこまで出来る使い魔を従える人は早々いないので…」


「あ、なーんだ。えへへ、そうなの。この子頭が良くてね?」


良かった誤解はされてなさそう。

というかなんか…モチを見る目が…その、キラキラしているような…


「触ってみる?」


「…いいのですか?」


お、食いついた。やっぱり…


「いいよいいよ。モチはね、大人しいしモチモチふわふわなんだ。ほら。」


『は?おま、ちょっ』


抗議の声が聞こえた気がするが気のせいだよ。うん。

レーニアには内容までは分からないらしく目を輝かせてモチを見つめている。


「すっごくふわふわしてます…」


「でしょ?」


レーニアの手がモチを優しく撫でる。すると少しずつ、レーニアの表情が柔らかくなっていってる。


『ご主人様!おい、こいつを、なんとか、しろっ!』


『悪いねモチ。しばらく時間稼いでて。』


私はモチにしか理解できない言語で伝え無慈悲にもお茶を啜る。

このお茶…もしかしてめっちゃいい奴じゃない?後でどこで買ったのか教えてもらおうっと。



 * * *



「いやはや、お待たせしました。」


「遅い。」


「すみません、師匠。あ、学園長…貴方が師匠の相手を?」


私に謝ると続いてユーリ視線がレーニアの方へ向く。


「えぇと、こほん。まぁ、そうですね。」


名残惜しそうに魂が抜けた表情をしているモチをテーブルに置きながらレーニアが答える。

私の相手というかモチの相手だったね…っていうのは言うのは野暮かな。


「丁度良かった。貴方だけ見当たらなかったもので。もう紹介は済みましたか?」


「はい。」


その返事を聞くと当然のようにユーリは私の隣に座り、場を改める。


「私の紹介だったのに私が同席できずに申し訳ありません。改めましてこちらが私の師匠、フィーナ様です。」


おぉ…なんか珍しい呼び方されたからちょっと…ぞわぞわする。


「本日は魔女様…フィーナ様に職員たちへ挨拶をと思った次第です。その後は…自由に見回って頂いて構いません。」


ユーリの説明は今度は事前に聞いていた通りで安心する。こいつ、平気な顔で嘘つくから怖いんだよなぁ…


「そうですか。では職員に招集を掛けましょうか?」


「既に手配はしてあるのでご心配なく。後フィーナ様、例の部屋の入出許可も得たので自由時間にどうぞ。」


魔術で作られた鍵が手渡される。厳重な建物は鍵を魔術で管理しているものなのだ。

この類の鍵の魔術式は滅多に見れるものでは無いため私は思わずまじまじと解析してしまいそうになった。


「…くれぐれもお気をつけて。あの禁書庫にはあまりいい話を聞きませんから。」


「お気遣いありがとうございます。学園長。」


私が礼を言うと…ユーリが何やら不満げな顔をした。…え、なに?今のやりとりで何か…


「なぜ魔女様が敬語を使う必要があるのでしょうか?」


「なんでって、だって学園長でしょ?」


上に立つ者に対して敬語を使わなければいけないのは常識…じゃなかったっけ。


「たかが小娘に対して魔女様が敬語を使うこともありませんよ。ねぇ、学院長?」


「……まぁ、そうですね。ですが生徒の前ではお控えください。」


…なんか妙な雰囲気だったが何にせよ敬語は使う必要が無いらしい。本人が言うならいいか。


「分かった。じゃあレーニア、これから一か月、よろしくね?」


「はい、魔女様。ぜひ本学院をお楽しみください。」


軽く握手をした後、最初の打ち合わせは終わった。


ちなみにこの後の挨拶時に大勢の教師の前でユーリが私への愛を叫んでくるのだが…この時の私はまだ知らない。



 * * *



挨拶を終えた私は言われた通り晴れて自由の身だ。目的である禁書庫のある図書室を探して歩き回っていた。


「…ひっろぉー…」


分かってはいたがやはり広い。私は校内地図を貰ったものの普通に迷子になっていた。


「…どうしようか。」


『ご主人様よ。腹減ったんだが?』


頭の上でモチが文句を言う。流石に放心状態から戻ったらしい。


「迷子なの。じゃあモチが食堂探してよ。」


『たくっ……しゃーねぇなぁ…あっちの方からいい匂いがする。』


モチの指示に従い廊下を歩き、どこかの階段で下って……そのまま一周回ってまた階段上がって…


「ねぇ、モチ。モチも迷ってない?」


『気のせいだ。』


……此奴、人の事言えんぞ。


「はぁー…困ったなぁ…」


「お困りですか?」


「うん…めっちゃ困ってて…」


あれ?今のモチじゃない…

顔を上げると目の前に綺麗な水色の瞳にクリーム色の髪をなびかせた美少女が居た。


「何かお力になれることはありますか?」


「いやいや、ちょっ、待って……えっと、君は?」


「私ですか?私はヴァイスローズ家のセレナと申します。それで、何かお力になれることはありますか?」


早口で名前を言ったあとすぐさままたも期待に満ちた顔で見つめてくる。


「…私、図書室に向かいたくて。」


「図書室ですか?えっと…東棟の方ですね。着いていきましょうか?」


「ありがとう。助かる。」


なんかもう、この子やる気というか善意に満ちてて断るのが申し訳なくなる。だから素直に助けを求めたら嬉しそうに先導していった。


「不思議な子が居るもんだね…」


私、学校とか行ったことないけど……あんな子ばかりなのかな?


あ、ちょっ歩くの早いって!



 * * *



レインヴェル魔術学院の校舎は北棟、東棟、南棟西棟と4つの棟それぞれ4階建てという文字列だけで広さが想像できるものになっている。


私達は知らないうちに西棟まで歩いていたらしくセレナが居なければ多分帰ることも出来なかったんじゃないだろうか。


「こちらです。」


「ありがとう。」


連れられた部屋の前にはちゃんと図書室って書いてある。うん、地図も確かに…ここか。よし、覚えた。覚えた…はず。


「今日は普通の魔導書でも読むかなぁ…」


本格的な調べ物はエマやルカの入室許可が降りたらにしよう。1ヶ月もあるわけだし。


「何を読まれるのですか?」


「魔導書だけど…何かオススメはある?」


「すみません、私その類のものは教科書ぐらいでしか見ない物でして…こちらはどうでしょう?私の愛読書なのですが」


申し訳なさそうな顔で何かの論文らしきものを差し出してきた。やはり魔術学院なだけあってこういう物がいっぱいあるらしい。


「えっと…精霊魔術と封印魔術の複合魔術について…」


作者 『色彩の魔女』


私のじゃんこれ!?なんで?こんなところに?確か300年前にレオンに書いてって言われたから…多分それ?


「……これが愛読書なの?」


「これが…というより、色彩の魔女様の作成した魔術が好きでして…本当にお好きなのはこちらの、その、少し子供っぽいかもしれませんが…」


続けて差し出されたのは『不死王と色彩の魔女』という絵本…何これ?


「こちら、本校で授業にも取り入れてある大変有名な御伽噺でして!大抵の人は作り話だと言うのですが────」


そこからの話はとても長かった。色彩の魔女はすごい、自分の憧れであり目標。自分はこの魔女も超えたいのだとそういった話を長々と聞かされた。


…正直、聞いてて悪い気はしなかったけど…当初の目的、どこ?


『いい加減腹減って仕方ないんだが?』


モチも文句言い出しちゃった。




〜キャラ設定〜

レーニア(魔族と人のハーフ 28 女)

王立レインヴェル魔術学院の学院長。若くして数多の功績を収め平民の出ながら次期魔女になりうると噂されている。


ミレリア(魔族と人のハーフ 16)

レーニアの妹。学院の高等部1年、Bクラスの主席。

どこかおっとりしている姉とは違いしっかり者で自他ともに厳しい。しかし仲良くなるとデレデレになるタイプ。


セレナはもう少し後でやります!後前回ので書き忘れていたんですがユーリは狐目で不敵な笑みを浮かべてるいかにも裏切りそうなやつ、です!

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