幸薄の幸?
二話です。グダグダです。泣きそうです。
疑いも無事にはれて、警察から解放された翌日。学校で何と言われるのだろうか。そう思いつつ学校を目指す。
「おっはー、サブロー。逮捕されたんだって?」
「されたな。ああ、されたよ」
「www」
「wで笑うな。分かりにくい」
朝から変にテンションの高い腐れ縁幼馴染の三枝夕陽1つ年上、はいつも俺に絡んでくる。ウザい。美少女と言うカテゴリに含まれるような容姿だが性格がウザい。絡んでくるわ変にツンツンしてるわ、めんどくさい。
そんな奴と一緒に登校するのも悪くはない。そう思う。
「学校着いたら有名人かもね。よかったね」
「よかねぇよ、見てみろ校門付近にいる生徒をよ」
俺達は校門から少し離れたところにいた。校門付近の生徒は俺の方を見てなにやら話している。学校の方には警察の方から連絡を入れてくれているから、噂が変に広がってもある程度は大丈夫だろうけど、やはり怖い。
俺は早足で教室へ行き机で寝た。勉強はかなり出来る方です。よく絡まれていたのでケンカが強く、こんな容姿なので先生に変に文句を言われないように勉強はがんばってます。苦労してます。
俺が目を覚ましたのは昼休み。授業中は当てられた時起きて後は寝てました。覚ました理由は教室がざわついていたから。特に入口の方が騒がしい。
「あ、貴女はっ! 谷河由紀さん!我らと同じ一年でありながらここ、秋原高等学校生徒会会長の職に特例で就いている、我が校の月一で開かれるミスコンで毎回上位に入ってくる美少女ではないかっ!」
分かりやすい説明をありがとう。ちなみに月一のミスコンは、人気投票の様なもので女の子は参加しない。野郎が勝手に開いているコンテストだ。俺は夕陽に入れておいた。その事をつえると変に顔を赤くして殴ってきたのがトラウマだ。
「分かりやすい説明ありがとう」
そうつぶやいたのは、なんというか、やる気の無さそうなボーッとした空気を出している。目は・・・なんと言えばいいのか、死んだ魚の目みたいなのに何かを睨んでいるような『私はこの世の全てに恨みがあります』的な雰囲気がある。顔つきはムスッとした感じ。背丈は平均より少し小さく小柄な生徒会長。
本当に仕事ができるのか? と言う感じだ。確かボクっ娘だった気がする。近寄りがたいオーラがにじみ出ている。それでも目を奪われそうになる美少女。コイツが笑ったら間違いなくミスコンで一位をとるだろう。惜しい、もし二次元だったらすげぇハァハァ出来るのに。
「一体何の御用なんでしょうか?会長!どうぞこの僕にお申し付けください!」
「なに言ってるんだよ!俺に何なりとッ!」
「むしろ私に用事だったりしませんか?」
生徒会長谷河由紀はどうやら、性別に関係なくモテるようだ。・・・百合だな。
とりあえず俺には関係のない話だ、と言う事で電気街で同志と駄弁ってくるとしよう。リアルに『ござる』とかつける奴がいるから面白い。
俺はもう一つある出入り口から出て、人が群れている横を通り過ぎようとしたした時のことだった。
「ここに秋山三郎がいるはず、出して」
『え?』
「んあ?」
いきなり俺の名前が出てビックリした。集まっていた連中がいっせいに俺の方を向く。そのおかげで俺の存在が谷河に知られる。
手を握られる。掴まれたとかではなく優しく、まるでここにある俺の存在を確かめるように握られた。
「こっち」
口調は変わらなかったので周りの連中は気付けなかったようだが、死んだ魚の睨みが甘えん坊の目のように変わっていたのを。
すげぇ可愛く、思わずときめいてしまったのだがなんだか違和感があった。デジャブとか言っただろうか? あれを感じた。今日ここで初めて会ったのに。
周りではちょっとした騒ぎが起こっていた。
「なぜ!そんな捕まるような不良を!」「むしろ捕まったからじゃない?」「ノウッ!なぜだ!」「神は私を見捨てたの!?」「妹にしたかったのに」「いやいや待て。呼び出されただけだぞ!2人が付き合ってるとかじゃない!落ち着け」
騒がしい方を見ていると、握られていた手をくいくいっと引っ張られる。子供が「早く行こう」と伝えるような感じ。
騒いでいる連中を放置し、谷河に引っ張られ生徒会室へ連れて行かれる。中に入ると誰もいなかった。そう言えば生徒会役員の夕陽が「今日は会議が無くて嬉しいな」とか言っていた気がする。
谷河は俺を部屋の中に入れると、なんと扉の鍵を閉めてしまった。
「んあ!? お、おい谷河?一体なにを・・・」
俺が言い終わる前に谷河は俺に抱きついて来た。二度と離さないと決めたみたいにギュッと手を背中にまわす。突然の事態に、まったく俺の腐った脳がついていけない。
「やっと、やっと見つけた。もう離さない。どんな事があっても」
「はぁ? ちょっと、谷河? どうした」
「やっぱり、覚えてない? ・・・分かってた事なのに、胸が痛いよ」
「ッ!」
悲しそうに瞳を潤ませてうつむいてしまった谷河を見ると、もの凄く胸が苦しくなった。
「信じてもらえるか分からないけど、聞いて。」
谷河は抱きついたまま真面目な顔をして俺を見上げた。
「ボクは前世でここではないどこかの王国で、王女をしていたんだ。貴方はその国で『王家近衛騎士団』の団長をしていたんだよ。ボクと貴方は凄く仲が良かった、まるで兄妹みたいに。でも、だんだんボクは貴方に惹かれて行った。そんなある時、敵国が突然攻めてきたんだよ。そのせいで、ボクの国は滅んじゃったんだ。最後騎士団の皆と隠れていたんでけれど見つかりそうになったんだ。でもボクは夜通し逃げてて凄く眠かったんの。だから貴方に膝枕してもらって眠ったんだよ」
あれ? 俺のあの夢とまったく同じ話だぞ? どういう事だ。
「次、目覚めた時にはもう貴方はいなかった。ボクはずっと待った。ずっとずっと貴方が、ボクのもとに帰ってくる日を。命が新しくなった今も。そして昨日、やっと会えた。ボクは覚えてても貴方は覚えてないかもしれないから、もう待てなかったから迎えに行った」
「その話、俺夢で見た事あるんだけど」
「ッ!本当?」
「ああ」
「嬉しい、無意識にでもボクを覚えていてくれた」
谷河は涙を流し出した。そして
「あの時は伝えられなかったボクの想い、聞いてほしい」
「谷河の想い?」
その時不思議な事が起こった。目の前にいる谷河由紀の事が別の人に見えた
「ルナ・フリード?」
「サブロー? 今何て?」
「いや、なんとなく頭にそんな単語が」
「それ、ボクのなまえだよ?」
「ああ?」
「嬉しい、ここまでボクの事覚えてくれていた。うん」
「どうした?」
「ルーチェ。ボクは、ボクは貴方の事が」
ルーチェと言う単語に懐かしさを感じる。おそらく前世の俺とやらの名前だろう。
「貴方の事が、好き」
これに懲りずに読み続けてくれるハートの強い人募集中。