証言
事務所の移転からまた次の週末が来て再び自宅に帰ると神妙な顔をしている母が居ました。
そして言い辛そうに「日曜からミーちゃん帰って来てないの」と告げられました。
少し遅れて帰宅した兄も驚きそして一言
「えっ?あの日でしょ?そこの家の塀の上に居たと思ったけどな?ニャーニャー鳴いてて可愛かったよ」
兄の言葉に私は苛立ち、ミーちゃんにおかしな様子が無かったのか問い詰めたかったのですが必死に堪えました。
一目会いたかった!その時何故呼んでくれなかったのかという気持ちが頭の中でぐるぐる…正直ミーちゃんの行方不明で焦りがあったのだと思います。
それでもミーちゃんが心配なのは私だけでは無く、やっぱり皆同じ気持ち。
そして勿論ミーちゃん自身も家族です。
母によると毎晩父と一緒に近所を探し歩き、新聞広告まで出しているそうです。
そこで私と母とで小一時間「ミーちゃん」と呼びかけながら近所を探し歩きました。
そしてこれは帰る度に行っていたのですが、ある時母からミーちゃんの最後の目撃情報を教えて貰ったと話がありました。
あの事務所移転の日は自宅裏の小学校で選挙の投票をやっていて、色々な人が出入りしていたそうです。
そして男女の2人連れが「この猫可愛いから連れてっちゃおうか」と言っていたというのです。
証言してくれた人は「首輪も着けてるし絶対に何処かの家で可愛がられている飼い猫だから駄目よ」とたしなめてくれたそうなのですが…。
もしかしたらミーちゃんのあの人懐っこい性格が仇となってしまったのかも知れません。
でも首輪の付いた猫を連れて行くなんて本当にそんなふざけた事をする人が居るのだろうか?
私はショックで頭の中が真っ白になってしまいしばらく何も考えられなくなってしまいました。
そしてこれを境に夜ミーちゃんを探しに行くのを止めてしまいました。
それからまた数週間が経ったある週末の事、いつもの様に帰宅すると母が懐に子猫を抱えて座っていました。
次回からチャコの章になります