第七十話 因縁
始まるよ~
あっさりと終った試合に、観客は茫然としていた。
歓声すらなく、シーンと静まり返っていた。
「まぁ、想像通りだよな」
「そうだね。思ったよりも耐えたみたいだけどね」
エマナが放った魔法は、クレアーレが放った魔法と一瞬だけ拮抗していた。俺は、問答無用で飲み込まれると思っていたが、一瞬でも拮抗しただけでも大したものだ。ルビーも同じ意見ということだろう。それも、火力を抑えたかだな。
その後、何とか正気を取り戻した司会が、何とか、フォローを入れつつ、次の試合のアナウンスをする。その後の試合もつつがなく進んでいった。
「それでは、今日の試合は以上で終了となります!準決勝は、三日後となります!お楽しみに!」
ようやく終わったか。面白くはあったけど、余りどんでん返しがなかったから少しだけつまらなかったな。
「いつもはもう少しどんでん返しとか起こるんだけどね。」
まぁ、そんな年もあるってことで。
俺は、ルビーと別れると世界を渡る。アイン達が農作業をしているあの世界だ。
セラとサラも一緒に鍬をもって畑を耕している。何なら麦わら帽子をかぶっている。なんというか。今まで会って勝ってきた相手が全員農作業してると、気が抜けるね。
俺とシオンはこの世界の小屋に移動し、夜ご飯を食べた後、就寝することにした。
それから三日。軽く訓練したり、龍を倒したり、重要な情報を手に入れたりしたが、誤差です。何があっても誤差なんです。
「それではただいまより、帝都大会準決勝を開始します!まずはツカサ、シオンペア対クレアーレ、スクルトシペアの対決です!この組み合わせは、予選でも戦ったペア同士です!予選ではツカサシオンペアの勝利でしたが、今回はどうなるのでしょうか!」
俺たちとクレアーレたちが向かい合って立つ。こいつら、やってんな。もうすでに薄らと魔眼を発動している。アウトじゃね?
「それでは、試合開始です!」
「破壊の魔眼エンチャント」
「昇華、無属性魔法魔素大砲」
いきなり大技ってか⁉エンターテインメントというものをご存じでない⁉俺は横に飛びその魔法を避ける。シオンは障壁を張り攻撃を受け流す。
俺は大剣を手に持つと、スクルトシに向かって走り出す。
「破壊の魔眼エンチャント、火属性魔法火壁、火球!」
スクルトシは障壁を展開させると、その壁から火球を発射した。魔力の操作と、一部の魔法陣の融合が必要な高等技術だ。大剣で火球を防ぐが、勢いがそがれたせいで障壁を突破する威力にはならなかった。
いったん後ろに下がり距離をとる。シオンは無詠唱で魔素弾丸を放っていた。俺の攻撃で歪んでいた障壁にピンポイントであたり、障壁が壊れた。
「破壊の魔眼エンチャント」
「昇華、無属性魔法付与。昇華!」
「破壊の魔眼エンチャント、爆炎魔法紅炎!」
その背後では、スクルトシとクレアーレが魔法の準備をしていた。
エンチャント、昇華した付与を昇華してエンチャントした紅炎にエンチャントした。つまり、とてもやばい。こうかもりもりつよつよさいきょうまほう、という奴だ。
「さすがにまずいって!」
「問答無用!」
俺が思わず声を上げるとスクルトシから返事が来た。親しき中にも礼儀ありって言葉知らないの⁉世界が違うから知らないか。
「無属性魔法魔素障壁、魔素障壁!」
シオンが二重に障壁を展開させる。少しだけしか耐えられないが、一瞬でもあれば避けることはできる。俺はギリギリ回避できた。シオンは反対側に避けたから安否がわからない。
「っつー。司様。こちらは無事です!」
魔法が発動して少しした後、シオンの声が響く。多分少しかすったな。砂埃が巻き起こりあまり見えないが、多分大丈夫、なはず。
俺はスクルトシに向かって大剣を投げつける。
「ちょっ!破壊の魔眼エンチャント!炎属性魔法火壁!」
「さすがにやばそうです。昇華、無属性魔法魔素障壁!」
一瞬で二重の壁が生成される。剣は火の壁を貫き、透明な障壁に突き刺さって止まった。
ご視聴ありがとうございました。よろしければ、感想や改善点などありましたら、ぜひ、ぜひぜひ!お願いします。
次回:『セイクリッド』お楽しみに!(題名は変更する可能性が90%です)
追記:あけおめ




