第六十八話 全知
始まるよ~
仮称古代魔『蒼炎』。それは、古代の人々が創り出し、今は使われていない魔法だ。理由は、複雑だから。シオンの詠唱を聞いてもらえばわかると思うが、詠唱に、座標の指定やら威力の指定やら、挙句の果てに発動までに時間が必要ときた。使い勝手が悪いことこの上ない。だが、その分強力だ。指定した場所に、指定した対象にのみにダメージを与える。そんなバカげたことができるのだ。勿論、他のものには一切被害はない。そして、仮称については、これを創ったやつがわざわざ古代なんて名前を付けるとは思えないからだ。考えてみろ。火を出す魔法を創って、「よし!これを古代魔法と名付けよう!」とか考えないだろう。せめて、炎魔法か現代魔法とかにするはずだ。何が言いたいのかというと、古代魔法は、今を生きるか、この星の年齢換算で少し前の時代の奴がつけた名前で、この魔法の創造者がつけた名前ではないということだ。なら、本来の名前は何なのか。それは俺にもわからない。わかるのは、今とは違う呼び方で呼ばれていたのだろうということだけだ。そして、なぜ、名前が失伝するほどにこの名前が使われなくなったのか。使い勝手が悪くても、威力的には十分だといえるだろうに。もちろんこれも以下略。ちなみに今こうやって考察ができるのは、もう試合が終わっているからだ。天道は、爆発をもろに受け、吹き飛んだ挙句空中きりもみ六回転くらいして場外に落下した。いたそうだとおもいました。
今は、王族専用の部屋に戻り、試合の様子を観戦している。アルケミア達はもういなくなっていたようだ。助かった。
「そういえば、最後のほうで先読みしてるみたいに天道さんの行く先に剣を投げてたけど、あれってどうやったの?」
隣に座っていたルビーが話かけてくる。実は、天道の足止めをするために天道が通るだろう場所に剣を投げ続けていた。それはもういやらしいほどにドンピシャで。勿論、種も仕掛けもある。
「最近、魔法をスキルに変換する研究をしててな。その時に作った全知のスキルを使っただけだ。あとは筋肉の動きとかで、進む方向を特定するだけ。簡単だろ?」
本当にそれだけだ。一定範囲内にいる森羅万象の情報を読み取り、使用者の中に流し込む。それが全知の効果だ。随一変化したこともすべて強制的にかがれこんでくるため、うっとうしい事この上ないが、その分難易度も高い魔法だ。できないとは言っていない。
「そんな簡単なことではないと思うのだけれども。まあ司のことだしね。何でもありだよね」
ルビーは満面の笑みを浮かべながら納得する。それで納得していいのか。シオンを見ると、同じくうなづいていた。納得して良いらしい。誠に遺憾である。
「そういえば、転移者の雫さんと司って苗字が同じなんだね」
「そうだな。兄妹だからな」
ルビーは驚いた表情を浮かべる。言ってなかったっけ?言ってなかったわ。てへぺろ。
「シオンさんが使った魔法もすごかったね。なんか、こう、ぶわぁーって感じで」
ルビーは誠に伝わりづらい表現方法でシオンに話題を振る。
「そうですね。司様から教わった魔法ですが、これでもまだ不完全らしいですよ?」
「そうなの⁉古代の人たちってすごいんだね。あれでも不完全だなんて。手間はかかっても、かなり使えそうなのに」
ルビーも同じ結論に至ったようだ。ハッとした表情で俺のほうに首を向ける。その表情は、いろいろな感情がごちゃまぜになったような、何とも形容しがたいものだった。俺はうなづく。俺の反応でルビーは確信を得たようで、何とも言えない表情のまま、正面を向く。少しだけうつむいていたが、次に顔を上げたときには、いつものルビーに戻っていた。
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次回:『彼ら』お楽しみに!(題名は変更する可能性が90%です)
追記:土下座




