第六十五話 覇者の道
始まるよ~
常に一定の呼吸。光の無い目。
天道は、自らのスキル、栄光の道を使った。天道自体がその能力を完全に理解しているのかはわからないが、俺はそれについて知ってる。スキル使用者を戦闘をするための兵器とし、対象を殺しつくすまで、永遠に戦い続ける。その過程でどんな障壁があろうとも、絶対に破壊しながら。栄光の道とは、そんなスキルだ。
「大体、七割ってところか。かなり本気だな」
「やっぱりごり押しますか!」
ごり押しません。シオンはなぜいつもそのような思考に以下略。
とはいっても、あのスキルは、使用者の所持している情報の範囲で対象を殺す方法を算出する。イレギュラーに弱いわけだ。
「まぁそれは冗談として事前の情報通りなら、別の魔法を使った方がいいですか?」
「いや、現状は今まで通りで大丈夫だ。俺は大道の相手をする。詰められるなよ」
「わかってますよ」
俺は大道に向かって走り出す。今まで空気だった大道が、ビク!っと一瞬だけ反応すると。うれしそうな顔で走り出した。なんか、気持ち悪い。
「大剣流!鉄崩し!」
大道が剣を振り被る。俺はその斬撃を受け流すように避けると、剣を振り終わって隙だらけの大道に向けて横なぎに剣を振るう。
「どら゛ぁ!」
大道は雄叫び?を上げながら無理やり剣を滑り込ませる。ガァンと重い金属同士が当たる音が響き、大道がわずかにバランスを崩した。俺は大剣から手を離し、両肩を両手でつかみ、隙だらけの胴体に向けて膝蹴りをかます。
クリティカルだ。大道は、胃液か唾液かよくわからん液体を吐き出しながら倒れる。もちろん白目をむいている。液体はもちろんよけた。
「えげつないですね」
シオンがぽつりとつぶやく。天道は一瞬動きが止まった。微かに残っている自我が、こいつやりやがったな⁉ごり押しするなって言ってたのに、ごり押したな⁉みたいなことを思っていたのだろう。目が微かに見開かれている。別にそこまでじゃない?
ただちょっと魔力のパラメーターを身体能力に全振りしている状態で膝蹴り食らわせただけだよ!
ちなみにシオンは障壁を全力で展開しながらちまちまと魔法を打っていた。
本当にちまちまと、いやらしく。シオンのほうがえげつなくない?
「爆炎魔法紅炎!」
天道が一歩を踏み出した瞬間、足元が爆発する。
砂埃があたりを埋め尽くす。天道の姿が良く見えないが、気配によると少しダメージを負ったようだ。今のあいつには関係ないだろうが。
「シオン、そろそろ準備しておけ。ロストだ」
「やっぱりごり押しなんじゃ…。」
そんなことないったらない。ぜったいにごり押しではない。
「それでは、詠唱を開始します。ちゃんと守ってくださいね?」
「当り前だ」
直後、天道の気配が動いた。砂埃をかき分けてシオンに向かって突撃をしてくる。もちろん邪魔はさせない。大剣を盾のようにしてシオンの前に立つ。直後、衝撃が来る。今までの比ではない。少しだけ腕がしびれたな。これが栄光の道ってわけか。見くびれないな。使用者が本能的に解放できない身体能力をそのスキルによって、強制的に解放しているわけか。さすがは勇者が所有するスキルってところか。
「『そして、世界は燃やされる。神よ、人よ、すべての命よ、恐れ、戦け、絶望せよ。我が信念が、かの敵を一つ残らず焼き尽くす。蒼き炎の、その気高きを知れ』起動確認、座標指定、威力調整、生贄指定、対象指定、供給開始。装填完了まで五分。あとは待つだけです。私も魔法で応戦します!鋼鉄魔法大地崩壊!」
俺がその場から離脱すると、大地に切れ目が走る。天道は、その切れ目に足をとられ少しだけ隙ができる。
俺は大剣を振り被る。天道は剣を地面に対してほぼ平行に構える。剣同士がぶつかる。金属同士がぶつかるような音がした後、火花を散らして俺の大剣が天道の剣を伝って地面に落ちる。衝撃を逃そうとしたのだろう。だが、完全に逃すことはできなかったらしい。腕が微かに痙攣している。天道はその場から後ろに飛んで距離をとった。さすがに不利だと判断したらしい。
天道は目だけを動かして腕の様子を確認した後、両手で持っていた剣を右手だけで持った。左手で何かをつかむ要な動きをすると、湧き出るように光の剣が出現した。そして、天道の体が薄く光る。何回も見たことがある光だ。祝福。使用者に絶大なバフをかける魔法。まさか、天道も使えるとはな。
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次回:『POWER』お楽しみに!(題名は変更する可能性が90%です)
追記:なぜ夕立があるのか




