第六十三話 刀の・杖の
始まるよ~
激しい爆発、熱、土煙。威力自体は大したことないが、とりあえず派手に爆発する。
土煙が晴れると、そこには疲労困憊したおれたちだけがいる。
「ここで決着!勝者はツカサ、シオンペアです!なお、殺しはOKなので特に違反ではないです!」
よく考えたらやばいよな、殺しOKの大会って。それはともかく、観客からすると、ギリギリの勝負で殺さないと勝てなかった、とかそんな風に見えているはずだ。あの二人は今後表に出ることは難しいだろうが、致し方ない。下手に仲間に引き入れたことにすると国が黙っていなさそうだからな。国も、塵も残さず消え去ったとなったら蘇生は難しいと考えるだろう。
「それでは、続いての試合は…」
司会の声を後ろに俺たちは席に戻る。ちなみに、俺たちはこの国のお抱えとしてVIPな対応を受けている。ほんとに至れり尽くせりで快適っすわ。
「司、お疲れ様!」
「あぁ。ありがとう」
ルビーが声をかける。後ろにはライガがいる。護衛という立場らしい。本来なら俺も護衛につくべきなのだろうが、大会に出ちゃったからな。テへッ。俺たちは席に着くとステージに目を向ける。
「それにしても、司も大剣使うんだね」
「様々な武器、戦法ができるようにならないといけないからな」
他愛もない話をする。試合のほうは特にいうことはなかった。この世界の基準だと上位の実力の持ち主だったのだが、こう、目が肥えたというか、とりあえず、そういうことだ。
「それでは続いての試合は、シズク、アズサペア対、フリー、ジャスぺアの対決です」
多分名づけ親は転生者だと思う。明らかにガン○ムの種がパッカーンするあれのあれじゃないですかね。
それはともかく、出てきたのは魔法使いと剣士。もちろん両方とも男だ。原作再現ってか?
「それでは、試合開始!」
「行くぞ!」
「おうよ!『我らが神に願う!彼のものに神の祝福を!』無属性魔法!付与!」
剣士が走り出す。ちなみにこっちがフリーらしい。ニアピン!フリーの体がほんのりと淡く光る。ジャスの付与だろう。
「王剣流!王連斬!」
フリーが剣を振り上げて雫に向かって振り下ろす。なんか、今までのを見ているとしょぼく見えてくる。でもこの世界からすると上々の出来だろう。
「遅いね。抜刀術、桜吹雪」
刹那、シズクが抜刀する。その刀はフリーの剣を何の障壁もないかのように切り裂く。
「なに⁉」
フリーはその場から凄まじい速度で下がる。その手に持つ剣は半ばで真っ二つ。とてもダサい。
「追い打ちです!『我らが神に願う 彼のものに神の鉄槌を』無属性魔法魔素弾丸!」
アズサが杖を振りぬくと、その周辺に半透明の弾丸が生成される。
「追い打ち付与!発射!」
弾丸が淡く光ると打ち出される。狙いは、フリーだ。全部、そう全部。すがすがしいほどにジャスは空気だ。
「くそが!王剣流護身王陣!」
フリーはうまく弾丸をそらすことでそれらをすべて防ぎ切った。雫は刀を鞘に納め走り出した。
「援護します!『我らが神のみ心のままに 願わくは 同胞に神の導きを』祝福!『からの我らが神に願う 彼ものに神の祝福を』付与!」
「ありがとう!抜刀術、疾風!」
シズクのスピードが一段階早くなる。フェイントを織り交ぜながらフリーまで近づくと抜刀する。先ほどよりも早い斬撃がフリーに迫る。これは種割れ使っても無理じゃね?
「させるか!無属性魔法魔訴障壁ぉ!」
フリーと雫との間に半透明な障壁が生成される。惜しい!
「なら!『風の精霊よ 我に力を貸し与えたまえ 我 その力をもって 目の前の敵を切り刻まん』風槍!」
周辺に空気を圧縮した槍が生成される。そのまま打ち出されたその槍は障壁にあたると、魔力だけが壁をすり抜け、障壁内の空気で再度槍の形を作りジャスに向かって飛んでいく。ジャスは寝転がるようにしてその槍をよけた。
「ジャス。どうする。剣があじゃぱだ」
「魔法でどうにかできるが、少しばかり時間が必要だ。頼んだフリー」
「わかった。どうにかしてみるよ」
フリーが走り出す。その手には真っ二つの剣。無理じゃね?
「身体強化!速度上昇!」
フリーが二つのスキルを発動する。多分効果はそのままだろう。実際にそのままだ。
「『土の精霊よ 我に力を貸し与えたまえ 我 その力をもって障壁を破壊せん』土球」
一方のジャスは土球を生成し、成型を始めた。簡易的な剣にするつもりだろう。
「させない!抜刀術、疾風!」
再び光速の抜刀が繰り出される。その刀はジャスが生成していた土球を真っ二つに切った。
だが、ジャスはニヤリと微妙に悪寒を感じる笑みを浮かべると、土球にさらに魔力を込める。すると、真っ二つにされた土球から二本の剣ができた。少し短めだが、短剣ほどではない。
「『火の精霊よ 我に力を貸し与えたまえ 我 その力をもって 目の前の敵を殲滅する一筋の光とならん』火球!」
火球を生み出すと、土でできた剣を焼き始める。少しでも固くしようという魂胆だろう。
もちろんそのすきをやすやす見過ごす雫と梓ではない。
雫は再びジャスに向かって剣を振るい、梓は魔法の準備をする。
「『風の精霊よ 我に力を貸し与えたまえ 我 その力をもって 目の前の敵を切り刻まん』風槍!」
風の槍が生成され、ジャスに向かって飛んでいく。
ジャスは剣生成に集中しきっていて、槍を避ける暇もない。
「やらせるか!でやぁ!」
ここで空気になっていたフリーが折れた剣を使い槍をはじき返した。
直後に雫が刀を振るう。もちろん狙いはジャスだ。フリーは二人の間に滑り込むと、折れた剣をうまく使い、刀をいなした。
「…完成だ。受け取れ!」
ジャスが完成した剣を投げる。フリーは二本の剣を受け取ると、すかさず雫に向かって振るう。
「くらえ!」
今日一の気迫だ。雫は思わずといった様子で後ろに下がる。だがフリーは止まらない。
雫と距離を詰めようとどんどん進んでいく。
フリーは剣を振るい続ける。もはや型もあったもんじゃない。まずまず、この世界の型は二刀流で戦うことを想定していない。
雫は後ろに下がるのをやめると、一気にフリーに向かって走りだす。
刀を鞘に納め、膨大な量の魔力を込める。
「抜刀術、斬魂!」
抜刀すると、その刀は青白く光っていた。刀を振りぬいた後には青白い光の筋が残っていた。その筋は、ジャスが持っていた刀の片方を通っていた。一呼吸の後、ゆっくりと剣の刃が滑り落ちる。
フリーは刃が無くなった方の剣を雫に向かって投げ捨てる。雫は刀を使い剣を弾き飛ばす。フリーはそのすきを突き、剣を振り被る。
「王剣流!大王斬!」
大胆でスキが大きい攻撃。だが、剣を振り飛ばすために刀を振り切ってしまった雫にとっては、なかなか厳しい攻撃だろう。
「これで終わりだ!」
そして、フリーは倒れた。その後ろには梓がいた。隠れ本職の暗殺者の力を使ったようだ。作者の意思など感じられない見事な終わり方だ!
「ずいぶんとあっさり決着がついたな」
「そうだね。フリーとか必殺技みたいなの使おうとしていたけど、使う前に気絶したね」
ご視聴ありがとうございました。よろしければ、感想や改善点などありましたら、ぜひ、ぜひぜひ!お願いします。
次回:『再戦』お楽しみに!(題名は変更する可能性が90%です)
追記:もう半年たとうとしてるってマジ?




