第五十六話 一応勇者だからね!
始まるよ~
「それでは、試合開始!」
勇者―ズ対獣人ズの試合が始まる。
天道たちは予選と同じように剣を持って走り出す。獣人ズは武器を持たずに戦うスタイルのようだ。
「大剣流!鉄崩し!」
大道が初めに切りかかる。狙いはレオンのようだ。大ぶりな一撃を繰り出すが、レオンはバックステップでそれをよける。
「獣王流破拳!」
レオンが正拳を突き出す。そこから魔力で形成された拳が飛んで行く。大道に向かって飛んで行ったその拳は、鉄崩しの勢いで剣を振るった大道によってかけ消された。
「獣王流破拳!」
隙が生まれた大道に向かってガオウが破拳を放つ。大道はその攻撃事態は認識していたが、大剣を使って防御しようとしても間に合わないだろう。
「王剣流飛王斬」
天道が飛ぶ斬撃を放ち、破拳を相殺させる。
レオンが天道に向かって走り出す。ガオウは大道に向かって走り出した。一対一にするつもりだろう。一方の天道たちはできれば一対一にはなりたくないようだ。一対一にもつれ込まないように、なるべく距離をとられないように戦っている。
「獣王流絶拳」
ガオウが天道に向かって拳を突き出す。魔力をまとったその拳は、食らえばただでは済まないことが一目見ればわかるほどの圧を放っていた。
「王剣流護身王陣」
天道は、守りの型を選択。ガオウの技を正面から防いだ。どうにか防ぎこそしたものの、体制が崩れた。
「隙あり!獣王流絶拳」
ガオウは再び拳を振るう。一方の天道は、笑みをこぼしていた。
「これは、隙ではなく。罠だ。閃光魔法粒子光線」
破壊の光が零距離で放たれる。魔法を、しかも上位属性の魔法を放たれるとは思っていなかったガオウは一瞬だけ固まる。
たった一瞬、されど一瞬。光がガオウを包み込む。直後、ガオウは凄まじい熱気に包まれた。肌が燃えるような感覚さえする。一体何秒たったのかわからない。体感だと三十秒はその光線をその身に受けていただろう。ようやく光が収まった。肌が燃えるような感覚は間違いではなかったらしく、体のあちこちが軽く焼けていた。
「本当はこれで終わらせるつもりだったんだけど、思ったより耐えるね」
「はっ!獣人の頑丈さをなめてもらっちゃあ困るね!」
実際は、破拳を何度も放ち、簡易的な障壁としたおかげなのだが、そのことは黙っておく。こちらにもまだ余裕があると錯覚させるためだ。ガオウは、ふとレオンのほうを見る。レオンは、スピードで大道を圧倒していた。大剣を使う都合上、手数が多い攻撃は対応しきれないからだ。
「どうやら、あっちは押されているみたいだね」
天道も大道のほうを見ていたらしく、ぽつりとつぶやく。
「だから、君はなるべく早く倒す必要がありそうだ」
だが、すぐにガオウのほうを見ると。そのまま走り出した
「あいにくこっちは負けるつもりはねぇ!獣化!」
ガオウの毛という毛が逆立ち、瞳孔が細くなる。
「多少の冷静さを生贄に、身体能力を強化する。確か獣化ってそういうスキルだよね」
「よくわかってんじゃねぇか!じゃぁ行くぞ!」
その瞬間、ガオウが今までとは比べ物にならないスピードで走り出した。
天道は、ギリギリ視認できているものの、体が付いていけていない。ガオウは周りを走りながら隙を伺っている。少しだけ時間がたった後、天道が少しだけガオウを見失った。ガオウはそのことに気が付いていたようで、一気に距離を詰めに来た。
「やっぱりそれが君の全力みたいだね。それじゃあ、こちらも始めようかな。栄光の道」
天道の表情が変わる。まるで、アンドロイドのような、洗脳されているような。意思が感じられない顔になった。
天道は、黙ったまま剣を構える。ガオウは、先ほどとの雰囲気の違いに気づいているようで、天道の周りをまわりながら隙を伺っている。
「閃光魔法粒子光線」
天道がつぶやくと、再び破壊の光が放たれる。ガオウはそれをよれると、天道に向かって走り出す。身体能力が強化されたガオウは天道がギリギリ視認できるスピードで天道を自身の間合いに持っていく。
「獣王流絶拳」
魔力をまとわせた拳で突きを放つ。天道は一切動作を見せない。ガオウは、ニヤリと価値を確信した表情を浮かべる。
直後、悪寒を感じた。ガオウは自身の直感に従い右に飛んだ。
破壊の光が左腕をかすめる。無詠唱の粒子光線だ。
たかが少しかすっただけでも、それだけで左腕の感覚はなくなってしまう。それだけの威力をそれは持っていた。
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次回:『一周年記念』お楽しみに!(題名は変更する可能性が90%です)
追記:初めて最強の錬成職(仮)を投稿したのが、去年の今日なんです。
追記:お昼ごろにもう一話投稿します。




