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僕はヤンデレ彼女を愛してやまない。  作者: 小鳥鳥子
『僕と彼女と互いの想い』
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第八話  『久しぶりにミケに会いに行こうか?』

「陸、授業なくなっちゃったけど、どうしようか?」


 若干嬉しそうな様子の莉子が問い掛けてくる。

 先生の体調不良で急遽午後の授業がなくなったところだった。


「うーん、どうしようかな?」


 考えながら、莉子につられて僕も嬉しくなっていた。

 ここ最近はそれなりに忙しく、莉子と一緒にのんびりできる時間が少なかった。

 今日は莉子と一緒にまったり過ごせるかもしれない。


 ただ、先程食べた莉子お手製のから揚げ弁当でお腹はいっぱいである。

 食事に行くのはちょっと苦しい。

 とすると――。


「久しぶりにミケに会いに行こうか?」

「ミケに!? 行きたい!」


 僕の提案に元気よく賛同する莉子。

 莉子がミケを大好きなのを僕は知っている。

 当然僕も大好きではあるが。


 なぜなら、僕と莉子とを繋いでくれた張本人だから。

 いや……、ミケは猫だから、張本猫(ちょうほんねこ)かな?

 張本猫(ちょうほんびょう)??


「陸、早く行くよ!」


 見ると、莉子は既にバッグを背負って準備万端だった。

 莉子に急かされつつ、僕も急ぎ荷物をまとめたのである。



 ◆ ◆ ◆



「それはちょっと、無理なんじゃないかなぁ……」


 三毛猫と格闘する莉子に向かって、気が気でない僕は呟いた。


「だ、大丈夫よ、、、多分……」


 いや、多分って……。

 当初は自信満々だった莉子も段々と自信を無くしてきたようである。

 三毛猫は今にも莉子の腕から落ちそうである。

 というより、もう既に右後ろ脚はこぼれ落ちている。


「はーい、そこまでね。ミケ貸して」


 見ていられなくなった僕は、莉子から三毛猫を取り上げる。


「あ~……」


 恨めしそうな顔となる莉子。


「莉子ではミケを抱っこしながら、チュールをあげるのは無理だって」

「みゃあ~……」


 僕の言葉に、三毛猫のミケも完全同意している。



 学校を出た僕らは、町の図書館へと足を運んでいた。

 図書館の敷地内には、一匹の三毛猫がいる。

 図書館の警備員さんが飼っている三毛猫である。

 その猫の名前が『ミケ』であった。


「僕がミケを抱っこしているから、その間にチュールをあげてみてよ」


 チュールは先ほど警備員さんからもらったものである。

 不満そうな顔をしている莉子をなだめながら、僕はそう提案した。


 身体の小さい莉子では、さすがに抱っこをしながらチュールをあげるのは難しい。

 しぶしぶといった感じでミケにチュールを上げ始める莉子。

 しかし、段々と表情が変化してきた。


「なんだか、嬉しそうだね?」


 莉子は笑顔になっていたのだ。


「だって、陸がミケを抱っこして、あたしがチュールをあげるって、初めて陸と会ったときと同じじゃない」


 嬉しそうに話す莉子を見て、僕は一年前のあの日を思い出していた。

 初めて莉子と言葉を交わした、あの日のことを。


 莉子が僕を知る前から、僕は莉子を知っていた。

 莉子を初めて見掛けて、……でも、莉子に近付くことすらできなくて。

 ミケを胸に抱えたまま、何とか莉子に近付いたのである。

 そこで警備員さんからもらったチュールを莉子に渡し、莉子がチュールをミケに与えて……。

 初めて莉子と話をしたのだ。

 それが僕と莉子との出逢いだった。


「ミケがいなければ、あたしと陸は今も言葉を交わすことがなかったかもしれないわ」


 愛おしそうにミケを見つめる莉子。

 ミケがいなければ、恐らく僕は莉子に話し掛けることはできなかっただろう。

 ミケがいたからこそ、今こうやって莉子と一緒にいることができるのである。


「ミケはあたしにとっての恩人ならぬ、『恩猫(おんねこ)』ってところね」


 ――ミケに感謝しているのは、どうやら僕だけではないようだ。


 会話している間にミケはチュールを食べ終わっていた。

 今は、前足で口の周りを綺麗にしている。

 そんなミケの頭を優しく撫でる莉子。

 そこからは、包丁を手に殺気を放つ姿は欠片も見受けられなかった。


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