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僕はヤンデレ彼女を愛してやまない。  作者: 小鳥鳥子
『僕と彼女と互いの想い』
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第四話  『デートは何処へ連れて行ってくれるの?』

「陸、デートは何処へ連れて行ってくれるの?」


 莉子の目はキラキラしている。

 何とか無事に草刈りを終え、学校から二人で並んで帰宅する途中である。


「『シャロン』という喫茶店に行こうと思うんだ」

「喫茶店?」


 喫茶店やカフェになら、二人で何度も行ったことはあるし、あまりデートらしいと思わなかったのだろう。

 莉子は可愛い仕草で小首を傾げた。


「うん、そのお店には、その時期にしか食べることのできない季節限定のスイーツがあるんだよ」


 スイーツと聞いて、目の色が変わる莉子。

 莉子は甘い物に目がないのである。


「今だと、ブルーベリーのタルトと、さくらんぼのレアチーズケーキがあるらしいよ」


 そう言って僕は、お店のウェブページを表示したスマートフォンを莉子へと手渡した。


「美味しそう……」


 季節限定スイーツの写真を見ながら、莉子は呟いた。


「ん? 陸、季節限定スイーツは一日十五食限定なの?」

「そうなんだよね」


 ブルーベリーのタルトも、さくらんぼのレアチーズケーキも、売り切れてしまう可能性があるのだ。


「いつ行くのがいいかな?」

「う~んと……」


 僕の質問に悩み始める莉子。

 しかし、僕には分かった。

 すぐにでも食べに行きたいと思っていることが。


「じゃあ、今日は少し遅くなっちゃったし……、明日、行こうか?」


 とたんに喜びと驚きの入り混じった表情となる莉子。

 嬉しいのだろうが、明日は平日で学校の授業がある日だ。


「授業終了後、すぐにお店に向かえばきっと大丈夫だよ」


 売り切れていない根拠なんて全くなく、僕はそう言っていた。


「うん!!」


 それを聞いて、元気良く頷く莉子。


 多分だけど、僕らなら大丈夫。

 限定スイーツがあれば嬉しい。

 限定スイーツが売り切れでも楽しい。

 喜ぶ莉子の様子から、きっとそうなんだろうと僕には思えた。



 ◆ ◆ ◆



「いらっしゃいませ、二名様でよろしいですか?」


 僕らが店内へと駆け込んだところを出迎えてくれたのは、笑顔の女性店員さんだった。

 髪をハーフアップにしている綺麗な若い店員さんである。


「あ、あの……季節限定スイーツは、まだ……、残っていますか?」


 息を切らせながら、僕は質問を返した。


「ええっと……、本日限定のさくらんぼのレアチーズケーキは残り三つ、ブルーベリーのタルトは残り一つですね」


 いきなりの質問に面食らいながらも、きちんと答えてくれる店員さん。


「莉子、まだあるってさ」

「走ってきたかいがあったわね、陸」


 僕と莉子は顔を見合わせて喜んだ。

 そんな僕らを見ていた店員さんは微笑みを見せる。


「それでは、可愛い二名様、席へご案内しますね」


 ニコニコしたままの店員さんに案内され、僕らは少し照れながら着席したのである。



「あまりお客さんは多くないのね?」


 莉子がさくらんぼのレアチーズケーキ、僕がブルーベリーのタルトを注文した後、周りを見ていた莉子が言った。

 あまり広い店内ではない。

 しかし、客は僕らの他にもう一組、男性の二人組がついさっき入店してきただけである。


「ここは人気店というより、地元の隠れた名店みたいだね」


 ネットにもあまり情報はなく、お店自体も裏通りに面している。

 入り口に小さな看板があるだけの地味なお店だった。

 多くの客に来てもらおうと思っているお店ではないのかもしれない。


「今は時間帯もあると思うけどね」


 ランチタイムはとっくに過ぎていて、夕食の時間にはまだ早い。

 席に余裕があるせいか、僕ら二人は片側がソファとなっている四人席へと案内されていた。

 奥のソファ席へは勿論、莉子に座ってもらっている。



「限定スイーツ、ねぇのかよー」


 注文を待ちながら、莉子とメニュー表を見ているときだった。

 不機嫌そうな男の声が聞こえてきた。

 男性二人組のうち一人が先程の女性店員さんに文句を言っているようだ。


「大変申し訳ございません」


 その男に対して、店員さんは丁寧に謝罪をしている。

 恐らく僕が頼んだタルトを注文しようとしたのだろう。

 確か残り一つと言っていたし……。


「陸が気にすることないわよ」


 横目で二人の様子を見ていた莉子が言った。

 少し考え込んだ僕を気にかけてくれたようだ。


「うん、気にしないようにするよ。……ありがとう、莉子」

「それなら、良いのだけど」


 そう言って顔を背けてしまう莉子。

 少し赤くなった顔を見せないようにしているようである。

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