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プロローグ
「今日も来たわよ!」
バイク屋の前で整備をしている整備士の男に、赤いランドセルを背負った小学生が大声で話しかける。
「お前今日も来たのかよ。今日は何の用だ?」
「今日こそはあなたを負かせて見せるわ!」
そう言いながら、小学生はポケットから1本のペンを取り出し、男に見せる。
男は、整備の手を止めることなく、幼女のことを横目で見ている。
「私に、このペンを売りつけてください!」
幼女が差し出すペンを横目で見ながら、男は何も考えることなく口を開く。
その言葉に、幼女は固まってから少し間を開けて口を開く。
「…また来るわ。」
そのままペンを握りしめたままバイク屋の前を立ち去る。
そこでようやく男は整備の手を止めて、立ち去る幼女の後ろ姿を見つめる。
「気になるんならちゃんと対応してあげればいいじゃん。」
バイク屋の中から先輩整備士が出てきて男に声をかける。
バイクの横に座り込んで整備していた男は先輩整備士の声に反応して立ち上がる。
「面倒なんですよねどうも。」
一言だけ返し、男はもう一度バイクの横に座り込む。