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女神殺しのレフトオーバーズ~虹の女神(バカ)に召喚された七組の勇者パーティー~  作者: 石藤 真悟
ぽっちゃり女勇者と後の三人誰だよ……の勇者パーティー(壊滅状態)
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やり合おうか? クソ野郎ども?

「……大人しく、わたくしはアルラギアの勇者の物になるしか無いのかしら……」


 もう終わりだと言わんばかりに絶望の表情をする女王様。

 騎士達はそんな女王を励ましているが、騎士達も全員諦めたような表情をしている。


 「軍も国の東側も壊滅状態、そしてオーゼキ殿が戦闘不能の今、わたくし達はもうアルラギア帝国の勇者パーティーに対抗する術はありません……」

 「女王ちゃん……」

 「クソっ! せめてアルラギア帝国の勇者が女神の剣(イーリス・ブレイド)を持って無ければ、何とか出来るのに!」


 女王様もリベッネも騎士達もアルラギア帝国の勇者に勝てないと絶望している。

 だが、俺はそんなのはどうでも良かった。

 とんでもない事を耳にしてしまったから。


 「え……? 皆さんが悪口を言っているアルラギア帝国の勇者って女神の剣持っているんですか?」

 「そうなんです……。何であんな人間のクズに女神の剣が……」


 リベッネは、隠そうともせず露骨に嫌悪感を示す。

 ……まあ、コイツは大関達の事もボロクソに言っていたから話半分で聞いた方が良いか?

 だが、その考えは間違っていたようだ。

 周りの騎士達はリベッネを咎めようとしない。

 むしろ頷いている。


 「アルラギア帝国内でも嫌われているんです。自分が気に入った女性は恋人がいようが人妻だろうが、攫っていくそうで……」

 「年上好きだとの噂を聞いていたのですが、女王様を見るや「年下もたまには悪くねえな……オレ様の子供を産めよ」と要求してくる始末……」

 「しかも、その勇者の仲間も派手な女ばっかりなんですよね。クズにお似合いの女達ですよ。仕えていた国を裏切ってアルラギアの勇者の仲間になった奴らばかりです」

 「……」


 俺は嫌な予感がしていた。

 クズ、女好き(特に年上)、仲間が派手な女ばかり、そして一人称がオレ様。

 一人思い当たる人間がいる。


 「……もしかして、その勇者の名は岸田(きしだ)……じゃなかった……キシダと言いませんか?」

 「お知り合いなんですか!? 勇者様!?」

 「……元の世界で」

 「お間違い無いのですか!? 名字がキシダ、仲間達からはユースケと呼ばれていました! お知り合いなら説得を……」

 「ははっ、それは無理です」


 速攻で俺は女王様の頼みを拒否する。

 説得なんて無理、俺と岸田は犬猿の仲だ。


 そこそこ上の勇者パーティーに振り分けられていたと思っていたのは俺の記憶違いかよ。

 マジで最悪だ。

 岸田が女神の剣を持っている勇者だったとはな。


 何が最悪って、岸田と再会するのもだけど、魔王軍の幹部を誰も倒さずに、また勇者として不適格な奴から女神の剣を奪うハメになるって。

 奪わずに、岸田を勇者のままでいさせるって選択肢は絶対に無いけど。

 大っ嫌いだし、何だったら死んでいてくれねえかなとか願っていたのに生きていやがったのか。


 「あ、あの……勇者様? 目が据わっているんですが大丈夫ですか?」

 「こ、怖い……」


 おっといかんいかん。

 殺意が溢れ出てしまったか。

 リベッネはどうでもいいが、女王様が怖がっているじゃないか。


 「ああ、すいません。ただ皆さんと同じ……いや、それ以上に勇者キシダが俺は嫌いなんですよねえ……」

 「さ、殺意を感じる……こ、怖いよ! リベッネ!」

 「余程、元の世界では仲が悪かったんですね……アタシもビックリしましたよ。優しそうな勇者様でもそんなお顔するんだ……」


 優しい?

 俺のどこをどう見れば優しそうなんて感想が出てくるんだ。

 あ、特に褒める所が見当たら無いって事ね。

 褒める所が見当たらない時に優しそうってよく使いますね~って元の世界で芸能人とかが言ってたし。

 ……つーか、こんな事話している間に岸田とかが来るんじゃ……。

 そんな事を考えていると……。







 ドガーン!!!!!

 

 突如、謎の爆発音と兵士達の悲鳴が聞こえる。


 「こ、これって! 勇者キシダの女神の剣の力じゃ……」

 「今までは、庭荒らしてくし、嫌がらせ目的で城壁を汚すぐらいしかやってこなかったけど……とうとう、実力行使!?」

 「不味いぞ……」

 「どうする? 女王様だけでも逃がすか?」

 「無理に決まっているだろ……」

 「……相手は勇者パーティー勢揃いだ。俺達じゃ……勝てん。逃げる事も無理だ」


 岸田ってそんなに強くなってんのか?

 質も量も酷かったボルチオールの兵士とは違って、それなりに強そうなセトロベイーナの騎士達がこんなに弱気になるなんて。

 ……まあ、丁度良い。

 俺一人で十分だ。

 俺の女神の黒(イーリス・ブラック)とは相性が良いはずだ。


 岸田(クズ)とはな。


 「サンドラさん、メリサさん」

 「……ジンくん?」

 「まさか、一人で……?」


 短い付き合いだけど、サンドラさんもメリサさんも俺の事が分かって来たな。

 その通りです。

 一人で戦ってきます。


 「キシダに見られたら、サンドラさんもメリサさんも攫われますから。二人は、女王様を守ってあげて下さい。後、よろしくお願いします」


 有無は言わせない。

 岸田はそういう奴なんだ。

 サンドラさんもメリサさんも多分あのクズの好みドストライク。

 二人を見たら何をしてくるか分からねえ。


 女王様達の事は二人に任せ、俺は部屋を出た。

 やり合おうじゃねえか、岸田(クソ野郎)

 ここまでご覧いただきありがとうございます。


 カクヨムでは113話まで掲載されているのでそちらもお願いします。


 ※悲しい・キャラや敵にイラッとするお話もあるので一部の話がカクヨムでのみの公開としています。

 ご了承下さい。

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