表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神殺しのレフトオーバーズ~虹の女神(バカ)に召喚された七組の勇者パーティー~  作者: 石藤 真悟
ぽっちゃり女勇者と後の三人誰だよ……の勇者パーティー(壊滅状態)
37/129

ごめん、見捨てるわ

「ボルチオール王国の王は何歳ですか?」

「え? えーと何歳だっけ?」

「五十九歳ですね。来年生誕六十年だということで大きなイベントが計画されていますから」


 親書を見て、厳しい表情をしだした女王様は突然ボルチオールの王様の年齢を聞いてきた。

 サンドラさんが答えられなかった為、メリサさんがあっさり答える。

 すると、女王様の顔が更に厳しい表情になる。


「五十九歳……わたくしより四十歳以上も上ですか。流石にそこまで年の離れた男性に抱かれるというのは、少し抵抗がありますね」

「……」


 女王様の言葉に場の空気が凍り付く。

 親書の中身を少し見ていたサンドラさんは、苦虫を噛み潰したような表情をして黙っている。


 おいおいまさか、ボルチオールの王様はセトロベイーナ王国を助ける見返りとして、女王様の身体を要求しているのか?

 確かに可愛いけど……。

 後、五十九歳の王様と四十歳以上離れてるって事は、女王様は俺より年下確定なのね。


 ……六十歳近い男が未成年に肉体関係を迫るなんて、元の世界じゃ逮捕案件だな。

 だが、女王様は慣れた様子で半ば自嘲しながら笑い始める。


「ラルジュード帝国の王子、アルラギア帝国の勇者からも助けてやるから見返りに結婚して子供を産めと要求されていたので、もう慣れましたね。これで三人目ですか」

「二度あることは三度あるとはよく言ったものですね」

「ボルチオールは、アルラギアみたく嫌がらせをしてこないだけマシかもしれませんね」


 女王様も女王様の護衛をしている騎士達も大して怒った様子ではないので、サンドラさんとメリサさんは驚いていた。

 この二人は、ああ……あのバカ王がやりやがった……みたいな感じで顔が死んでいたから余計驚いたのだろう。

 と思ったのも束の間だった。


「ですが、わたくしは加齢臭の酷い老夫に抱かれる趣味は持っていません。お引き取り下さい」


 親書はビリビリに破られ、女王様は俺達にボルチオールへさっさと帰るように勧める。

 当然だろう。

 こんな要求が通る訳が無い。


 だが、俺はフィスフェレムを倒したいし、大関の持つ女神の剣(イーリス・ブレイド)を手に入れたい。

 なら、手は一つしかない。


「サンドラさん、メリサさん、ここでお別れみたいですね」

「……え?」

「ジ、ジンさん?」


 俺の突然の別れの言葉に、サンドラさんとメリサさんは困惑する。

 女王様やリベッネを含めた護衛の騎士達も俺の言葉に戸惑っていたが。


「ボルチオールの王様に伝えておいて下さい。俺は、ボルチオール王国の新たな勇者になる事を拒否するとね。アンタらに相応しい勇者はケント程度の人間で十分だと。……はい、セトロベイーナ様、これで俺はもうボルチオール王国とは無関係になりました。で、俺は何をすれば?」

「え? ええ……」


 俺があっさりボルチオール王国を見捨てた事に、セトロベイーナの女王様はドン引きしていた。

 だって、俺がボルチオール王国を見捨てて無関係になれば、俺が勝手にセトロベイーナ王国の為にやった事になるからボルチオール王国へお礼をする必要無くなるじゃん。


「そんな事言える訳無いでしょ! だ、第一ジンくんがいなくなったらヴェルディアは!?」

「ジンさん! 考え直して下さい! 女神の剣を失った勇者ケントではどうにもなりません!」

「そうだよ! 困るよ!」


 他国の女王様が見ているという事を忘れ、サンドラさんとメリサさんは必死に俺に懇願する。


 んー……。

 ぶっちゃけ、どうでもいいんだよな。

 ボルチオール王国がヴェルディアに滅ぼされようが。


 確かに、サンドラさんやメリサさん、そしてアイドラさんは俺を助けてくれた。

 だけど、他のファウンテンの人間はどうだった?

 一部例外はいたけど、女神の加護が発動する前は俺をケント達と一緒にバカにしていた連中がほとんど。


 サタン達から助けた時もそうだった。

 お礼を言ってくるどころか、助け方に文句を言ってくる始末。

 ちゃんと家族を助けた礼としてお返しをしてくれた貴族もいたけど。


 王都のカムデンメリーへ行った時も酷かったな。

 あのクソ魔法使い共。

 あんな連中が、兵士にいるってだけで一緒に戦う気が失せる。


 挙句の果てに王は俺を利用してセトロベイーナの女王様を手に入れようとしている上に、王妃は完全にケント達の味方で、虹の教団とかいう闇の深い新興宗教団体の教祖。


 もういい。

 流石に俺も呆れた。

 見捨てるには十分過ぎる。

 助けて貰ったり支援して貰った事を差し引いたとしても、これ以上ボルチオール王国の為に何かしてやろうという気持ちにはならん。

 それに、虹の教団の連中に俺のやった事……イーリスを殺した事がバレれば、ボルチオール王国は俺の敵になる。


 ケントから女神の紫(イーリス・パープル)を奪った以上、もうボルチオール王国に関わる価値は無い。

 俺がこれから関わる事があるとすれば、ヴェルディアを倒しに行く事ぐらいだ。


 あ、そういえば。

 サンドラさんとメリサさんって、ヴェルディアが魔王軍七幹部の中で三番目に強いって知らないのか。

 アイドラさんもケントが七人の勇者の中で最弱って知らなかったし。

 ここまでご覧いただきありがとうございます。


 カクヨムでは112話まで掲載されているのでそちらもお願いします。


 ※悲しい・キャラや敵にイラッとするお話もあるので一部の話がカクヨムでのみの公開としています。

 ご了承下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ