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女神殺しのレフトオーバーズ~虹の女神(バカ)に召喚された七組の勇者パーティー~  作者: 石藤 真悟
ぽっちゃり女勇者と後の三人誰だよ……の勇者パーティー(壊滅状態)
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さっさと行けってか?

 手続きを終えて、関所を越えられたので晴れてセトロベイーナに入国出来たのだが。


「まさか、セトロベイーナ軍所有の馬車に乗せて貰えるなんてね~しかも御者付きに加えて案内してくれる人、護衛もいるなんて」

「乗せて貰えたというよりも、馬車に乗せてやるから、さっさと王都へ行けって感じの態度でしたね。屋根があるので、雨などが降っても大丈夫なのは助かりますが」


 揺れる馬車の中で、サンドラさんとメリサさんは座席に座りながら喋っている。

 その向かい側の座席に座りながら、王様の目的は何なのかを俺は考えていた。


 考えたくもなるだろ。

 セトロベイーナにフィスフェレムがいる。

 そして、セトロベイーナの勇者パーティーは、フィスフェレムの手により壊滅状態になった。


 隊長様が言っていたが、セトロベイーナの勇者はほぼ死んだも同然で、女神の加護、忌避の力を維持する為にセトロベイーナが国を挙げて延命させている状態で、残り三人はフィスフェレムの屋敷から帰って来なかったという事は、フィスフェレム、もしくはフィスフェレムの部下か使役する魔物に殺されたと考えて良いだろう。


 更に隊長様が言っていた事からもう一つ分かった事がある。


(「存在しているだけで魔王軍の進軍を防ぐ女神の加護の事か。だから、ほぼ死んだも同然の勇者を必死に延命させているんだったな」)


 この言葉から分かる事。

 フィスフェレムに壊滅状態にされたセトロベイーナの勇者パーティーは、女神イーリスに選ばれた女神の加護を持つ人間、即ち俺の元クラスメイトという事になる。


 俺に突然、異世界言語理解の女神の加護が発動したのも、セトロベイーナにいた俺の元クラスメイト達が、フィスフェレムに殺されたからだと考えれば合点がいく。


 兵士達に話を聞いていると、元クラスメイト達が殺されたのと俺に女神の加護が発動した時期が一緒みたいだし間違いないな。


 ただ、問題は誰が死んだか。

 死んだ奴によっては俺のパワーアップ度合いも変わるから、出来ればある程度強い連中が死んでいた方が嬉しいんだよな。


 不謹慎だけど、俺が悲しんだからって死んだ連中が生き返る訳じゃない。

 だったら、そんな事を考えたって良いだろ?

 それに、先に俺を見捨てたのはアイツらだ。

 こんな事を考える権利が俺にはあるね。


 アイツとか死んでねえかな、岸田(きしだ)とか。

 二年前だから良く覚えてないけど、イーリスにそこそこ上の勇者パーティーに振り分けられていた気がするんだよ。

 何より大っ嫌いだから死んでいて欲しいと願っている訳だけどな!


「あの……本当にすいません、勇者様。私共の隊長が勝手に話を進めちゃって……」


 俺の左隣に座る女兵士が申し訳無さそうに、上司の暴走とも言える行動を謝罪する。

 うん、可愛いから許しちゃう。

 元の世界だったら、グラビアアイドルとかやってそうな美女に頭下げられるとか何か快感だし。


 ……俺、この世界に来てからなんか性癖がおかしくなってきた気がする。

 あれか?

 ボルチオール王国で奉仕され過ぎたか?


「勇者様~隊長の失礼のお詫びにアタシがイイコトしてあげますね~?」


 そんな左隣の女兵士の低姿勢さとは真逆の右隣。

 同じ女兵士とは思えないな。

 さっきから腕を組んできたり、体をベタベタ触ってくるし。

 巨乳だから許すけど、何故かこの女とは関係を持たない方が良いと思えるので、適当にあしらっている。


「辞めなさい! リベッネ! 素敵な男の人が現れると、そうやってすぐ誘惑しようとして!」

「アタシは、良いオトコを捕まえる為に兵士になったんだから、別に良いでしょ? ……というか、普段文句言わないクセに勇者様相手の時は文句言うなんて現金ね」

「セトロベイーナ王国の兵士の評判に関わるのよ! 一応兵士なんだから自覚を持ちなさい!」


 やっぱりこの右隣の女兵士はそういう女だったのか。

 初対面なのにベタベタ触ってくるから大体察してはいたけど、そりゃ真面目そうな左隣の女兵士は注意するわな。


 でも、だからって俺を挟んで言い争いをするのは辞めてくれ。

 色々考えたいのに、考えが纏まらねえよ。


 とはいえ、しばらくこの言い争いは収まらなそうだな。

 考えるのは辞めだ。

 女兵士達からセトロベイーナの様々な情報を聞こう。


 サンドラさんとメリサさんは、さっきから好きにしたら? という感じで二人だけで喋っていて、完全に俺を無視しているし、俺も勝手にしてやる。


「あの……聞いても良いですか?」

「あ、は……「な~に? 勇者様? 何でも教えてあげちゃいます!」


 左隣の真面目そうな女兵士に聞いたつもりだったのだが、右隣のヤベー女兵士が割って入ってくる。

 ……面倒臭いが、コイツでも良いか。

 流石に自国の勇者パーティーの名前ぐらいは知っているだろ。


「セトロベイーナの勇者パーティーの人達の名前って知っています? 恐らく元の世界でクラ……知り合いだったんですよ」


 この世界の人間にクラスメイトって言ったとしても通じる訳ねえよな。

 知り合いで良いだろ。

 仲良かった奴らかどうか分からねえし。


「勇者オーゼキ、騎士サトー、剣士イトー、回復術士スズキ! これが、セトロベイーナの勇者パーティー全員の名前ですよ! 」

「……」


 やっべ、名前を聞いたのは良いけど誰一人分からねえよ。

 ここまでご覧いただきありがとうございます。


 カクヨムでは112話、第4章まで掲載されているのでそちらもお願いします。


 ※悲しい・キャラや敵にイラッとするお話もあるので一部の話がカクヨムでのみの公開としています。

 ご了承下さい。

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