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女神殺しのレフトオーバーズ~虹の女神(バカ)に召喚された七組の勇者パーティー~  作者: 石藤 真悟
ぽっちゃり女勇者と後の三人誰だよ……の勇者パーティー(壊滅状態)
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連帯責任

「あ、あちゃ~。グレイスさんが用意してくれた馬車の中で吐いたのは不味かったかも……」


 貴族様が用意してくれた特注の馬車の為、昼ぐらいにはファウンテンに着くことが出来た。

 今は、ロジャース邸の前にいる。

 ……が、その特注の馬車にサンドラさんが吐いたので座席などが汚れてしまった。


 勿論、俺達が拭いたりしたからパッと見はキレイだよ?

 でも、いくら美人とはいえ人間が吐いた物、所謂吐瀉物が掛かったんだから、菌とかね。


 後、単純に馬車の中が臭くなった。

 窓を開けて換気したりしたけど、全部は臭いが取れなかった。

 特に、酸っぱい臭いが……。


「……仕方ない。メイドに頼もう」

「このままでは、グレイス様にお返し出来ませんからね……」


 サンドラさんとメリサさんは、掃除のメイドを呼びにロジャース邸へと入っていった。

 俺は馬車の御者に、待たせて申し訳無いと数少ない所持金から金貨一枚をお詫びとしてあげた。


 御者の男は、良いんですかい? と言っていたが、迷惑を掛けたのはこっちだ。

 言葉だけじゃ足りないだろ。


 十分程すると掃除道具を持ったメイドとメリサさんが来たので、馬車の掃除は任せて俺もロジャース邸へと入っていく。



 ◇



「失礼します。……って、サ、サンドラさん?」


 アイドラさんが待つ、アイドラさんの仕事部屋の中に入るとサンドラさんが正座をさせられていた。


「あら、ジンさんお疲れ様。王にセトロベイーナの女王へ親書を渡すように頼まれたみたいですね。是非、サンドラを好きなように使って下さい」


 笑いながらアイドラさんは俺に労いの言葉を掛けてくれたのが、アイドラさんの目は全く笑っていない。

 余程、サンドラさんに怒っているみたいだ。

 ……好きなように使えって。


「ちょっと!? 好きなように使えって酷くない!? というかママも王様への報告書に私が泥酔していた事なんて書かないでよ!」

「事実を書いただけよ。あなたは魔法と剣技の実力があって、カムデンメリーにいた時に兵士として実績があったから、この街での醜態が許されているということにいい加減気付きなさい。そろそろ、新しい実績作らないと実績より醜態の方が上回るわよ?」

「うぐっ……」


 相変わらずアイドラさんはサンドラさんに対してストレートに物を言うな。

 全くオブラートに包まない。

 良い年(二十五歳)なのに懲りずにお酒で醜態を晒しまくるサンドラさんもサンドラさんだが。


「もういいわ。馬車の掃除はメイドに任せて、メリサを連れて早速セトロベイーナへ行ってきなさい。これは街長命令よ」

「え!? 一日くらい休ませてくれないの!? ジンくんだって疲れているよ!」

「疲れているなら、メリサに回復魔法でも掛けて貰いなさい。ほら、さっさと行く。ジンさんよろしくお願いします。私は、仕事がありますので」


 そう言って、アイドラさんは忙しそうに部屋を出ていった。

 街の長だから仕方ないか。


 ……だけどさ。

 サンドラさんへの罰に俺も巻き込まれているよね?

 あれですか、連帯責任ってやつですか。

 大して準備もしてないのに、さっさとセトロベイーナへ行けって罰以外でも何でもないだろ。


「さ、最悪……。しばらく飲めなくなるから、夜に飲み溜めしようとしたのに……」


 すぐにセトロベイーナに行けと言われたのが誤算だったのか頭を抱えるサンドラさん。

 いや、反省してくれ。




 ◇




 俺達三人は、ファウンテンの街を離れて、街近くの原っぱから、ケルベロスのいた洞窟へと入り、洞窟を進んでいた。


 俺がケルベロスを倒したのは、本当に洞窟付近だったので、外の光が入ってきていた為、ケルベロス討伐には灯りが必要なかったが、奥に進めば当然真っ暗なので、灯りが必要になる。


 そこで、メリサさんの出番な訳だ。

 光の魔法を使える為、真っ暗な所でも進めるように灯りを作り出してくれる。

 サンドラさんも光の魔法を使えるらしいが、あくまで攻撃魔法なので、灯りにするのは無理らしい。


「ねえ、メリサ。セトロベイーナってここの洞窟進めば着くっけ? 森か山を通るのかは忘れたけど、少なくともセトロベイーナへ行くのに、ここの洞窟は通らなかったはずだけど?」

「それはケルベロスがいるから通るなって、言われていただけです。ここの洞窟を通った方が森を通らなくて良い分、近道になるんですよ」

「森通らなくて良いのは楽だなあ……出てくるモンスターがそこそこ強いし、盗賊は出るしで」


 サンドラさんがセトロベイーナへの道のりは厳しくて、そこら辺の王族や貴族だと死ぬって言ってたのはそういう訳か。

 セトロベイーナへ行く為に通る森が、そこそこ強いモンスターや盗賊が出てくるって言うんなら納得だ。


 こんな事は言いたくないが、この世界の兵士があの程度の強さでしかないのに、戦場に立つ事の無い王族や貴族が大して強いとは思えないし。


 ……でも、そう考えるとケント達をセトロベイーナに行かせようとしていたって、この国の王様も案外見る目無いのか?

 ……他の国次第だが、ボルチオール王国を見限る時が来るかもな。


 そんな事を考えながら、サンドラさんとメリサさんと共に洞窟を進む。

 ここまでご覧いただきありがとうございます。


 カクヨムでは111話、第4章まで掲載されているのでそちらもお願いします。


 ※悲しい・キャラや敵にイラッとするお話もあるので一部の話がカクヨムでのみの公開としています。

 ご了承下さい。

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