表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神殺しのレフトオーバーズ~虹の女神(バカ)に召喚された七組の勇者パーティー~  作者: 石藤 真悟
勇者となった女友達と元カノもいる勇者パーティー(有象無象)
127/129

静観すれば西の隣国(ボルチオール)は終わる

 「ジ、ジン様? 何かの見間違い……というわけではないのですか? リベッネを始めとしたセトロベイーナ軍の兵士の戦死体は、国が責任を持って火葬したはずです。丁度今、責任者もいます。アンセル」

 「はっ……」


 女王様は、俺から伝えられた事実に動揺しながらも、そんなことがあるはずないと思ったのか、アンセルという名前の責任者である、中年のおっさんを呼ぶ。


 「アンセル? ちゃんと、全員火葬したのよね?」

 「もちろんでございます女王様。責任者である私が、しっかり確認致しました。失礼ではありますが……勇者様の見間違いでしょう」

 「見間違いだったら、どんなに良かったか。リベッネの死体は、魔王軍幹部のネグレリアに利用されていましたよ」

 「そんなことは、あり得ません! 私はこの目で確認したんです!」


 確認ねえ。

 あの量の死体が無くなっていることに、気付いていないのに、この目で確認しました! かよ。

 だとしたら、その目は節穴過ぎるだろ。


 まあ……もしかしたら、この人が確認作業を行った後に、虹の教団の信者や関係者が死体を運び出したのかもしれないから、節穴と決め付けるのは失礼か。


 それならもう、全部話すか。

 ここまで話してしまえば、この世界に数百万人いるという、虹の教団の信者を敵に回すことになるから避けたかったんだけど……仕方ない。

 


 「……リベッネだけじゃないですよ。藍色の鎧を着た兵士の死体も多くありました。本当に確認したんですか? あなた?」

 「だから! 見間違いです! それとも、私達が仲間の戦死体を売ったというのですか!? セトロベイーナの人間に、そんな非道な人間はいません!」

 「……非道なのは、虹の教団の奴らですよ。セトロベイーナ軍は疑っていません。なんせ、ネグレリア城にあった死体の山の中には、俺が知っている限りの国だけでも、ボルチオール、セトロベイーナ、アルレイユ、ロールクワイフの兵士の死体がありましたからね。他にも俺が知らないだけで、色々な国の兵士や民間人の死体があったんじゃないですか? なあ? レミ?」

 「そうですね。私も見ました。アルレイユ公国……しかも、ネグレリアの城はこの国と隣接した街にあったのに、何故青の鎧を着た兵士の戦死体……つまり、ロールクワイフ共和国の兵士の戦死体があるのか不思議だったんです」


 俺と麗翠(れみ)から告げられた全てに、護衛の騎士達や執事やメイドは騒がずにいられなかったようだ。

 適当なことを言うな! という人間もいれば、ちゃんと確かめれば分かるはず! もう一度確認しよう! という人間もいる。


 「ジン様……それが本当なら、虹の教団の本部があり、王妃が教祖を務めている隣国、ボルチオール王国にわたくしは、確認をさせて貰わなければなりません」

 「お辞め下さい、女王様! ただでさえ、ボルチオール王国とは、親書の件で仲が険悪になっていると聞いております!」

 「……アンセル? 普段王都にいないあなたが何故それを?」

 「街の領主である私なら、そのくらいのことは耳に入ってきます! フィスフェレムもネグレリアもいなくなった今、私達が警戒すべきで回避すべきことは、他国との戦争なのです! 火種になるようなことは、お辞め下さい!」

 「そうですよ、女王様。それに今のボルチオール王国、それどころじゃないんで」


 危ない危ない、止めないと。

 今のボルチオール王国に関わるなんてことをしたら、セトロベイーナ王国までとんでもないことになるよ。


 「何故ですか? そんなことを聞かされて、黙っていられません! 抗議の一つでも……」

 「アルラギア帝国の次のターゲット、ボルチオール王国ですよ。しかも、俺より強い……シンドーというイーリスに選ばれた勇者も、ボルチオール王国をターゲットにしています。な、二人とも?」


 女王様の言葉を遮って、今のボルチオール王国がどういう状況なのか伝える。

 この件に関しては俺だけじゃなく、麗翠も国分(こくぶん)もロールクワイフ共和国で、アルラギア帝国の王女から聞かされているからな。


 「間違いありませんわ、女王様。現在のロールクワイフ共和国の実質トップである、アルラギア帝国第二王女、オリヴェイラ・アルラギアが話していた情報です」

 「私もその場で聞きました」


 二人は、女王様に本当だと言いながら、小声で「……シンドー?」と呟いていた。

 ごめんね、神堂(しんどう)岸田(きしだ)をどうしても戦わせたかったから、黙っていたの。

 後で謝るから、今そこはスルーして。


 「アルラギア帝国が、ボルチオール王国侵略に乗り出して、しかもジン様より強い勇者もボルチオール王国をターゲットにしているのですか!? そ、それではボルチオール王国は二人の勇者に狙われていることに!?」

 「そうなりますね。もう一人の勇者シンドーは虹の教団に、仲間の死体をネグレリアに売られたみたいで……。ここは、静観しましょう。放っておけば、ボルチオール王国も虹の教団も壊滅状態になりますから」

 「……わたくしが、リベッネの死を引きずっている間に、他国は動いていたのですね……あっ、ヴェルディア討伐は?」

 「多分、虹の教団を壊滅状態にするついでに、勇者シンドーが討伐しますよ。俺達は出来ることをやりましょう」


 その後、俺達と女王様はこの後の方針などを話し合い、順調に終わった。

 一つだけ不審な点があるとすれば。

 アンセルという中年のおっさんの顔が、青ざめていたことぐらいだ。

 ここまでご覧いただきありがとうございます。


 カクヨムでは129話まで掲載されているのでそちらもお願いします。


 ※悲しい・キャラや敵にイラッとするお話もあるので一部の話がカクヨムでのみの公開としています。

 ご了承下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ