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女神殺しのレフトオーバーズ~虹の女神(バカ)に召喚された七組の勇者パーティー~  作者: 石藤 真悟
勇者となった女友達と元カノもいる勇者パーティー(有象無象)
126/129

あまりにも辛過ぎる事実

 「お久しぶりです、ジン様」


 案内の執事に連れられた部屋に俺達三人が入ると、女王様のセトロベイーナ三世が、笑顔で出迎えてくれた。

 へえ……この部屋が本来女王様が謁見するための部屋か……。


 初めて女王様と会った時の客間と違って、豪華絢爛で護衛の騎士やメイドに執事も、十分なくらいの人数がいる。

 流石、女王様の部屋って感じだな。

 ……残念なことに、初めて会った時と同じぐらい、女王様は今も落ち込んでるけど。


 「……あ、そちらのお二方は?」

 「俺が元の世界にいた頃の仲間……つまり、女神の加護を持った人間です。一人は、テラハラの代わりに新しくこの国を守るので、よろしくお願いします」

 「女王様、始めまして。わたくしは、コクブンと申します。どうぞよろしくお願いします」

 「レ、レミです。私は主にジンのサポート役をします。よろしくお願いします」

 「お二方とも、これからセトロベイーナ王国をお願いします。……あ、いけない。ジン様、魔王軍幹部ネグレリアの討伐、お疲れ様でした。セトロベイーナ王国女王として、お礼を申し上げます。ジェノニアを救って頂き、本当にありがとうございました」

 「いえ、ネグレリアに関しては、俺一人の力じゃないですから。レミの協力があってこそです」

 「まあ……そうだったんですか。レミさん、ネグレリア討伐本当にありがとうございました」

 「いえ……ほとんどジンのおかけですから……私なんて……」

 「…………」


 女王様が、作り笑い……無理矢理なんとか笑っているのを俺達三人は知っているためか、俺達まで女王様につられて、引きつった笑顔になってしまう。

 辛いだろうに……気丈に振る舞って……これが俺達より年下の女の子なんだぜ?


 本当に、立派な女王様だよ。

 残念なことに、これから女王様を悲しませて、更に辛くさせるような事実を話すことになるんだけどな。

 まずは、鈴木(すずき)桃奈(ももな)の方から話すか。


 「あの……女王様、今日はネグレリア討伐報告と二人の紹介の他に、アルレイユ公国とロールクワイフ共和国。この二つの国で得た情報や決まったことを報告しに来ました。……その、女王様だけでなく護衛の皆さんや執事やメイドさん達も、今からする話は大変辛いお話もあるので、落ち着いて聞いてください」

 「大丈夫です。フィスフェレムがこの国で暴れていた頃の辛さに比べれば、どんな話でも耐えられます」

 「あ……じゃあ、まず……回復術士のスズキっていましたよね? アイツ、アルラギア帝国に寝返ってました。しかも、セトロベイーナ王国がフィスフェレムの手で、壊滅状態だったことを喋ってたみたい……」

 「何だと!? あの、役立たずが!?」

 「アルラギア帝国に寝返っていた!?」

 「許せん! 情報を流していたのか!」


 ザワザワザワ……ガヤガヤガヤ……。

 ……そりゃ、落ち着いて聞いてくれって言っても、無理だよな。

 死んだと思っていた人間が、実は生きててしかも裏切ってました。

 なんて話を聞いて黙っていられるわけがない。


 「落ち着いて話を聞きなさいと言ったでしょう! ……ジン様、それは本当ですか?」

 「ええ……回復術士のスズキと呼ばれる女と言ってましたからね。スズキ・モモナとみて間違いないでしょう。……しかし、アルラギア帝国でもやらかしたみたいで、信用を失っているようです」

 「へっ! ざまあねえな!」

 「いい気味だぜ!」

 「落ち着いて聞きなさいと言っているでしょう! 追い出すわよ!」


 嫌われすぎだろ……鈴木桃奈。

 無能で役立たずだったくせに裏切った奴だから、しょうがないと言えばしょうがないんだけどさ。

 アルラギア帝国でもやらかしたって話をした瞬間、護衛の騎士達がみんな喜ぶって……。


 「あ、あー……それでなんですが。今、捕虜にしているテラハラがいるじゃないですか? 実はロールクワイフ共和国で、アルラギア帝国の王女と会ったんですけど、遠回しにスズキと交換してくれないかと言われまして……もちろん、セトロベイーナ王国には得になるよう、俺とレミが交渉してきます」

 「テラハラと交換ですか……」

 「もちろん、不満があるのは分かっています。ですので、スズキの女神の加護は俺が女神の黒(イーリス・ブラック)で奪っておきます。その気になれば、皆さんが彼女を処刑出来る状態にしておくのをお約束します……この条件でどうでしょう?」

 「この中に、ジン様のご提案に反対という人間は……いないみたいですね。分かりました。テラハラとスズキの交換を認めましょう」

 「ありがとうございます。女王様」


 よしよしよし。

 ここまでは順調だ。

 特に問題なく、伝えたいことやお願いしたいことが上手く伝えられた。

 さて……最後にして、一番の問題を伝えるか。


 「あの、もう一つあるんですが。この国って、虹の教団の信者ってどのくらいいるんですか?」

 「……虹の教団ですか? どのくらい……詳しくは知りませんが、数万人ぐらいかと。……それがどうかしましたか?」


 言うしかないんだ。

 ああ……胃が痛い。

 でも、言うしかないんだ。


 「実は、虹の教団がネグレリアに人間の死体を売って、金に変えていたみたいなんです。……そして、その中にはリベッネの死体もありました」

 「……えっ」


 ああ……やっぱりダメだったか。

 部屋の空気が、一気に変わってしまった。

 ここまでご覧いただきありがとうございます。


 カクヨムでは129話まで掲載されているのでそちらもお願いします。


 ※悲しい・キャラや敵にイラッとするお話もあるので一部の話がカクヨムでのみの公開としています。

 ご了承下さい。

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