表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
93/321

第93話 試験運用武器

 食事しながらの話は続く。それぞれの席は程よい距離のため、隣りくらいなら普通の声量で話せるが、その隣や向かいの席だとちょっと声を張る必要がある。


 それに、さっきまでは俺たちの話を他のみんなも聞いてたから静かだったけど、今はそれぞれ近場の人と話しているからザワザワしている。だから意識して聞き耳を立てないと話の内容がよく分からない。


 まあ、食べることに集中するぜ。次々運ばれてくるからね。


 それにしても妙だな。ガウェインとベロニカに渡す試験運用とやらのトランサイト武器、槍と弓か。コーネイン商会ならずとも、ロンベルク商会でトランサス合金くらい準備できるはず。せっかく俺がここにいるんだから、近くの店舗からちょいちょいっと持って来ればいいのに。


 ミランダが伯爵からそういう指示を受けているのだろうか、コーネイン商会からしか出してはいけないと。まあ、俺がコーネインの職人だからそうなるのかな。


 だったら今日一緒に持って来ればよかったのに。わざわざメルキースに帰ってから商会の人に持って来させるって、ちょっと勿体ぶり過ぎだよ。まあ、ガウェインとベロニカが不要と言う展開もあったかもしれないが。


 でもそれならそれで黙って持って帰ればいいだけのこと。ミランダくらいならその程度想定して準備できるのに、何でわざと手間かける方法を取るのだろう。少しでも早くトランサイトを手にしてもらって、村の安全に寄与してほしいのに。ドラゴンだってウロついているんだ。


「商会長、今日の共鳴披露は不要ですか」

「予定にはないぞ」

「先程の試験運用武器、いち早く渡す案があるのですが」

「ウチは持ってきていない」

「商会は町中にありますよね」

「……リオン、ウチで作った武器は貸与だが、別の商会製作を加工すると一時的な業務提携となる。扱いが全然違うのだぞ」

「あ」


 そっか、所有者が違うからややこしいことになるのか。


「だが言わんとしていることは分かる……いいだろう、お前の案を採用してやる」

「え、いいの」

「ロンベルク商会長、1つ提案がある」

「何でしょうか、コーネイン商会長」

「先程、トランサイト試験運用武器を2本用意することになったが、メルキースの本店から持って来させると夕方になってしまう。しかしそれより早く渡す方法がある」

「はあ……?」


 オフェリアが少し首をかしげる。


「近くのロンベルク商会店舗にトランサス合金の在庫があり、リオンがここにいる間に持って来てくれれば、この場でトランサイトへ加工できる」

「何ですって! もちろん在庫はあるけど、トランサイトに変わってもウチの所有のままよ、構わないの?」

「構わない。加工費用さえ払ってくれれば」

「おいくら?」

「1本500万だ」

「!? 桁を間違えていませんか?」

「いいや、500万だ。ただしその2本に限る」

「父上! 急用ができましたわ! すぐ戻ります!」


 オフェリアはそう叫び出て行った。


「なんと……娘のオフェリアが大変失礼をした、代わって詫びる」

「いいえ、子爵、失礼などありません。ロンベルク商会長は大事な用事で出ていかれました。その用事を作ったのは私です」

「コーネイン夫人が?」

「私の不手際でトランサイト武器の提供が遅れましたが、それを直ぐ対応して下さっているのです。ロンベルク商会長には感謝します」

「そうか、それならいいのだが」


 あれ? もしかして本当に忘れてたのか。


「商会長、馬車に載せてないのはワザとじゃないの?」

「……そこまで気が回らなかった」

「あらら」


 ミランダも段取りを間違うことあるのか。まあ、色々忙しいからね。


「どうした」

「ああ、いや大丈夫だよ、父さん。それに後で分かる」

「……そうか」


 コーネイン商会から持ってくるのが変更になった経緯も説明すると面倒だ。ここは後回しで。


「ところで子爵、俺がコルホルの領主になると、カルニンとサガルトはどうなるのでしょうか。村が出来た順番では向こうが先です。人口の差を考えるとこちらが先なのは違和感を感じるでしょう」

「うむ、クラウスよ、よいところに気づいた。いかにも村の人口で言えばカルニンとサガルトはコルホルの倍以上だ。従って本来なら向こうが先に新たな領主を設けることになる。それも少し前から話はあってだな、ただしかし少し揉めておるのだ。まあそれもコルホルの件で話が進むだろう」


 ほほー、そっか。確かにあっちの方が人口多いから本当は先だよな。でも揉めてるって、どうしたんだろう。


「カルニンはフローテン子爵の次男、サガルトはバイエンス子爵の次男で話が進んでいると聞きましたが」

「いかにも、コーネイン夫人、その認識で合っている。現領主の次男が引き継ぐ前提で、村の領主となったのだからな」

「えっ、それでは、本来コルホルはガウェイン部隊長が領主となるはずだったのですか」

「クラウス、気にすることはない。俺なぞよりあなたが適任なのは皆が納得することだ。そもそも俺はそういうのは向いていない」


 あらー、そうだったのか。何だか割って入った気がするが、本人の意見では気にしてない模様。


「クラウスよ、領主というのはな、住人に慕われていなければならない、まあ当然のことだが。ガウェインは森の奥地で日々魔物と戦っているが、その存在を知る住人は少ないだろう。防衛部隊の方が接する機会は多いからな」

「子爵、だからと言って我々防衛部隊が慕われているとは限りません。森の奥地で戦っている討伐部隊の存在は、多くの住人が知っております。その部隊長が領主となることは、皆が歓迎することでしょう」

「そうかもしれんが、今となってはもうよい。クラウスこそ、コルホルの領主に相応しいからな」


 まあ森の奥にいると顔を見ないからね。でも討伐部隊のお陰で村が守られているのは、皆ぼんやりとでも頭にあるのは間違いない。具体的に何をしているか知らないだけで。ただちょっと損な気もするね、一番危険な環境で頑張っているのに顔を知られてないなんて。


「それでだ、カルニンでは防衛部隊の活躍が最も支持されている。幾度となく村を魔物から救ったからな。従って現防衛部隊長を領主にと推す声が多い。次点で討伐部隊長なのだ。商会の次男なぞが突然上に立たれても、住人の支持は得られんだろう」

「北部防衛部隊長と言えばデルクセン男爵の長男ですか」

「うむ、しかし彼が領主となるとデルクセンの次期領主が男爵次男となる。デルクセンとカルニン、隣接する地域を兄弟で治めるのなら、ユンカース家で統一し、デルクセン子爵となってはという意見もある」


 ほほー、なるほど。コルホルで言うとメルキース男爵が子爵となってコルホル含めて統治するもんか。分かりやすくはなるな。


「ただそうするとフローテン子爵の面目が立たん。伯爵は子爵寄りの考えゆえ、予定通り子爵の次男が領主となるだろうが、その後の統治にどう影響するかは分からん」

「税金が上がるのではという噂も耳にしますね」

「そうなのだコーネイン夫人、どうもルーベンス商会は経営が良くない噂もある。それを税収で補填し立て直すつもりなのではとな。無論、トランサイトはそんな中で救世主だ。あれでうまくいけば、増税せずとも十分健全化出来るであろう」


 あらら、ルーベンスはちょっとピンチなのか。割と込み入った話だぞ、噂レベルとは言えいいのかな、こんなところで話して。


「それからサガルト村、向こうも現領主のバイエンス子爵次男が引き継ぐ予定だが、知っての通り、バイエンス子爵は伯爵第一婦人の次男。それではあまりにも、ゼイルディク広きに渡って伯爵家の影響が大きすぎるのではと、貴族や各ギルド幹部間でも意見が出ておるのだ」

「サガルトの防衛部隊長はクランツ男爵の次男、討伐部隊長は次女の夫ですね。次女とは舞踏会でもよく話します、彼女も私と同じく騎士ですから」

「カサンドラは次女と仲がいいな。それでカルニンと同じく住人に人気があるのはその2人だ。バイエンス子爵の次男は遊びまわっておると聞く。本人も領主となる気はないであろう」


 え、遊びまわってるって、何してるんだろう。真面目に仕事してないのかな。そんな奴が領主になるのは嫌だなー。


「ただ、サガルトとクランツもクランツ男爵家で引き継ぐならクランツ子爵となり、サガルト含めてガイスラー家で統治という話も出てくる。まあバイエンス子爵、そして伯爵がそれをどう思うかは分からんがな」

「いやはや、中々に難しいものですね。俺が貴族になってうまくやっていけるか心配です」

「はっはっは、クラウス、案ずることは無いぞ。ワシやメルキース男爵はお前の味方だ、伯爵も後ろ盾となっておる。コルホルの未来は明るいぞ」


 それは頼もしいけど、どこかの反感を買いながら暮らすのは辛いと言いたいんじゃないかな。まあ、貴族となれば多かれ少なかれ避けては通れないだろうけど。それもトランサイト男爵なんだ、影響力が大きいだけにね。


「戻りました!」


 扉が開きオフェリアが声を上げ入って来る。皆、一斉に視線を移した。彼女はそのまま子爵の近くへ行き耳打ちをする。


「なんと、そうであったか! では別室へ向かった時に頼む」


 オフェリアが席へ戻るとミランダに告げた。


「トランサス合金の槍と弓、用意しました。この後お願いします」

「分かった。リオン頼むぞ」

「はい」


 息の上がったオフェリアはワインを口へ近づける。ゆっくりと飲み干すと少し落ち着いたようだ。大急ぎで行ってきてくれたんだね。手間かけちゃったな。


「さあ、デザートを食したら別室へ移動してくれ。(せわ)しなくてすまんな」


 いやー、食事は美味しかった。さすが子爵家の料理人だね。皆、デザートをぺろりと平らげ、ゆっくりワインを楽しむ。ほどなくして子爵が席を立つと、皆合わせたように続いた。


 子爵たちについて玄関ホールへ。そこから2階へ続く幅の広い階段を上がった。その階段はホールの左右から伸び、ゆるやかな曲線を描きながら上に続いている。手摺りの柱の装飾は豪華で輝いていた。玄関入ると目につくからね、気合い入れてるのだろう。


 階段を上がり切って直ぐの扉が開かれる。20畳ほどか、何本か太い柱のある広間だ。その中央には、半径2mほどの円卓と、その周りに豪華な椅子が並べられている。おー、伯爵の城でもこういうのあったな。重要な会議をする専用の部屋なのだろう。


「リオン様はこちらです」


 使用人に案内された椅子に座る。それをミランダが机へ押し込んでくれた。


「さてでは、そななたちに授与する内容を読み上げる」


 子爵は丸めた紙を広げた。


「統一暦2298年5月14日15時、南アーレンツへAランク魔物サラマンダーが下り立つ。その強大な魔物へ勇敢に立ち向かい、見事勝利を納めた功績は大いに称えられる。よってアーレンツ勲章を受け取るに相応しい」


 なんだか賞状みたいだな。


「アーレンツ勲章並びに副賞を受け取る者、

 クラウス・ノルデン  副賞:1000万ディル

 ソフィーナ・ノルデン 副賞:サラマンダー翼爪(よくそう)の弓

 リオン・ノルデン   副賞:50万ディル

 ミランダ・コーネイン 副賞:300万ディル

 以上。


 統一暦2298年5月18日

 ランスロット・ロンベルク・カウン・アーレンツ」


 読み上げると子爵は隣りのトリスタンへ紙を渡す。トリスタンは立ち上がりクラウスへ近づき、それを見たクラウスは席を立つ。


「誠に見事であった。受け取れ」

「ありがとうございます」


 クラウスは紙を両手で受け取り席に着いた。


 俺の副賞は50万か。立っていただけで50万は高いはずだけど他と比べるとそうでもない。よく分かんないや。


「本来なら1名ずつ用意するものだが、目録ゆえまとめたことを容赦いただきたい。もちろん勲章は1人ずつ用意する。授与者にはコーネイン夫人を最後に記してあるが、クラウスが止めを刺し、その家族を先に綴ったためそうなった」

「功績で言えば当然です」

「ソフィーナの副賞は当初現金であったが、コーネイン夫人の強い意向により品の提供を受けた。現金は今日中に振り込むが、武器はコーネイン商会より受け取ってくれ」

「はい」


 ソフィーナは返事をする。サラマンダーの弓がいくらになるか分からないけど、本来貰うはずだった現金より、価値は遥かに上だろう。


「勲章は後日アーレンツにて授与式を催す。その目録は勲章と副賞の受け取りが終わるまで大事に保管してくれ」

「では私が預かろう」

「頼む」


 クラウスはミランダへ紙を渡した。やっぱり授与式があるのね。一緒に戦った騎士たちも来るんだろうな。


 目録を受け取るだけなら食事の席でもと思ったが、こうやってちゃんとする方がそれらしいね。こういうのは雰囲気や気持ちの部分が大きい。まあ、この後の共鳴を披露も、あの場ではやり辛いから丁度良かったけど。


「さて、ではオフェリア、トランサイトの件を頼めるか」

「分かりました」


 オフェリアは席を立ち近くに置いてあった弓を持つ。


「ガウェインとベロニカに支給する試験運用のトランサイトですが、コーネイン商会長の計らいにより、ロンベルク商会の品で対応することに急遽決まりました」

「なに!? ではその武器がトランサイトなのか」

「いいえ、ガウェイン、これはトランサス合金です。今からこの場で職人リオンの手によりトランサイトへと変化いたします」

「おおおっ!」

「ではアレクシス、鑑定を。合金の情報のみで構いません」

「は、はい」


 オフェリアがテーブルに弓を。使用人が槍を置く。


「……2本ともトランサス合金です」

「では、コーネイン商会長」

「うむ、リオン頼む」

「はい」


 俺の座っている椅子をミランダが引き、ぴょん、と飛び降りる。そしてテーブルから離れた。


「商会長、まず槍をお願いします」

「分かった」


 ミランダが槍を手に取り俺に渡す。椅子を引いたり、武器を持って来たり、職人と商会長の関係性とは思えんな。


 身体強化して構える。


「いきます!」


 キイイィン


「ほう、集中が異常に早いな、子供とは思えん」

「ほんとだ、大人と変わらないよ」

「これは逸材だぞ」


 ガウェイン、ベロニカ、カサンドラが声を上げる。やはり騎士はそういうところに意識が行くね。


 キイイィィーーン


「現在50%」

「早い!」

「共鳴が得意な騎士と変わらないじゃないか」

「何なの、この子は」


 キュイイイィィィーーーン


「!?」

「え!」

「まだ上がるのか」


 キュイイイイィィィーーーン


「現在100%」

「なんと!」

「そんな共鳴率聞いたことないよ」

「……これは驚いた」


 ふっふっふ、これからが本番だぜ!


「これより100%を超えます。恐らく120~130%辺りでトランサイトへと変化しますので、穂身を注意してご覧ください」

「は!? 100%を超えるだと」

「そんなこと出来るの」


 いくぜ!


 ギュイイイイィィィーーーン


「110%!」

「おおおおっ!」

「これは凄い!」

「こんな光見たことないわ!」

「120%、125%、130%……」


 きた!


「今! あれか!」

「一瞬にして穂身の質が変わった」

「よく分かったわ」


 シュウウウウゥゥゥーーーン


「ふーっ、鑑定をお願いします」


 椅子に座ってミランダが押す。構えていたが仕返しも囁きも無いようだ。

 アレクシスがテーブルに置かれた穂身を見つめ唇が震えだす。


「ト、トト、トランサイト、合金」

「おおおっ!」

「ほんとに変わってる!」

「これが幻の素材か!」


 子爵も声を上げた。やっぱり最初はみんな驚いてくれるのよね。たまにはこれを味わいたいのさ。工房で黙々と生産してるとトランサイトの価値が分からなくなるから。誰しもが認める貴重な鉱物と再確認できたよ。


「握っていいか、父上」

「うむ」


 ガウェインは槍を持ち共鳴させた。


「ほう、トランサスと変わらない感じだ。魔素伸槍というのは11%を超えると発動で、共鳴率×15の穂身の長さと言っていたな、ミランダ副部隊長」

「その通りだ。突いた時にのみ伸び、槍が止まると消える。属性も乗るぞ」

「父上、下で試していいか」

「ああ、行け」

「皆、失礼する」


 ガウェインは出て行った。はは、目が輝いていたぞ。嬉しそうで何より。


「あと10分ほど休憩すれば弓に取り掛かれます」

「なんと、その様な間隔で生産できるのか」

「はい、剣なら更に短い間隔で可能です」


 あっ、チラッとミランダを見る。特に機嫌を損ねていないようだ。あんまりサクサク作れることを前面に出すのはよく思ってないみたいだからね。


「オフェリア、明日、どこへ情報を伝える」

「ウィルムに3件、カルカリアに1件、面会を予定してます。どこも恐らく100億以上の値がつくかと。ロムステルとレリスタットへも昨日から向かわせています」

「そうか、コーネイン商会長はどうか」

「詳しくは言えませんが同じように考えています」

「もし重なっては手間だ、ここは振り分けようではないか」

「……そうですね」


 む、もう買い手に話を持っていくのか。明日は情報解禁の日ということなんだね。コーネイン商会はもちろんだけど、ロンベルク商会もほぼ間違いなく取り扱い商会に入るから、先に話をつけておくのか。


 これ、あとはブラームス、ラウリーン、ルーベンスだったかな。議会でどうなるか分からないけど、5つの商会が最初の取り扱いを許可されるなら、買い手が被らないようにしないと。


 ただ、うまく話合いできる気がしないぞ。繋がりの強いコーネインとロンベルクですら怪しいもんな。結局はどれだけ先に売買契約できるかの競争か。最初は単価が大きいから高値が期待できる相手は譲りたくないのが本音だろうし。


 これは荒れるな、色々と。いやー、怖い怖い。後々わだかまりが残らないことを祈るよ。


「そろそろいいか、リオン」

「あ、はい!」


 テーブルから弓を取り構える。もう1回は見せたからゆっくりじゃなくていいよね。


 ギュイイイイィィィィーーーーン


「ふーっ、終わりました」

「えー!」

「弓は早いな!」

「何と言う魔力操作だ……」

「父上!」

「うむ、ああいや、待て、鑑定だ」


 ベロニカが弓を持ち出そうとしたところを子爵が止め、アレクシスが鑑定する。


「トランサイト合金!」

「おおおっ!」

「もう2本目か!」

「なんてこと……」

「ミランダ副部隊長、弓の特殊は速度増加でしたよね」

「ベロニカ副部隊長、その通りだ。共鳴率×10となる」

「では、30%で3倍の速さで合ってますか」

「合っている」

「いやはや……父上!」

「おお、行ってこい!」


 ベロニカはニンマリしながら部屋を出て行った。ふふ、試すのね。


「あなた、これは本当に素晴らしい事ね」

「うむ、リオンは宝だ。莫大な富を呼ぶぞ」

「ではノルデンご一家、出発予定時刻まで庭園をご覧あれ」

「そうだったな、トリスタン。リオンよ、孫娘たちと一緒に見て回るとよい」

「は、はい」

「子供たちの待つ部屋に案内しよう」


 トリスタンについて部屋へを出る。5人の女子たちが待っているのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ