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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
56/321

第56話 強化と変化

 階段を下りて店を出た。


「いい方向に進むだってさ、よかったなリオン」

「うん、やっぱり貴族に任せるのが安心だね」

「しかし護衛か、お前も立派になったもんだな」

「はは、何だかむず痒いよ」

「この村の治安はとてもいい、本来必要ないのだが」

「あっ、俺の見張りか」

「それも兼ねてだろうな」


 他の商会とやりとりしないか監視するのかな。まあその気は無いけどね。

 ん、クラウスが顔を近づけて耳元で小声になる。


「あの共鳴を見せた時のミランダとメシュヴィッツの声は凄かったぞ」

「え」


 それだけ告げて顔を上げた。


「おおおおっ! きゃあああっ! ってな、びっくりした」

「全然聞こえなかったよ」


 あ、そうか! 音漏れ防止結界の外でいたんだな。


「あんなの見せられたら誰だって驚くさ、最初は俺なんか声を上げることすら出来なかったぞ」

「むしろ、あの能力にも大変興味を持っていたな」

「王都特待生って言ってたね」

「リオンは行く気ないんだろ」

「……うん、今ここを離れる気はないよ。どの道、職人になっちゃったからね、商会も望まないでしょ」


 大きな儲けを生み出す元を、みすみす手放すワケないだろう。


「王都ならずとも、アーレンツの士官学校なら初等部もある、子爵の耳にも入るならそこへ編入を勧められるぞ」

「そっか、それなら職人としても仕事できる。メルキースの隣りなんだよねアーレンツは」

「今晩、恐らく子爵と伯爵の使いも来る、そこで見たことは全て伝わるな」

「……うーん、騎士になるつもりは無いんだけどな」

「ならばハッキリとそう言えばいい、お前は共鳴の取引材料を持ってるんだ。指図するようなら他の商会に行くと」

「うわ、んー、いいのかな」


 俺の方が優位なのだろうけど、そういうのをチラつかせて黙らせるのはちょっと。

 ……でもそうだね、しっかり意思表示しないと。


「あまり向こうの思惑に呑まれないことだ、難しいがな」

「いやリオンはしっかりしてたぞ、あのミランダに物怖じせず、ちゃんと話を進めてた。父さんは嬉しかったぞ」

「へへ……」

「うむ、対等に物言いしていたな、ワシの出る幕など無かった。もはやミランダも、お前を8歳の子供と思ってやり取りしてないぞ」


 中身は大人だからね。向こうも普通の子供ではないと気づいてるよ、きっと。


「あ、でも先生、ミーナを出してくれたのは助かったよ。あのままじゃクラウディアだっけ、会ってたかも。断るのも失礼になりそうで」

「はは、別に会ったからと言ってどうこうはない。クラウディアとやらとも仲良くすればいいではないか、士官学校中等部2年だったな、明日、訓練討伐で同じ班になっているかもしれんぞ」

「うは! でもそうか、向こうが編成するんだもんね」


 まあでも確かに、仲良くなったからと言ってどうこうはないな。


「夜は父さんと先生も来てくれるでしょ?」

「無論だ」

「ああ、行くよ」

「ソフィーナも行くといい。ディアナは昼に帰るんだろう」

「そうか、両親がいた方が話進みやすいかな」

「反って話す手間が省けるからな」

「あーまあ確かに」


 そうだね、さっきのことソフィーナに話すの大変だもん。同席して聞いてもらった方がいい。


「ところで報酬ってどうなるの? 俺は冒険者ギルドにしか口座ないよ」

「本来は職人ギルドに登録と同時に口座も出来るのだが、省いたからな。まあどうとでもなるだろう、高額だぞ」

「え、やっぱり、そうかな」

「ワシなら1本300万ディルで話をつける、検証段階でな。製品なら1本1000万ディルだ。それでもかなり安い方だぞ」

「……そ、それは」


 製品1000万って、1日で2億以上稼ぐことになるよ。い、いいのかな。


「リオン、武器の元手をすぐとれるな」

「え、あーそうだった! シンクルニウム、明後日出来るんだっけ」

「ルーベンスで作っていたやつだな。ふむ、しかしトランサイトの方が性能は上だぞ」

「うは、そうなの」

「それも今晩、検証で詳細が分かる。全武器種の試験素材を用意するからな」


 んー、シンクルニウムより上かー。でもせっかく作ったんだしな。


「特に弓が面白いことになるぞ、特殊に何が付くのか楽しみだな」

「あーあの、魔素伸剣ってやつだね、そっか、弓で意味ないもんね。違うのが付くの?」

「そのはずだ。形状で特殊は異なるからな。もし付かなくても、基本性能は全て上回るだろう」

「おい、こりゃ、大変なことになるぞ。弓使いにシンクルニウムはCランクでもそこそこいるからな」

「クラウス、今更だぞ。だから色々ひっくり返るんだ。槍だって穂が伸びれば立ち回りの間合いが変わって来る。杖なぞ想像がつかん」


 槍もリーチが伸びるのか、それは大きいな。杖もあるのか。


「……俺、そんなに共鳴できるかな」

「お前の体が一番大事だ。最初はもったいぶって、慎重に調子を見極めながら進めろ」

「そ、そうだね、向こうの歩調に合わす必要はない、俺次第なんだ」


 西区に到着。


「フリッツ、まだ少し話がしたい。いいか」

「構わん」

「ちょっと厨房を見てくる」


 クラウスは食堂へ。そうか、10時くらいからディアナも一緒に料理するんだったね。もう中央区の買い物から帰ってるな。


「2人ともこっちにいたぞ、家には誰もいない」


 居間に3人座る。


「ときに、トランサイトの過去の記録を知人に依頼してたんだが、少し気になる情報を掴んでな。その、シンクルニウムにも、もしかしたら何か可能性があるやもしれんと」

「……それって」

「ああ、共鳴強化で、変化するかもしれん」


 なんだってー!


「おい、リオン、ちょ、ちょうどいいじゃねぇか、明後日出来上がるんだ、試してみろよ」

「そ、そそ、そーだね」

「ただ、商会も気づくだろう、調べる文献は同じだからな」

「……うは」

「それならばと、片っ端から素材を試されることになるかもな。そして結果によっては、全く未知の素材ができあがる可能性もある」

「もしかして、鑑定不能、だったり」

「あり得るな」


 ……確かに商会が協力してくれるのはありがたいけど、商会の総力で来られると俺、死んじゃう。こ、これは、呑まれてはいけない、絶対にだ。


「もう検証1本1000万にでもしろ、そしたら数はできん」

「あー、いやー、そっか」


 もう、どうしたらいいか、分からん。


「……何ならワシが金額交渉を担おうか、いやクラウス、お前がやるか」

「俺!? いやー無理、適当な価値が分からんよ」

「ワシだって同じだ。それなりに調べてみるが」

「じゃあ頼むよ、面倒な事を押し付けるが」

「ワシこそ、身内でもない者が収入に関与していいものか」

「先生、お願いします。もういくらでもいいです」

「……分かった」


 前世の金銭感覚とは違うからな。武器に費やすお金は特に多い気がする。3年の更新で1回数百万だもんな、命を預けるとは言え。


「なに、主導権を握っているのはこっちだ、堂々としていればいい。変にスキを見せれば、どんどん買い叩かれるぞ。いいか、歴史上にしか存在しない幻の鉱物だ。その上、製法が広まったとしても出来るのはお前だけなんだぞ」

「え、そうなの……かな、やっぱり」

「ミランダも言っていただろう、あの共鳴をできたとしても1日動けないと。彼女はゼイルディクでもトップクラスの使い手、魔力操作も長けている、おまけに3人子供を産んで魔力量も多い、年も35歳、成熟しきった戦士として頂点の時期だ」


 うはー、ミランダそんなに強いのか。まあBランク冒険者だったしね。


「へー、俺と同じ年齢なんだ。確かに、一番いい時期だな」

「製法が分かったのだ、間違いなく自身でも試している。ひょっとしたら夜の検証には出てこないかもな、意識を失って」

「え!? あ、でもそっか、もし倒れても自分でトランサイト作れるかもしれないんだ」

「それは無理だ。いいか、ワシが見てきた養成所、冒険者、士官学校、騎士、それらの中で最も共鳴を得意とした者でも100%に到達できなかった。もちろん超えることもな」

「う、うん」


 確かに、100%を超えたら共鳴の質が大きく変わるからな。あれは1段階上の魔力操作が必要になる。そこにかなり魔力を持ってかれるんだよなー。


「ワシの見立てでは120%が変化の線だ。ミランダでも90%辺りが限界だろう、彼女には出来んよ」

「120%か、確かにその辺な気はする。あ、じーちゃんは、昔、最大共鳴見たって言ってたよ。そのあとその人倒れたみたいだけど」

「カスペルか、あやつの記憶なぞアテにならん。そいつはせいぜい70%じゃないか」

「え、そーなの」


 確かに、カスペルの話は記憶が怪しいこともあるな。何十年も前のことなら、少し大袈裟に覚えているかもしれない。


「まー、そうだな。冒険者仲間で共鳴得意なヤツでもそんくらいだった。50%超えれば大したもんだよ」

「そう言うことだ。そもそも100%とは、それで終わりなんだ。それ以上は無い」

「え、じゃあ俺のはどういうことなの?」

「恐らく、100%共鳴を維持した状態で、更にまた別の共鳴をかけている。人間技ではないな」


 あー、なるほど! 確かにそんな感じかも。無意識に異質な共鳴を重ね掛けしてたんだ。


「うんうん、何となく分かったよ。これ、意識して制御できれば、今ほど魔力量いらないかも。ありがと先生」

「はは、もう想像の域だ。だが少しでもお前の助けになるならそれでいい」

「ちょっと試してみるね」


 武器を持ち構える。共鳴!


 キイイィィーーン


 30%、40%、50%……


 うん、これは切れ味、威力だけ上がってる。


 キュイイイィィィーーン


 70%、80%、90%……


 この辺まではそこまで魔力使わないんだよな。


 キュイイイィィィーーーン


 100%! 最大共鳴状態だ。この時点でもうめちゃくちゃ強いぞ。


「100%か」

「うん、ここまではただ強化だけの共鳴。でもここからは更に段階を上げないといけない」


 無意識にやってたが、あの魔力の元をコントロールするんだ。

 強化ではない、別の共鳴だ。

 ……んー、こんな感じかな。

 ……多分これだ。よし、少し流すか。


 ギュイイイィィィーーン


 110%、ここで維持。よし、合ってる、覚えたぞ。

 ……ほう、意外と意識すればそうでもない。もう少し上げるか。


 ギュイイイィィィーーン


 130%、いいぞ、魔力の消費が随分違う。


 シュウウゥゥーーン


「どうだ、お? 見た感じそこまで息が上がってないな」

「ふーっ、父さん、成功だよ」

「はっはっは! 全くお前と言うやつは、直ぐに自分のものにしてしまったな」

「うん、先生。言ってた通り、別の共鳴だよ。今までは両方の共鳴を180%まで使ってたんだ。だからあんなにくたびれてた。今のは100%までのを維持して、別のだけをそこから使ったんだ。これならそこまで疲労はない」


 同時に強化共鳴と変化共鳴を使ってんだ。100%までは強化、そこからは変化だけ使えばいい。なるほどな。


「あ、もしかしたら、武器が砕ける感覚の原因は強化共鳴のせいだったかも」

「ほう、ならばトランサイトへ変化させるだけには必要ないんだな」

「多分。だからつまりこうだ。武器としてトランサイトを使うなら強化共鳴だけでいい。トランサスから変えるなら、100%まで強化共鳴、そしてそれを維持して、140%くらいまで変化共鳴だけでいいんだ」

「お、おう、理屈は分かったぞ……」


 なんだ、簡単だった。


 ゴーーーーーン


 昼の鐘だ


「メシだな、行くか」


 食堂のトレーを受け取るカウンターにはディアナが。


「ねーちゃん頑張るね」

「もちろん」


 今度はさっさと机に向かう。流れが大事だ。


 ほどなく4人揃ったので食事を開始。


「何時に出発なんだ」

「14時よ。見送りで混むから早めに、13時過ぎには家を出ないとね」

「それなら食事後に長めに休憩して十分間に合うな」

「もう準備は出来てるんだけどねー」


 来た時と同じように、2台の幌無し2頭立てで行くんだろうな。

 西区で4人だから、村で20人くらいか。


「そういや寮の部屋ってどうなの? 何人部屋?」

「4人部屋よ。他の3人は町の子」

「村で固まってるワケじゃないんだね」

「クラスの中で分けてるからね、でもレイラは通路向かいの斜め前だからよく会うわよ」

「ふーん、知ってる子が近いといいね。女子だけの寮なの?」

「違うよ、1階が男子、2階が女子だよ」

「へー同じ建物なんだ」


 多分1年生で1棟なのかな。でも200人だからね、2棟かも。


「町の子はみんな寮?」

「ううん、歩いて来る子もいるよ。あと学校には馬車があって、少し遠くからでも乗り合わせて来てるよ」

「へー」


 スクールバスみたいのもあるんだね。でもバスほど速度出ないから、そんなに遠くの子は無理だな。時速20kmとして、通学なら30分、10km圏内だろうな。


 メルキースは結構広いみたいだから、通学はラウリーンの一部までか。マクレームとメイルバル出身は寮暮らしになりそうだ。


「デノールト地区は初等学校もあるんだったね」

「うん、フローネン初等学校の子は、そのままウェスター中等学校に上がるんだよ、近いしね」

「あ、人数同じなんだ」

「そう、600人。ラウリーンも600人だよ」

「ラウリーンには初等学校できないのかな」

「さーどうかな、出来たらリオンも行けるのにね」


 村に出来たらいいんだけどな。中央区なら十分通えるし。北区も西区も拡張するから作ればいいのに。


「サガルトにはあるって聞いたな。カルニンもそのうち出来るんじゃないか」

「え、ウチは?」

「さーな、もっと人口が増えてからじゃないか」


 まあ運営にも色々必要だしな。ある程度の学生数が見込めないと無理なんだろう。


「さ、帰るか」

「私はお手伝いだよ」

「じゃ、俺も」

「なんだ、じゃあ俺も行くか」

「父さんはいいわ、来ても邪魔よ」

「え」

「ふふ、2人来てくれるから構わないわ」

「そっか」


 クラウスは4人のトレーを1つにまとめて返却口へ持っていく。ふふ、せめてもの手伝いか。うん、大人の男手はなー。体も大きいし、この場合は邪魔が正解だ。夜にいけそうなら皿洗い手伝えばいいよ。


 俺とディアナは流し台へ行く。うわ、結構いるぞ。クレマンとカール、それにレイラ、セシリアも。


「あ、リオーン、ディアナも」

「ミーナもいたんだね、エドもいるのか」

「これは入る隙間無いわね」

「俺たちが抜けるよ、もうかなり洗ったし」

「そう、じゃあ交代ね」


 クレマンとカールが抜けて俺とディアナが入る。


「よし、洗うぞ、頑張ろ、ねーちゃん」

「うん!」


 横を見るとディアナでは無くミーナだった。いつの間に!


 それからミーナと並んで仲良く皿洗いをした。


「あんたたち、もういいわよ」

「はーい」


 手を洗って拭くと誰かに握られた。ミーナだ、だから早いって。


「途中まで、ね!」

「うん」


 仲良く手を繋いで歩く。


「じゃーねー」


 家の前で別れた。


「ふふ、ミーナ、いい子ね」

「……うん」


 ミーナはあれでいて、家に来たりと、そこまでべったりじゃないんだよな。あくまでタイミングが合った時だけ、くっついてくる。それなりに気を使ってるんだね、俺の迷惑にならないように。いい子じゃないか。


「ねーちゃんも頑張って」

「何をよ。男子には興味ないの」

「じゃあ女子に興味あるの?」

「……あんたは何言ってるの」


 まあ、この世界にもそういうのもあるだろう。多様性ってやつだ。


 家に帰って居間に座る。


「もういい時間だな、準備するか」

「そうね」


 ディアナは荷物をまとめる。とは言え、リュックみたいな背負いだけだ、そして来た時と同じ格好。まー村から持っていく物は無いしね。ああいや、昨日今日とソフィーナと買い物ウロウロしてたな。それはリュックの中か。


「よし、出発だ」


 13時過ぎだ。いい頃合いだね。


「搬入口裏に一旦西区は集まるの」

「そっか」


 城壁を抜けるとクレマンたちがいた。


「おー、ディアナ、よし揃ったな、行こう」


 クレマンの家族を先頭に中央区へ向かう。


 中通りを南へ。乗り場に到着した。見送りっぽい人がまあまあいるな。


「じゃ、私行くから」

「おう、元気でな」

「いってらっしゃい」

「ねーちゃん、気を付けて」


 ディアナは手を振り馬車へ向かった。


「通りに行くぞ」


 乗り場を抜け、村の正門前に来る。見送りの人が並んでいた。おおー、そういや3月に見送った時もここに来たな。村から歩いて出るのは新鮮だった。ちょっとだけどね。


「来たぞ!」


 ディアナたちが乗った馬車がやってくる。はは、みんなこっちに手を振ってる。


「いってらっしゃーい!」

「ちゃんと食べろよー!」

「お手紙待ってるわー!」


 見送りの人たちから声が上がる。俺も手を振る。ディアナはいい笑顔で応えていた。


 馬車の姿が小さくなるまで多くの人が残り見つめていた。


「さ、帰るか」

「うん」


 中通りを歩く。


「ディアナもしっかりしてきたな」

「そうね、たった3カ月なのに」

「夏に会えるのが楽しみだね」

「そうだな」


 子供の成長は早い。一緒に暮らしていると気づきにくいが。


 前世の俺は小学生の子供が2人いた。段階を踏んで少しずつ成長していっているのは分かっていても、どうしても小さい頃の印象が残ってるんだよなー。あの3~4歳頃の感じ。一番かわいいあの頃で時が止まっている。


 それはきっと中学生になっても高校生になっても、大人になっても。我が子は我が子、ずっとあの頃のままなんだろうな。


「父さん、母さん、俺って何歳に見える?」

「え、変なこと聞くな、お前は8歳だろ」

「ううん、父さん、この子はもう大人よ」

「ああ、そうか、もう一人前だもんな」

「でもね、リオン。何歳になってもあなたは私たちの子供よ」

「そうだな、ついこの間までこんなにちっちゃかったのに……よっと!」


 うわあっ!


「はは、まだ余裕で持ちあがるな」

「うわー高い」


 クラウスの肩車だ。こんなのしてもらったのいつぶりか。クラウス、がっちりしてるな。俺なんかが乗っかてもビクともしない。そのまましばらく中通りを歩き、城壁の前で降ろされた。


「そうだ、母さん。帰ったら大事な話がある」

「分かったわ」


 お、今朝のミランダの件伝えないとな。夜には一緒に行くんだし。

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