第36話 訓練討伐
訓練討伐2班はジェラールとリュークが最前列、少し後ろにマルガレータ、サンドラ、シーラ、更にその後方からは俺と同伴の大人6人が続く。
「進路入り口に到着だ」
同伴の1人が告げると2班は西へ90度を向きを変えた。
森に入る手前で同伴の大人が引いていた荷車を止める。これは素材運搬用だね、入り口に置けば森へ入った目印にもなる。続いて数人が荷車から袋を取り出し肩にかけた、牙や爪などの素材を入れるのだろう。
森ではあるが木の密集度は低くある程度の見通しが効く。見える範囲に魔物の姿は無いようだ。
「どのくらい行けば魔物は出てきますか?」
「300~400mだろう、街道沿いは騎士や冒険者が常に掃除をしている」
同伴の大人が応えた。確かに街道まで魔物が出てくれば通行する馬車が危険に晒される。そこは重点的に討伐しているのね。
「お前と一緒にこの森に入るのはもう30年ぶりか」
「そのくらいだな、アードルフ」
「あの頃はこの辺も多くの魔物がいたが村が出来てから落ち着いた」
「村が流出を止めているからな」
フリッツと同伴大人の代表っぽい人が言葉を交わす。アードルフと呼んでいたな。30年前、騎士団だった頃の仲間か。
この辺りの森はFランク~Eランク下位の魔物しか出ない。稀にガルウルフやキラーホークなどのEランク上位が出るが、それ以上の魔物は北の森から下りてこない。コルホル村が防衛拠点としての役割を果たしているからだ。
進路の地面は固く、たまにある水溜まりも十分避けて通れる。ただ外から見ると平坦に見えたが実際に歩くと木の根や大きな石が所々に見受けられる。ここへ荷車を入れても頻繁に車輪が引っ掛かるな。
進路両側の森の地面は草で覆われているが進路には少ない。人が歩けば草も生えないが進路の幅約2mに渡ってまんべんなく踏み歩いているとは考えづらい。残った草もよく見ると変色していた、これは枯れてる?
「草が少ないのは除草士が処理しているのですか?」
「よく分かったな。訓練討伐に使う森の進路は監視所周辺で6個所ある。春からは月に1度、除草士を連れて入るのだ」
「管理が行き届いてますね」
アードルフが詳しく応える。ふーん、丸々自然のままじゃないのね。
2班の歩みが止まる、おっ魔物か。50m先に2つの動く物体が見えた。ギルドで見た絵柄から推測するにヘルラビットっぽいな。襲ってこないところを見るとこちらに気づいてない様だ。
子供たちは身体強化のため集中する。全体で30秒ほど要したか。
「行くぞ!」
ジェラールが声を上げるとリュークと共に駆け出す。マルガレータとシーラは杖を構えてその場に止まる。サンドラは少し前で矢をつがえた弓を構えている。同伴の大人たちは後衛の少し後ろに位置し誰一人武器を構えていない。
リュークはヘルラビットを背にこちらへ向かって来る。魔物は明らかにリュークを標的としていた。これは逃げている? おいおい大丈夫か。
そんな心配をしていると減速したリュークが進路から外れ森へと跳び込んだ。魔物も減速し停止。リュークを追うために体の向きを変えた次の瞬間。
ズバッ!
魔物の首筋にリュークの剣が入る。すぐさま彼は間合いを離し、続けざまにサンドラの放った矢が頭に突き刺さる。刺さった個所からは火が見えた。魔物の動きは止まり、そこへリュークが再度切り込む、1発目と同じ首筋付近か。彼が間合いを離すと魔物は完全に沈黙した。
おお、倒したっぽいぞ!
その討伐地点の向こうからジェラールがもう1体を引っ張って来る。彼は走りながら一瞬こちらへ首を振り、減速の後に進路から森へ跳び込む。魔物はそれを追うように減速し体の向きを変える。
ザシュ! ズドン!
魔法だ。体の真ん中に風の斬撃が入った。同時に後ろ脚付け根に氷の矢が刺さり、日の光に照らされてキラッと反射する。凍り付いているのか。
ズバッ!
ジェラールが首筋に切り込み間合いを離すと、間髪入れずにリュークが切り込み魔物の動きは完全に止まった。2体目も倒したか。
「もういないな、休憩だ!」
アードルフが声を上げると子供たちは集まり腰を下ろす。
これは凄い、しっかりと連携しているじゃないか。1体目はリュークの斬撃、2体目はマルガレータの風魔法が致命傷だろう。2体目はリュークが止めを刺したが、深く切り込んだ魔法がかなり効いていた。
どうもマルガレータの魔法が一番強い。剣の斬撃と同等の攻撃手段を遠距離で飛ばすなんて、あれが首に入ればそれだけで倒せる。次いでシーラか、脚1本を無力化すれば機動力が大幅に落ちる。地味だが次の1手で倒せるからな。正確に付け根を狙う腕前は大したものだ。
1体目に放ったリュークの斬撃は切り口から少し火が出ていた。体内にも燃焼効果があれば魔物の再生が遅れる。サンドラの矢は魔物の再生を遮るため頭を狙った。角もあるのに正確な射撃だ、矢も速い。
「リオン参考になったか」
「はい先生。この魔物はヘルラビットですか」
「そうだ」
やはりか。もう血肉は昇華し骨だけに姿を変えている。頭に長い角が1本、爪は鋭く、上顎下顎に牙が並んでいる。体長は1mほどで体毛は茶色だった。確かに長い耳はあったが恐ろしい目つきの地獄のウサギでした。
進路の両側に木が多く生えているが戦闘に影響は無かった。ほとんどの戦闘を見通しの良い進路で行ったからね。最初から誘導する場所と決めているのだろう。
「休憩終わりました、行けます」
「では出発だ」
マルガレータが休憩終了を報告する。確か最も年上だったからリーダー的な役割を担っているのか。
アードルフがヘルラビットの亡骸から魔石を拾い上げ袋に入れると他には手をつけなかった。
「素材は回収しないのですか」
「帰りだ。荷物になるからな」
同じ道を引き返すならその時でいいか。この進路は2班だけが入っているらしい。
しばらく進むと子供たちが止まる。魔物か、どこだ?
身体強化を終えたジェラールとリュークが進路から外れて森に入る。こっちにいたのか。2人は木々の間から魔物を引き連れ進路へ戻った。ネコの様な外見だが大きい。さっきのヘルラビットより細身だが全長1mはある。動きがやや速いな。
動き回られると後衛が狙いを付け辛い。前衛が何とか当てて動きを鈍らせないと。2人が1体ずつ相手をしていると同種が1体加わった 全部で3体。ジェラールは2体同時に対峙となった、大丈夫かな。
「先生」
「まあ見てろ」
リュークが1体に切り込んだ。うわ! 首を落としたぞ、やるな。すぐさまジェラールに近づき1体を引き受ける。ほどなくジェラールが1体、リュークが1体倒し戦いは終わった。残りの2体も1撃で首を落としていた。
「動きは少し速かったけど耐久力が無さそう」
「エルグリンクスは最も弱い部類だ」
今回は後衛に出番無しか。
前衛2人がしっかり休憩し再び出発。随分と森の奥へ進んだ。村なら西区の畑辺りか。
しばらく進むと子供たちが止まる、どこだ? 進路上には見当たらないな。進行方向左側の森に前衛の2人が入るとその先に動く物体が見えた。うはー、気持ち悪い色のトカゲだ。辛子色? 地面を這う動きはそこそこ速い、2体いや3体か。こちらへ引き連れて来る。
今度はリュークが2体を相手にする。ジェラールが1体仕留めるとリュークの1体を引き受けそれぞれ倒した。なるほど2体連れたら無理をせずに逃げに徹して1人の手が空くのを待つのか。このトカゲも1撃で首を落としていた。ただ尻尾まで含めると4m近い大型だ。
「今のは?」
「マスタードリザードだ」
「大きいけど耐久力は無いみたいだね」
「今のは大き目の個体ではあったがそれだけだ」
前衛が休憩を終えて出発、後衛は仕事ないな。
「前ばっかり働いてるね」
「そうだな」
しばらく何も出ないまま進む。入り口から考えるとかなり奥地に入ったな。
おや開けてきた。
「うわー」
森は消え、目の前には小さな石が敷き詰められた平坦な地形が広がる。河原だ。そのずっと先には穏やかな水面も見える。向こう岸の河原を含めると幅300mはあるか。その中央付近を幅80mに渡り水で満たされている。これが西の川、そんなに奥まで来たのか。
「出ちゃったね、引き返すかー」
そのマルガレータの声を聞いて振り向いたその時。
「待って、上!」
シーラが声を上げた。見上げると黒い影が3つこちらへ下りてくる。
「一旦森へ!」
同伴含めて皆が木の陰に入った。
「エビルヘロンっぽいね、やろう!」
「うん!」
身体強化を済ませた5人のうち前衛の2人が跳び出した。どうするんだ。ジェラールとリュークは空を見上げ剣を構えると魔物が2体下りてきた。2人も当たる寸前で跳び退き、魔物は地上に足を突き体勢を整える。
ズバッ! ズドン! ドスッ!
魔法と矢が一斉に魔物へ到達、1体は倒れ込み完全に動きを止めた。もう1体が飛び立とうと翼を広げたところへジェラールが切り込む。首が落ちた。その最中にもリュークは再び空を見上げている。まだいるのか。
バササッ
頭から突っ込んでくる魔物を寸前で避けて間合いを取る。リュークが後衛へ顔を向けると一斉に魔法と矢が魔物を襲う。それらは全て命中し魔物は動きを止めて倒れた。
「うわー、凄いなー」
思わず声に出た。飛行系の魔物対応はどうするのかと思ったが、なるほどこの戦術か。上空から攻撃を仕掛けて外せば再び飛び立つしかない。そこに必ずスキが生まれる。地上では動きが鈍るため、切り込むにしろ遠距離で狙うにしろ当てやすい的となる。
ただ空からの接近は気づきにくいから注意が必要だ。シーラはよく見ていたな。開けた地形では上空を意識するクセをつけないとね。
同伴の大人たちは魔石と素材を回収する。
「では引き返そう」
休憩を終えた子供たちが前を歩き森を進む。
しばらくするとマスタードリザード討伐地点へ。素材を回収する。素材は同伴の大人が運ぶようだ。まあ6人もいるし手元も空いている。それにこれまでの戦闘を見た感じ手助けは要らないので荷物持ちになるのね。
「うわガルウルフ! みんな強化して!」
サンドラが声を上げる。進路斜め左前の森には西区で目撃したあの魔物の姿が。距離は30mか、こちらに気づいているぞ。むむ、どんどん近づいて来る! これは強化が間に合わない、後ろの大人たちから剣を抜く音が聞こえた。
「リオン、注意を惹け!」
「え、うん!」
フリッツの指示を受け即時強化し全力疾走! 子供たちの横をすり抜けウルフへ向かう。くっ、やはり森は走り辛い、速度はそんなに出せないぞ。
ズザッ! ウルフの近くで停止、距離3m。
「こっちだ!」
カルルルッ!
お前の動きはよく知っている。
止まって前脚が屈んだ、跳び掛かりだな!
ガオッ!
魔物が着地する直前で跳び退く。
ズルッ! 着地後に足が少し滑った、うひぃ!
落ち着け! ヤツの動きを見るんだ!
ガオオッ!
また跳び掛かりか、余裕で間に合う、回避!
スタッ! 今度はしっかり着地、すぐさまウルフを見る。
ガルルル……。
しばらく睨み合い間合いを維持する。
跳び掛かる速さはあるが動きを合わせば必ず避けられる。
恐れるな! ビビったら負けだ!
「リオン!」
「リューク!」
ジェラールも続いて2人はガルウルフと対峙する。魔物の標的はリュークに向いたらしい。ちらっと大人を見るとフリッツは剣を構え隣りの2人は弓を引いていた。ああ、戦闘参加するつもりだったのか。
ガオオオン!
跳び掛かりをリュークが避け、着地の硬直にジェラールが切り込む。魔物はすぐ反転しジェラールは跳び退いた。うわ、あんまり効いてない、流石Eランク上位か。睨み合いを続ける魔物へ魔法と矢が突き刺さる。
ガオオ……
動きが鈍った、すぐさま前衛の2人が次々と切り込む。まだ倒れない!
再び魔法と矢が突き刺さり、ようやく魔物の動きは止まった。
「ふー、キツかった」
「みんな休憩よ!」
子供たちは座り込み息を整える。
「ありがとうリオン、少し危なかったよ」
「ジェラール、勝手に飛び出してごめんね」
「いいんだよ。でも強化しながら歩いてたのか」
「リオンは魔物を見つけてから強化したのよ」
「えっ? それって」
「一瞬で身体強化できるの、大人と同じ早さよ」
「なんだって!」
「え!?」
シーラが告げると4人は驚きの声を上げる。
「じゃあリオンも前に来いよ、一緒に歩こう」
「いいの?」
「俺と行動しよう、魔物が来たら注意を惹いてくれ、そのスキに切り込む。みんないいだろ」
「うん」
「いいぞ」
「いいわ」
「異論なし」
見学じゃなかったのか。
「先生」
「お前を戦力として認めているのだ、従えばいい。みんないいか」
「構わんよ」
「今のを見れば前線でも問題ない」
あららまさかの展開。まあ強化して走るだけなら直ぐできるからな。俺はジェラールと並んで最前列を歩く。
「前や横を見ながら歩くんだ。何か見つけたら教えてくれ」
「後ろは?」
「大人たちが見てる」
しばらく歩くとエルグリンクス討伐地点へ。大人たちは素材を回収する。更に進みヘルラビット討伐地点まで来た。
「帰りはウルフだけかー」
「今日はそのようね」
「まだ森を抜けていない、気を抜かないで」
サンドラが注意してきた。うん、まだ安心できない。
ほどなく入口へ置いた荷車が見えてくる。
「もう少しだ」
そして森を抜け街道沿いの草原へ。
「ふー、みんなお疲れ! まあまあの成果だったわ」
「そうねー」
「しっかし、ガルウルフはしぶとかったな」
「Eランク上位だからなー」
確かに他の魔物と比べて耐久力が全然違う。あんなのを1撃で倒す村の住人はやっぱり凄いんだな。
「さあ監視所へ帰るぞ」
アードルフが告げると南へ街道沿いを歩き出した。
「リオンの昼食は監視所かい?」
「ジェラール、俺は今日昼までだよ。村へ帰るんだ」
「そうなのか」
「リオンもジェリーって呼ぶといいよ、みんなそう呼んでるから」
「おいシーラ……まあ好きに呼べばいいさ」
「嫌なの?」
「何だか女の子っぽいだろ」
「そうかも」
ジェラールは最初の印象の通り話しやすいな。
「次はいつあるの?」
「さーな、2、3日後じゃないか」
「ふーん」
「お前、武器がまだだったな、いつできるんだ?」
「長くて10日後かな」
「そうか……じゃあそれまで俺のもう1本使えよ」
「え?」
ジェラールは2本運用しているのか。
「ちょっと聞いてくるよ」
そう告げて大人のところへ向かう。少し言葉を交わして戻って来た。
「いいってさ、その訓練用じゃ戦えないだろ」
「先生」
「リオンは見学で過ごす実力ではない。訓練の環境をより活かすために武器は必要だ」
「分かった、じゃあ借りるよ」
「いや、やるよ。もう定着期間が10日くらいなんだ。代わりに鞘と握りの処分を頼むわ」
「え、え……」
「貰えばいい。厚意は受け取れ」
「じゃあいただくよ。ありがとう」
「監視所に置いてあるから着いたら渡すよ」
「うん」
まさかの展開だ。でも本当にいいのかな貰ったりして。まあフリッツが許可したならいいか、どうも10日で消えるらしいし拒むのも逆に失礼だろう。しかし次から戦えるじゃないか。いや本当に戦えるか、貰える武器にもよるだろう。
ただガルウルフとの対峙で十分立ち回れると身を持って体験した。そう初めて対峙した魔物と。ワイバーンとは違う、森の中で1対1の睨み合い。あの鋭い爪がかすりでもしたら皮膚は大きく引き裂かれていた。
「うう……」
「どうした?」
今になって全身が震える。勢いで飛び出したがよく考えればかなり危険な行為だった。そう、滑った時ももし転んでいたら次の攻撃を避けることが出来たか。
「初めて魔物と対峙したのか?」
「うん……」
「自信持てよ! あれだけ動ければこの森の魔物に敵はいない。ビビったら負けだぞ!」
「はは、そうだね、ありがとジェリー」
「俺も最初は足が震えたもんさ。それでも何回も経験すれば怖がらず立ち向かえる。お前は凄いよ、村の子供は臆しないと聞いたが本当にその通りだ」
ジェラールいいヤツだな。俺、頑張るよ。
「シーラなんか最初っから余裕なんだぜ、ちょっとはビビッてみろってんだ」
「なによ、いいじゃない」
「はは……」
「それに本当に危ない時は大人がなんとかしてくれる。ちょっと前にキラーホークが不意に来て危なかったけど俺たちに届く直前で射抜かれて落ちたぞ」
「へー」
凄いな。急降下する魔物を射抜くなんて。そう言えばソフィーナも記憶が戻った日にそんな芸当を繰り出してた。冒険者って集中した時の1撃はとんでもない。
「とにかく数をこなせよ、そうすりゃ嫌でも慣れるから」
「そうだね」
監視所に到着。
「じゃあ武器取ってくる、あ! ウルフの角を1本持ってけよ」
「え!?」
「みんないいだろ、リオンが引っ張ってくれなきゃ危なかった」
「異論なし」
「いいよ」
「もちろん」
「注意を惹く役目は立派な戦力だもんね、持って行きなよ」
「ありがとう、みんな」
ジェラールは荷車からガルウルフの角を抱えてきた。
「そこそこ重いぞ」
「え、うん」
ズシ……ほんとだ。長さは1mか、んー、ええい!
「よっと」
「ずるい、強化か」
「へへ……」
「ほんと凄いよな、俺でも15秒はかかるのに」
「そうなの」
「その才能だけで十分やっていけるよ、じゃあ武器取ってくる」
「うん」
ジェラールは監視所へ走る。
「貸せ」
「あ、はい」
フリッツが軽々と角を肩に担ぐ。
「お待たせ!」
「うわー」
少し抜いて剣身を見せてくれた。使い込まれているが立派な剣だ。
「ひょっとして最初に作ったの?」
「そうだよ。材質はトランサス合金だ。リオンなら必ず使いこなせる」
「え、それって、結構いいモノだよね」
「まあな。えーっと、そうだな、俺はもうこの剣の分を稼いだ、親が買ってくれたが俺自身でそれ以上の収入を得た。つまり親に断りをする必要はない」
「……うー、うん」
なんだかよく分からないが謎の説得力がある。
「俺がやるってんだから受け取れ。この剣の残りの時間を最後まで有効に使ってやるんだ」
「分かった受け取る。ありがとうジェリー」
「次は一緒に前でやろうぜ、じゃあな!」
ジェラールは去った。
「良い仲間に巡り合えたな」
「とてもいい子だよ」
「では我々が使う騎士団の馬車へ行くか」
「うん!」
騎士団は村との往来が多いためそれに相乗りの予定だ。俺とフリッツは騎士団監視所の街道口へ向かった。




