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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
2章
287/321

第285話 スキル確認

 ゴブリンの魔石を回収していると大きな手応えを掴んだ。


『次元収納16』


 来た!


「おーい、アマーニ!」

「どうしたの? まさか!」

「魔物装備のブーツは収納を確認したよ」

「そ、そう」


 彼女は困惑の表情を浮かべる。成長したのだから祝ってくれ。


「おい、魔物武器はどうだ?」

「今から試すよ」


 ゴブリンキングの残した魔物武器へ近寄る。


『ゴブリンブレード

 定着:29日23時間46分

 帰属:未

 剣技:80

 切断:300

 斬撃:300

 特殊:魔力集束(200%)

    魔力共鳴(80%)

    剣技成長(200%)』


 これが収納できれば、好きな時に訓練して剣技を大きく伸ばせる。頼む、入ってくれ。


 シュン


「消えた!」

「おおっ!」


 しっかり次元収納の一覧に加わっている。やったぜ!


「約束通り、俺が頂くよ」

「ええ、どうぞ」


 アマーニは残念そうに呟く。あんたねぇ。俺が倒したんだから当然の権利でしょ。


「魔石は少し貰うわ」

「もちろんいいよ。2人共、戦ったからね」

「ひとまずユニスが回収をお願い」

「分かった」


 魔石探知を頼りに拾い続ける。次元収納にはゴブリン関連の魔石が315個入った。


「これで全部かな。内訳はゴブリンキング3、ゴブリンメイジ11、ゴブリンアーチャー28、ゴブリンソルジャー57、ゴブリン216だよ」

「キングは1体じゃないの」

「そんなこと聞かれても困る」

「私たちの魔石は20個でいいわ。ソルジャー、アーチャー、メイジ、キングを含めてね」

「キングは倒してないでしょ」

「欲しいの」

「やだ」


 アマーニは困り顔だ。


「仕方ないわね……はい、どうぞ」

「えっ?」


 彼女はスカートをめくって尻を向ける。


「抱きついていいのよ」

「色仕掛けなぞ、俺には通用しない」


 しかし気づくとアマーニの尻に顔をうずめていた。くっそ、なんてエロい尻だ! けしからん! たっぷり頬ずりした後、下着をずらして舌を這わす。


「ちょ、ちょっと!」

「そこまでだ!」


 ワリドの声に動きを止めるとアマーニは跳び退いた。


「あなた本当に子供なの。いやらしいわね」

「ワリドばっかり、ずるい」

「彼は特別なの。続きを望むならキングを追加しなさい」

「うっ、減るもんじゃないでしょ」

「ダメよ」

「おい、そのくらいにしてオークへ行くぞ」


 ワリドのリュックへ魔石と素材を投げ込み出発する。


「そう言えばユニス、あなた基礎スキルの時空も16になったはずだから重力操作も覚えているわよね」

「えっ……ほんとだ」


『時空16』

『重力操作16』


「試してみたら?」

「でも壁なんて無いよ」

「斜面はどうだ。オークの縄張りはあの山の向こうだろ」

「そっか」


 ワリドはゴブリン生息域から南側を示す。そこには標高200mほどの山が見えた。俺たちは真っすぐ南へ進み、斜面に差し掛かる。


「おいユニス、斜めになっているぞ」

「いや、傾いているのはワリドたちだよ」


 振り返ると今まで歩いていた地面が斜面に変わっている。あー、そういうことか。


「間違いなく重力操作は機能しているよ。平地と同じ様に歩けるから」

「共有は出来るのか」

「あー、試してみるね」


 2人の手を握るが傾きは変わらない。


「ダメね」

「隠密の共有はレベル31で覚えたよ。時空にも共有があるなら同程度じゃない?」

「その可能性が高いな」

「私たちだけ山登りなんて」

「後ろから押そうか?」

「お尻に触りたいだけでしょ」


 前傾姿勢の2人を尻目に先へ進む。頂上付近へ到達すると麓にオークの反応があった。


「いるね」

「かなりの数だな」

「あれがオーク」

「ここからは隠密を共有する。討伐でいいんでしょ」

「ええ、もちろん」

「じゃあゴブリン戦みたいに俺が群れの中心で注意を惹く」

「分かったわ」


 山を下り、オークの縄張りへ入る。


(100体以上を確認。2人は岩の陰に隠れて)


 よし、行くぜ!


 姿を消してオークの中へ突っ込む。大きい個体を複数確認した。あいつらがリーダーだな。


『オーク

 レベル16

 発現:13日7時間

 装備:無し

 特殊:感知』


 こいつもスキル持ちか。


「やあ」


 フゴッ!?


 俺の姿を確認すると一瞬戸惑ったが直ぐに敵意へと変わる。


 キュイイイィィィーーーン


「はああっ!」


 スパアアン


 フゴゴッ ブヒッ フガァ


 再び一方的な蹂躙が始まった。ゴブリンは背が低いので伸剣は地面すれすれに振り回したが、オークは身長2m以上だ。的が大きいので当てやすい。


 数分後、半径300mの魔物反応は消えた。


「2人共、怪我は無い?」

「オークの間合い外から切り込めるのに、やられるワケないだろ」

「私は遠くから魔法を当てるだけよ。それにしてもトランサイトは凄いわね。距離があっても一瞬で頭に命中するの」


 魔石を回収する。


「全部で113体。うちオークメイジが3、魔物武器は無かったね」

「メイジは魔導士かしら。文献にも無かったわ」

「ふーん、じゃあ新種かな」

「メイジの魔石が欲しい」

「それはアマーニの態度次第だね」

「……はい、どうぞ」


 尻に抱きつき、すぐさま下着をずらしてしゃぶる。


「……もう」


 おや今度は嫌がらない。それどころか次第に息が荒くなる。指を入れると腰をくねらせた。


「そこまでだ」


 ワリドは何を基準にストップをかけるのか。


 オークメイジを含む魔石を10個と素材をワリドのリュックへ収める。


「もういい時間だね。テマラ基地へ戻ろう」

「ハーピーが見たい」

「どこにいるか分からない」

「探しましょう」

「日が暮れるよ」

「川を浮遊して下れば早いでしょう」

「腹が減るよ」

「我慢するわ」

「アマーニじゃなくて俺の腹」


 よっぽど興味があるんだね。


「ユニス、少し奥まで頼めるか」

「……仕方ないね。じゃあ支流の上流へ行こう」

「ふふ、ありがと」

「でも俺も足を踏み入れていない未開の地域だ。危険だと判断したら直ぐに帰るよ」

「分かったわ」


 何が出てくるか分からない。慎重に進もう。


 支流を300m進むとアマーニの足が止まる。


(ねぇあそこ!)


 恐らく指で示しているが透過を共有しているので何も見えない。


(方角で言って)

(東よ。ほら何か飛んでいるわ)


 確かに。


(翼が見えるが体は人型か?)

(きっとハーピーよ! 行きましょう!)

(ダメだよ。1kmはある)

(アマーニ、明日にしよう)

(……分かったわ)


 支流を水上飛行してテマラ基地を目指す。時速40kmは出ているので休憩を含めても30分ほどで到着するだろう。


「2人共、腰の動きを止めて」

「だってこの体勢」

「俺が集中を切らすと冷たい水に落ちる」


 2人は止まった。


 テマラ基地へ到着した頃には夕暮れだった。急いでキノコを集めて魚を獲る。焼き魚を腹に収めて風呂も済ました。


「ユニス、結界を頼む」


 ワリドは全裸でベッドを指さした。そこには全裸のアマーニが待っている。俺も全裸で音漏れ防止結界を施し部屋を出る。そして隣りの寝室へ。うーむ。昼間アマーニの身体を少し楽しんだだけにモヤモヤする。何だか寸止めされた気分だ。


 しかし俺もちょっと変わってしまったな。いくらアマーニが魅力的な女性でも初対面で尻に抱きつくなんて以前では考えられない行動だ。まあ今日は彼女から尻を向けたけど。


 やはりクレスリンの経験で味を占めた感は拭えない。いくら身体が子供でも頭の中が大人の男性なんだから触った感触は楽しめるもんね。そりゃ周りから見ればかなり歪な絵であることは間違いないけど。


 俺は何を楽しみに生きていけばいいのだろう。この世界、娯楽は限られているし。いやまあ地球の知識で色々と作り出せるけど、そんなの再現したところで楽しいのかなぁ。


 ひとまずスキル類の成長具合を確認するか。これが楽しみと言えばそうかもしれない。少なくとも女性の身体よりは健全だ。


 保有151(+3)

 出力 25


 魔力は保有量が少し増えた。こればっかりは身体の成長に伴うらしく短期間での大幅な増加は見込めない。もちろん俺は優れた消費効率や回復速度を有し、異常な早さで最適化まで出来る。強いて不便な点を挙げれば、飛剣200%を連発出来ない程度か。


 続いて4属性。


 火属性 13(+7)

 継続  11(+5)

 拡散   7(+1)

 放射   8(+2)

 撃性具現 6


 火属性はワリドとの合宿時に調理でよく使ったため堅実に上昇している。サラマンダーの指輪を手放す際の集中訓練も効果的だった。


 水属性 17(+7)

 拡散  10(+1)

 噴射  11(+3)

 噴霧   6


 水属性も集中訓練した成果が出ている。その甲斐あって今回の基地生活でも風呂の運用に困らない。それにしても人が浄水設備と湯沸かし器を担うなんて、この世界は本当に便利だね。


 風属性 2


 風属性は全くの手付かずだ。今は夏なので涼しい風でも出せればいいが、清涼結界のお陰で必要性を感じない。もしこの基地生活が長期間なら排泄物の熱風乾燥を考えていただろう。


 土属性 16(+7)

 肥料抽出 6(新規)

 固結  13(+7)


 土属性はブロック生成に集中訓練したため大きく伸びている。ミデルト基地で湯船を区切る際も難なく対応できた。やっぱり基本的な建材を出せるって何をするにも役に立つね。


 続いて4撃性。


 斬撃21(+3)

 剣技21(+3)

 衝撃04(+2)

 打撃01

 射撃21(+2)

 弓技18

 魔法射撃13(+2)


 剣絡みのスキルがやや伸びている。衝撃は魚獲りかな。射撃関係は飛剣の訓練が影響したのだろう。レベル21は冒険者Cランク、この地域なら3級資格だ。一人前と認められる基準だね。


 待てよ。射撃21と言えば標的固定を覚える条件だったような。シンクライトの弓と杖に備わる特殊能力、精度補正。あれを機能させる前提スキルだ。いや射撃じゃなくて弓技だっけ? でも魔法も共有するなら弓は関係無いよね。


 もし射撃が条件なら、意識して訓練することで標的固定を習得するかもしれない。明日試してみよう。


 次のスキルは操具と測算だ。


 操具13(+2)

 剣術13(+2)

 弓術09

 銛術05(+2)


 測算26(+4)

 温度24(+2)

 角度11(新規)

 重量19(+1)

 距離26(+4)

 速度19(+4)

 時間18(+2)


 まんべんなく伸びている。新しく加わったのは測算の角度だ。ワリドも覚えていたが俺は木工の経験は無い。んー、角度……飛剣かな? でもあれを放つ技術は剣技に含まれている気がする。


 もしかして土属性か。ミデルト基地の浴槽へ施した石ブロックの仕切りは、生成と同時に積み上げていた。なるべく水平を意識していたから訓練になったのだろう。


 続いて専門スキル。まずは治癒。


 治癒  16

 自己  16

 治療  12

 完治時間11

 中和  11(新規)


 中和はキノコに当たったと思われる腹痛をワリドが治してくれて習得したよね。他は全く訓練していないから変わらずだ。


 続いて結界。


 結界    32(+4)

 虫よけ   17(+2)

 日焼け止め 18(+2)

 音漏れ防止 24(+1)

 清涼    19(+2)

 保温    32(+4)

 防水    23(+2)

 風圧減少  22(+3)

 粉塵    22(+2)

 臭い漏れ防止32(+4)

 消臭    32(+4)

 防熱    28(+2)

 防冷    28(+2)

 障壁    32(+1)

 結界解除  22(+1)


 街中では使っていなかったので、ほとんどワリド合宿で伸びた。Aランクとの戦闘では何があるか分からないので、障壁の性能を今一度確認しておこう。


 次は鑑定。


 鑑定  34(+2)

 定着品 19(+2)

 製品  18(+4)

 魔物  32(+1)

 魔物素材29(+3)

 魔石  28(+3)

 魔物装備27(+3)

 鉱物粉 15(+3)

 精霊石 34(+2)

 人物  34(+2)

 盗視  29(+8)

 記憶  29(+8)


 街に下りて製品などの定着物に触れる機会が増えたため関連スキルが伸びている。特に山中と大きく違う点は人物だ。全て盗視鑑定しているので大きくレベルアップした。その恩恵で効果範囲が15mまで広がっている。


 次は錬成。


 錬成  27(+4)

 定着  25(+2)

 昇華  12

 鉱物抽出23(+6)

 接合延長20(+1)

 復元  16(新規)

 蒸着  27(新規)


 この派生では復元と蒸着が大きな成果だ。復元が無ければもっとミスリル集めに日数を要していただろう。蒸着に至っては対Aランクの主戦力として期待している。いやむしろ蒸着があるからアマーニの依頼を引き受けたようなものだ。


 続いて新規に習得した専門スキル2つ。


 使役  06(新規)

 虫類  06(新規)


 契約  21(新規)

 個人情報21(新規)


 覚えて以降は全く訓練していないのでそのままだ。そもそも契約なんか何をすればいいか分からない。まあ今のところ必要な場面は思い付かないので後回しでいい。


 次は探知。


 探知  37(+5)

 地形  35(+4)

 透過  19(+2)

 建物  29(+3)

 人物波長23(+7)

 人物魔力21(新規)

 逆探知 21

 魔物  37(+5)

 魔石  29(+6)

 魔物装備30(+2)

 精霊石 37(+5)

 観測  36(新規)

 遠聴  36(新規)


 山中でも街中でも常に訓練している様なものなので上がり幅が大きい。レベル36以上に到達したスキルは探知と隠密だけだ。冒険者基準で言えばSランクであり、特級でもある。歴史上にしか存在しない高ランクだ。


 新規習得は人物魔力、観測、遠聴だ。どれも使いどころが特殊なので覚えてからは放置している。


 既存のスキルはその効果範囲が大きく伸びた。地形と魔石は静止時で半径300m、魔物と精霊石は400mである。人物波長と魔物装備は150mほどか。壁や扉などの遮蔽物、或いは地下なども6m先まで探知できる。


 探知スキルは範囲拡大が全てだと思っていたが精霊石に新たな機能が加わった。属性の識別である。火、水、風、土と4つの属性を探知可能範囲は全て把握できるのだ。再び鉱物収集の機会があれば大活躍だね。


 続いて感知。


 感知  34(+3)

 鑑定  06

 波長記憶06

 傷害  28(新規)

 結界  32(+1)

 消去  16

 偽装  21

 擬態  26

 魔物  34(+3)


 やはり新たに加わった傷害感知が大きい。昼間のゴルリン戦でその高性能ぶりは実証された。背後から放たれた矢を無意識に回避するなんて、もはや究極のチートである。魔物はもちろんのこと、将来あるかもしれない対人戦でも頼りになる。


 次は隠密だ。


 隠密  38(+6)

 波長記憶16

 結界  34(新規)

 足音消去38(+6)

 気配消去38(+6)

 影消去 38(+6)

 探知無効29(+6)

 色彩偽装36(+6)

 鑑定偽装38(+6)

 擬態  38(+6)

 共有  36(新規)

 透過  38(新規)


 これも探知と同じく山でも街でも頻繁に使っているので伸びが大きい。全スキル中、最も高いレベル38で派生も多く到達している。新規習得で特に有用なスキルは共有だ。現在俺の他に2人まで同時に姿を消せる。


 続いて10番目の専門スキル、死滅だ。


 死滅  14(新規)

 植物  08(新規)

 虫類  14(新規)


 これの訓練は精神的に疲れる。殺気はエネルギーを使うからね。ただ訓練の成果は出ており、もう蚊程度なら見ただけで瞬殺できる。範囲は半径1m、複数同時も可能だ。植物も数種類は確実に枯らす感覚を掴んだ。


 最後のスキルは時空。11番目の専門スキルだ。


 時空  16(新規)

 次元収納16(新規)

 重力操作16(新規)


 やはり何と言っても次元収納である。これこそ異世界ファンタジーであり、地球の様々な法則を完全に無視する夢の入れ物だ。正しくゲームに登場するインベントリやアイテム一覧に該当する。


 ただこの世界の仕様はやや制限が多く、今のところ精霊石、魔石、魔物装備しか入らない。入れる物までの距離は30cmほどか。武器の台座に固定された精霊石は収納できたが、地中の精霊石は入らなかった。


 まあ少しずつ色々と試していこう。

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