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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
24/321

第24話 東区

 ワイバーン2体が西区に襲来し応援要請の戦いとなった。勇敢な住人の奮闘で恐ろしい魔物は討伐に至ったが、西区の食堂は半壊し浴場施設は男湯女湯共に脱衣所が破壊された。従って女性と幼児は北区、男性は東区の風呂を借りる流れとなる。


 さきほどソフィーナは北区へ向かった。西区の女性たちが戻れば俺たちの番だ、それまで何をして過ごそうか。破壊された施設の瓦礫撤去はひとまず終わった模様。クラウスも今は手が空いている。


「父さん、剣の訓練見てくれる?」

「ああいいぞ」


 出来る時に少しでも取り組もう。


 外に出て剣を構える。


「まずは身体強化だ」


 よし、集中……来た!


「はあっ! とうっ! やあっ!」


 ふー、休憩。


「3回切り込んだだけで疲れるや」

「最初はな。慣れれば続けられる」


 それから振って休憩を2セット繰り返した。


「はー、ここまでにしよう」

「そうだな」

「食堂と浴場、残念だったね」

「でも突っ込んでくれたお陰で対応はし易かった」

「へー、そうなんだ」


 建物の残骸が折り重なって流石のワイバーンも動き辛かったか。


「屋根に上がった住人からは攻撃が届いたのさ」

「ワイバーン大きいからね」

「頭へ攻撃を当てるにはワイバーンの体を駆け上がる必要がある。それが同じ高さに頭があれば届くだろ。食堂の屋根にも何人かいたから突っ込んだ後に直ぐ切りかかってたぞ」

「じゃあ1回目でも倒せそうだったの」

「それなりに傷を負わせたが相手は大型だ、そう簡単に倒れはしない。直ぐ飛び立ったのさ」


 空中に逃げられると追えないね。


「それで浴場へ突っ込んだ時にも屋根の上から畳みかけたんだよ。ところでお前、びっくりしただろ、洗い場へ頭を突っ込んだから」

「うん! 大きな音がしてワイバーンの顔が見えたからみんな悲鳴を上げてたよ」

「あいつは何がしたかったのか知らんが、その時動きが止まってな。それで仕留められたってワケさ」


 きっと俺を探してたんだ。それで見つかった。


「イザベラおばちゃんが首を落としてたよ! 凄かった!」

「そうらしいな。浴場の屋根にいたから近かったのだろう。いくらワイバーンでも止まってる首ならベラの全力の一撃で十分落とせる」

「凄いね」

「ただ全力過ぎて、その後しばらく動けなかったそうだ。まあやれる自信があったから切り込んだのだろう」


 なるほど。時と場合によっては力の配分も考えないと。今回は多くの住人がいたから、疲労で動けなくなっても後の人がなんとかしてくれる。少人数でそうなったら大幅な戦力低下に繋がり、展開によっては全滅もあり得るからな。


「切り込む判断はどうしてるの? 何人も一緒に突っ込むと危ないでしょ」

「順番は予め大体決めてるが、状況によって変わるからな。お互い見て感じ取って動くんだ」

「うわー凄いな。長年の連携だね」

「だからな、食堂と浴場周辺は西区で固めて、住居周辺は北区が南北2つに分かれて見てた。で、城壁の外は東区が担当してたのさ」

「そんな割り振りがあったんだ」


 同じ地区の住人なら日頃から意思疎通ができている。なるほどね。


「そういうのって誰が指示をするの?」

「地区で大体決まってる。ここならフリッツだ。今回は騎士が分担を決めていた」

「後処理だけじゃないんだ」

「はっは、まあな。あいつら団体戦なら本職だ。魔物によって陣形をたくさん知ってるみたいだぞ。だからって命令されるのはみんな嫌がるけどな」

「ふーん」


 騎士の指示には従うのね。そこに不満があっても終わってから言い合ってそれで気が済むし。多分、少々の憎まれ役を買ってでも目の前の脅威に対抗する最善の策を示してくれるのだろう。


「別にいいんだよ、多くの戦力を効率よく使うためにな。でも言い方が気にくわん」

「どんな?」

「お前はあっちだ、こっちだ、直ぐ行け、走れ、勝手に動くな」

「うわー」


 騎士団の中ではそれが日常か。住人からしたら上から目線にも聞こえる。


「そろそろ風呂の準備するか」

「うん!」


 俺たちは着替えを袋に入れて東区へ向かった。


「父さん武器はどこへ仕舞うの?」

「脱衣場に置いとけってさ」


 いつも通り武器を背負ったクラウスはそう答えた。


 中央区に入り中通りに差し掛かった。ここまでは礼拝堂のお祈りや、農業ギルドへの出荷のお供で知っている。


「わあ、今日は馬車が多いね」

「町の冒険者だろう。応援で駆け付けたんだ」

「そっか」

「ただ来た時には終わっていた。でもいいんだ、西区に村の戦力が集中してる時に、何か他の対応ができる戦力がいるのは、それだけで心強いからな」

「確かに。来てくれただけで意味があるね」


 恐らく緊急依頼とかでギルド内に告知があって、行くだけで報酬があるのだろう。じゃないと無駄足になって時間を浪費するだけになる。


「あれはメルおっちゃん?」

「そうだな、おおーい、メル! 何やってるんだ」

「あ? おお、クラウスとリオンか、お前らも押せ」


 ランメルトと他2人が荷車に沢山荷物を載せて引いていた。


「これは酒か」

「要請のお礼だ。東区は人数が多いから持っていく酒もこんだけいるのさ」

「よし、押してやる」


 中央区で調達したか。

 俺はクラウスと一緒に荷車の後ろにつく。

 ほどなく城壁東口へ。ここを抜ければ東区の城壁が見える。


「なんだお前達か、お礼の酒だな。俺も押してやるよ」


 後ろから続々と西区の住人が荷車押しに加わる。


「おっちゃん北区は?」

「先に持って行ったよ」


 しかしかなりの出費だな。どこからお金が出ているのか。


「この代金だれが払うの?」

「もちろん西区だよ。要請謝礼で積み立てしてる」


 なーんだ、別に財布をよけてあるのね。でもあんまり要請が続くと積み立てだけで足りるのかな。要請対象の魔物に討伐報酬があるからそれで賄えるかもね。今回のワイバーンはかなりの報酬が出てそう。


 東区の城壁が近づいてきた。ただ何か違和感が。そうか!


「東区って見張り台が中央区側にもあるんだね」

「そうだぞ」


 へー、じゃあ4か所か。人数いるから当番も大丈夫だね。


「あの穴が避難部屋の窓?」

「そうだな、えーっと、西に2部屋、東2部屋、南北にも1部屋ずつで、合計6部屋あるそうだ」

「わー多いね」


 緊急時は一番近くの部屋に入る運用なのかな。きっと子供も多い。しかし結構高い位置にあるな。眺めも良さそうだ。


「搬入口は全開だな。酒来るの分かって開けてたか」

「おー、来たな! 西区のみんな、お疲れ」

「何処へ置くんだ?」

「後はこっちでやる」

「すまんな。応援も助かったぜ!」

「はは、お互い様だ。2体目のワイバーンは俺たちが止めを刺したからな。あんな経験そうそう出来ん」


 搬入口前でしばし東区の人たちと言葉を交わす。普段ほとんど接点がないからな。


「お前たちの風呂はここを入って左に行けば直ぐだ。3つ並んでるが1番手前の浴場だぞ」

「分かった」


 俺たちは搬入口を入って左へ。浴場の裏側が見えてきた。


「ここの城壁って厚みがあるね」

「西区の2倍だからな」

「避難部屋があるから?」

「そうだろう」


 2倍かー、それだけあれば簡単に突破されない。しかし改めて凄い設備だな、要塞だぞ。


 浴場の正面に回り込む。ほーなるほど。西区の作りがそのまんま3列になってるのね。だから中心には風呂や食堂が3つ並んでいるワケか。これならもし浴場が1個所破壊されても東区内で対応できるな。


 北区は今年拡張でこの環境になるのか、いいな。西区は2年後。あー、北区は80軒になるって確かカスペルが言ってた。じゃあ4列? それとも40軒の2列かな。中央区に対して東西に長くなった方が防衛上いいから2列だろうな。


 もしそうなら西区の北側と距離が近くなる。鐘を鳴らす判断が今より北区側が多くなりそう。


「お、来たな、さあ遠慮なく使ってくれ」

「すまん、使わせてもらうぜ」


 浴場入り口で東区の人が案内をする。なんかいいなこういうの。


 前世でも自治会ごとに集まりがあったが、祭りになったら町挙げてのイベントだから、普段行かない他の公民館に入ったりして新鮮だった。もちろん自分とこの公民館にも招待してね。まあそこで何するって飲み会だけど。地域としての一体感は醸成されるな。


 ここの環境だと応援要請がそれに当たる。まあ祭りと魔物討伐を同列にできないが村の一員として団結する意味合いは似たようなもの。ただ中央区だけはちょっと距離感があるな。外側3区が守る形だから。


 ゼイルディクの北側に位置するカルニン村とサガルト村、そこもまた違った雰囲気の一体感があるのだろう。城壁などの構成はここと違いはあるのかな。開発順ではコルホル村が一番後だから先に開拓した他の村はちょっと興味ある。


「きれいだな」

「ああ、まだ作って2年だ」


 脱衣所もそうだけど洗い場も浴槽もピカピカだ。いい環境だなー。


「でも真ん中の風呂はウチより古いはずだぞ」

「そっか、じゃあ新しい方に俺らを案内したワケだ」


 そこはお客様扱いでしょう。あと自慢。


「女子供も北区じゃなくてこっちに案内してやったらいいのに」

「それはまあ段取りがあるのだろ」


 しかし環境があるとは言え、この世界の人たちは風呂を欠かさないな、1日の終わりには必ず入るぞ。今回北区と東区は急いで用意したはず、どうしてそこまで拘るのだろう、明日からでも別にいいのに。


「風呂を1日くらい抜いたりしないの?」

「臭いに気を使うからだよ」

「へー」

「魔物はな、人間の臭いを敏感に察知すると言われている。だから汗臭さだとか、排泄物とか、そういうのを放置してると寄って来やすいんだ」

「そうなんだ」


 なるほど根拠は魔物か。ただみんながきれい好きなワケではなかった。魔物に絡むことなら最優先か。思えば畑でトイレ行きたくなっても必ず家に帰ってた。いわゆる立ちションとか絶対ダメって。マナー的なものかと思ったら魔物が関係してたのか。


 だからか、下水道もしっかり整備されてるのは。人間の臭いには敏感なのね。まあそれが結果的に衛生環境の向上に繋がってるからいいね。


「ふーよし、帰るか」

「あー気持ちよかった」

「今日はいい風呂だったな」

「お、そうだ、礼を言って回るがお前たちも来るか」


 礼? ああ、応援要請のか。先日は北区の住人も西区に来てたな。


「俺はいい」

「そうか」


 クラウスはそういうタイプじゃないらしい。ランメルトはキャラ的に向いてそう。


「帰ろうかリオン」

「うん」


 ゴーーーーン


 夕方の鐘だ。


 風呂を出て東区の城壁も抜けた。中央区の城壁の向こうに夕日が眩しい。風呂上りがこういう景色って新鮮だな。


「父さん、明日も東区?」

「さあ分からん」


 北区もちょっと行ってみたいけど東区の風呂はきれいだからいいな。


 中央区を抜け西区に帰る。


「今日は外で夕食だね」

「おや、椅子と机が外に出てるな」


 食堂の前の壊れた屋根は撤去され、代わりに机と椅子が並んでいた。


「先に帰った女性陣がやってくれたみたいだな」

「帰って来たわね」


 ソフィーナが食堂前で待っていた。


「すまんな、並べてくれたみたいで」

「手分けすれば直ぐよ。さ、食事もらいましょ」


 いつものカウンターでトレーを受け取る。


「おばちゃん、ワイバーンの時どこにいたの?」

「私かい? 厨房さ。屋根を突き破ってワイバーンの足が見えたんで包丁投げたけど跳ね返されたよ」

「あららー」


 ふっ、流石この村の料理人だけはある。肝っ玉が据わってるな。


「席はまだ空いているが、その辺に座るか」

「俺は通路でもいいよ」

「じゃそっちに行くか」


 俺たち3人は通路に座った。ちょっと違った環境で食べるのもまたオツだと思えば。


「ふふ、こういうのもまたいいわね」

「まあな。そうだ、東区の風呂はきれいだったぞ。できて2年だからな」

「あらそうなの」


 通路に座ると3人向かい合わせになってちょっと距離が近く感じた。


「リオーン!」

「ミーナ!」


 彼女はトレーを持って俺の近くに座ってきた。


「席は何処でもいいからね!」

「じゃあ向かい合わせに座るよ」


 抜け目ないミーナ。かわいいね。


「リオーン! 俺らもここ座るぜ」

「ケイス、ピートもロビンまで」

「あー、もう!」


 ミーナがむくれてる。ケイスたちわざとだな、やれやれ。


「いいなーお前ら、俺中央区にいたからワイバーン見れなかったよ」

「バカ言うなよケイス、風呂に頭が突っ込んできて怖かったんだぞ!」

「そん時さ、リオンが立ち上がって怒ってたよな」

「え、そうだっけ」

「そうよ、リオンは前に立って子供たちを守ったんだから!」

「えーははは……」


 あの時は思わずね。俺を狙ってきてるのにみんなを巻き添えにしてるのが腹立ってさ。しかし本当に神の向けた魔物だったのか。だとしたら次もあるかも……。


「なあに集まって。私もいいかな」

「エルマも座れよ」

「セシリアは?」

「エドの隣り」

「あーはは!」

「エレンはアイナと一緒か、おいピート、エレンのとこ行けよ」

「えー、ケイスもセシリアのとこ行けばいいだろー」

「ばか、エドと並んで勝てるか」

「だよねー、ははは」


 なんかいいな、遠足みたい。


「ここに座るぜー」

「お、メルとベラか」

「子供たちは?」

「もう食べて帰ったわ」

「じゃあ座れよ」

「なんだ、結局机と椅子空いたままか」

「いいんじゃないのー、この方が楽しいし」

「そうだな」

「冒険者時代を思い出すぜ、なあ」

「まーな」


 大人たちも楽しそうだな。


「しっかし今日のベラは最高だったぜ!」

「へへーん!」

「ワイバーンの首を落とすなんてそうそうできやしないからな」

「私もまさか落とせるとはね、深い傷で動けなくなればいいと思ったから」

「剣が上達している証拠だ」

「そーよねー」

「よっ! 竜殺しのベラ!」

「なにその名前ー」


 ワイバーンは飛竜だもんね。二つ名かっこいいじゃん。


 いつもと違った夕食は昼間の激闘が嘘に思えるほど賑やかなものになった。


「じゃあ片付けるか」

「ええ」


 トレーを返して家に帰った。


 居間に座る。


「もう風呂は入ったから寝るまで時間が空くな」

「そうね」


 確かに。まだ19時くらいか。いつもは風呂の後、21時くらいに寝るから2時間ほど暇だ。これが西区の浴場が使えるまで続くのか。何かすること考えないと。


「お風呂の修理終わるのはいつぐらい?」

「最速でやるって言ってたから、そうだな2週間てとこじゃないか」

「へー」


 この世界の1週間は6日、2週間なら12日か。浴場、と言っても脱衣所だけだから、それくらいでいけるのか。いやかなり早いぞ。洗い場や浴槽は石造りだけど脱衣所は木造。同じ木造としたらかなりの突貫工事になる、心配ないのかな。


 前世で新築木造は最短でも3~4カ月くらい、それも天候に恵まれてだ。


「北区の分を回すとかなんとか言ってたな。多分、今年の拡張に使う予定だった資材のことだ。もうゼイルディクの建設ギルドにあるんだろうよ」

「なるほど! 作りも同じならあとは組み立てるだけだもんね」

「問題は職人の確保だが、多分優先で日程を捻じ込んでくれる」

「へー」


 この村の開発計画が成功事業と認識されているみたいだから、そういうフォローも万全なんだな。


「ちょうど収穫が一段落した時でよかった。畑仕事も10日くらい余裕あるからな」

「畝立て終わったんだよね、次は植えるの?」

「そうだな、後は草の管理くらいだ。お、そういや明日が申請討伐の日だったな」

「そうね、お風呂が早いから今回は午前中しか行けないけど」

「森に行くの?」

「ああ、俺と母さんとメルおっちゃんとベラおばちゃんの4人だ」

「仲良しパーティだよね」

「はは、まあな」


 完全に冒険者に戻る感じか。ちょっと楽しそう。いやいや魔物の住処に入っていくんだぞ、危険だ。森には城壁も他の住人もいないし。


「気を付けてね」

「リオン、俺たちはそういう環境で昔はずっとやってきたんだ。状況によってどう判断したらいいか心得てるつもりだぞ」

「かなり慎重に行くから心配ないのよ。いざとなったら西区に走るわ」

「おいおい、それじゃ精霊石探しの新人と変わらんだろ」

「ふふ、そうね。でもいいのよ、無事なら」

「まあそうだな」


 どういう力関係なのだろう。重要な局面で誰が判断するのか。ソフィーナは唯一後衛だから周りは見えてそうだな。


「さあまだ早いけど寝るか」

「そうね、ワイバーンの対応は気が張って疲れたわ」

「はは、そうだな」

「じゃおやすみ!」

「ああ、おやすみ」

「おやすみ、リオン」


 2階に上がってベッドに入る。


 ワイバーンか。村の総力で対応しないと倒せないほどの魔物。滅多に来ないとはいえ、ひとたび襲来すれば大きな被害が出る。今回は幸いにも犠牲者はいなかったが次どうなるか分からない。


 本当に神が向かわせた魔物だったのか。だとしたら近いうちに同等の魔物を仕向ける可能性もある。ここは魔物が来る前提の村。それでも限界はあるだろう。


 俺が原因で死ななくてもいい人が死んだら。8年前は正にそれだった。


 どうすればいい。俺がこの村を出ればその心配は無くなる。でも結局、例えばゼイルディクに行ったとしても、今度はそこが襲われるだけだ。


 俺が生きてる限り神は執拗に仕留めに来る。この世界のどこに行っても同じか。


 ならば立ち向かうまでだ。どの道、この世界で生きていく以上、魔物との関りは付いてくる。そのためにも、もっと強くならないと。


 英雄の力が解放されれば、それはとても頼もしい存在だ。こちらから積極的に行使せずとも、その存在だけでかなりの余裕が生まれる。そう、いざという時に戦える。


 今日、浴場でワイバーンと対峙した時、俺は立ち上がって言葉を発することしか出来なかった。イザベラが首を落として終わらせたが、そうでなかった場合、あの後どうなっていたか。


 うん、そうしよう。一刻も早く強くなる。英雄の力を手に入れるんだ!

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