第233話 本性
6月24日、平日5日目。
今日も目覚めれば美女の笑顔だ。
「昨夜の乱れ様は凄かったね」
「……初めての感覚でしたから」
「今夜も色々試そう」
「……はい」
フィルは何でも受け入れてくれる。
「大好きだよ」
口づけの後に胸をむさぼる。ああ、俺はもうこの娘無しでは生きられない。
「……ううん、お母様」
その声に振り返るとベッドの隅にセーラがうずくまっていた。そう言えば一緒のベッドだった。うーむ、朝の雰囲気が台無しじゃないか。
「……編み物は止めるから……ぶたないで」
えっ。今公爵家の闇が聞こえたぞ。
寝顔を眺める。10歳ねぇ。体つきこそ女性らしさを増しているが、まだまだ甘えたい年頃のはず。公爵家に生まれたとはいえ、こんなワケの分からないエロガキの相手を強いられてさぞ困惑だろう。
それでも健気に頑張るセーラ。俺は思わず頭を撫でる。
「えっ……リオン?」
「おはよう、セーラ。よく眠れたか?」
「睡眠の邪魔をしておきながらどの口が言うの」
「申し訳ありません、セーラ様」
「フィルはいいのよ。リオンの指示に従っただけ」
セーラはむくりと起き上がる。
「はぁ~……お陰で物凄く疲れたからしっかり眠れたわ」
「それは何より」
「……ベッドが凄いことになってるわね」
「直ぐに取り替えます!」
フィルは慌ててシーツを準備する。
俺とセーラは洗面台へ向かい朝の準備を終える。ふふっ、並んで歯磨きなんて確かに姉弟みたいだな。部屋に戻り服を着替えると20歳ほどの女性が入室する。上品な服装からはメイドとは思えない。
「初めましてリオン様、セーラ様の従者ミレディと申します」
「あっ、どうも」
「おはようミレディ」
「おはようございますセーラ様。学園へは本日も体調不良で欠席と通知しています」
「そう。明日の予定は?」
「デルフィナ様よりお出掛けのお誘いを受けました。返答はどうしますか」
「……仕方ないわね。行くと伝えて」
「承知しました」
ほほう従者か。この娘もフィルに負けず劣らず魅力的だな。
俺はミレディに近づきスカートに手を入れる。
「お、お止め下さいリオン様」
「ちょっと! 私のミレディに何するの!」
「ミレディは自慰する?」
「は、はあ!?」
「道具があるから試そうよ」
「何言ってるの!」
たちまちセーラに身体を掴まれて床に転がされた。
「もうあなたって人は! 獣ですか!」
「ミレディの下着が見たい」
「だまらっしゃい!」
もう墜ちるところまで墜ちたな。しかし何故だか心地いい。いっそ変態の道を極めるか。
「ミレディ、今後は入室を禁じます。私が会いに行くから」
「承知しました!」
ミレディは足早に部屋を出る。
「うぇ~ん! セーラがいじめるよぉ~!」
「あらあら」
フィルに駆け寄るとしゃがんで迎えたので股間に頭を入れてそのまま押し倒した。いい匂いがする。
「ベッドに行こう」
「なりません。もう直ぐお仕事です」
「今すぐ遊びたい」
「ダメです」
「俺の言うことを聞け!」
「……分かりました」
フィルは立ち上がるとベッドに向かう。そう。それでいいんだ。
「うつ伏せになって膝を立てて尻を上げろ」
フィルは言われた通りにする。俺は黒い棒を手に持ちベッドに上がる。フィルのスカートをめくり下着を脱がした。
「日の光でよーく見えるよ」
フィルの身体で遊ぶ。あー楽しい! 彼女も喜んでいるぞ。
「リ、リオン様。武器をお持ちしました」
「えっ」
振り返ると弓を持ったチェイニーが立っている。チッ、いいところなのに。
「後で」
「ですが」
「ええーい、分かった! よこせ!」
フィルの体液で手がびちょびちょだったが構わず弓を握る。
ギュイイイイィィィーーーン
「おい、終わったぞ」
ベッドに弓を投げ捨てるとチェイニーは拾い上げ去った。
はは、トランサイト生産なんかちょろい仕事だ。よーし、今日は1日中フィルと遊ぶぞ。ああでも流石にフィルの身体が持たないか。だったらさっきのミレディでも呼びつけよう。真面目そうだから乱れる様子が楽しみだ。
「いい加減にしなさい!」
「えっ」
セーラに腕を引っ張られてベッドから引き摺り下される。
パンッ!
間髪入れずに平手打ちを食らい床に倒れ込んだ。
「やりやがったな!」
パンッ!
反射的にセーラの頬へ平手打ちをお見舞いする。
「俺の楽しみを邪魔するな! 大人しく窓際で編み物してろ!」
「……ニケ!」
「はっ!」
「笛を!」
ピイイィィィィ!
けたたましい笛の音が響き渡ると、扉や窓から物凄い勢いで複数人が立ち入る。
「いかがなさいましたセーラ様!」
「大事ありませんか!」
「今すぐリオン・ノルデンを拘束し牢獄へ連れていけ!」
「はっ!」
「えっ、何を言って……」
ガチャン
瞬く間に足枷がはめられて両手を縛られる。
「ちょっ、何しやがる! 俺はトランサイト職人だぞ! こんなことをしていいのか!」
「だまらっしゃい!」
「おいガキ! 今後は臭い牢屋で1人寂しく武器を作ってろ! 何ならお前の大好きな木箱に入れてやろうか! はっはっは!」
ガルスがしゃがみこんで耳の近くで大声を出す。
何で、どうして、嫌だぁ!
「セーラ! 止めさせてよ!」
「……」
「ぶったことは謝るから!」
「……」
「ごめんなさい! もう絶対しない! お願いだからあああっ!」
「……はぁ。リオンの拘束を解いて。あなたたちは持ち場に戻りなさい」
足枷が外され両手も自由になる。ガルスたちもいなくなった。
「今回が最後よ。次は無いから」
「うん分かった! いや、分かりました! ありがとうございますセーラ様!」
「接し方は前のままでいいわ」
セーラはベッドに近づく。
「フィルはいつまでこんな物突っ込んでいるの」
ズボッ
「あんっ」
「シーツが汚れているわよ」
「はい……直ぐ……取り替えます」
フィルはよろよろとベッドを下りる。
セーラの唇は切れて血が滲んでいた。
「怪我してる。俺が治す」
セーラの頬に手を当てて治癒スキルを行使する。全力治療だ。
「……ありがと。もう痛くないわ」
ほどなく朝食が準備される。
ああ、やっちまった。その場の勢いとは言え女の子に手を上げてしまうとは。本当に墜ちるところまで堕ちたな。最低の男だ俺は。
そして改めて気づかされた。この環境は俺の力で築かれたものではない。クレスリン公爵家だ。セーラ・プレザンス。彼女の指示1つで俺の環境は激変する。
「今朝は無口ね」
「……うん」
さっきの対応を見たら話す内容を考えてしまう。
「そんなに萎縮しないで」
「いや俺、調子に乗ってた。セーラには沢山嫌な思いをさせて本当にごめんなさい」
「反省しているならもういいわ。それとメイドで遊ぶ時間はよく考えなさい」
「うん。夜だけにする。ミレディにも謝りたい」
「あれが一番許せないわ。二度としないで」
「うん、分かった」
セーラにとってミレディは特別な存在らしい。
朝食を終えるとセーラは窓際で編み物を始めた。俺は読書机に座り弓を1本生産する。
「フィルもさっきはごめんね。恥ずかしい姿を沢山の人に見られちゃって」
「いいえ。お気になさらず。……実は多くの視線に晒されて興奮していました」
「えっ」
フィルが何かに目覚めた。
「ときにリオン様。武器生産を隣りで拝見していますと、かなり余力が残っている様に思えます。試しに休憩時間を短縮されては?」
「あっ……うーん、そうだね」
「生産間隔が縮まればご褒美を差し上げます」
「えっ何?」
(下着に手を入れても構いませんよ)
(でもセーラには夜だけって伝えた)
(分からない様に我慢します)
むむむ。
ニケに次の武器を20分後に持ってくるように伝えた。
生産を終えるとバランディンとチェイニーは歓喜する。
「体調に変化はありませんか?」
「うん」
「次回も30分後で構いませんか?」
「うん」
武器担当の2人は去った。
「流石ですリオン様!」
「まあね」
(どうぞ)
(うん)
フィルの下着に指を入れる。密着してスカートで腕を隠しているのでセーラには悟られないはず。
「……っ」
(我慢してるの大変そう。やっぱり夜に)
(続けてください……これはこれで興奮します)
フィルはどんどん新境地を切り開いていく。
午前中はほとんどそんな調子で終わった。
「フィルの息が上がって苦しそうだからほどほどにするよ」
「……分かりました」
フィルがこんなに好きものだとは思わなかった。いや俺がそうしてしまったのかも。ならば責任をもって相手をしないと。
昼食が始まる。
「隠れてメイドと楽しんでいるようね」
「うっ!」
セーラにはバレていた。何故。
「まあいいわ。生産本数が増えたみたいだし」
「そっ、そうなんだよ! 実はトランサイト生産に必要な特別な力とは性欲なんだ! つまり俺が性的興奮を覚えると武器生産速度は上がる!」
「……そうだったの」
「朝ベッドでの弓は数秒だったろ? 何しろお楽しみの最中だったからね」
「確かに……じゃあメイド遊びに制限をかけない方がいいのね」
「うん」
「とは言えフィルが壊れてしまうわ。ちょっとフィル!」
「はい!」
セーラが呼びつける。
「あなたの知り合いならリオン好みも多いでしょう。午後から連れてきてちょうだい」
「承知しました!」
フィルはいそいそと部屋を出た。
「ニケ! この部屋にベッドを増やしてちょうだい!」
「はい! 直ぐ取り掛かります」
ニケも急いで部屋を出る。
「環境は整えてあげるから沢山作るのよ」
「うん! 任せて!」
口から出まかせが尤もらしい理由に落ち着いた。まあ本数作ればノルデン家も潤うはずだし。いいよね。何より俺も楽しめる。フィルの知り合いってどんな娘だろう。楽しみだ。
おっそうだ!
「セーラ。この部屋専用のメイド服を考案したい」
「どんなの?」
「胸元を大きく開いてスカートを極端に短くする」
「……流石リオンね。発想が変態だわ」
「できる?」
「却下よ。メイドらは建物内の施設も使うのよ。そんな卑猥な格好してたら他の使用人や警備に変な目で見られる。本人たちも恥ずかしいでしょうし、この島の風紀も乱れてしまう」
「ああー! いやらしいメイド服を眺めていると元気が出て生産も捗るのに残念だ! 本当に残念だ!」
「……仕方ないわね」
「セーラ大好き!」
やったぜ。これは楽しみだ。




