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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
202/321

第202話 日程確認(地図画像あり)

 俺たちは冒険者ギルドのエストレマ支部にいる。本日の目的であるカルニン村視察は終わったが、魔物素材を鑑定訓練するため立ち寄っているのだ。


 馬車を降りて窓口へ向かう途中、デルクセン男爵長女のマルティーナと顔を合わすことになる。婚約者を取られたミランダとは因縁の間柄だ。


「マルティーナは保安部隊なら、この辺りが管轄かしら?」

「知らん。ただ配下の騎士を引き連れて暇そうだったな、とても副部隊長として務めを果たしているとは思えん」

「まあ休憩時間もあるだろう、常に気を張っていると疲れるだけだ」

「……それは私のことかクラウス」

「さあな」


 ミランダも向こうから見たら連れの付き添いなんだから防衛部隊の任務では無いぞ。ただマルティーナに限っては敵視した発言も致し方ないか。いや待てよ、夫の元婚約者なんてどういう接し方が正しいのか分からん。仲良くするのも変だけど。


 まあ向こうは間違いなく快く思っていないから、どうしてもそれに合わせた対応に成らざるを得ないか。ただちょっと気になったのはミランダが元冒険者であることを蔑んでいる様に見えたことだ。元の身分は変えられないからね、いじる対象としては格好のネタなんだけども。


 よく考えたらノルデン家も将来は心無い言葉を掛けられるかもしれん。平民上りが! なんてさ。まあそれを引き合いに出す時点で返す言葉がない証拠、捨て台詞みたいなもんだ。きっとマルティーナもそれしか言えないんだろうな。


「お待ちしてましたコーネイン副部隊長、そしてノルデン家の皆様」

「素材倉庫へ案内を頼む」

「今、担当者を呼んでまいります」


 しばらくすると40代ほどの男性職員がやってきた。素材鑑定士だそうだ。彼について保管倉庫へ向かう。


「ほほう、流石の量だな」

「カルニン駐留所の2倍、いや3倍はあるわね」

「あそこは中間管理施設に過ぎない、いずれここへ運び込まれるぞ」

「今の時間から19時頃までが最も多く搬入されます、最終的には倉庫が一杯になりますね」


 これが毎日なんだから、つくづく魔物の多さとそれを倒す冒険者たちの活動範囲に驚く。


「具体的な数はどのくらいなんですか」

「爪や牙などを1本から数えれば約1万点ほどです」

「うひゃー、凄い」


 まあ考えてみればそうか、俺がパーティで討伐に1回入るだけで50点くらいあるからな。じゃあ単純計算200パーティの実績で、1パーティ4~5人なら800~1000人か。どうなんだろう、多いのか少ないのか分からん。


 おっと鑑定をしなければ。


「素材を見て回ります」

「はいどうぞ、何か聞きたいことがあれば近くの職員にお願いします。では私はこれで」


 そこからひたすら素材を鑑定した。とにかく角、爪、牙、或いは甲羅や甲殻を見まくる。少し屈んだ姿勢を維持しているので割と足腰に負担だ。有効距離は2mなので1分ほど見渡したら次へ移動する。


 ふー、キリがないや。


「全部は無理だぞ、リオン」

「うん、もう止めるよ」


 気づけば30分ほど過ぎていた。次の予定もあるしこの辺にしておこう。


「馬車はこっちで待っている」


 乗り場に向かう。


「防衛部隊は1台か」

「うむ、我々の護衛だけだ。トランサイト班は監視所へ向かわせた」

「もう魔物は来ないだろう」


 馬車に乗り込み出発。


「16時前か、マクレームでも同じ所要時間なら村へ帰るのは厳しいぞ、鑑定を省略し直ぐ出発か、じっくり見てウチへ泊まるかだ」

「どうするリオン」

「うーん……せっかくなんで素材を見たいです。屋敷の準備は間に合いますか」

「食事の追加は直ぐ対応できる、問題ない」

「ではお願いします」


 正直、馬車に乗りっぱなしで疲れたから早く休みたい。


 しばらく走ってマクレーム支部に到着。管理施設に向かうと見知った顔が。


「やあ来たね」

「フローラさん!」

「ちょっと休んでから行くかい」

「いえ、直ぐ行きます」

「じゃあこっちだよ」


 倉庫に足を踏み込むと恐ろしい数の魔物素材が目に入った。


「うわ、エストレマ支部の倍以上はある」

「当然だ、メルキース在住の冒険者が集めた素材はほぼ全てがここへ来るからな」

「1日3万点って聞いてるね」

「うひー、そりゃ凄い。ひとまず始めますね」


 魔物素材をひたすら鑑定する。メルキースはギルド支部が1個所しかないから集中するんだね。しかしこの数の管理を何人で担っているのだろう。


「マクレームの素材鑑定士は何人か知ってますか」

「30人くらいじゃないか」

「では1人1000点ですね」

「非番を除けば1人1500点ってとこだろ、1時間で200点こなせば1日の仕事に収まる」


 じゃあ1分で3~4個か。鑑定結果が出るまで十数秒かかるなら妥当なところだ。でも周りの鑑定士を見ると紙に控えて管理しているし、素材自体の運搬もしなきゃいけない。結構ハードワークだぞ。


 そう言えばミリアムの兄ユリウスは魔物素材鑑定士をしてたけど、60歳でも引き締まった体つきだった。きっと重い素材を毎日何度も運んでたから鍛えられたんだね。


 ふー、この辺にしておくか。


「終わります、疲れた」

「はは、そうかい」


 しかし鑑定結果に進展は見られない。まあ気長に取り組むしかないな。


「商会長、切り上げました」

「うむ、フローラは工房馬車で本店に行け。朝8時に屋敷へ頼む」

「分かりました」

「リオンの仕事は今日はもういいぞ」

「はい」


 流石に今から共鳴は遠慮したい。


「では屋敷へ向かうとしよう」


 20分ほど走りメルキース男爵邸へ到着。客間でひと息つく。


 しかし素材鑑定は意外と疲れるな。俺は慣れてないのもあるが、あんなのを1日中続けるなんて鑑定士は大したもんだ。まあそれが仕事なんだけど。


 ゴーーーーーン


「鐘は鳴ったが我々の食事の準備にはまだ少しかかる」

「いいさ、ここで待たせてもらう」

「その間にバストイアまでの行程でも確認しよう」

「ほう、通る道か」


 ミランダは地図を広げてその上に薄く白みがかったガラス板を置く。


挿絵(By みてみん)


 ゼイルディクとカルカリアを繋げた地図か。しかしこう見るとバストイアは遠いな。カルニンまでの4倍はありそうな行程だ。こりゃ日帰りなんてとても無理。


「14日、朝8時に村を出発。ブレイエム監視所で工房馬車に乗り換えアレリード子爵邸へ向かう。城壁側道を利用すれば昼の鐘までに到着するだろう。昼食後には馬車を乗り換えメースリック子爵邸へ、ここで夕食と宿泊だ」

「この距離なら1時間半ってとこだろ、随分と時間が余るな」


 確かに遅くとも15時には着く。夕食にはかなり早い。


「アレリードではコーネイン商会カルカリア支部の視察、また近くの冒険者ギルド支部で素材鑑定を予定している。メースリックでもギルド支部に立ち寄ればいいだろう」

「なるほどミランダが商会を見るのに丁度いいな」

「私の都合に合わせて申し訳ない」

「いいえ、俺の用事に付き合ってもらってるのは商会長の方です。他にもついでがあれば行って下さい」


 ちょっと興味があるしね。


「そうだ、店舗は騎士貴族商会の一角ですか」

「うむ、士官学校の近くにある」

「では他のカルカリア商会に入って陳列している武器を鑑定できますね」

「もちろん可能だ」

「おい、あんまり出歩かない方がいいんじゃないか、一応身分を隠して動くんだろ」

「同行するウチの商会員の子と言えば武器を熱心に見ていても不思議ではあるまい」

「まあ、そうか」


 えっ、一時的によその子になるの。知らない人を父ちゃんと呼ぶのか。


「さて翌日15日、8時に屋敷を出発、今度はメースリック子爵家の馬車だ。2時間ほどでバストイア男爵邸に到着する。直ぐに馬を見るため牧場へ向かい、昼食は屋敷で食べる。そこからまた牧場へ行ってもいいし、気になったところがあれば立ち寄ればいい。とにかくリオンはビクトル・ノードクイストの痕跡を見つけてくれ」

「はい、出来る限りのことはします」


 今回の目的地だからね、頑張るぞ。


「それでバストイアをいつ発つかは分からんが、ここでは14時としようか。バストイア男爵の馬車でヘニングス男爵邸へ向かい、そこで馬車を乗り換えてハンメルトの冒険者ギルド、グランドラ支部へ向かう」

「そのままバストイア男爵の馬車でもいいのではないか」

「ヘニングス男爵家は魔物素材を買い付けにグランドラ支部を利用することもあり、少なくともバストイア男爵よりはゼイルディクへ赴く用事としては自然だ」

「ほう、日頃から通っている道だと」


 農業が盛んな地域だから肥料に混ぜる魔物素材調達か。


「トランサイトの鍬を試験運用で預けているのだが、(えら)く気に入ってな。乗り換え時に屋敷で食事も提案されたが次の機会に回してもらった」

「そこで夕食となればもう宿泊だからな。ところでヘニングスからは工房馬車でもいいのではないか」

「それも検討したが今回は利用しない。キッケルト建設商会がその辺りを走るとやはり不自然ではある」


 流石にメルキースの商会としたら遠すぎるか。


「それで14時にバストイアを出たとすればグランドラ支部到着は16時半頃だろう。ここで魔物素材を鑑定し、バイエンス男爵の馬車で同邸宅へ向かい夕食と宿泊だ」

「もう村までは帰って来ないのだな」

「うむ、日程として難しい。それでバイエンス男爵邸にはクラウスとソフィーナが先行して向かってもらう」

「え、俺たちも行くのか」

「翌日16日が極偉勲章授与式の初日だ。アルベルト・レーンデルスが対象であろう」

「おお、そうだった」


 クラウスは見に行きたいと言ってたね。


「授与者の身内も参列するため、村からは妻のエリーゼ、子のエドヴァルドとミーナも向かう。バイエンス男爵邸でフリッツと合流し、ノルデン家と共に夕食と宿泊をすればいい」

「一緒に泊まるのか」

「エリーゼの実家になるわね」

「その通りだソフィ」


 あーそうだった、エリーゼの祖父は先代のバイエンス男爵、つまり先代のゼイルディク伯爵第2夫人の長男だ。確かエリーゼは9歳までは貴族学園だったはず。きっとバイエンスの土地にも馴染みがあるだろう。


「バイエンスと城は近い。授与式当日も朝はゆっくり過ごせるな」

「確かに目の前だ、屋敷からも城が見えるのだろう」

「授与式は午前中に終える、城で昼食をすましリオンは工房馬車で監視所まで向かうのだ」

「2日目はバイエンス男爵とヒルベルト部隊長だろ、俺は見に行くがソフィとリオンはどうする? 確か3日前までに決めるんだったな」

「うむ、城へ報告する」


 これは行っておくか、命の恩人だしな。


「私は行くわ、初日の前日から屋敷でお世話になるならその話でも出るでしょうし。何より2回も助けてくれた恩があるわ」

「そうだよね、俺も行くよ」

「よし分かった、ではノルデン家3人出席で伝えておくぞ」

「3日目はコーネイン家4人だからノルデン家の出席はディアナも加えた4人で頼む」


 結局は3日フル参加か。まあこういう付き合いが大事だもんね。


「おお、ウチの実家も行った方がいいな」

「そうね、屋敷でお世話になっている身内代表として顔を出すべきだわ」

「ならばマティアスとエリサにするか」

「他は希望者でいいと思うけど、どうかしらミリィ」

「それで構わない」

「ひとまず夕食時に本人たちに話してみるよ」


 コーネイン家の晴れ舞台だから見届けてあげたいね。


 食事を終える頃にメルキース男爵が俺たちのテーブルに来る。


「お疲れのところ悪いがこの後話がある」


 ほう、何だろう。あー、清めの儀式かな。確認してくれるって言ってたからね。


 俺とクラウスとソフィーナ、そしてミランダは男爵の待つ部屋へ向かう。


「さて話と言うのは例の清めの儀式についてだ」

「内容が分かったのですね」

「うむ、まずリオンはラムセラール神殿の祭壇を前に正座する。その時は目を閉じ頭を下げ胸の前に両手を組む、祈りの姿勢だな。その後ろでクラウフェルト子爵が清めの舞いを施し悪気を消し去るとのことだ」

「舞い、ですか」

「服は着ているから安心しろ」


 例の裸踊りじゃないのね。しかし正座か。


「時間はどのくらいでしょう」

「30分ほどと聞いている」

「そこそこありますね」

「後は専用の装束があると言っていたな、神殿が用意し向こうで着替えるそうだ」


 まあ滝に打たれるとかじゃなくて良かったとするか。


「どうだ、儀式自体は安全に思えるが」

「はい、多少は足が痛くなるでしょうけど、神王教の進出を妨害しないと約束してくれるなら安いものです」

「もちろん護衛は複数近くに付ける。子爵にも確認済みだ」

「男爵、その1回で終わりですか」

「いやクラウス、2~3日おきに最低1カ月は続けて欲しいそうだ」

「えっ」


 それは多い。


「神殿はどこにあるのですか」

「クラウフェルト子爵領の東部、エーデルブルク城からは南東に10kmほどの地点か。村からだと2時間半の距離だ」

「遠いですね。その30分のために往復5時間は厳しいです」

「城まで工房馬車で行き、城から神殿はノルデン家の馬車でいいだろう。ひとまずトランサイト生産に支障は出ない」

「確かにそうですね」


 うーん、どうしよう。断ることも出来るけどクレア教縮小のためには仕方のない事か。


「リオンどうする?」

「父様、やります。ただ2~3日をもうちょっと空けてもらえると嬉しいです」

「その辺りは協議の余地はある。リオンの用事は優先してくれるからな。また清めの進行度によっては儀式を早めに切り上げたり、1カ月も続けないとのこと」

「おお」

「逆に清めが不十分なら儀式が長くなるそうだ」

「一体、何を基準に判断しているんだ」

「知らん」


 もう子爵の気分次第じゃないかそれ。


「まあ礼儀正しく真面目に取り組めば印象は良くなると思うぞ」

「はぁ……」

「それで1回目の日程だが4日後の16日、極偉勲章授与式の始まる前、朝8時に神殿に行くのはどうだろう。その日はバイエンス男爵の屋敷に宿泊している、屋敷から神殿は20分ほどの距離だぞ」

「近いんですね」

「儀式を終えて城へ行けば丁度良い時間になる」

「そうですね、俺はその予定で構いません」

「うむ、では子爵にそう伝える」


 まあ町に出るついでに終わらせればいいか。


「2回目は1回目より3日後の19日を提案する。18日がコーネイン家4人の授与だ、夕方には我が屋敷にて祝宴を催すため翌日の移動も距離を短縮できる」

「ノルデン家がこちらへ泊まるのですか」

「うむ、ワシが陞爵する祝いの場だ。是非ともノルデン家には同席願いたい」

「おおっ!」

「決まったのですか!」


 メルキース子爵になるのね。


「正式には議会で決まるが、既にプルメルエント公爵とウィルム侯爵の承認は得ている。それを授与式の場で伯爵が告げるのだ」

「男爵、おめでとうございます、偉大なコーネイン家には相応しい身分でしょう」

「心からお祝いを申し上げます、自分のことのように嬉しいわ」

「うむ、ありがとう。これもみなリオンとノルデン家のお陰だ。礼を申す」

「俺は何も、戦ったのは商会長たちです」

「ノルデン家の活躍が無ければ陞爵どころか命を失っていた。共に勝ち取った名誉である、是非ともその喜びを分かち合おうではないか」

「はい、それはもちろん」


 いやー、やったね。ソフィーナの言う通り、何だか自分のことのように嬉しいよ。


「となるとメルキース男爵の身分はどうなるのですか」

「ユーシス・ドナートが新たに引き受ける、彼女は3体のAランクを仕留めたのだ」

「おお、やはりですか」

「こちらも既にプルメルエント公爵とウィルム侯爵の承認を得ている。同じく授与式の場で伯爵から告げられるだろう」

「ユーシスは初日ですよね、その場で男爵の陞爵も合わせて伝わるのですか」


 そうか、メルキース男爵になるなら2人になっちゃう。


「いやワシの件は18日だ。その間は皆勝手に想像して騒ぐだろう」

「はは、なるほど」

「それで知っての通りこの国では男性のみ貴族になれる。従ってユーシスの夫、オグマ・ドナートが爵位を預かるのだ」

「メリオダス副部隊長の弟ですよね」

「うむ」


 凄い、ダニエルの叔父が本当に貴族になるぞ。


「実はオグマもユーシスもメルキース士官学校の出だ。もう1人の弟ニコラスも同じくメルキース出身、ドナート家はこちらに縁があったのだよ」

「ニコラスって、あ、ブラード家担当の西区保安部隊ですね!」

「うむ。長男メリオダス32歳、次男オグマ31歳、三男ニコラス30歳、とドナート家は男3兄弟なのだ」


 言われてみればそうなるね。へー、みんな立派な騎士に育っているじゃないか。


「あの少し疑問なんですが、メルキースに2人の貴族ですよね、全体はコーネイン家としてもドナート家の領地はどうなるんですか?」

「それはワシの裁量次第。今考えておるのはラウリーン検問所付近の新たな冒険者居住区周辺だ」

「なるほど振興地域を任せるのですね」

「うむ、あの付近に屋敷を作らせて城壁と検問所含めて管理させる考えだ。無論屋敷の建築費用は全額ワシが負担してやるぞ」


 おお、太っ腹。


「まあ実際は伯爵からの子爵補助金を回すだけだがな」

「それでもコーネイン家が貰うはずだったお金ですよね」

「はっはっは、ウチはそなたのお陰で十分過ぎるほど稼いでおるし、これからも続く。そこいらの子爵と同列ではないぞ」

「はは、確かに」

「そのためにはバストイアで何かを掴んでくれ」

「はい、出来る限りのことはします」


 ふふ、魔導具商会も成功させなきゃね。


「さて話し込んでしまったな、時間はもう遅い。客室でゆっくり休むといい。朝食は7時だったなミランダ」

「はい、父上」

「では失礼します。おやすみなさいませ、男爵」


 クラウスと部屋を出て客室へ向かう。ソフィーナはミランダと共に通路へ消えた。


「風呂を準備するぞ」


 クラウスは湯船にお湯を出し始めた。もう22時か、確かに話し込んでしまったな。でも大事な内容だった。


 風呂を終えて居間に座る。


「リオン、儀式で神と話せたらいいな」

「うーん、その気があるのかな」

「とにかく意思疎通しないと何も変わらない、実体のない相手である以上、どう考えたってこっちが不利なんだ」

「分かった、その辺を意識して受けてみる」


 でも話せても殺すしか言わない気がする。


「さて寝るか」


 ベッドに入り照明を消す。


 ふー、今日は遠出で疲れたな。でもカルニン村はとても参考になった。バストイアに行く時はもっと多くの見聞を広められるだろう。もちろん英雄の記憶を解放することが最優先だけどね。それもうまく行くかどうか。


 まあ魔導具や地名を聞いただけで夢に出てくるくらいだ。現地に行けば何かしらあるはず。

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