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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
20/321

第20話 鉄製品と魔石動力

 宇宙の声を聞き魂は体へ戻された。急降下に少し慣れたかもしれない。


「おや、起きてるな」

「あ、父さん」


 扉を開けたクラウスが見える。


「話終わったら直接食堂行けばいいからな」

「分かった」


 15時からフリッツの講義だった。今は14時45分くらいか。なんだか洗礼の後は時間がよく分かる気がする。


 はー、それにしても、とんでもない内容の話だった。宇宙の声を聞けたのはいいが前にも増して驚きだった。そうだよな、すんごい内容だよな、英雄だぜ? それが100万も。それらが全て解放されれば神をも凌ぐって、それって正しくチートじゃないですか。


 にわかには信じがたいが宇宙の声の話なんだから間違いないだろう。


 いや、ほんとかな? 訓練すればスキルを覚えるって? 神に封印されてるって? んー、実際やってみないと分からないな。ま、それも追々だ、フリッツのところに行こう。


 筆記用具を持って家を出る。


 しかし前世の記憶を使ってストーンペーパーと考えたが、そう、その為に今からフリッツに話を聞きに行くんだが、これは洗礼のスキルがあんなだから仕方なくなんだよな。


 別にちゃんと適切なスキルとレベルがあれば、この世界の常識の範囲で仕事をして、それで食べていければいいんだ。神もきっとそれを望む。大きく力を落としてまでも俺の力を封印したんだから。


 ただ、石油は精霊石から出るって言ってたな……。それで生活が豊かになるのに、その方法を知ってるのに、何もしないでいいのかと。あんな風に言われたら迷ってしまう。


 まあ今からの講義は約束だからしっかり聞こう。フリッツもそのつもりで準備してくれてるんだ。鉄製品や魔石動力も興味あるしね。


「こんちには!」

「いらっしゃい」

「リオン!」


 3人が居間で待っていた。俺はいつものエドヴァルドとミーナの間に座る。


 ほら俺はお子様だぜ? 両隣の2人と変わらずの。中身がおっさんで地球の記憶を持ってるけど、見た目は8歳の子供だ。それが英雄? いやー、ちょっと実感湧かないな。


「どうしたリオン、始めるぞ」

「あの、ちょっと聞きたいんですが」

「何だ」

「英雄ってこの世界にいたのですか?」

「ああ、いたぞ。王族はその子孫だ」

「へー」

「今度は歴史か、はは、それはまたの機会にしてくれ」

「あ! すみません、鉄製品と魔石動力、お願いします」

「うむ」


 フリッツに失礼だな、せっかく準備してくれたのに。ちゃんと聞いて書かないと。


「鉄製品で何が思いつくかな? ミーナ」

「えと、鉄だよね、うーん、スプーンとフォーク!」

「おおそうだ、エドは何かあるか」

「そうですね、ハサミ、鍬、それから城壁の扉、見張り台の鐘も、それから馬車の車輪」

「沢山出てきたな、リオンはどうだ?」


 全部言われた。こういう時の最後の方って試されてる感が凄い。クソッ思いつかねぇ。あ!


「武器! それから、厨房の鍋」

「お、いいぞ、よく出てきた」


 ふー、やったぜ(ドヤッ 大人が負けるわけにはいかない。


「実際は他の金属を混ぜた合金が多いが、材料に鉄が入っているのでみんな正解だ。それで鉄はどうやって作る? 分かる人」


 む、今日は問い掛け方式で進行するスタイルか。

 合金? 鋼やステンレスもあるのか。


「はい、はーい! 土の精霊石!」

「そうだな、鉄を出すのは精霊石、他に必要なのは?」

「はい! 錬成の派生スキル、定着です」

「そうだ、リオンもそこは知ってるんだな」


 よーし!


「では精霊石から出した鉄はどういう状態だ?」


 状態? そっか、いきなり鉄製品じゃないよな、うーん。


「はい! 粉です」

「そうだエド、正解」

「へー粉なんだ」

「それをどうやって加工するか分かるか」

「はい! ……高温で溶かす、のかな?」

「正解だ! なんだリオン、教えること少ないぞ」


 まー、そりゃ、鉄なら何となく想像は出来る。


「では溶かした鉄だが、その次は? 例えばスプーンだ」


 溶かした鉄をスプーンの形に、あ、分かった!


「型に流し込むんでしょうか」

「その通りだ」


 うひょー!


「それで冷えて固まった鉄は、やや硬めの粘土のような状態になる」

「あれ、鉄の硬さじゃないんですか」

「そうだ、ではどうやったら硬くなる?」


 また熱するのか、うーん。


「錬成士が定着の魔法を施すと硬くなる。それで完成だ」

「そこで定着なんですね!」

「ちなみに精霊石から抽出した粉の状態を鉱物粉、加熱した液状態を鉱物液、冷却した粘土状態を鉱物土と呼ぶ」

「そのまんまですね」


 いやしかし凄いな、特に最初が。精霊石から直で素材だもんな。あとは地球と似たような感じだが最終工程前はまだ硬くない。鉱物土か。


「土の精霊石から鉱物を抽出する者を鉱物士と呼ぶ」

「へー、そんな仕事あるんですね」

「狙った鉱物を正確に抽出するために熟練が必要だ」

「鉱物によって難易度もあるのですか?」

「うむ。鉄は比較的やりやすい方だ」


 あー、だから色んな所に使われてるのね。


「鉱物士には、出す鉱物の種類、量、そして消えるまでの時間調節が求められる」

「なるほど、錬成士が定着するまでの時間を確保するんですね」

「その通り。ただ出しただけでは数分で消えるからな」

「定着したらどのくらい持つんですか?」

「数年~数十年だそうだ。鉄の大きさや錬成士の腕にもよる」

「へー」


 それでも数十年か。でもそれを過ぎると消えるんだろう? 食事中にスプーンが消えてもちょっとこぼす程度だけど馬車の車輪が消えたら大変だよな。


「先生! 消えるまでの期間ってどうやって知るんですか? あ! 鑑定ですか」

「そうだ鑑定だ。ただいちいち鑑定しては手間だしお金もかかる。このスプーンを見てみろ、何か気づくことはあるか」


 フリッツは机の上にスプーンを1本置いた。ミーナが取って見る。


「何か書いてある! 2304、10」

「お、数字もしっかり読めるなミーナ」

「うん!」

「この数字は消える時期を明示している。統一暦2304年の10月だ。エド、今何年だ?」

「はい、2298年です」

「ではあとどのくらいで消える? ミーナ」

「えっと、えっと、うーん」

「リオンはどうだ?」

「あと6年ですね。今が5月だから6年と6カ月ということですか」

「うむ、その通りだ」


 ほー、この数字そんな意味があったんだ。ミーナは書いてるって言ったけど彫り込んだ感じかな、いや、型を押し込んだみたいだ。多分、鉱物土の時に施工したのだろう。


「1カ月くらい余分に見ているそうだ、ギリギリまで使って消えて困る用途もあるからな」

「鉄製品には必ずどこかにこの数字があるんですね」

「そうだ」


 消費期限みたいだなー、鉄だけど。面白いなぁ。


「以上が鉄製品についての話だ。魔石の話の前に少し休憩しよう」


 フリッツはそう告げて奥の部屋へ消えた。ミーナは立って多分トイレに行った。


「いやー面白い話だった、ためになった」

「うん僕も」


 エドヴァルドって洗礼もう終わってるよな、9歳だもん。どんなスキルを授かったのか。


「エドは将来やりたいことあるの?」

「うーん、まだ分からないよ」


 そうだよな。


「でも今日の鉱物士の話はちょっと興味湧いたかも」

「ふーん」


 土スキル高かったのかな。


「リオンは? おじいちゃんにこう言う話聞くってことは錬成士?」

「うーん、興味はあるけどね」


 錬成スキルないから無理ですよ。神に封印されてるんで。


 ふっ、神に封印されてるって、いかにも厨二っぽい響きだな。


 くっ、俺の封印を解くカギはどこだ! ってね、はは。


 そんなこと考えてるとフリッツとミーナが戻って再開だ。


「では魔石の動力としての性能を話す」

「はい、お願いします!」

「まず魔石は分かるな? 魔物を倒すと手に入る」

「先生、魔物1体につき1個でしたよね」

「そうだ」


 大きさは精霊石と同じ、色は黒っぽい。


「魔石は魔物から出てきたままでも使用可能だが、それでは30日しかもたない。エド、どうするんだ?」

「はい、錬成士が定着をします」

「そうだ。それで数年は引き延ばすことができる」


 あー、そうなんだ。だよね、30日しか使えないんじゃ動力として困る。


「ここでも錬成士なんですね」

「大活躍だな。そして魔石を動力として使っているのが主に魔導具だ。例えば何があるかな? ミーナ」

「魔導具……えっとね、羽根ペン?」

「惜しいな、ではエド」


 惜しい? 惜しいのか、羽根ペンが。


「照明です」

「そうだ。と言っても日頃目にする魔導具は照明しかない。他に西区にあるのは食堂の時計、あれも魔導具だ」

「先生、他にどんなのがあるんですか?」

「業務用品がほとんどだな。例えば魔力波長測定器、ギルドの口座管理所で使ってるぞ」


 魔力波長? 何に使うんだ。口座……本人確認用?


「ワシが養成所で教官をしてた時は拡声器を使うこともあった。ただ性能がイマイチで結局大声出すことが多かったが」

「拡声器、そんなのもあるんですね」


 どんなのだろう。メガホンかな、それともマイクとスピーカーかな。


「そういうのは身近ではないので、今は照明で説明するぞ」

「はい」

「これが照明の魔導具、これが魔石だ」


 フリッツの横に置いてあったそれを俺たちに渡してくれた。


「わー精霊石と同じなんだねー、でも黒い」

「照明の横の、ここに魔石を入れるんですね」

「そうだエド、やってみろ」

「はい。ミーナ貸してね」

「うん」

「これでいいんですか?」

「うむ、出すときはここを押すんだ。それで点けてみろ」

「はい」


 うわ! 眩し!


「魔石をとってみろ」

「はい……消えた」

「へーこれが無いと点かないんだー」

「リオンもやるか」

「はい」


 照明って間近で見るの初めてだな。これはどうなってるんだ? 電球のような透明の球体ではあるんだが、中に棒が1本立ってて先っぽに何かあるな、これが発光するのか。よし、魔石を入れてみよう。で、点け!


「うはっ!」


 俺はすぐ魔石を抜いた。やっぱりあの先っぽの何かが光ってた。


 照明の側面の魔石挿入口を見る。魔石が電池だとして、なにかと接触してエネルギーを得ているはずだ。……うーん、金属のような部品は見当たらない。この照明の台座が金属っぽいから、それ全体から吸収してる? はー、分からん。


 照明と魔石をフリッツに返す。


「この魔石はガルウルフのものだ。定着済みであと1年3カ月は持つそうだ。魔石の残り期間は鉄製品のように表示されてはいない、従って鑑定頼みになる」

「どのくらいの力になるんですか?」

「2年持つとして、照明使用で未使用を100とすれば、2年で30くらい使ったことになるそうだ」

「え、じゃあ70は残ったまま消えるんですか」

「そうなるな」


 へー、魔石は照明だと力を半分も発揮しないのか。


「他の魔導具もそんな感じらしい。魔石は使い切らずに消えるそうだ」

「魔石って力が有り余ってるんですね」

「うむ。ガルウルフでそうだからな、他の魔物はもっと力があるが用途は少ない」

「あ、先生! ゴーレムはどうですか?」

「よく知っているな。そうだ建設用ゴーレムも魔石で動いている。エドとミーナも見たことあるな」

「うん! 石のお人形だよね、とっても大きい!」

「僕も去年見ました」


 そう、城壁の修理に来た時に多くの住人が見物に行ってた。もちろん俺も。


「ゴーレムの動力にガルウルフの魔石を使うと3~4時間で使い切るそうだ」

「うわー」

「へー」


 まあ重機だもんな。照明とは必要エネルギーが全然違う。


「だから錬成士が定着をする必要もないぞ」

「確かに、すぐ無くなっちゃうもんね」

「ちなみにガルウルフが100とするとレッドベアは400だ。ゴーレムを1日使える」


 ベア4倍か!


「さて、魔石のお話は今日はここまでだ」

「ありがとうございました!」

「ありがとーおじーちゃん!」

「とても勉強になりました」


 うん、いい講義だった。いや講義というにはちょっと雰囲気違ったな。


「先生、今日の進め方は特に分かりやすかったです」

「それは何よりだ。ワシも準備した甲斐があったぞ」


 問い掛け式の進行だったり、実物を持って来たり、ただ聞くだけじゃないから頭に入りやすかった。


「さて次回は何を話そうか、歴史に興味があったようだが」

「そうですね、この国の歴史をお願いします。できれば英雄の話を」

「英雄か。リオン、英雄とは何だと思う」

「魔物から人々を守る、それも1人で」

「御伽噺にはそうあるな。ただ実際そんなことはできんぞ」


 宇宙の声は本当だと言っていた。むー、聞き伝えで大袈裟になったのかな。


 よし、聞いてみるか!


「先生、剣士レベル53とはどの様な使い手になりますか」

「! 53か、想像できんな」

「先生でも分からないんですか」

「ああ。ギルドの上級者が30辺り、王都騎士団長や国王近衛兵でも33辺りだろうからな」

「……じゃあ、とんでもないですね」

「53もあれば英雄の素質は十分だ」


 やっぱりバケモンか。俺、怖くなってきた。


「あ、それと、先生は見張り台に上がることはありますか?」

「もちろんだ。当番の日はアルベルトと交代で上がってる。エドも上がる時はあるな」

「はい」

「次、先生が上がる時、俺も一緒にいていいですか?」

「それは構わんが、どうした?」


 何を話すかは決めてはいないが、フリッツの個人的な意見を聞きたいんだ。いやその前に信用に値する人物か見極めたい。今でも十分頼りになるんだけど。


「まあいい。話したいことがあるなら聞こうじゃないか。ワシも聞きたいことがあるしな」

「! そ、そうですか。では、お願いします」

「3日後だな、また前日にでも時間を決めようか」

「はい」


 聞きたいことがある……ちょっと怖いな。


「歴史の話はどうする? 明日でいいか」

「はい」

「では10時でどうだ?」

「はい、お願いします」

「僕もそれでいいです」

「私も!」

「じゃあ決まりだな」


 ゴーーーーーン


 夕方の鐘だ。


「リオン! 一緒に行こ!」

「うん、行こうか」

「紙は帰りでいいな」

「はい」


 食堂へ向かうと入り口でクラウスとソフィーナがいた。


「お、リオン来たか」

「お話いっぱい聞けた?」

「うん、とても勉強になった! 明日も約束したよ」

「相変わらず熱心だな」


 トレーを持っていつもの席に座る。


「今日魔物来なかったな」

「そうね、昨日もだったわ」

「おとついの夕方のウルフが最後だな」

「俺が鐘叩いた時だね」


 2日魔物が来なかったら珍しいという異常な村。感覚麻痺してるよねぇ。


「じゃ明日来るな」

「どうかしら?」

「魔物が来なかった最長期間ってどのくらい?」

「さー、3日くらいじゃねえか」

「でも西区の他は来てたわよ」


 そっか村には来てるよな。東区はここから鐘が聞こえないから分からないし。


「魔物ってよく来る時期とかあるの?」

「んー、夏場多いような気もするが、年中大体一緒じゃねえか」

「人の動きに合わせて出てくるから季節は関係ないと思うわ」


 冬眠でもしてくれりゃ静かな時期もあっていいのにね。


 そうだ、英雄について聞いてみよう。


「ねぇ英雄って知ってる?」

「英雄? 王族か」

「最初にこの国を作った人よね、うーんと昔に」

「何でも俺たちの先祖はずっと南の山脈を越えてここへ来たらしい」

「へー」

「山脈の向こうにも町があって、えーっと、クレスリンね」

「そうだ、そこがこの国唯一の国境らしいぞ」

「え、山や森は?」

「あれは勝手に言ってるだけだ。そもそも誰も奥に入れないのに管理も何もできないだろ」

「そっかー」

「クレスリンはとても大きな町らしいわ、王都並みに」

「えー凄い!」

「だって唯一の国境だから貿易が盛んなのよ」


 人も物も溢れて賑やかなのだろう。


「ウィルムって知ってるだろ、サンデベールの中心都市」

「うん」

「そこから南へずっと行ったところにプルメルエントっていう都市があるんだ。めちゃくちゃデカイぞ。なんたって昔は王都だったから」

「へー、王様が住んでたのかー」

「何百年か前に今の位置へ王都が移った、理由はよく知らん」

「そのプルメルエントのずっと南に国境の町クレスリンがあるのよ」


 南北にも国土は広いのね。そう言えばゼイルディクの地図に小さく国の地図もあったな。あの南西にぶら下がるように繋がっていた地域、あそこがクレスリンか。


「クレスリンに続く街道沿いに英雄の島があるんだよ」

「島? 街道沿いに?」

「島があるのは大きい湖の中だ。この地に移り住んだ初代国王たちが、その島に最初の居住区を作ったんだと」

「その日が建国記念日になってるのよ。島には英雄を祀る大きな神殿があるらしいわ」

「生きてる間に1回は行くべきと言われてるが、この村にいるとそうもいかねぇな」


 英雄の眠る場所、そして建国の地か。確かに一度は見てみたいな。


 ん? プルメルエント? この感覚、カルカリアと同じ知ってるやつだ。かつての王都なら研究者が多くいても不思議ではないな。


「さあ帰るか」


 食堂を出て家へ。風呂も済ませて居間に座った。


「リオン、事務職なんてどう?」

「お仕事?」

「そうよ、ギルドの中で働くの。書類を確認したり書いたりする仕事」

「頭を使うんだね」

「特に必要なスキルは無いみたいよ」


 ソフィーナが昼間に中央区に行ってたのはそれが目的か、早速動いていたとは嬉しい限りだ。


「考えてみるよ、母さんありがと!」

「リオンは身体強化が上手だからな、あれが使いこなせれば仕事の選択肢もきっと増えるぞ」

「うん! 毎日練習するよ! 父さん教えてね」

「任せておけ」

「私も教えられるわ、一緒にね」

「母さんもお願い!」


 洗礼の後はどうしようかと思ったが前向きに頑張ればきっと道は開けるよね。なんて、宇宙の声を聞いていなければ、そう考えただろか。どうしよう、スキル覚えられるかもしれないんだ。そういう訓練もした方がいいのかな。


「父さん、剣の練習ってできる?」

「剣か、いいぞ、試しにやってみるか。訓練用の武器を用意してやる」

「ほんと? ありがと!」

「武器の扱い自体にも身体強化が必要だからな、その訓練にもなる」


 あーなるほど。


 おやすみの挨拶を交わし俺は2階に上がった。


 武器、それも剣、前世では縁が無かったからうまく扱えるか。まあ中学生時代に授業で剣道の経験はあるが、とても対魔物なんて意識した動きとは思えない。


 剣って重いのかな。いや訓練用なら木刀か。おー、ケイスがたまに搬入口裏で剣振ってるの見たことある、木刀ではなさそうだけど。まあひとまず剣の訓練を続けて、運よくスキルを覚えたら冒険者も選択肢に入るぞ。


 ただ武器だけ扱えてもきっとダメだよね、身体強化が伴ってないと。あとは精霊石だ。クラウスは精霊石を使ってないけど住人の武器には精霊石装備をよく見掛ける。つまり武器を扱うスキル、身体強化、精霊石の属性スキル、この3つを使いこなしているんだ。うへー、器用だな。


 ソフィーナは弓士だけど身体強化も使っている様子。ただどこに必要なのだろう。あ、分かった、城壁から落ちた時の衝撃制御だ。魔物と戦っていれば落ちることもありそうだしね。いやそもそも矢を引く動作に身体強化を使ってそう。


 剣の訓練、ちょっと不安だけど初体験は楽しみだ。


 寝よう。

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