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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
176/321

第176話 探る眼差し

 ゼイルディク騎士団アーレンツ支部にて魔物素材の鑑定を行った。希少なAランク素材を多く経験すれば新たな能力を習得する可能性があるためだ。その目論見は見事成功し鑑定結果に定着期間が浮かび上がった。


 この世界において魔素由来の物質はやがて消える。対象は主に精霊石から抽出した成分、魔物から得られる素材だ。それが突然消えては困るので消失する年月を管理しており、多くの場合は視認可能な範囲に表示している。まるで消費期限の様な扱いだ。


 ただモノによってはその表示が省略されている。城壁の石や街道の石畳がそうだ、あまりに数が多いためとても1つ1つ刻印は出来ない。また魔物から手に入る魔石、そして精霊石も消える日を刻み込むのは不可能だ。


 俺はその定着期間が鑑定すれば分かるようになった。ただ精霊石自体はまだ鑑定できない、これも将来見える様になった時には定着期間も情報に入っているはずだ。


「そうかジルニトラの剣か、どんな能力か楽しみだな」


 俺の希望で魔物合金、つまり魔物素材を内部に組み込んだ武器を作ることになった。


「恐らく魔法関連の特性だ」

「魔法? 剣だぞ」

「私も詳しくは知らないが使いこなせば魔法が放てるらしい。火、水、風に限るがな」


 へー、それは凄い。


「本来ジルニトラの素材は杖に使うことが多い、その3属性を大きく強化できるからだ」

「では剣には不向きなんですね、他の素材にした方がいいでしょうか」

「いや、剣としても能力はずば抜けている、最も向いているのが杖なだけだ。それにリオンなら誰も知らない能力を引き出せるかもしれんぞ」

「確かにその可能性はある」


 試験運用も兼ねるのね、まあいいけど。


「でも訓練討伐ではトランサイトやシンクルニウムを使ってました。それは職人として共鳴効率を上げるためですよね、魔物素材は何か貢献できますか」

「生産能力はもう十分過ぎる、それを更に突き詰めるのも良し、別の可能性を探るのも良し。もうお前自身で考え判断しろ、できる頭があるのだからな」

「はい、分かりました」


 ふーん、ある程度自由にしていいのね。


「何よりその辺りの今後がまだ不明だ」

「商会の解散は無くなったがトランサイトの取り扱いはしばらく外れるんだったな」

「うむ、従ってリオンの仕事をどこでするのかも分からん、今日のところは城で生産らしいがな。それも含めてエナンデル子爵からこの後話があるだろう」


 ロンベルク商会もしばらく外れるらしい、商品のトランサイトを無断で使ったからだ。コーネイン商会はシンクライトの無断生産と使用が処罰対象、ただ一昨日の魔物対応から状況が変わった。今城に向かっているのはその辺の経緯を子爵が説明するからだ。


「俺はずっと城で働くのですか」

「お前はどうしたい」

「今まで通り村の商会がいいです」

「ならばそう伝えろ、周りがどう動こうがトランサイトを作れるのはお前だけだ、今のところはな」


 お、変化のことを言うなら今か。


「商会長、生産過程において重要なことがあります」

「む、何だ」


 クラウスとソフィーナは俺が何を話すか分かったようだ。


「実は強化共鳴だけでトランサスはトランサイトへ変化しません、例えジルニトラの腕輪を使って120%を超えようとも残るのはトランサス合金と極度な疲労だけです」

「何だと!?」

「具体的には100%までは強化共鳴で構いませんが、101%以降は変化共鳴を使う必要があります。よく似ていますが効果は全く別です」

「……そうだったのか」


 あらら、ショックを受けている様子。


「すみません、かなり初期の段階で気づいたのですが黙っていました」

「……いや、構わん、よく話してくれた」

「理由は、その、将来何があるか分かりませんからね、最後の切り札として取っておきたかったのです」

「当然の考えだ、取引材料は常に残しておくもの。しかしかなりの情報だぞ」

「はい」


 まあこれで手の内は明かしたけどね。


「変化共鳴を習得するには強化共鳴100%を維持した状態で、別の感覚を探らなければなりません。そこでかなりの魔力を消費するため、まずは魔力効率を高める訓練をして消費を大きく落とす必要があります。その過程を経ても変化の感覚を掴めるかは分かりません」

「それほど難しいのか」

「俺は直ぐできましたが本来はそうではないとの憶測です」

「ああ、そういうことか」


 最初は100%を超えて強化と変化を同時にやってたからね。もうムチャクチャだ、あんな芸当俺しかできない。いや、もしかして同時に出来ないと感覚を掴めないのか。あー、それならかなりの難易度になるな。


「とにかく俺は魔力操作が異常過ぎて普通の説明ができません。この方法が一般的にどれほど難しいのか商会長に調べてもらうため今回話す決断をしました」

「なるほど意図は理解できた、やれるだけはやってみる。とは言えまずは100%超えをどう実現するかだな、それだけで人間の限界だぞ」

「なんとか腕輪なり手に入れてお願いします」

「フッ、簡単に言ってくれる」


 頑張れ。国中探せば何とかなるだろ。


「しかし共鳴に種類があったとは。もし伯爵側に腕輪が渡ってもトランサイトを作れないぞ」

「そして行き詰った伯爵は俺に助言を求めます。変化共鳴に気づいていないフリをしても構いませんが、条件によっては教えてもいいでしょう、例えば俺たちのやることに口出しはさせないと」

「随分と強気だな」

「おい、相手は伯爵だぞ」

「それは分かってるよ父さん、でも今回、シンクライトが使えないだの、商会解散だの、こっちは必死に考えてあれこれやってるのに伯爵の一存で振り回されるのはもう嫌なんだ」

「それはまあ確かに」


 もちろん上下関係や規則は大事だ、それが機能してこの社会が成り立っているのも分かる。 


「でも敵対してはダメよ」

「分かってるよ母さん、穏便に進めるから。それで確認だけど、変化共鳴と不思議な声、これは向こうの出方によっては情報提供してもいいかな」

「不思議な声は魔物接近の察知に限るのだな」

「うん」


 エナンデル子爵にはもう半分伝えたようなもんだし。


「私は構わんぞ」

「俺もリオンの好きにすればいい」

「私もいいわ、でも脅すような言い方はダメよ」

「うん分かった」

「言葉を選んで追い込むのよ」

「え?」

「あら、えーっと、応じざるを得ない状況を作るのよ、やんわりとね」

「う、うん」


 もしかして一番考え方が怖いのはソフィーナかもしれない。しかし伯爵家相手にそんな駆け引きできるか。いやでもやるしかない。そうやって臆していてはいつまでも立場が変わらん。


 ほどなく城へ到着。先日見送られた正面入り口に馬車は止まる。


「ご足労すまない」


 出迎えたのはエナンデル子爵だ。護衛を引き連れ城内を進むと1階の1室に案内された。ミランダ、クラウス、ソフィーナ、俺と1列に腰を下ろす。向かいには子爵と家令ディマスが座った。使用人が結界を施し外へ出る。


「まずは礼を言おう、そなたたちの働きであの絶望的な勢力から町を守ってくれた」

「当然の務めです。それも伯爵命令で多くの部隊が連動したからこそ実現しました」

「あれも立案はそなたらだ、父上は何もしていない。しかし魔物の動きが極めて異例であった、現場で何か気づいたか」

「いえ」

「そうか、城でも様々な分析をしている、時には協力を仰ぐがその時は頼むぞ」

「はい」


 明らかにこちらの動きに合わせて展開してたからね。


「さて、コーネイン夫人、そなたは特に見事な功績であった、4体のAランクを仕留めたのだからな。無論それはゼイルディク極偉勲章に相応しい。明日には間に合わんが今月中には授与式を催そう」

「誠に光栄です」

「ただそれは表向きに過ぎん。リオン殿の功績はバイエンス男爵より聞いている」

「ではその時使った武器についても」

「もちろんだ」


 やっぱり知っているのね。


「それについては後ほど話そう。まずはコーネイン商会及び商会長の処遇についてだ」


 お、来たね。


「父上が固く禁じていたシンクライトの生産及び使用、それを指示したコーネイン商会長であるミランダ・コーネインは直ちに商会長の任を解き、将来も武器商会に関わることを禁じる。またメルキース男爵家には監督責任として1000億ディルの罰金、及びコーネイン商会の解散、将来に渡って武器商会の設立を禁じる」


 うわ、厳しい。将来も制限してくるのか。ただ爵位剥奪も可能性があると言っていたからまだマシな方かも。


「本来はそれほどの罪だ。しかしそちらの出方によっては処罰を軽くすることも出来る。具体的にはトランサイト合金の販売権利を6日間停止、及び職人リオン・ノルデンを城の管理下に6日間置く。もちろん商会は先の2点を除く全ての業務を継続可能、ミランダ・コーネイン及びメルキース男爵家への処罰も無しだ」


 ほう、予想に近いな。しかし俺が城に1週間監禁されるのか。


「これを実現するにはリオン殿の情報提供が必要だ」

「俺ですか」

「先日、ロンベルク商会で話した内容を覚えているか、今回の魔物規模を事前に察知していたと」

「はい、その通りです」

「その能力について詳しく聞かせてもらおうか」


 む、なるほど。あの時の交換条件をそのまま落とし込むワケか。いや、待てよ。


「能力についてお伝えすることは出来ません。俺がコーネイン商会長へ伝えたのは信頼しているからです。申し訳ありませんが現時点でエナンデル子爵にはそれほどの信頼は置けません」

「……そうか」

「それにあの時、俺が示した条件は魔物規模を伝えることです、能力を明かすことではありません。また処罰を軽くするのではなく撤回です。その様に話の内容を変更する姿勢が信頼に置けないと判断する要因です」


 そう、規模を教える条件だった、勝手に変えるなよ。


「言った言わないは不毛ですが紙に残してもいません。ですから少なくともあの場に同席した人物に証言を求めます、伯爵家令ディマス様、俺の言い分に間違いはありますか」

「ディマスは関係な……」

「いいえ、リオン様の発言に間違いはありません」

「何!? お前」

「私はあの場のやり取りを全て記憶しています」


 おおっ! ダメ元で振ったがそう返してくれるとは!


「子爵、この様な小細工はリオン様に通用しません」

「……そうか、分かった」


 む、言いくるめるつもりだったのか。しかしディマスは俺の物言いを見て方針を変えた模様、それに子爵も同調するっぽい。ひとまずちゃんと話し合える場になったのはありがたいね。この流れで撤回も決めよう。


「それでは処罰撤回を条件に魔物察知能力をお教えします」

「ふむ……分かった応じよう、皆それでいいか」


 ディマス含めて異論なしの返事をする。


「ではお伝えします、今回の17体のAランク、具体的な数までは分かりませんが大体の規模を5月29日の午後に知り得ました。俺の頭の中に声が響いたのです」

「ほう、声とな」

「前回より10倍の魔物が俺を狙ってくると」

「10倍! それで前回とはガルグイユとドラゴンだな」

「はい」


 規模の根拠は必要だな。


「なるほど、それなら17体も頷ける。その声を再び聞く方法はあるのか」

「いいえ、こちらで任意に聞くことは出来ません」

「そうか、ではまた聞こえたなら知らせてくれるか」

「もちろんです」

「うむ、直ぐに伝えてくれ、詳しくな」


 おや、こんなんで信じてくれるのか。


「あの、俺の一方的な証言ですが構わないのですか」

「構わん、リオン殿の言うことは信じよう」

「それは大変ありがたく存じます」

「私も少しは信用してくれ」


 エナンデル子爵はフッと息を吐き柔らかくほほ笑む。


「では処罰は撤回、これまで通り何も変わらずで構いませんね」

「うむ」


 ほっ、やったぜ。いやいや、まだだ。今後の活動も保証してもらわないと。


 あ、ついでに。


「ロンベルク商会もトランサイト販売権利を一時制限すると伺っています。しかしながらアーレンツ子爵の判断は村をサラマンダーから守るため必要だったのです」

「うむ、分かった。ロンベルク商会の処罰も撤回しよう」

「ありがとうございます」


 よしよし。


「アーレンツ子爵は戦力を有効に使っただけだ、何も問題はない。コーネイン夫人、そなたの判断も正しかった、その並々ならぬ覚悟には感服いたす。再びシンクライトを生産し、リオン殿に持たせたことも罪には問わない」

「はい、ありがとうございます」

「私も父上の方針では今回の危機は乗り越えられないと感じていた。にもかかわらずあのような対応に至ったことを申し訳なく思う」

「子爵にもお立場があるのだ、ご理解いただきたい」

「よいディマス、正しい判断が出来なかった事実は変わらない、今は自らを恥じておるぞ」


 そうか板挟みだったのか。


「伯爵には理解を得られましたか」

「ある程度はな、ただやはりシンクライトの扱いにはかなり気を使っておられるし、私もそれは理解できる。従って今後の使用は余程の事態に限るぞ、よいな」

「はい。ですが有事に備えて訓練は必要です」

「……指定した場所なら許可しよう。今はコルホル村北区の進路のみだ」

「ありがとうございます」


 おお、あそこが使えれば十分だ。


「それでバイエンス男爵がベルソワ検問所へ向かった経緯は聞いておるだろう」

「はい、子爵の指示だったと」

「それが正しいのだが、父上には男爵の独断だったと伝わっている。そなたらもそれで統一してくれ」


 ほう、そうなのか。


「あの男は戦いの後、自ら父上へ偽りの経緯を報告した、私も守るためにな。その心意気を買ってくれ」


 なんと。


「それでは男爵が処罰されるのでは」

「もちろんだクラウス殿、爵位剥奪に相当する」

「ええ!?」

「何とかならないのですか」

「ジークはそれも承知の上だ、要らぬ気づかいは無粋と言うもの」


 厳しいな。


「さて皆揃っての話はここまでだ、リオン殿は別室にてトランサイト生産を行ってもらう。処罰撤回の適用は明日からであり、今日は城の臨時職人だ、よいな」

「はい」


 まあ仕方ないね。


「他の3人は引き続きここで話をする、ああリオン殿に同伴するなら外しても構わないぞ」

「じゃあ私が行くわ」

「そうか、ではノルデン夫人と共に案内する」


 子爵が目配りをするとディマスが使用人を呼んできた。


「昼前に合流し城で昼食となる。午後からの生産は午前の実績次第でまた伝える」


 俺とソフィーナは紅茶を運ぶ使用人と入れ替わるように部屋を出る。通路をしばらく進んで1室に入ると席を案内された。直ぐに紅茶が出される。


「私はハーゼンバイン武器工房、工房長のコルヴィッツと申します。本日はリオン様のトランサイト生産を間近で拝見できること、大変楽しみにしております。生産の流れについてご説明いたしますのでどうぞ気を楽にしてお聞きください」


 40代後半か、口髭あご髭が長くいかにも職人の様な風貌だな。他にも俺たちのテーブルの周りには何人か立っている。


「ああ、失礼しました、この者たちは工房の職人です。製品運搬を担当します」


 とは言いつつめっちゃこっち見てる、怖いよ。そりゃ目の前でトランサイト生産が見れるんだから興味津々だよね。


「さて本日予定しておりますトランサス合金は、剣13本、槍4本、弓15本、杖8本の計40本です。昼の鐘まで1時間ほど、そして午後13時より16時の3時間の計4時間で仕上げていただきます。ただ先日大怪我を負われた身です、可能な範囲で構いませんので、どうかご無理をなさらないよう」

「はい」

「リオン、ゆっくりでいいのよ」


 む、これは。1本試しにやってみて、まだ無理ですぅ~、とか言って逃げるのも手だが、まあ流石に悪いな。ただペースをどうするかだ、体と魔力は完全回復しているから剣13本なぞ15分で終わる。


 !? 今なんか違和感が、あいつか!


 ギロッ


「ひっ」


 俺が睨みつけると声を上げて怯む。


「その人は職人ですか」

「ええ、そうですが、何か」

「申し訳ありませんが退室を願います」

「何故ですか、是非とも貴重な場を共に……」

「その人がいると仕事ができません」

「それは……分かりました おい、出て行け」

「失礼します」


 その30代後半の女性は足早に部屋を出る。


「リオンどうしたの?」


(多分だけど人物鑑定をされそうになった)

(え!?)


 今の感じはきっとそうだ、あのマースカント、そして以前の入城時、更には洗礼後のシャルロッテ、その時は何も感じなかったが、何故か今はそれが分かる。俺の魂に魔力を送り情報を引き出すその感覚が。これはとても嫌な感じだ。


 なるほど感知スキルか。間違いなくそれが作用して俺に気づかせたんだ。


「気になるようでしたら他の者も退室させますが」

「いえ、その必要はありません、今すぐエナンデル子爵、もしくはディマス様をお呼びいただけますか、大事な話です」

「はい!」


 コルヴィッツは部屋を出る。しばらくしてエナンデル子爵とディマス、そしてクラウス、ミランダもやってきた。


「何事か!」


 俺とソフィーナは立ち上がる。


「急にお呼び立てして申し訳ありません。ですが重要なことですので確認したいのです。人物鑑定とは対象人物に無断で行ってはいけませんよね」

「もちろんだ、鑑定士ギルドで固く禁じられている」

「先程退出した女性が武器職人であるか確認をお願いします、人物鑑定スキルを有しているかも含めて」

「何!? よし分かった、ディマス頼む」

「はっ、コルヴィッツも来い」

「はい!」

「お前たちも一旦退室しろ」

「はっ!」


 待っていた職人たちがぞろぞろと部屋を出る。


「何があったか説明してもらえるか、リオン殿」

「……俺は多分、さきほどの女性に人物鑑定を受けました、原因は不明ですが俺にはそれが分かるのです」

「人物鑑定を感知できるだと!? それはスキルではないか!」


 そうなるよな、でもこのままうやむやにするワケにはいかん。


「リオン殿、私はそなたの人物鑑定結果を把握している。洗礼時と先月の入城時だ。とても特徴のある内容だったからよく覚えている。感知スキルなぞそこには無かったこともな」


 まあ伯爵家だからね、俺に関することは調査済みか。


「必ずしもスキルとは限りません、俺の魔力操作は極めて異常なのですよ、加えて特定の魔物接近も察知できる。何かしら特別な能力が備わっていても不思議ではありません」

「言われてみればそうだな」


 何だか普通に感知スキルを覚えるよりも変人な気がする。まあいいや。


「子爵、確認できました! 彼女は伯爵が使わせた鑑定士で、人物鑑定が可能です。武器職人ではありません」

「父上が!」

「そしてリオン様に人物鑑定を試みたと証言しました。コルヴィッツも彼女の目的を知っていたと」

「そうか、分かった」


 むむむ、これは。


「皆すまない、私は父上と話がある。リオンは生産を続けてくれ」


 そう告げてエナンデル子爵は部屋を出た。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「うん分かった」 「言葉を選んで追い込むのよ」 「え?」 ソフィーナが貴族夫人らしさに染まりつつあって頼もしいw これも『社交の極意』からでしょうか?
[気になる点] 伯爵側がシンクライトの使用を許可しなかったのも、それに係る重い処罰が下されようとしたのも、当時は10倍の魔物が攻めてくるという情報を共有していないので、伯爵側の判断としては間違ってはい…
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