第170話 経緯報告
メルキース中心部にあるヒンメル治療院、その1室でエリオットの合流を待つ。皆揃ったら隣りの建物でバイエンス男爵が経緯を説明してくれるからだ。
「父さんは止めを刺した魔物はいるの?」
「いやいや、クエレブレの尻尾だけ。俺は武器こそトランサイトだが中身はCランクの冒険者だ、訓練された騎士たちには遠く及ばない。その騎士たちにも守ってもらう場面が多かった」
あららそうなの。
「今思えば武器を騎士に預けて村で大人しくしてた方が良かったかもな。とんだお荷物になってしまった」
「そんなことはないクラウス、戦う意思のある者は1人でも多い方がいいぞ」
「そうは言うがフリッツ、あの乱戦を経験したら自分の無力さを思い知るよ」
「いやお前は逃げずに勇敢に戦った、胸を張れ」
「確かに最後まであの場にはいたけどな」
多くの魔物と対峙してきたクラウスでさえ、そんな気持ちになるのか。
「しかしリオンもすまんな、とても気にかける余裕はなかった」
「それはみんな同じだよ、俺は部隊長が常に守ってくれてたからね」
「エリオットにはまずその礼を言わんとな」
少なくともリンドブルムの火球から2回守ってくれたからね。あ、もしかしたら最後の熱風も直撃を免れたかもしれない。本人に確認しておこう。
「皆、待たせたな」
「部隊長!」
エリオットが扉を開けた。護衛の騎士は直ぐ敬礼する。
「私の食事は終えたから共に風呂へ行くとしよう」
「はい」
クラウスも加えて3人で風呂へ向かう。その道中に下り階段を通ったため、さっきまでいた部屋が2階だったとその時知る。窓のカーテンが閉まってたから外の様子が分からなかった。
「これは俺たちの着替えか」
「その服装で出て行くワケにはいかんだろう」
脱衣所の棚に『リオン様』と書かれた紙が畳まれた服の上に置いてある。広げてみると庶民のかなりいい服だ。
「一度服を作った店は寸法を把握している。子供でもそう日が経っていないから合うはずだ。ああ、これは多分、伯爵の計らいだぞ。ゼイルディク全体に影響する魔物対応だからな」
ふーん、それはありがたいね。
「エリオットは騎士服だな。おや、セドリックやナタリオたちも来てたのか」
「その様だな」
棚には名前の書いた紙だけ残ってる。俺たちは最後の方だったらしい。
体を洗って湯船に浸かる。今は俺たちだけが使用している様だ。しかしこういう施設では貴族家も平民も関係なしか。まあ今日は騎士団貸し切りっぽいけど。
「ふー……おおそうだエリオット、リオンを守ってくれて感謝する」
「当然だ。しかし私も助けられたぞ」
「ほう、そうなのか」
治癒スキルを使ったからね。
「部隊長、ジルニトラの熱風も前に立ってくれましたか」
「あの時はお前が剣を構えていたのでな、今思えば構わず抱えて走れば良かった」
俺が攻撃態勢に入ったから待ったのか、そりゃ目の前に目標がいるんだから先手を打って当然だろう。ただ結果的に飛ばされて重傷を負ったんだよな。うーん、正しい判断は難しいね。
「バイエンス男爵は何故来てくれたのでしょう」
「……事が大きく動いた可能性がある」
ほう、何だろう。
風呂を出るとフリッツが待っていた。一緒に1階のロビーへ出る。
「おお、来たな」
「商会長、母さん!」
ミランダとソフィーナと合流し隣りの建物へ。ほー、これがゼイルディク騎士団メルキース支部か。この世界は信号がないため環状交差点だ、その外円4分の1が支部の建物に面していた。片側5車線くらいの大きな交差点だからその間口も何十mに至る。
いやー、町だね。行きかう馬車、通りの人々、忙しないその喧騒が日常の風景なのだろう。
昨日、あそこで魔物を倒していなかったらこの景色も変わっていたか。確か宇宙の声は仕向けた魔物がいずれ町へ向かうと言っていた。ただ神としても意図しない町の壊滅は避けたいらしい。それが今回Sランクを選ばなかった理由とも考えられる。この先は分からんが。
「お待ちしておりました、こちらです」
騎士に案内されて奥へ進む。支部長室と書かれたプレートの扉、そこで歩みは止まった。
「申し上げます! エリオット防衛部隊長、ミランダ防衛副部隊長、クラウス様、ソフィーナ様、リオン様、お連れしました」
「フリッツは入らないの」
「ワシは外で待つ」
扉が開いて中に案内される。
「さあ座ってくれ」
バイエンス男爵だ。他に2人、指揮官ぽい騎士がいる。エリオットたちに軽く挨拶をするとその2人は出て行った。部屋には男爵と俺たちだけ残る。
「音漏れ防止結界はあと2時間は持つ。そなたたちは昨日からの流れで不明な点も幾つかあるだろう、それも含めてまずは私の話を聞いてくれ」
「はい」
「あの、最初にお礼を申し上げます。先のアーレンツでのサラマンダーに続き、今回も命を救って下さり大変ありがとうございます。今の俺たちがあるのは男爵のお陰です」
「はは、クラウス、そんなことはいい。こちらこそ町を救ってくれて感謝する。伯爵に代わって礼を言うぞ」
ホント、命の恩人だ。それも2回も。
「さて昨日、私はバイエンスの保安部隊にいたのだが、午前10時過ぎか、城よりエナンデル子爵から急ぎの用があると伝令が参った。すぐさま城へ向かい子爵に会ったのだが、そこで知らせれたことに驚愕したぞ、Aランク魔物が多数襲来するだからな」
エナンデル子爵が? まあ一昨日村でかなり危機を煽ったけど。
「伯爵命令か、訓練を装って部隊を集めるとはよく考えたものだ。私は全て子爵から聞いたぞ、リオンが魔物に狙われていること、そしてその接近を察知できることをな」
そこまで言ったのね。
「そして子爵は私に指示をした、シンクライトを持ち直ぐに救援に向かえと」
「え!?」
「なんと」
「驚いたのは私だ、もう1本子供用のシンクライトも私に預けたのだからな」
「もしやそれはミランデル」
「うむ……これがそうだ」
男爵はソファの後ろから1本の剣をテーブルに置く。
「ああー、間違いない、俺の剣だ!」
「その場で事の経緯を聞いた。そなたたちが無断でシンクライト生産を行い、魔物討伐に使っていたことを」
「……はい、その通りです」
「リオンよ、そなたは間違っていない、コーネイン商会長もな。私も同じ立場なら密かに準備していただろう」
「ええ!?」
伯爵家の一員でそれはマズいんじゃないかな。
「子爵は告げた、父上のお考えでは町が滅びる、そして大事な宝リオンを失う。何としても魔物を退けてくれ、そのためには2本のシンクライトを自由に使っていいと」
「伯爵の命令に背いたのですか」
「そうなるな、加えて目的のためには誰に見られても構わないと」
エナンデル子爵、急にどうしたんだ。あんなに頑なに使うなと言っていたのに。
「私は子爵の並々ならぬ決意を感じ取り、直ぐに馬車をベルソワへと走らせた。城に常駐する優れた剣の使い手も同乗させてな」
「その方にもう1本を預けたのですね」
「うむ、車中で急ぎ運用を伝えた。かなり驚いていたぞ、何せ歴史にもないレア度4の鉱物が2本もあるのだからな」
ぶっつけ本番か。
「まあその者は魔力操作に長けていた。車中であっさりと高い共鳴もさせたぞ」
「シンクルニウムとほとんど同じですからね」
「そしてメルキースに入ると魔物襲来の鐘が鳴っていた。周囲に魔物の姿は確認出来なかったため、そのままベルソワへ向けて馬車を走らせる。そして城壁が見えるところまで進んで異変に気づいた。検問所付近の城壁が崩れていたのだ」
クエレブレが突っ込んだところだ。
「上空には遠目からでも旋回する魔物が見えたぞ。あの距離で分かるのだ、その巨体は想像に容易い。これは地上で大きな被害が出ていると判断し、一旦引き返してヒンメル治療院から治療士を連れて行こうとした。そしたら士官学校に治療班が待機していると、それも含めて訓練しているとは準備がいい、私はその治療班を引きつれ城壁に向かったのだ」
おお、ありがたい。ただ戦場へ向かう治療班は怖かっただろう。いやそもそも危険だから後退させたのに。
「しかし城壁まで2kmとなった地点で馬車が止まった。急ぎ御者に事態を確認すると空を指差す。そこには我々に迫るガルーダの姿があった」
「ガルーダ!」
え、他にもいたのか。
「相手はAランク、こちらは騎士2人だ。明らかに勝ち目のない戦いだが、それは今までの武器でのこと。私と連れの剣士は、高度を落として迫りくるガルーダに迷いなくシンクライトを振り上げた。もちろんただの素振りではない、放たれた魔素飛剣は見事にガルーダを3つに分けたのだ」
「おおっ!」
2発命中か、流石だな。なるほど何が来ても迎撃できる自信があったから治療班を連れてきたんだね。
「ただ討伐の感触に浸っている暇はない、急ぎ馬車に乗り込み城壁を目指す。そしてラウリーン検問所を抜けたところで空気が変わったことに気づく。直ぐ馬車を降りて辺りを見渡すと、目に入った惨状に言葉を失ったのだ」
遂に到着か。
「直ちに治療班へ任務の指示を出した。もちろんその間も魔物の警戒を怠らない。すると空から巨体が勢いよく降り立った。見覚えのある赤い鱗、サラマンダーだ。しかしヤツは我々に目もくれず頭を下げて口を開く。その時私は直感した、誰かの命が危ないと」
俺がボロボロだった時だ。
「直ぐに剣を共鳴させながら走り、射程に入ると同時に渾身の飛剣を放った。完全に動きの止まった標的に外しはしない。その首を落とすことに何の障壁も無かった」
「改めてありがとうございます、あの時、狙われていたのは俺です」
「そうとは思った、ヤツの直線上にリオンが倒れていたからな。近くにコーネイン部隊長と副部隊長の姿も見つけ、皆の息を確認し安堵したぞ、よく生き残った」
いやー、ギリギリだったのね、そしてシンクライトじゃなきゃ間に合わなかった。
「そのサラマンダーの後に魔物は来なかった。尤も巨大な骨があちこちに見えたため、私の戦う相手はもういないと理解できたがな。ただ後の報告によると3体がその場から飛び去っていた」
「え、そうなんですか」
「では討伐できなかった魔物もいると」
「いや全て討伐している。どうもあの現場に向かっている部隊を襲うために離れたらしい。我々を襲ったガルーダもその動きの1つだったと見る」
ほう、そうなんだ。
「では他にも部隊が来てくれてたんですね」
「うむ、東からは北部防衛部隊、南からは西部討伐部隊と西部防衛部隊だ。それらの合流を阻止しようと東にはクエレブレが、南にはリンドブルムとガルグイユが向かった。ただ標的となった部隊は少し前に襲撃を受けており万全ではなかった」
「男爵、西部は何故こちらへ来たのですか、私が伝令とやり取りした印象では動くとは思えなかったので」
ミランダはもう当てにしないと言っていたよね。俺もこれは来ないなと思った。
「追撃していた魔物がベルソワ方面へ飛び去ったためと聞いている。北部も同じ様な理由だ」
「なるほど、分かりました」
あー、そういうことね。
「ただ西部討伐部隊は最初に交戦した魔物とは別の種類が来たので戸惑ったそうだ、確かグリフォンがリンドブルムになったと」
グリフォンはミランダが2体とも倒したからね。
「これが討伐地点をまとめたものだ」
そう言うと男爵は紙を1枚机に広げた。
『統一暦2298年6月3日
ゼイルディク伯爵領におけるAランク魔物討伐記録
ジルニトラ……2体
リンドブルム…2体
クエレブレ……3体
ガルグイユ……3体
サラマンダー…3体
グリフォン……2体
ガルーダ………2体
合計 17体
討伐地点
ジルニトラ……ベルソワ検問所
ジルニトラ……ベルソワ検問所
リンドブルム…ベルソワ検問所
クエレブレ……ベルソワ検問所
ガルグイユ……ベルソワ検問所
ガルグイユ……ベルソワ検問所
サラマンダー…ベルソワ検問所
グリフォン……ベルソワ検問所
グリフォン……ベルソワ検問所
リンドブルム…バーゼル駐留所より東へ3km
ガルグイユ……バーゼル駐留所より東へ3km
クエレブレ……グレンヘン検問所より東へ3km
クエレブレ……アマドラ第1駐留所付近
サラマンダー…メリーデ検問所より西へ1km
サラマンダー…コルホル村西区
ガルーダ………ソートラン第2中継所付近
ガルーダ………ラウリーン検問所より東へ2km』
「これはあくまで素材回収を行った場所だ。先程の西部討伐部隊が対応した2体はバーゼル駐留所付近で報告されている」
ふーん、お、コルホル村西区もちゃんと入ってるな。にしても他の部隊が動いてくれたからベルソワ検問所が9体で済んだ。
「さて討伐者だが基準は知っての通り致命傷を与えた者だ。もちろん首を落とせば文句なしに認定される。既に当事者や目撃した騎士たちの証言を元に最終案が出来上がった」
男爵は別の紙を広げる。
『討伐者(最終案)
ジルニトラ……ミランダ・コーネイン
リンドブルム…ミランダ・コーネイン
グリフォン……ミランダ・コーネイン
グリフォン……ミランダ・コーネイン
リンドブルム…ユーシス・ドナート
クエレブレ……ユーシス・ドナート
ガルグイユ……ユーシス・ドナート
サラマンダー…バイエンス男爵
ガルーダ………バイエンス男爵
ガルグイユ……カミラ・コーネイン
ガルーダ………カミラ・コーネイン
ジルニトラ……エリオット・コーネイン
クエレブレ……ヒルベルト・ユンカース
ガルグイユ……セドリック・コーネイン
クエレブレ……ナタリオ・ホフラント
サラマンダー…カザック・コーニングス
サラマンダー…アルベルト・レーンデルス』
「少し私の名前が多い様ですが」
「私はジルニトラを仕留めてはいません」
「コーネイン部隊長、副部隊長、一部事実とは異なるが容赦願いたい。これは領民にも報じる情報だからな」
あー、そういうことか。
「確認だがリオン、そなたは何をどの様に仕留めたか。シンクライトによる戦い方を含めて真実を話して欲しい」
クラウスたちを見ると皆小さく頷いている。
「はい、申し上げます。まず低空にて迫るジルニトラに飛剣を放ち首を落としました」
「最初の連携だな、しかし首だけか」
「……いえ、片翼も切り離しました」
「その時の共鳴率は?」
え、それも言うのか。うーん、200%はちょっとマズいかな。
「100%ほどだと思います」
「ふむ、5mか、まあ角度によっては両方切断できるな。このジルニトラは目撃証言が多いにも関わらず、皆一様に誰の討伐かは分からないと答えた。従ってリオンが関与したとは気づいていない」
ほー、そういうモンか。
「しかしながら討伐者不明ともできない。ただ首が離れた高度が地表付近と答える者が多く、その落下軌道には部隊長がいたことも分かっている。合っているか」
「はい、確かに私の近くをすり抜けて落ちました」
「うむ、では部隊長によるトランサイトの伸剣で届く距離だな。あ、いや、届いていたとしてくれ」
「承知しました」
なるほど、こうやって作っていくワケか。
「リオン、他には」
「ええとリンドブルムですね、前方より飛来し口を開けたところへ共鳴100%の飛剣を放ちました。距離は90mほどです。既に火球が放たれていましたが飛剣が通過し割れたため空中で爆発、そのまま飛剣はリンドブルムの首を落としました。翼を一部切ったかもしれません」
「そ、そうか」
むむ、これは。
「私もしっかりと目撃した、誠に見事であったぞ」
「リンドブルム討伐の証言はほぼ無い。地上に落ちた直後も四散した火球でよく見えず、距離も遠かった。従って似たような状況で実績のある副部隊長を討伐者とした。グリフォンを倒しただろう」
「はい」
「リンドブルムは火球の生成に失敗し落下、そこへ近づき首を落としたとしてくれ」
んー、かなり苦しいけど誰かをあてないといけないならミランダしかいない。
「火球を失敗するんですか」
「分からん、まあそれも状況からの考察とする」
結構いい加減なもんだ。
「他には、リオン」
「はい、最後の方にジルニトラの首を飛剣で落としました。近距離で熱風を受けて飛ばされ立つことが出来ず、うつ伏せの状態で右手だけで放ちました。共鳴は100%辺りと思います」
「2体目のジルニトラについて目撃者は少ない。ただ近くに副部隊長の姿を確認した証言はいくつかある。合っているか」
「はい、私も熱風を受けましたが何とか伸剣で左脚を切断し、倒れたところへ首を落とそうと剣を構えました。しかしヤツの魔法が腹部を貫通し戦闘不能となります」
やっぱり熱風を喰らってたのか、それで直ぐ伸剣を振るうとは根性あるな。
「ならば首を落とす直前に魔法を放たれたとすればいいな。リオン、もう無いか」
「はい、以上です」
グリフォンの片翼も落としたが倒してないからいいか。
「ありがとう、不明だった3体の討伐者がよく分かった、まあリオンだとは思っていたがな。ではこの最終案で公開する」
「ミランダはAランク4体討伐で1位だな」
「止めろエリオット、偽りの栄誉なぞ恥ずかしい」
「はは、あなたの実力なら誰も疑いはしない」
何だか俺の代わりになってしまって申し訳ないな。
「ところでAランク4体討伐ともなると確実に叙爵対象なのだが、既にメルキース男爵家長男の妻であるため不可能だな」
「ではこの3体討伐のユーシスは?」
「叙爵するに相応しいであろう。ただこの国では女性は貴族にはなれん、彼女は既婚者のため夫が代わりに預かることとなる」
へー、そうなんだ。
「男爵、このドナートと言う家名、北西部防衛部隊の副部隊長と関連が」
「よく気づいたなクラウス、ユーシスの夫オグマはメリオダスの弟だ」
なんと! ではダニエルの叔父が貴族になると。へー、凄いじゃない。
「領地はどうなるのでしょう」
「……伯爵のお決めになることで分からんが、私の思う可能性としてはメルキース男爵を子爵に上げて、男爵の席を空ける方法もある」
「なんと!」
「それは素晴らしい」
「と言うのもな、この討伐者一覧をよく見ろ。コーネイン家だけで8体を倒している。もちろんウチ3体はリオンだが対外的にはこれが全てだ」
「確かに一家でこれほどの成果は聞いたことがない」
おー、なるほどね、カミラが2体、セドリックが1体倒しているから兄弟夫婦まんべんなく強いってことだ。騎士貴族家として男爵で収まらん栄誉だよ、うん。
「ただトランサイトの運用をどう判断するかだぞ」
「そうか、以前のAランクと対峙する環境とは違うからな」
「まあ長い伸剣を発動するには高い共鳴を伴う、首を落とせる間合い調整も力の内だ。私はAランクを倒した結果だけで見ると思うがな」
言われてみればそうだね。武器が強いから倒せて当然なのか、使い手として評価されるのか。ただ止めに至っては剣が有利な気がする。その辺、武器種によっては貢献度と評価が釣り合ってないかも。まあ剣は近づくリスクもあるんだけどね。




