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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
155/323

第155話 レーンデルス家

 侯爵家との面会を終えて帰路に就く。初対面なだけで緊張する上、相手が高位貴族ともなれば余計に疲れた。俺はまだ子供を装っていたからいいけどクラウスの心労は計り知れないな。今はエリオットとミランダを前にして随分とリラックスした様子だ。


 ところで夫人はああいう時何していたのだろう。


「ちょっと気になったんですけど、俺たちが侯爵や伯爵と合っている時、母さんは何してたんですか」

「主に夫人同士での交流だな。同じ年代が集まっていることが多いぞ。ソフィーナなら30歳だから若い集まりとなる。ザイースト子爵夫人ジェニファー様は28歳、ああ、エルナンド様の母親だ。それからレイリア様の母親、ルイーゼ様も27歳とお若い。カサンドラも25歳だが、セルベリアの側にいる時間が長かったようだ」


 そっか、年が近い方が話しやすいもんね。


「ミーナの母親エリーゼも27歳だから同じ集まりにいたな」

「え、貴族家じゃないのによく入って行けますね」

「それなんだが、実はな、彼女の実家は元貴族だ。それも先代のゼイルディク伯爵第2夫人の家系なんだぞ」

「何だって!」

「えー!」


 なんと、貴族の血が入っていたのか、しかも伯爵家。エドヴァルドが優秀なのもそのせいか。もしかしてミーナが特別な能力があるのも血統が関係してるかもしれない。


「当代伯爵第2夫人の長男はバイエンス男爵であろう。代々その身分は伯爵第2夫人の長男が就いている。エリーゼは先代のバイエンス男爵の血筋に含まれるのだ。ちなみに孫にあたる」

「こりゃ驚いた」

「商会長はよく知ってますね」

「フリッツがノルデン家の家令となるため身辺調査をしたのだ。ちなみにフリッツ自身も貴族家の血が流れている」

「えー!」

「……何だって」


 言われてみれば雰囲気はあるかもしれない。しかし驚いた。


「具体的に言えば、フリッツの母親がカルカリア北東部の領主メースリック子爵家の血筋だ。騎士貴族だぞ。父親はカルカリア騎士団の平民だがとても優秀であった」

「へー、でもカルカリアの人がどうしてゼイルディクに?」

「50~60年ほど前か、サンデベールに於いてゼイルディクを集中して開拓した時期があり、付近の領地から騎士を募ったのだ。その中にフリッツの両親がいた」

「なるほど」


 ふーん、移住してきたんだ。


「そしてフリッツの子アルベルトだが、自身の子ではない」

「え!?」

「うは」

「アルベルトの両親はゼイルディク騎士団の北西部討伐部隊に所属していたが、彼が幼い頃に魔物によって命を落としている。当時、同じ部隊にいたフリッツはアルベルトを引き取り、騎士団を辞めて冒険者養成所の教官となった」


 これはまた衝撃の事実。


「しかし何故、フリッツは他人の子を引き取ったんだ」

「アルベルトの母親はフリッツの妹、つまり伯父と甥の関係だ」

「なるほど、そうだったのか……ところでフリッツには妻はいなかったのか」

「騎士団に入る前、冒険者時代に妻がいたが魔物によって死別している」

「……そうか」


 なんとも……近い人を次々と魔物のせいで失っていたんだな。


「そんな辛い過去を知ってしまって何だかフリッツには申し訳ないな」

「問題ない。フリッツ自身もお前たちに告げることを承知している。そもそもノルデン家に関わる者の素性を把握するのは当然のことだ」

「ああ、まあそうか」

「詳しい家系図は屋敷に保管してある。この後見せてやろう」


 でも分かったぞ、フリッツやアルベルトが強いのが。家系は騎士ばっかりじゃないか。


 このことをアルベルトは知っているのかな、フリッツを親父とは呼んでいたが。いくらなんでも母親がいない理由を聞いたことはあるだろう。いや、よその家の内情をそこまで詮索しなくていいか。家柄だけ分かればいい。


「エリーゼが伯爵家から外れたのは18年前、彼女は9歳だったか。故に貴族家令嬢として扱われた時期は短く、本人もどれほど覚えているか。尤も、家格はいいので、貴族家の血筋を持つアルベルトとの縁談に至ったのだろう」

「それを伯爵の方は知っているのか」

「もちろんだ、従って城を実家と思って寛げと告げていたが、エリーゼ本人はとてもその気にはなれなかった様子だ」

「まあ、そりゃな」


 となるとミーナからすれば母方の高祖父、つまり4代前は先代の伯爵か。それならレイリアと同じ席にいても不思議ではないな。まあかなり遠いけど。


 あれ、そう言えば、フリッツは妙に貴族に厳しかったような。母親が貴族家の出なのにどうしてだろう。そう、エリーゼに至っては伯爵家の血筋だぞ。むー、何か嫌な印象を抱く出来事でもあったのかな。まあこれも要らぬ詮索か。


「ところでミランダは同じ集まりにいたのか」

「いや、もう一回り上の方だ。ダンメルス伯爵夫人エステファニア様とエナンデル子爵夫人ステファナ様、このお二人は共に45歳のため話が弾んでいたぞ」


 ふむ、ミランダは35歳。まだ若いグループでもいけると思うが。ただまあ4~5人いるからね。バランスを取ってそっちに行ったか。


「ふーん、それでお二人どこの出身なんだ? 当主が侯爵家、伯爵家なんだから、さぞ家格を選ぶだろう」

「ダンメルス伯爵夫人はレリスタット侯爵家、エナンデル子爵夫人はロムステル伯爵家の血筋だ」

「ほー、ゼイルディクからは少し遠いな。それもまた違った情報が得られていいだろう」

「うむ、中々に興味深かった。ただ遠い実家と言えば、ザイースト子爵夫人はアルメール侯爵家、レイリア様の母ルイーゼ様はブレクスタ伯爵家だぞ、ウィルム侯爵夫人もプルメルエント公爵家から来ている」

「もう一回り遠いな」


 見事にあっちこっちからだな。なるほどそうやって繋がりを持つワケか。いやしかし、家のためとはいえ、そんな遠くから1人で来るのは勇気がいるだろう。つくづく女性は柔軟でたくましいと思うよ。


「今日の出席者とはまた違う話だが、最も遠いのはダンメルス伯爵妹のダニエラ様、クレスリン公爵家へ入ったと聞いた」

「そりゃまた……そこまで遠いともう会うことは難しいな」

「まあな。特にクレスリンともなれば山の向こうだ。こう言っちゃなんだが、ウィルム侯爵が健在の内は動くことは無いだろう」


 ウィルム侯爵が亡くなったら葬儀には来るか。親だもんね。ふーん、前世の日本では盆や正月に里帰りの風習があったけど、この世界では無いんだね。まあ移動も馬車だし、場所によっては魔物や不審者の危険も伴う。立場上あんまりウロウロするべきではないか。


 そう考えると侯爵家直系が揃ってゼイルディクに来たのは異例だったんだ。結構貴重な時間だったかも。


「さて、屋敷へ着いた後、クラウスとソフィーナはコーネイン商会本店へ一緒に行ってもらうぞ」

「あー、トランサイトを作るのか」

「うむ、握りの合わせなどをするのだ。ただ現状、トランサイトに至ってはミランデルを何本も作る体制ゆえ、2日もあれば完成する。尤も、仕上げはリオンが行うから村でそのまま渡せるぞ」

「ところで販売単価は高めにしてくれ。そうだな130億にするか」

「……分かった」


 あー、一般販売の平均額を押し上げる作戦か。そうすれば騎士団販売の単価を高くできる。やらしいなぁ。ただそれなら1000億とかにすればかなりの底上げだけど、流石に不自然過ぎるか。その辺が高めとしての限界値なんだろう。


「この際、部隊長もお持ちになっては」

「近日配備予定だ」

「それは心強い。何しろシンクライトが使えないからな」

「……いや、使う」

「む、ミランダ、伯爵からは止められているぞ」

「あれが無ければ次の戦いは勝てない。伯爵の指示に背くことになるが、そんなことは言ってられないのだ」


 そういうことか、無視して使うのね。


「これは私の独断だ。全責任を負う。リオンは職人として従え、いいな」

「はい」

「しかし大丈夫か」

「分からん、どの様な罰則があるか。私が伯爵ならば商会を解散させるな」

「おいおい、それは困るぞ」

「フン、丁度いい口実になるだろう、リオンを伯爵の工房に入れるためにな」


 えー、ダメじゃないか。


「商会長! 職人を守るためには商会が必要です」

「ああ、そうだ。お前たちの環境を守るためにも今やコーネイン商会は不可欠。だから安心しろ、絶対に解散などさせはしない」

「しかし伯爵の指示なら逆らえないだろ、どうするんだ」

「ウィルム侯爵に頼るしかない。まあ実際はシンクライトの存在を侯爵に報告するが構わないかと告げるに留まる」

「……中々の駆け引きだな」


 脅すのか、上位貴族を。んー、それで収まっても後味が悪いぞ。


「ただその様な手段が通じるかは分からん。それこそアーレンツ子爵が伯爵側に着いたら終わりだ」

「でも商会長、シンクライトの大活躍で危機を脱したなら、お咎めなしとはならないのですか」

「それとこれとは話が別だ。伯爵の言いつけを破った事実は変わらない。その上、あの様子では最優先事項に当たる。それを守らないのは大きな裏切り行為だからな」

「確かに、かなり気を使っている風には感じた」


 むー、そうなのか。


「では何とかバレずに戦うしかないですね」

「ああ、その通り。私の考えでは1本のみ運用する。使用者はもちろんリオンだ。とにかく魔素飛剣で1体でも多く倒してくれ。お前ならそれができる」

「任せてください、神が恐れるその力、存分に発揮して見せましょう」

「はは、頼もしいな」


 商会の命運が俺に掛かっている。何としてもやり遂げるぞ。


「ではシンクライトも訓練しないといけませんね」

「今使っているシンクルニウムをそのままシンクライトにすればいい。まあ大人用の剣身の方が若干長く飛剣を生成できるが、お前の魔力操作なら誤差の範囲だろう」

「そうですね」


 飛剣の長さ計算式は、共鳴率×5m+剣身の長さ。つまり共鳴率100%なら5m50cm。大人用で5m80cmになってもほとんど変わらない。何より使い慣れている武器だから変えるつもりはない。


「ところで何故、伯爵はシンクライトを隠すことに拘るのだろう。もちろんトランサイトが行き渡ってから世に出す方が、買い控えを起こさせずより多くの利益が見込める。その考えは他の貴族も同じだろう」

「確かにそうだ。領主そして支配下の騎士団なら情報統制もできる。しかしそれでも尚、僅かな綻びを危惧して徹底しているのだ。そこには金銭的利益とは別の、もっと大きな理由があると見ている」


 む、エリオットは知っているのか。


「気になるなら説明するが、あくまで父上の考察だ。従って何の確証もない。そのつもりで聞いてくれ」

「ほう、メルキース男爵が」

「ゼイルディク伯爵はカイゼル国王と繋がりが強い可能性がある。尤も、国内の貴族は王に従うのが当然だが、何しろこれだけ広い国だ。領主ごとに様々な考え方がある。それは大きく2つに別れ、国王派、そして反国王派がある」


 まあ、それはありそうだな。


「反国王派で最も有力な領主はクレスリン公爵だ。ともすれば独立をも辞さない姿勢らしい。そして万一、そうなった時に、国内の貴族はどちらへ付くか選択を迫られる。恐らくその場合、ゼイルディク伯爵は国王に付く。その時に反乱を抑える切り札として、シンクライトを考えているのではないか」

「なるほどな」

「とは言え、国王とて無駄な血は流したくない。それも自国民相手なら尚更だ。何か大きな反抗の芽があれば、その時点でシンクライトの存在を、そしてその生産体制が支配下にあることを告げる。さすれば争う気も失うとの算段だ」


 抑止力に使うのか。


「ところがその前にクレスリン公爵へ情報が洩れた場合どうなるか。実は今でさえトランサイトが多く渡れば行動を起こしかねない懸念がある」

「分かったぞ、ダンメルス伯爵が言っていた、他国へ侵略するのではないかと」

「なんと、それで伯爵はどういった意向だ」

「意向などは分からんが、公爵は海が目的ではないかと。ああ、伯爵は海魚が気に入ってた様子だったな」

「ふむ」


 ああ、どっちに付くかってことか。


「俺の印象ではクレスリン公爵寄りに感じました」

「そうかリオン、ではウィルム侯爵も同じとみていいか」

「親子ならそうではないですか」

「まあそう考えるのが普通だな」


 なるほど、ウィルム侯爵がクレスリン公爵寄りならば、シンクライトの存在を知れば真っ先に伝える。そして大量に手に入れ他国侵略を直ぐ始める。それを国王が咎めようが無視。或いはそれを機に独立。これは俺がクレスリンに連れていかれる流れじゃないか。


「あ、なるほど、そっか! ウィルム侯爵にシンクライトを教えるとの脅しは効きますね」

「フン、リオンも分かって来たか。ウィルム侯爵はいつまでも爵位を上げない国王に嫌気がさしているのではないか。ならば同じく国王を煙たがっているクレスリン公爵と結託するのは想像に容易い。そして国王寄りのゼイルディク伯爵はその方向に流れることを阻止したい。隠蔽に気を使うワケだな」


 まあ、要は周りの騎士に悟られなければいいんでしょ。元より飛剣は無色透明。大丈夫さ。


「ところでプルメルエント公爵はどっちなんだ」

「……国王派だとは思うが」

「まあ分からんか。ところでメルキース男爵家はどっちだ」

「は? あー、そうだな。本来はゼイルディク伯爵に足並みをそろえて国王派なのだろうが、敢えて言うならノルデン家派閥としようか」

「なんだそれは」

「言っただろう、メルキース男爵家は全面的に支援いたすと。どの様な時にも我々が前に出て守るぞ。まあこんな辺境の男爵家が味方では心もとないだろうが」


 はは、ノルデン家派閥か。国王にもクレスリン公爵にも付かないと。何だか強大な権力に抗うレジスタンスみたいだな。


「またそうやって(さげす)む。エリオット、こっちにはリオンという圧倒的な存在があるじゃないか。自信を持て」

「そうだったな、悪いクセだ。しかしそうは言っても、この国で暮らしている以上、その枠組み、規則の中でしか事は運べない。いたずらに強気に出て敵を作るのは得策ではないぞ」

「そこは現役貴族家として手を尽くしてくれ」

「全く、結局は人任せか」

「それを買って出たのはそっちだ、期待しているぞ」

「ああ、言われずともな」


 なんだかクラウスも言うようになったな。まあ本音で話せる数少ない相手だ。自らの当主としての責任、上位貴族との立ち回り、色々考えてストレスだからね。ここはエリオットに受けてもらうしかないな。


「ところで伯爵の示した別途褒賞はケチくさかったね」

「はっはっは、お前も言うようになったな、リオン」

「商会からは要らないので」

「む、そのくらい出してやる。そうだな、ウチは20本を超えれば1本2000万だ、工房での生産時に計上する、いいな」

「はい」


 ふふ、負けず嫌いだね。それで20本か、まあいいラインだろう。む、これよく考えたら持ってくる数を調節出来るじゃないか。おのれ、初めから払うつもりはないな。おー、加えて製作未登録で来たら分からんぞ。ぐぬぬ、流石、貴族、汚い。


「さて、屋敷に着くな。リオンは客間で休んでいろ、ウチの子供らと話でもしているといい。そうだな、1時間も掛からずに戻る。そこから一緒に村へ向かうのだ」

「分かりました」


 まあちょっと休憩したいからね。


 そしてほどなくメルキース男爵邸宅に到着。一旦、皆で馬車を降りる。


「待っている間にこれで遊ぶか」

「あ、忘れてた! ダンメルス伯爵に貰ったんだ」


 エリオットは馬車の座席の後ろから冒険者の栄光と騎士団の誇りを取り出して使用人に渡す。そしてソフィーナと合流したミランダとクラウスは馬車に乗り込み本店へと向かっていった。


 俺たちは客間に入りソファに身を沈める。


「ふひー、疲れた」

「我が家と思って寛ぐといいぞ」


 真っ先にライニールが寄って来て肩を揉む。


「ニール、随分と態度が変わったね」

「え、それを言うか……まあ、監視所では悪かったよ」

「2班のみんなも戸惑ってたからね、俺はもう気にしてないから」

「む、分かったよ、今度会ったら謝っておく」


 あら、そういうつもりじゃないんだけど。ま、いいか。ただ反省しているようだし、この話題はこれきりにしておこう。しかしジェラールたちも貴族家の子供から謝罪されたらビックリするだろうな。


「それでどうだった? 侯爵家や伯爵家の子供たちと話は出来たかな」

「まあな、ロディオス様は魔物討伐にとても興味を持たれてたから、俺の訓練討伐の内容を沢山話したぞ、もちろん兄様も一緒にな」

「ふーん、よかったじゃない。それならフリオ様も話が合うね」

「そうなのか」

「あれ、侯爵家の子供とは会わなかったの?」

「当然だ、俺なんか話してくれるワケないだろう。でも兄様と姉様は近くに行ってた」


 何だ、行かなかっただけか。それでアデルベルトとクラウディアは交流があったのね。聞いてみよう。


「クラウディアはどうだった?」

「名乗りはさせてもらえたわ、でもお話しできたのはフリオ様と少しだけよ。私なんかにお気遣いをして下さり嬉しかったわ」


 流石はフリオ、女子に声を掛けられたら無視はできないか。


「アデル兄様の方が長くいたわよ」

「うむ。ニールは初めから諦めているからだ。私はちゃんとお互いに名乗りをし、いくらか言葉も交わしたぞ。エルナンド様、フリオ様、そしてエビータ様とな」

「遠くで見ておりました、流石、兄様です」


 ダメじゃん、ライニール。


「ところでリオンはどうだったか、同じテーブルで食事をされたのだろう。確かエルナンド様は途中で席をお移りになられたが、お体に大事は無いか」


 むう、どうしよう。ディアナへの物言いを侯爵に叱られたとか、もし広まったらマズいかな。そうだ、エリオットとミランダには伝えているから判断を任せるとしよう。


「エルナンド様の件は少し込み入った内容だから軽々に言えない。エリオット部隊長とコーネイン商会長は知っているから、悪いけどそちらから聞いてもらえるかな」

「おっと、これは失礼した。配慮が足りなくてすまない」

「そうよね、高貴な方々のお考えを私どもが知ろうなんておこがましいことでしたわ」

「……俺には分からない世界だ」


 ちょっとズルかったか。まあいいや。


「それにしてもリオンは凄いな、その様な席でも悠然とこなすとは。お前は一体、どういう教育を受けたのだ」

「フリッツ・レーンデルスの教えです」

「家令の者か」

「アデルたちには教育係はいるの?」

「ああ、いるぞ。言葉遣いや礼儀作法、世間の常識、貴族家の嗜み、何でも教えてくれる」

「俺は面倒だから全然聞いていないけどな」

「やれやれ、ニールも9歳だぞ、そろそろ自覚してくれ」


 ふっ、アデルベルトは苦労しているようだ。エリオットとセドリックもこの様な関係だったのだろうか。

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