第154話 城からの帰路
エーデルブルク城の一室で話をする。メンバーはゼイルディク伯爵、エナンデル子爵、エリオット、ミランダ、クラウス、そして俺だ。エリオットから魔物襲来について説明をすると、直ぐに伯爵と子爵は理解を示してくれ、ひとまずは安心した。
そしてこちらの思惑通り、ゼイルディク騎士団を伯爵命令として動かしてもらえる意向も確認できた。対象は6部隊、計25本のトランサイトの使い手も含む、それだけでかなりの戦力だが、次回の魔物規模に対応するにはまだまだ足りない。
それでシンクライトの使用を提案したが伯爵から許可は下りなかった。よっぽど隠したいんだね。ひとまずこの件はミランダが何とかするみたいだから引き下がることにする。
「ときに伯爵、命令書の発行はありがたいのですが、どの様な名目で部隊を向かわせるのですか」
「エリオット部隊長、その件は有事に備えた広域訓練とする。有事とは魔物の大規模襲来だ。各部隊には数日中にその実施をすると伝えるが、場所と日時は伏せておく。緊急事態に即時対応する訓練だからな」
おー、なるほど。そっか、討伐部隊があまり奥地へ行かない理由づけにもいいね。まあ訓練としてはリアリティが下がるけど。
「用意する命令書は城の登録士に作らせる正規のものだが、発令日時のみ空けておく。そなたらが適切な時間を書き込むといい」
ほほう、登録士が作るのか、まあ紙に書くだけなら誰でもできるからね。それとは違う、本物を証明する施しがあるのだろう。それで日時を空けておくと、そこは後から書き込んでも有効なんだ。
「訓練は集まるだけで終わりはしない。そのままベルソワ平原に留まり、陣形や立ち回りの訓練、騎士同士の意見交換なども含まれる。その中で大型の、特にAランクに対応する戦術確認でもさせれば丁度いいだろう」
「流石は伯爵、素晴らしい案です」
「集結にかかる時間に幅があるが、平原での滞在は概ね2時間ほどか、その時に魔物襲来が無ければ解散となる、いいな」
「はい」
まあ、それは仕方ないね。これでも昼食前に発令があったら、移動時間の往復含めると夕食と一緒にならないか。そりゃ魔物はこっちの都合は関係ないけど。空腹で移動や戦闘を続ける訓練と考えてもらうしかないな。
しかし魔物が来なかった場合、もちろんその方がいいんだけど、時間が大幅にズレ込んだらどう対応しよう。帰っているところに再び伯爵命令を告げるのかな。でもまあそれしかない。疲れているところに生死を懸けた戦いなんて避けたいところだけど。
「訓練であるため空振りとなっても問題ない。本当に魔物が来たらそれこそ任務だ。どちらになっても意味はある」
「ただ、父上、見事魔物襲来が重なれば、あまりにその頃合いが合致し過ぎるため、指揮官の中には疑念を抱くものも出かねませんか」
「構わん。城に魔物探知の優秀な者がおるとでも噂を流せばいい。そうすればまたその様な時が来ても、訓練でありながら高い意識で取り組むであろう」
「承知しました」
おおー、いいね。噂とか、ぼかしているところがいい。
「ふむ、これはこれで良いな。ある程度の間隔で強大な魔物との実戦経験を積むことができ、貴重な素材も手に入る。無論、広域訓練としても有意義だ。それぞれの持ち場もトランサイトの行使で余裕があるため、半日ほどなら離れても影響はない」
はは、ミランダと同じようなこと言ってる。危機をも糧に変える。貴族とは考え方が前向きなんだね。でも次回の襲来はそんな悠長なこと言ってられない。その規模に対する策をしっかり考えないと。
「さて、こちらからも伝えることがある、アンドレアス」
「はい、父上。リオンのトランサイト生産、その1日の生産量における別途褒賞について説明する」
お、ボーナスだね。
「まず基準を定める。それは侯爵と面会する前に打ち合わせた数、つまり30本だ。侯爵側は多くとも1日この本数で把握されている。これは価値の維持と、複数同時に売買契約を結んで対応できなかった場合を想定してだ」
「売買契約は商会側の責任ではありませんか」
「コーネイン商会長、それでも遅れが生じると印象は良くない。本数が限られていればあまり手は広げられず、よく考えて話を持って行くだろう」
これはルーベンス商会の暴走を見ての対策か。
「とは言え、それは対外的な話だ。余剰分は城で管理し適宜配分する。従ってリオンが生産する数に制限はない。こちらとしても余裕がある方が武器種などを調整しやすいからな」
「分かりました」
「それで30本を超えた部分に別途褒賞を設けるのだが、こちらとしては城へ納品した時点で締める方がやり易い。つまり工房で生産した数ではなく、その日、城へ持って来た数と言うことだ」
ふむ、まあそっちがやり易いならそれでいい。
「その場合、コーネイン商会販売分は除かれる。城へ持って行かずそのまま商会で管理するのだからな」
「では当商会分を報告すれば良いのでは」
「あくまで城で管理する生産分に対しての褒賞だ。そちらにも褒賞を付けるなら商会独自で用意すればいい」
ぬお、微妙にケチってきた。と言うことはコーネイン商会販売分を除いて30本か。
「具体的な金額だが、31本目以降、1本につき1000万を計上する。どんなに多く納品してもその単価は変わらない。よいな」
「はい、分かりました」
まあ、後付けの話だし、こんなもんか。
「1000万が少ない様に感じるかもしれないが、あくまで別途褒賞だ。本来、1本につき1億の加工費用が計上されるのだぞ、それで十分だ。それに、あまり高額な褒賞を設定すると無理をして1日に集中させる懸念もある。その気になれば褒賞目的で納品日を調節することも可能だ」
む、確かにそうだ。45、45、45のところを、もし70本越えに大きな褒賞があれば30、30、75に出来るしね。まあオマケみたいな位置づけくらいが丁度いいか。
「つまりは、よく働いた労をねぎらう気持ち程度と認識してくれ」
「はい、十分です。ありがとうございます」
なるほど、この程度に設定すれば、コーネイン商会独自で用意するにもやりやすいか。ふふ、ミランダが言い出したことなのに、自分で払うことになるかもしれないのね。まあ商会は無しでもいいよ。
「次に販売関連で起きた事件について報告する。先日、カロッサ商会の馬車が、納品途中に何者かに襲われ、積み荷のトランサイトが奪われた」
「え!?」
「なんと!」
「場所はウィルム北東部、ブラガス子爵領だ。時刻は午前10時頃。無論、護衛も同乗していたが、御者1名、商会員1名、そして護衛2名全員が殺害された。複数の目撃者証言によれば、犯人は4~5名、馬車で後ろから近づき、追い越して正面に停車、犯行時間は3分程とのこと。残念ながら犯人は今も捕まっていない」
なんと……そんな事件があったのか。
「強盗殺人自体はあることだが、この件で注目すべきはトランサイトの運搬を知っていた可能性が高いこと。つまり計画的犯行だ。となれば商会員にしろ、どこからか情報が洩れて、或いは売られて、その道中を狙われたと考える。コーネイン商会においては情報の取り扱いをより厳重に心掛けてほしい」
「承知しました」
危ないなぁ。城への納品時なんか特に注意しないと、何十本も運んでいるんだからね。確か、騎士団の馬車が付いていたけど、あれは逆に何かあると知らしめているようなもの。まあそれも見越して腕利きが複数乗っているのだろうけど。
「この件は更に懸念がある。強盗殺人犯にトランサイトが渡ってしまったことだ。武器種は剣。もしそれを凶器として使われたら手強い相手となるだろう。護衛を倒すほどの腕の持ち主だからな。ただ使わずともどこかへ売る可能性もある。或いは……雇い主に渡すか」
「え!?」
「そう考えるのも犯行の手際の良さからだ。何か後ろについていなければいいが」
むー、怖いなそりゃ。
「いずれにしても現地の保安部隊が全力で捜査をしている。朗報を待つしかないな」
この様なことが起きる可能性は分かっていた。そう……俺がトランサイトを作らなければ、その4人の命は失われずに済んだだろう。だからってトランサイトが無ければ強大な魔物から町を守れない。どちらの命がではない、悪いのは犯人と魔物だ。
「次にブラームス商会についてだ。実は今日、侯爵の馬車列と共に商会長と関係者が城へ来ており、先程は侯爵も交えて今後の方針について協議をしていた。結果、7月を待たずに取り扱い商会として直ぐに加わることになった」
「それではルーベンス、ユンカース、ガイスラーが黙っていないのでは」
「うむ、従ってその3商会も加えることとする。しかし配分本数は絞る。決まりを破った者たちを同等には扱えない」
へー、ブラームス商会が。まあウィルム侯爵と一緒に頼まれたら断れないよな。もしかしたら今日来た目的の本命はそこだったのかも。
そしてゼイルディクの3商会も加わるのか。取り扱い商会って議会で決めたはずだけど、あっさりひっくり返してしまうのね。まあ配分を絞るらしいし、これは他の商会の手前、極端に少なくするだろう。それでも売れないよりはマシでしょ。
「さて、最後にゼイルディク極偉勲章についてだ。1週間後の6月6日に城内広場で授与式を執り行う。対象者はクラウス殿、言うまでもなくサラマンダーに止めを刺した功績だ。そしてもう1人、北西部防衛部隊の騎士ラウニィ・フルネンデイク、こちらはガルグイユの首を落とした功績である」
おー、そういやあったね。
「とても誇らしい事です」
「うむ、そなたの叙爵は対外的にトランサイト製法発見であるが、また違った栄誉を持つことにより、貴族として領民の支持を得やすくなる。よくやった」
確かにそうだね。トランサイトの件は、まあ最初に違いを気づいたとしても、それだけではモヤモヤするだろう。サラマンダーの止めは紛れも無くクラウスの力だ。
ん、そう言えば、対外的には製法発見で叙爵なんだよな。これって。
「あの、父さんは俺が叙爵出来る15歳まで爵位を預かるんですよね。では7年後のその日には皆にどう説明するんですか」
「それはそのまま、本来の叙爵対象者はリオン殿であったと周知する。もちろん製法発見のみが功績であり、生産者であることは伏せるぞ。まあ当時8歳であったことはかなり驚かれるだろうが」
「ではその後、父さんはどういった身分になるのでしょう」
「貴族の父親だな。つまりノルデン夫人やディアナ嬢と同等の貴族家一員となる」
ふーん、まんま引き継ぐだけなのね。
「ただこの様な生前継承は聞いたことが無い。親が健在でありながら爵位を離れる多くの原因は不祥事だ。つまり爵位は剥奪され子には渡らないし、その家も貴族家ではなくなる」
ふむふむ、基本的に死後継承か。
「しかし、その様なところを疑問に思うとは、リオン殿は誠に不思議だな」
「ああ、いえ、ちょっと気になったもので」
「ただ実際には違った展開になる可能性が高いだろう」
「え、それはどういう」
「いずれ分かる」
むむ、何だろう。
「さて、話は以上だ。そなたたちから何かあるか」
「私はありません」
「私もない」
「俺も無いですが、今日は本当に助かりました。伯爵や子爵が近くでおられて大変心強かったです。ありがとうございました」
「クラウス殿、当然のことだ。それにそう何度も礼を言われても反応に困る。これからゼイルディクのため、共に歩んでくれればそれでいい」
「はい、伯爵」
まあ、流石に今日は伯爵家に頼るしかなかったからね。
「リオンは何かないか」
「えっと、そうですね、魔物襲来の件、信じてくださりありがとうございます。恐らくこの先もずっと狙われ続けるでしょう。その時は伯爵、そしてゼイルディク騎士団のお力添えを、何卒お願いいたします」
「はっは、言われるでもない。リオンは宝だ、必ず守る」
シンクライトがダメなら数で何とかしてくれ。
「ときにレイリアとは仲良くなれたか」
「ええ、はい。姉が学園へ入った後の見守りも快く受けてもらいました」
「うむ、レイリアに会いたければいつでも申せよ」
「は、はい」
伯爵側の思惑はあれども、実際のところレイリアは話しやすかった。将来のことは分からないけど仲良くはしたいね。何せ伯爵家令嬢という立場はかなり大きい。
「では皆の元へ戻るか、少し休んでから城を出るといい」
伯爵の言葉に立ち上がる。ふひー、今日は沢山の人に会って色々話して疲れたぜ。もう黙って横になりたい気分だ。いやでも、もう少し。
懇親会を行った広間に戻ると、皆、紅茶を飲みながら談笑している。見たところ伯爵家の人間はバイエンス男爵だけか。見知った人が多いと気が楽になるね。
「おー、リオン! ここへ座れよ」
「分かった、ニール」
「お疲れだったな」
ライニールは後ろに回って肩を揉みだした。こやつ、舎弟か。このテーブルには他にパーシヴァル、アデルベルト、クラウディア、ディアナ、ミーナがいた。
「リオン、久しぶりだな」
「パーシヴァル様、アーレンツ子爵邸以来ですね」
「様はいらん、丁寧な言葉遣いもな。もう俺たちは同じ貴族仲間になるんだから。それにお前とは8歳と年も一緒だ、仲良くしてくれよ」
「こちらこそ」
パーシヴァル、トリスタンの長男だね。未来の子爵でもあるんだ。そんでアーレンツにある士官学校初等部2年。
「お前、強いんだからリエージュ士官学校に来いよ。初等部もあるぞ」
「いや行かない。えっとね、理由は、才能が有り過ぎて学校の環境では収まらないんだ。金も十分あるから必要な講師を村に呼んで教えてもらう。施設が必要なら自費で何でも作れるし。これでいいかな」
「……お、おう」
はは、みんな口をポカーンと開けて止まってる。何も言えまい。
「随分と自覚が進んだな、リオン」
「そりゃもうね、色々誘われるのが困ってさ、今のでいいでしょ、アデル」
「ああ、完璧だ」
「よく考えたら村周辺の魔物でもリオンなら平気なんじゃないか」
「んー、どうだろうねー」
それを聞いてクラウディアはクスッと笑う。昨日、一緒に北区の進路に入ったからね。まあこの場では秘密にしておこう。みんなが侯爵家や伯爵家の子供たちとの交流が出来たかは、また今度でいいか。レイリアたちが急に現れるかもしれないからね。
「ミーナは楽しめた?」
「え、うん! もう大変! 何だかいっぱいだよ!」
言葉が怪しいが興奮は伝わって来る。満足できたようだね。それにしてもこの面子にミーナが混ざってるのが面白い。家令フリッツの孫とは言え平民だからね。まあ隣りのディアナが相手をしてくれてるのだろう。
「さあ、お前たち、そろそろ帰るか」
「はい、父様」
トリスタンがテーブルに近寄り声を掛けパーシヴァルが応える。それを聞いて次々と席を立ち広間を出る。大体親子で固まって廊下を歩いた。城の前には馬車列が待機しており、その家紋はアーレンツ子爵家とメルキース男爵家ばかりだ。
「本日は様々な取り計らい、本当にありがとうございました」
「うむ、ゆっくりと休まれよ」
代表してクラウスが伯爵と言葉を交わす。その見送りの列にいるレイリアが俺を見てニッコリとほほ笑んだ。ディアナは近づいて楽しそうに言葉を交わしている。どうやら仲良くなれたみたいだね。
俺が乗る馬車にはクラウス、エリオット、ミランダが同乗する。馬車が動き出しても伯爵家の面々は見送りを続けていた。しかし侯爵家ならまだしも、子爵以下の俺たちに伯爵家がここまで出てくるなんて異例だろうな。
「ふー、終わったな」
「はっは、ご苦労だったクラウス」
「エリオットは平気なのか」
「対話した相手がそこまで気を使う者ではなかったからな。ああ、先程の伯爵の席はいくらか緊張した」
「ミランダもそうか」
「いいや、大したことは無い」
ふーん、そうなの。まあ最初に俺と城へ行った時も堂々としてたもんね。
「私も侯爵の席なら言葉に気を使っただろう。尤も、そんなことは今後あり得ないがな」
「コーネイン商会長としてなら可能性あるんじゃないですか、俺が職人なんだし」
「どうだか、あってもダンメルス伯爵止まりだろう。その伯爵夫妻も、食事の席ではアーレンツ子爵夫妻とメルキース男爵夫妻と同じテーブルだった。その息子夫妻である我々の言葉なぞ聞く気もない」
そんなもんか。
「従ってまだ貴族でもないお前たちが侯爵と同席するなぞ異例中の異例、いやむしろ貴族社会に慣れてないからこそ、場を乗り切れたとも言えるな」
「そこまでの人だったのか。今になって冷や汗が出てきたぞ」
「はっは、しかしいい経験になっただろう。ところで昼食の席と言えば、リオン。エルナンド様と何かあったのか」
「おお、そうだ、俺も気になっていた」
だよね、俺は事の経緯を説明する。
「そんなことが、しかし侯爵は随分と思い切った対応をされたな」
「ほー、確か12歳だったか、高位貴族のご令息ならそんなもんだろう」
「俺の言動は正しかったのでしょうか」
「そうだな、8歳の子供としてはよく出来た方じゃないか。尤も、リオンの本性を出せば侯爵に頼らなくても黙らせていただろう」
「えー、無理です」
そんな敵対したら後々面倒だろう。ほんとミランダは好戦的だな、いや負けず嫌いか。
「例えばな、ディアナが婚約をする代わりに、ノルデン家の領地開拓費用の半分でも侯爵家に負担させる約束をしたらどうだ」
「へー交換条件ですか、あ、でも、そのくらい侯爵家なら払えるのでは」
「そうかな、メルキースの城壁より向こうが領地だぞ」
んー、まあかなり広いよね。数千億はかかるか。
「お、分かったぞ! 領地の境を示さないんだな」
「はっは、その通りだクラウス。後から森の向こうもずっと領地だと言えば青ざめるだろう」
「えー、じゃあ遥か遠くの山脈も含めるってことですか」
「うむ、従って終わりはないのと同義だ。加えて費用の支払いが済まなければ婚約も成立しないとしておけば、いつまでも話は進まない」
なんだそれ、屁理屈じゃないか! ただまあ相手がエルナンドなら或いは通じるかも。後でかなり不機嫌になりそうだけど。
「どの道、爵位が合わん」
「そうですよね、エルナンド様は知らなかったのでしょうか」
「まあ試したかもしれんな」
うーん、どうだろう。ただ使命に必死で頭から飛んでいた可能性はある。
「ともあれ、ディアナの気が楽になったのは良かった。よくやったぞ、リオン」
「へへ、ねーちゃんが困ってたからね。そうそう、失礼な物言いをされてちょっとエルナンド様を睨んでたよ」
「なんと! やるではないかディアナは。いやな、薄々感じていたのだが、あの子はかなり芯が強い。場数を踏めば何事にも動じない立派な貴族令嬢になるぞ。私がしっかり教育してやろう」
「え、そ、それは」
ミランダみたいになるのは、それはそれで嫌だなー。高笑いとか覚えたらどうしよう。
「そうだ、レイリア様ととても仲良くなった様子です。学園編入後も気にかけてもらえるよう取り付けました。彼女ならきっと正しく導いてくれると思います」
「分かっているだろうがリオンの頼みだからだぞ」
「はい、それを利用しました。かと言って将来のことは別の話ですよ」
「……お前、やらしいな」
まあレイリアもそんなこと分かって引き受けただろう。確か伯爵はレイリアと会いたければ予定を合わせてくれる言いぶりだったな。流石に任せて放置は悪いから、たまには食事でも一緒した方がよりヤル気になってくれるだろう。その分期待させてしまうけど、まあいいや。




