第153話 伯爵家の子供たち
エーデルブルク城の大広間で昼食をとる。侯爵家の子供エルナンドがあまりの言いようだったので思わず侯爵に頼ってしまったが、不用意に事を荒立てた感は否めない。あそこはじっと堪えて時間が過ぎるのを待つべきだったか。
ただ勝手に婚約宣言されるのはいただけない。そもそも、かなり大事なことである上、相手は初対面で拒否しているのに押し通そうとする神経がおかしい。本当にどういう育ち方したらああなるんだろう。そりゃ高位貴族のお坊ちゃまってのは分かるが、いざ対峙するとうまい接し方が分からないや。後でミランダにでも聞こう。
「リオンは剣か?」
「はい、そうです」
「素材は何だ、ああそうか、トランサイトだよな」
「……ええと」
「俺も剣だ、シンクルニウムなんだが、早くトランサイトを使ってみたいものだ」
オリビアを挟んで俺に積極的に話しかけてくるフリオ。この子、戦闘関係の話になるととても楽しそう。でも雰囲気が苦手なんだよな。うーん、何だろう、あ、そうか、ナタリオだ。北西部防衛部隊の女好きの騎士、彼に通じるところがある。
そう、ディアナに対する接し方が気持ち悪かった。獲物を狙うような目でニヤニヤしやがって。これは異性に慣れている感じだな。背が高くて顔もいいから、恐らく貴族学園で女子に囲まれているんだろう。もちろん侯爵家の一員だし、沢山言い寄って来るよね。
ちょっと聞いてみるか。
「フリオは学園で訓練しているんですか」
「まあな、剣士サークルという集まりだ。そこは最低限の護身や祝福を目指してる子がほとんどで、俺からすればレベルが低くてつまらないがな。その上、女子は俺に教えてもらいたがるから、自分の訓練が出来なくて困るよ」
フリオ様ぁ~、剣の振りを見て下さぁ~い。クネクネ。こうか!
「まあウチで雇ってる講師が優秀だから学園のそれは息抜きみたいなもんだ」
だろうね。
「リオンは誰に習っているのか」
「元冒険者養成所の教官であり、その前は騎士団の指揮官だった者です。村では魔物討伐指揮をしていましたが、今はノルデン家の家令となるため勉強中です」
「ほう、中々の経歴の持ち主だ。その方の指導なら有意義な時間だろう。そう言えば両親も優秀な冒険者だったか、父親はサラマンダーを倒した英雄と聞いたぞ」
「たまたま止めを刺しただけですよ」
お、そういう情報も知ってるんだな。
「フリオの講師はどんな人ですか」
「元保安部隊長だったか。剣の腕は確かなんだが魔物対応の経験が少なくて話がつまらない。今度は討伐部隊経験者でも呼ぼうと考えてる」
「本当に魔物討伐が好きなんですね」
「だってかっこいいだろ、自分より大きな相手をぶった切るなんて。そう、だからトランサイトが早く欲しいぞ、あれは剣身が伸びるからな」
ふーん、大きな相手か、そういうところに魅力を感じるのは分からんでもない。ああ、なるほど、貴族とかの金持ちがトランサイトを買うのは、こういう子供がいて使わせるんだな。それにかなりの戦力強化になるから怪我などの危険性も低くなる。
ブラームス商会が外れたからウィルムへの販路はちょっと時間が掛かっているのかな。そう、ルーベンス商会が色々と荒らしちゃったし。侯爵家なんていくらでも出せるだろう、最高級モデルをさっさと売ればいいのにさ、あー、それ作るのに手間かけてるのかもね。
「フリオはリオンと話が合うようですこと」
「そりゃ同じ剣士だからね、エビータ姉様も剣を習えばいいのに」
「嫌よ、服が汚れるじゃない。私は常に美しくあることが務めなのよ。ディアナも女を磨くことを意識しなさい、顔立ちは悪くないのですから」
「は、はぁ」
まあエビータくらいになれば周りがしっかり守ってくれるから護身は不要かもね。
「リオン、ヘルラビットはどうやって倒すのだ」
「まず追いかけさせて森から進路へ出します。そこから後衛に引っ張って頃合いを見て離脱、魔物が方向転換しているスキに撃ってもらい、俺が止めを刺すのです」
「ふむ、基本戦術だな。森を走るのは難しくないか」
「俺の入る進路は平坦な地形が多いので問題ないです」
「ほう、それで飛行系はどうするのだ」
「まず進路で誰かが囮となり降下させ……」
フリオは熱心に聞くなぁ。ほんとに魔物討伐が好きなんだね。一方、エビータはディアナと服やカフェ、それから学園の話をしているっぽい。気を使いつつも楽しく話せている様子だ。ただオリビアはほとんど会話に入らず食事に集中している。
「さあデザートが来たわ、昼食もそろそろ終わり。オリビア、あなた食べてばかりいないでリオンとお話しをなさい、今日はそのために来たのですから」
「……(もぐもぐ」
「ハァ、立場を理解するにはまだ掛かるようね」
8歳では仕方ない。
デザートを食べ終えた頃に伯爵が声を上げた。部屋を移動して懇親会があるようだ。次々と廊下へ出てしばらく歩き、低いテーブルとソファが並ぶ広間へ入る。俺が案内されたテーブルには子供たちが集まった。
「さあ、ようやく名乗りが出来ますわ。私はレイリア・ハーゼンバイン、ゼイルディク伯爵第1夫人のひ孫よ。シャルルロワ学園中等部1年で10歳になるわ。リオンは私をレイリアとお呼びなさい。ディアナもそうしているから」
「はい」
やはり左隣の女子はレイリアか。雰囲気はエビータに似ているな。
「次は俺だな、名前はロディオス、学園初等部2年で8歳だ。レイリア姉様の弟になる。リオンとは同じ年だな、仲良くしてくれ、ロディと呼べばいい」
「分かりました、ロディ」
俺の右側に座った男子がロディオスか。ハキハキして元気な印象だな。
「僕はオルヴァー・ハーゼンバイン、シャルルロワ学園初等部2年です、7歳になります。リオン、呼び方はオルヴァーでいいよ。あ、ロディは兄様です。よろしくね」
「はい、よろしく、オルヴァー」
ちょっと大人しい感じか。
隣りのテーブルにはディアナ、パーシヴァル、アデルベルト、ライニール、クラウディアか。ミーナはエリーゼと一緒に少し遠いテーブルにいるね。おや、侯爵家の子供たちはどこだろう。
「エルナンド様たちは別室よ、少し休憩されて城を発たれるわ」
「あ、そうなんですね」
「もちろんその時はお見送りするから、それまでお話ししましょう」
ふーん、まあ食事の席で話せたからね。エルナンドは早い内に遠くに行ったけど。
それにしても窓から見える町中は大渋滞だな。事故でもあったのか。
「どうしたの? 外に何かあるかしら」
「あー、その、凄く眺めがいいので」
「そうね、高い所にあるから遠くまで見渡せるわ。こんなに馬車が道に溢れているのは滅多に見ないけど」
「何かあったんですか」
「エナンデル1番線の交通規制をしているのよ。城から南東方面が横切れないから回り道をする馬車がこっちに押し寄せてるの。侯爵がお帰りになったら解除されるからもう少しの辛抱ね」
「なるほどー」
そういや言ってたな。
「それはそうとリオンの名乗りは省略するのかしら」
「あ、いえ! えっと、リオン・ノルデン、8歳。コルホル村に住んでいます。今日はお招きいただきありがとうございます。この様な立派な城において、とてもおいしい食事やおもてなし、本当に夢の様な時間を過ごせました。改めてゼイルディク伯爵家の素晴らしさに感服いたしております。そのご子息ご令嬢とこれからお話できることを楽しみにしております」
しまった、忘れてたや。しかしこれで今日3回目か、初対面の人が多い日は言うこと考えるの大変だな。
「そんな畏まらなくてもいいのよ、気を楽にして」
「は、はい」
お、そうだ、忘れないうちに伝えておこう。
「レイリア、いきなりで申し訳ないのですが一つお願いがあります」
「え、リオンから? まあ何でも言って」
「姉ディアナがシャルルロワ学園へ編入した際には、その環境に慣れるまで近くで見守って欲しいのです。もちろん空いた時で構いません」
「あら、そんなこと……そ、そうね、リオンが言うなら、なるべくそうしてあげるわ。私も学園では色々と忙しいのよ、でも仕方ないわね、リオンの頼みならなんとか時間を作るわ」
「すみません」
「いいえ、いいのよ、ディアナのことなら何でも私に頼ってちょうだい」
む、この流れ。恩を売る作戦か。まあ予想はしてたし、その方がしっかり取り組んでくれる。
「リオンはいつから学園に来るのかしら」
「俺は行きません。村でいます」
(学園内に工房を作ればいいのよ)
(え?)
レイリアはそう囁いて至近距離でほほ笑む。いい匂いがした。むむ、俺が職人と知っているんだな、そしてその解決策も提案するとは。
「いやー、両親と一緒にいたいので」
「週末に村へ帰ればいいじゃない。最初は寂しいけどすぐ慣れるわよ。それにディアナも近くにいるんだし」
「……」
「私も側にいてあげるわ」
「え、えっと」
ぐいぐい来るなぁ。まあトランサイト生産を知っていれば、その本気度は分からんでもない。
「よく考えます」
「ええ、そうしてちょうだい。どうするのが一番いい方法か、頭のいいリオンなら分かるはずだわ。ところでどうでした? エビータ様やオリビア様とのお話は」
「そうですね、楽しく過ごせました」
「でも実はね、エビータ様は王家に入るのではとの噂よ、オリビア様も公爵家のご令息とよくお会いになってるらしいわ」
「へ、へー」
ほんとかなぁ。いやまあ、俺との縁談を目論む前ならあり得る話か。
「レイリアはどうなんですか」
「私? そうねぇ、有力な貴族家嫡男と食事は何度もしたけど、あんまりいい人はいなかったわ。リオンの方がよっぽど魅力的よ」
「そうですか」
「そうよ、自信をお持ちになって」
魅力を感じるのは俺の能力だろう。
「姉様は強い人が好みなんだぞ、リオンはもう魔物討伐だって出来るからな。俺も本当は士官学校に行きたかったけど、父様が許してくれなかったんだ」
「ではロディは戦えるのですか」
「そういうスキルを授かった。だから訓練したいんだけど、言葉遣いや振る舞いを身につけるのが先だとか、そんなの後でいいのにね」
あー、まあ、将来の伯爵だからね。早い内から染み込ませるのか。フリオもそうだけど、能力に見合った道に進めないのは歯がゆいね。
「オルヴァーがその方面優秀だからさ、いっそ俺が弟なら良かった」
「兄様、そんなことはありません、僕は兄様を尊敬しています」
「ほらね」
はは、よくできた弟だね。
「皆、閣下が城を出られる! お見送りに参るぞ!」
バイエンス男爵の声に次々と席を立つ。長い階段を下りて広いホールへ、そこから城の正面に出て待機している馬車列の前に並んだ。しばらくすると侯爵一行が城から出てくる。
「ハーゼンバイン卿、今日のもてなしを感謝する」
「閣下、お気をつけて」
「リオン殿、また会おうぞ」
「はい、閣下!」
侯爵夫妻、ダンメルス伯爵夫妻が馬車へ乗り込む。
「食事の席ではエルナンドが失礼をした、この埋め合わせを是非またさせてくれ」
「気にしていませんので」
隣りのディアナがそう応えてザイースト子爵夫妻は馬車に向かう。エルナンドと目が合ったが無表情だった。どうも反省の色は見られない。まあ彼にしてみれば立場をよく分かった上での発言だったからね、でも暴走し過ぎた。
「ディアナ、リオン、近いうちにウィルムへ遊びに来なさいよ」
「俺が案内してあげるからね、ディアナ」
エビータ、フリオ、オリビアも続く。エビータはそこまで俺との関係構築に意識がいってなかったように思えた。ひとまず今回は顔合わせ程度だろう。フリオも微妙に軟派な空気さえなければいいヤツなのだが。オリビアはよく分からん、ただ食ってただけだな。
皆が乗り込んだところで馬車列はゆっくりと動き出した。ある程度城から離れるまでそれを見送る。
ふー、帰ったか。
やはり侯爵家ともなると会うのは緊張したな、まあ最初は誰でもそんなもんだけど。向こうにどんな思惑があろうが今後も付き合いは続く、いい関係は維持しておきたいね。
「さて、そなたたちには個別に話がある。続けてで悪いが来てくれるか」
「分かりました。それに話の席が続くのは伯爵も同じことです」
「ワシらは慣れているからな」
付き合いが多いだろうからね、高い爵位は大変だ。
城に戻り一室へ案内される。メンバーはゼイルディク伯爵、エナンデル子爵、エリオット、ミランダ、クラウス、俺の6人だ。エリオットとミランダも同席するのね。
「メルキース男爵より魔物に関する重大な話があると聞いた。詳しくは防衛部隊長から話すと」
「はい子爵」
お、例の件か! そしてエリオットは、俺がサラマンダーやガルグイユの襲来を事前に察知していたこと、標的が俺である可能性が高いことを伝えた。何故そのような能力があり、狙われているのかは不明であるとも。
「ほう、そんなことが。確かにガルグイユ討伐はあまりに見事であったため、いささか不自然にも感じていた。なるほど、来るのが分かっていたのだな」
「はい。ただ現れる詳細な時間までは不明です。従ってトランサイトの使い手6名を護衛に付けていました」
加えて俺とミランダも持ってたけど出番は無かった。
「5月3日に西区を襲ったワイバーン2体もリオンは事前に察知をしていませんが、対峙した時に感じた殺意は同じものと証言しております」
「その他には無いのか」
「ありません」
「ふむ……確かリオンの洗礼は5月2日だったな。その翌日から襲撃が続くのであれば、その特異な能力に対して魔物が反応している可能性はある」
おお、いい読みだ。まさか神が仕向けているとは思わないだろうが。
「流石は子爵、我々もその説を有力としています。それで3回の襲撃ですが幾らかの規則性があることに気づきました。まず時、5月3日、5月14日、5月24日と、1回目の次は10日空いて、その次は9日空いているのです」
「む、では次に8日空けば6月3日、今から3日後ではないか」
「はい、その可能性は十分あるでしょう。ただ仮説ですから他の日も警戒する必要があります」
「それはそうだな」
数日以内って広いもんね。
「次に規模、ワイバーン2体はBランク2体、サラマンダーと飛行系20体はAランク1体とC~Dランク20体、ガルグイユとドラゴンがAランクとBランクで、少しずつ魔物の質が上がっている気がします」
「確かに。ただアーレンツ北部の飛行系や監視所に降りたドラゴンも、リオンを狙っての襲撃に含めるには無理があるぞ」
「子爵、奴らは連携しているのです」
「何!?」
エリオットはサラマンダー本体の陽動含めて説明をする。
「そんなことが……父上、どのように受け止めますか」
「偶然にしては出来過ぎておる。意思を持って動いていると解釈せざるを得ないな」
「何と恐ろしい」
「次はどの様な手を使ってくるか分かりません。我々も出来得る限りの準備はしますが、その規模によってはリオンを守り切れる保証は無いのです」
「その流れならAランク2体の可能性もありそうだ、尚且つ連携されれば極めて脅威である」
いやAランク十数体かもしれないんだ。その上、組織的に動かれたら手強いってもんじゃない。
「北西部防衛部隊はどんな相手でも全力で挑みますが、戦力の差を意気込みだけで覆すことはできません。願わくば伯爵令により他の部隊の力を借りたいのです」
「……分かった。では北部討伐と防衛、西部討伐と防衛、そして北西部討伐部隊、これらの精鋭を向かわせてはどうか。リオンが察知してから遅くとも3時間以内に集結できるだろう」
「それはとても心強い布陣となります」
地理的にその辺りが現実的か。
「現状その6部隊合わせてトランサイトは25本。倒せない魔物はこの世に存在しないぞ」
加えて俺の1本とミランダの1本、クラウスとソフィーナも間に合えば更に2本、この際、エリオットも使ってもらって、全部合わせると30本か。Aランク1体に6本必要と考えれば同時に戦えるのは5体。15体来たらそれを3セットだな。
俺は高い共鳴でも長時間動けるが、他の騎士たちは連戦を乗り切れる魔力があるだろうか。それも負傷すれば即戦力外。ガルグイユ戦では凍り付いてでも倒せば良かったが、次回、近接はより安全な立ち回りが必要となる。しかしそれでは討伐まで時間が掛かかるぞ。
今思えばガルグイユの後に何も来なくて良かった。まあエリオットたちも近くまで来ていたし、俺とミランダのトランサイトで何とかなっただろうが。
いやしかし厳しいな。もしAランク十数体が同時に襲ってきたら、ゼイルディク中のトランサイトを揃えても対等に戦えるかどうか。そう、対等以上でなければいけない。ひとたびこちらが劣勢になれば一気に崩れる可能性すらある。
これを覆すのはシンクライトしかない。
「伯爵、実はとても嫌な予感がするのです」
「何!? もう接近を察知したのか」
「いえ、その感じではありません。ですが、何といいますか、次回はAランク2体ほどでは収まらないのではないかと」
「……ほう」
「これはきっと恐ろしいことになります。ですから、その、シンクライトの使用許可をいただきたいのです」
「ふむ」
どうか。
「リオン、すまないが許可はできない。あれはこの世に存在しないのだからな」
「ですが」
「心配することは無い、トランサイトが25本もあるのだぞ。事の次第によっては保安部隊も動員させる。ゼイルディク騎士団が一丸となれば勝利は確実だ」
「はぁ」
くそう、無理なのか。これはもう不思議な声を聞いたとでも言ってその脅威を知ってもらうしかないな。
「リオン」
「はい、商会長」
「……」
ミランダは小さく首を振る。む、どういうことだ、この場は引けと言うのか。んー、何か考えがあるのかも……ならば任せるか。
「リオンよ、その魔物接近を察知したら速やかに伝令を城へ向かわせろ。そしてベルソワ平原に移動するのだ。あそこなら見通しが良く周辺に人的被害も出ない。そなたを狙っているなら魔物も追ってくるだろう」
「なるほどそうですね」
「エリオット部隊長には予め伯爵命令書を複数持たせておく。先に申した5つの部隊へ向けその命令書と共に伝令を走らせろ。この数日は各討伐部隊の活動範囲を城壁寄りに変更させておく。さすれば直ぐに合流できるであろう」
おお、それはいい流れだ。いちいち伯爵が城から命令していては時間をロスする。だから直接こっちから各部隊に通知するのね。それも奥地に入らない様にしておいて。これなら早い時間に集結できそうだ。
「城壁に沿って騎士団専用の道がある。あそこを使って馬車を最速で走らせれば西部防衛部隊でも1時間で到着するぞ」
「それは心強いですね」
へー、騎士団専用か。もしどこかの地域で魔物が多く襲来した時に、他の部隊が応援に駆け付けられるよう整備してるんだな。
「もしかしてその道は城壁全てにあるのですか」
「その通り。このカイゼル王国の外周は1本の道で繋がっているぞ」
なるほどね。まあ城壁で囲まれているんだから、よく考えたら当然のことか。そこを通ってなら、カルカリアやウィルムからも応援を呼ぶことが出来る。Sランクが来たならその方面に伝えることも想定しておかないとな。




