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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
151/323

第151話 ダンメルス伯爵(地図画像あり)

 エーデルブルク城の大広間で侯爵たちと円卓を囲む。名乗りが終わってトランサイト生産を披露することになった。クラウスが椅子を引いてくれて俺はピョンと降りる。そして剣を構えた。


「いきます」


 念のため鑑定を。


『トランサス合金

 製作:ヴァンシュラン武器工房 剣部門』


 なるほど、侯爵家お抱えの職人か。さて、ゆっくりだな。


 キイイィィン


 少しずつ共鳴を上げるぞ。


 キュイイイィィーーン


「おお、何と鋭い光か!」

「こんな共鳴、見たことないぞ」


 ギュイイイィィィーーーン


「まだ上がるのか!」

「……凄い」


 終わったね。


『トランサイト合金

 製作:ヴァンシュラン武器工房 剣部門』


 よし、完璧だ。


「はぁはぁ、ぜぇぜぇ……」

「おお、リオン殿、そちらのソファで横になるといいぞ」

「いえ……椅子で構いません、座って休めば」

「そうか」


 椅子に座り、クラウスが押してくれる。


(いい感じだったぞ)

(へへ)


 おや、侯爵が手招きして誰かが近づいて来る。あれは確か鑑定士マースカント、今日も来てたのか。


「トランサイト合金です、間違いありません」

「おお! 本当にこの様な製法で出来てしまうのか」

「いやはや素晴らしい」


 ぬっふっふ、この初見の反応はやっぱり気持ちいいね。


「この剣に対する加工賃は10億だ、それから今日、ワシらとの面会で多くの時間を割くだろう。本来、工房で生産する時間を潰してしまったのだ。その埋め合わせとして100億を追加で振り込む。足りないようなら言ってくれ」

「いえ、お気遣いありがとうございます、十分です」


 ほう、そんなところに気が回るとは。確かに長時間拘束されるからね。


「さてでは話を始めるとしよう」


 さあ、何を言ってくるのかな。


「その前にクラウス殿。そなたの望みを聞こうか、欲しい物でもいい」

「はい、そうですね……家族の安全、十分な収入でしょうか」

「他には?」

「今は思いつきません」

「そうか、ではリオン殿、望みはあるか」


 あ、俺にも聞くのか。


「今の生活がいいです」

「はは、何とも無欲なことよ」


 いや、侯爵や伯爵の元には行かないって意味なんだけど、伝わっていないようだ。


「見てもらいたい物がある」


 そう告げてダンメルス伯爵は円卓より少し離れて待機している使用人を見る。そして何やら紙を俺とクラウスの前に持って来た。これ、さっきからのやり取りを見て分かったけど、円卓には音漏れ防止結界を施しているんだな。


「地図ですか」

「うむ。山や川などの地形を省略した白地図だ。周囲の太い黒線は城壁、内側の黒線は領地の境界を示している。領地には地名、人口、領主の爵位を併記。そして赤い太線で囲った範囲がサンデベール地方となる」


挿絵(By みてみん)


 おー、サンデベール地方! よく話題には出るけど想像でしか考えられなかった。へー、こんな位置関係なのね。これはいい資料だ。


「実際には周りの森奥地まで手が入っているため、城壁から20~30km先を含めて領地となる。そなたたちの村もその地域に入るだろう」

「はい」

「ゼイルディクで言えば北側と西側、サンデベール全体でも同じ方角に森が広がっている。故に、領主は騎士団に討伐部隊と防衛部隊を編成し、拠点を設け、日々魔物対応に当たっている」


 この地図で分かったけど、多くの地域は領地の一辺が城壁なんだね。比べてゼイルディクは半分以上が城壁で囲まれている。総延長100kmくらいか、ウィルムの城壁と同等に見えるぞ。なるほど、だからゼイルディクは冒険者の町なんだ。


 確かトランサイトを販売した騎士団は、カルカリア、ロムステル、ウィルム、レリスタット、そしてプルメルエントだ。サンデベールで言えば、ブレクスタ伯爵領も長い城壁を有しているから早くに欲しいだろう。その東側のサランシュ侯爵領も長そうな城壁があるから同じ思いのはず。


「このほど配備されたトランサイト武器、その成果は最初に父上がおっしゃったおりだ。Bランクまでなら2~3人の使い手がいれば難なく倒せる上、Aランクですら人数を揃えれば恐れる存在では無い。何度も言われているだろうが、これは大革新だぞ」


 だよね。届かない剣が届く、外していた矢が当たる。しかも強い。そうなれば戦闘時間が短縮され、使い手の被害も少なく抑えられる。もし怪我をしても脅威が去るワケだから、治療なり次の行動にも速やかに移行できる。ガルグイユ戦でよく分かった。


 これ1本100億が高すぎるとも思ったが、費用対効果を考えれば妥当かもしれない。1人の騎士を育成するだけでも多くの時間とお金がかかる。それを強大な魔物で失うことなく、更に経験を積んで強くなり、今後も活躍できるもんね。その金銭的価値は計り知れない。


 もちろん手に入る貴重な魔物素材もある。更には被害を受けなかった町を含めればそれ以上の価値だ。サラマンダーにやられた養成所の若い冒険者たち。あの場にトランサイトがあれば、彼らの将来が失われることは無かっただろう。


「故に、欲しがる領主は多い。日々その成果は国中に広まっているからな。さてその地図の下にもう1枚地図があるので見て欲しい」


 クラウスがサンデベールの地図の下からもう1枚出す。こ、これは!


「カイゼル王国の白地図だ。周りの太い黒線は城壁、内側は境界。各地名や人口の他は王族の領主のみ記してある。城壁の周りの緑は森、濃い緑は山だ。かなり大雑把ではあるが大体の地形は把握できるだろう」


挿絵(By みてみん)


 おおおっ! これは素晴らしい。こうやって図面で見ると本当によく分かるな。へー、王都ってかなり東の方にあるんだ。国全体は東西1200km、南北はクレスリン含めて800kmってところか。しかしクレスリンってかなり特殊な位置にあるんだな。


 お、アルメールの西にある青い印、これがカイゼル湖か。南北50km東西20kmってとこだな、めちゃくちゃ広い。ここに浮かぶ島が建国の地か。それでアルメールは山を越えてクレスリンと繋がっているけど、その間の街道も城壁があるみたいだね。


 む、アルカトラ、罪人の町だったか。王都へ献上したトランサイトが行方不明になったところだ。しかし人口720万だと。そんなに犯罪者がいるのかよ。いや流石に町全体がそうじゃないか。


 それにしても改めて大きな国だな。この1つ1つの地域が独立国家でも十分やっていけるだけの規模がある。1000万を超えている都市でも10個あるじゃないか。よくまあそれを束ねているもんだ。


「さて、我がカイゼル王国はその全てを城壁で囲んでおり、総延長は4000kmほどだ。そして城壁の向こうには魔物が湧く森がある。まあクレスリンの西側と南側は別の国だがな」


 うへー、4000kmか、凄いな。地球にもそんな長城があったけど、よくまあこれだけの建築物を人が作ったものだ。ただこの世界には精霊石がある。あれ由来の石なら工法が根本から変わって来るからね。でもどうだろう、天然の石の城壁もあるのかな。


 そして唯一の国境クレスリンか。対魔物ではなく、国の境として城壁が存在しているんだね。ただある意味、他国は魔物より厄介だ。戦乱の続いた時代も長かったと聞くし、ホントよく守っているよ。間違いなくこの国において要所の1つだね。


「先程告げた通りトランサイトの成果は国中に広まっている。城壁を有する領主が欲しがるとすればどれほどの需要があるか、クラウス殿分かるか」

「はい……現状の30倍でしょうか」

「城壁の長さから割り出せばその辺りだが実際はもっとだ。この地図では省略しているが、城壁内は全て平野では無く、いたるところに山がある。地域によっては広範囲の山地を抱えているぞ。無論、山があれば魔物が湧く」


 まあ山はどこでもあるもんね。ゼイルディクの地図でも小さい山脈がいくつか確認できた。


「城壁の外側でも、高ランク魔物が多く出現する地域、或いは重点的に開発を計画している地域などは、強い戦力を欲している。特に東側、オービドス公爵領の騎士団はかなりの本数を要求するだろう」


 魔物ランクの偏りね、そんな危ない森もあるんだ。それで国の最東端領主か、確かに広い森が広がっている。魔物がうじゃうじゃいそうだ。


「実はあの森の向こう、遥か東に別の国があると聞く。その国も森への開拓を続けているため、いずれ我が国の騎士と森の中で顔を合わせることになるのだ」

「そうなんですか、距離はどのくらいでしょう」

「数百キロと聞いたが本当のところは分からない。それで森の中は調査が進んでいるところまでを、お互い国境と主張しているが、実際は何も管理していないため領地とは呼べない。ではどうするか、先に開拓すればいいのだ」


 あー、なるほど、だからオービドス公爵は早く戦力を大きくしたいんだね。


「1300年前、他国からの侵攻時に備えて奥地へと王都を移したのだが、東の国が我が国より早く開拓を進めれば、その思惑は裏目に出る」

「つまり国境をなるべく東側にしたいのですね」

「うむ、その上で機があればその国さえ侵略する目論見だ。その時に強力な武器があれば優位に戦えるとは思わないか」


 なんと、開拓を早めるだけでなく、その先まで見越しているのか。


 そして王都が奥地にあるのはそういう理由だったのか。確かにクレスリンやプルメルエントを突破してもかなりの距離がある。しかし皮肉にも最奥地は他国の最前線になる可能性もあると。移転当時に森の向こうまでは分からなかったんだろうね。


「あくまで他方より聞いた話だ。国王の真意は分からん。ただ地理的条件を考えれ十分ある話だろう」

「しかしダンメルス伯爵、国境に絡むことならクレスリン公爵の方がより身近ではないか」

「その通りだ、エナンデル子爵。先日も公爵の使者が情報収集に訪ねてきた。その性能を確認できればかなりの数を求めてくるだろう」

「……やはり他国への侵攻も視野にあるのだろうか」

「それは国王が許さない。安定した国境維持に綻びを産みかねないからな」


 侵略戦争か。周辺国の状況が分からないけど、トランサイトがあれば優位に進むだろうな。あー、もう、対魔物で力を発揮してほしいのに、人を殺す道具になるなんて。


 とは言え、俺はただの職人、買い手の使い方まで口を挟めないし管理も出来ない。そもそも伝え聞く情報だって真実かは分からないんだ。こういうことは考えても仕方がない。


「しかしクレスリン公爵は何が不満なのだろう。確かに王都から外交に口を出されるが、それは国王として当然のこと。その役目に対する十分な報酬も得ていると言うのに」

「加えてあの大きなクレスリンの町を統治し、今や財政面でも王都を凌ぐほどだからな。クラウス殿はどう思うかね」

「え……ちょっと分かりません」

「はは、そうだろう。この様な辺境に暮らしていれば見えるものが限られるからな。ああ、決して無知を馬鹿にしているのではない。人それぞれ環境がありそれが全てというだけだ」


 む、何だか引っかかる言い方だな。確かにそうだけど。


「クレスリン公爵はな、海が欲しいんだ。はるか南にある海がな。クラウス殿は海を知っているか」

「聞いたことはあります。果てしなく広い湖ですよね」

「うむ。水は塩辛く、常に大きな波が立っている。そして川や湖と比べ物にならない程の多くの生物がいる。私も海の魚を食べたことがあるが旨かったぞ」

「なるほど、公爵は日頃から海の産物を見ているのですね」

「海だけではない。周りの国々の動向を常に観察している。もちろん交流も盛んだ。この地図を見て見ろ、背中の山ばかり振り返って気にするか?」


 確かに。目の前の開けた大陸がメインだよな。きっとクレスリンの人たちも見てる方向が違うのだろう。


 しかし随分と突っ込んだ話に感じる。他国を侵略するなんて極秘情報だぞ。まあ勝手に想像して言っているだけみたいだけど。なるほど、こうやって出所不明の噂話とは広がるんだね。


「使い道まで関与できないが、間違いなくクレスリン公爵は多くのトランサイトを欲しがる。先のオービドス公爵含めて数多くの領主から話がくるだろう。ただ漠然と需要が多いではなく、その理由と大体の数を把握することも大事だ、こういった地図はその手助けとなる」

「はい、分かりました」


 ふーん、何だか講師みたいな言いようだな。


「ただ多くの領主が欲しがっても、生産できる数には限りがある。先程のリオン殿を見れば、そうそう連続では作れないだろう。従って売る相手の順番もよく考えないといけない。ゼイルディク伯爵はその辺りも十分理解しているはずだ」

「ノルデン家、そしてサンデベールの利益を最優先とします」

「うむ、侯爵家も独自の情報があるため助言はするが、その手腕に期待しようではないか」


 ほう、やはり販売ではゼイルディク伯爵が主導権を握っているのね。


「さて、クラウス殿は最初に聞いたことを覚えているか、欲しいものについてだ」

「はい、家族の安全と十分な収入と答えました」

「それを維持するためには必要なものがある、権力だ。しかし今の段階ではまだまだ足りないため、権力者に協力を求めるのが自然な流れとなる。メルキース男爵家もそうであろう、あの商会に委ねたのもそれが目的ではないか」

「……そうですね」

「伯爵が間に入っているのも身の安全のため。もちろん協力する貴族にも見返りはある。お互い持ちつ持たれつということだ」


 む、何が言いたい。


「ハッキリ言おう、リオン殿の能力は誰もが欲しがる。それが貴族なら手元に置いて、あわよくば身内として引き込み、その利益を独占したいと考える。無論、我がウィルム侯爵家もその思いだ。ゼイルディク伯爵家もそうであろう」

「……」

「今日、子供たちを連れてきたのも将来の結婚相手とするため、今の内から仲良くさせる狙いだ。まあ今はそう思わなくても、いずれウチのエビータかオリビアを選ばなくてはいけない。何故なら、侯爵家だからだ」


 何だこのダンメルス伯爵と言う人は。突っ込んだところをズバズバ言うね。


「先の権力の話だが、このサンデベールで最も権力のある貴族は我がウィルム侯爵家だ。もちろん近くにはプルメルエント公爵がいて向こうの権力が上。もしその方から策を講じられればノルデン家はこの地を離れることになるだろう」


 うーん、やっぱりそうなのか。


「しかしダンメルス伯爵、俺はコルホルが領地となるのです。プルメルエント公爵もそれを知って叙爵を許可したのではないですか。聞けば領主は領地から離れて暮らすことはできない、ならば将来の男爵であるリオンも含めて近くに住まわせることはできないはずです」


 おー、クラウス、その通りだ。ルールは守らないとね。


「確かに。新たに貴族を設けるには公爵の許可が必要。このサンデベールならばプルメルエント公爵がその役割を担っている。無論、その規則に沿って、我が侯爵家も速やかに手続きを行った。ただ後でどうとでもなる。それこそプルメルエント内にノルデン家の領地を設ければ済むこと。そこの人口が多ければ優先して統治する義務がある。つまり嫌でも移住せねばならんのだ」


 はぁ、やっぱりそんな力技が有効なのね。結局は上位貴族のやりたい放題か。


「しかし、叙爵させるのは公爵の許可が必要だが、領地を決めることは侯爵以下でも出来る。そうだなゼイルディク伯爵」

「うむ、その通りだ。コルホル周辺を領地と定めたのはワシだからな」

「つまり例えばウィルムの一部を領地とすれば、それを超える領地でなければ移住しての統治義務は発生しない。言っている意味が分かるか、クラウスよ」

「……大体は」


 む、ミランダの言っていたバウムガルドを領地にする話か。もしそうなったらプルメルエント公爵が俺たちの移住条件を満たすには、向こうにバウムガルド以上の人口の領地を用意しないといけないのか。しかしそんなやり合いを続けたら凄いことにならないか。


「これは極端な話だが、最終的に統治下の人口で差がつく。つまりサンデベールなら1480万、プルメルエントなら1460万でこっちの勝ちだ」

「……え、あの、話がよく分かりません」

「つまりそうやって領地合戦をやっても、最終的にはこちらが上ということだ。無論、現実にはレリスタット侯爵が許しはしないし、向こうも反発する貴族は多い。いずれにしろ不毛な争いとなるのは目に見えている。実際には動きはしないさ」


 だよねぇ、そんな数字合わせは何の意味も成さない。そもそも元領主からいらぬ恨みを買うし、領民も混乱するだけだ。


「最も良い手を教えよう。我がウィルム侯爵家がサンデベール公爵家となることだ。既に人口や面積、そして経済規模は十分満たしている。この地図を見ても他の公爵家にこのサンデベールが決して劣ることは無いのは明白だろう」


 確かに。人口こそはクレスリンに及ばないが、ロガート公爵領と同じ。他の4つの公爵領よりもサンデベールが勝っているからね。こうやって比べれば未だに公爵で無いのは不思議ではある。尤も、王に考えがあってのことだろうが。


「公爵となれば王族だ。さすれば他の公爵家と権力は同等となり、ノルデン家が身内となればそれ以上、もはや王と言えども口出しは出来なくなるだろう。クラウス殿、そこまでの権力を得なければ、あの村での生活は維持できないのだぞ」

「……はぁ」


 まあ、言わんとしていることは分かる。上に権力がある以上、それがいつどの様に影響するか常に心配だからね。ならば、一番上に行くしかないと。ウィルム侯爵なりに考えた最善のシナリオか。ちゃっかり自分の爵位も上がって俺を身内にしているが。


 しかしゼイルディク伯爵はいいのか。いくら侯爵家だからって好き勝手言われてしまっているぞ。まあ、この場で言い合っても仕方ないけど。それにしても当のウィルム侯爵は何も言わず長男のダンメルス伯爵ばっかりしゃべっているな。


 いずれにしても侯爵家の考えは大体分かった。ただここまで言うとは、ある意味、若干の焦りも感じたな。恐らくは公爵家が動くより先に手を打つ作戦なのだろう。


「まあ今直ぐどうこうではない。その様な道もあると心に留めておいてくれ」

「はい、分かりました。リオンもいいな」

「え、うーん、よく分からないや」

「はは、リオン殿はいい。この後、子供たちと仲良くしてくれれば」

「はーい!」


 俺はお子様だから難しいことは分からないのだ!


「ひとまず話はここまでにしよう、クラウス殿、何か質問はあるか」

「いえ、特には。ああ、そうだ、ウィルム騎士団に所属している身内はいつ頃こちらへ来ますか」

「既に今日共に来ている。午後には配属されるのだな、ゼイルディク伯爵」

「うむ」

「近くで守ってもらえばいい。優秀な騎士たちだぞ」

「分かりました、迅速な対応ありがとうございます」


 おおー、もう来ているのか。なるほどね、護衛も兼ねて同行してたんだ。それにしても侯爵たちはウィルムのどこから来たのか知らないが、かなり朝早く出ないと間に合わなかったんじゃ。予定は午後でも良かった気がする。


「リオン殿は何かあるか」

「えっと、朝早くから遠いところを来てくれてありがとうございます」

「はは、そんなことか、実はアルデンレヒトで一泊している。そこからならそう遠くないぞ」

「へー、そうだったんですね」


 なるほど、じゃあ1時間くらいかも。しかしアルデンレヒトの領主は気を使っただろうな。


「では昼食にしましょう、閣下」

「うむ、ところでその地図はクラウス殿に差し上げる。よく勉強して視野を広げるといい」

「はい、ありがとうございます」


 おお、貰えるのか、これは嬉しい。こういう情報は大事だからね。

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