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ミリオンクォータ  作者: 緑ネギ
1章
130/321

第130話 森の影

 シーラとベルンハルトを降ろして監視所へ向かう。


 ところでさっき、フリッツは俺が学校へ行くつもりがないことへ同調してくれた。彼は俺が神に狙われていると知っている。従って学校職員や通う学生が、Aランク魔物によって脅威に晒されると想定したのだろう。


 かつてフリッツが教官を務めたボスフェルトの冒険者養成所がサラマンダーにやられたのだ。あの惨劇を繰り返してはならない。


 それもトランサイト部隊を常駐させれば、ガルグイユの様に最小限の被害で仕留めることも出来る。ただ、同時に仕向けてきたドラゴンの様に、周辺に被害が出る恐れがある。俺が学生となることに、そこまでリスクを背負う意味があるのだろうか。


「先生、学校へ通う利点は何ですか」

「……そうだな、環境が整っていることか。しかし裏を返せば用意された環境以上の恩恵はない。お前は自力で専任講師や必要な設備を好きなだけ調達できる。他の学生に紛れて多対1より1対1の効率の良い環境がな」

「資金の心配はないですからね」

「他には、同年代より数段進んだ思考力と抜きんでた力を示し優越感に浸りたいか、そして寄って来る学生たちとの絡みを堪能し、友情や色恋も満喫したいか」


 直球だな。ぶっちゃけ学生の醍醐味ってそれらの要素が大きい。青春を謳歌するんだ。まあ思い出作りだな。中身が大人の俺ならうまく立ち回れるだろう。加えて既に常識外れの魔力操作や、年相応ではない解放されたスキルを顕示すれば注目されるのは必至だ。


 そうでなくてもトランサイト男爵令息なのだ。勝手に人は寄って来る。


「もてはやされるために行くつもりはありません」

「フッ、まあ集団の中における振る舞いを学ぶこともできるが、その者たちを危険に晒すワケにはいかんだろう」

「そうですね」


 商会の護衛が同乗している手前、神の魔物とは言えないが、やはりそのことが最も危惧する点だろう。


 シーラやベルンハルトではなくても、叙爵が周知された今、学校へ通うことを薦める人は多く現れる。俺はその都度否定すればいいが、クラウスとソフィーナにも俺の意志を共有してもらわないとね。特にソフィーナは学校への特別な思いがあるみたいだし。


 それも神の魔物さえ解決できれば、通う選択肢も出てくる。まあその方法がさっぱり分からんが。ああ、神を倒せばいいのか、学校に通うために神と戦う。何だそれ。


 そんなことを考えていると監視所へ到着。馬車を降りて御者と馬に礼を言った。


 そういやこの送迎用の馬車も自分で用意することが出来るよね。ミランダは何かと世話したいだろうが、もう叙爵は周知されたのだ。トランサイトが売れればその収入を大っぴらに使っても問題ないはずだ。


 お、そうか、だったら伯爵が預かる必要はないぞ。もう大金を持ってたって不自然ではないからな。ただ俺の口座では変なのでクラウスの口座になるだろうが。帰ったらミランダに伯爵へ掛け合ってもらうよう伝えるか。


「おはよう、リオン、フリッツ。今日も前回と同じ進路だ。ただ今回は騎士も数名同行する」

「騎士ですか? 部隊長、出るのはFランクのみのはずですが」

「そうだ、魔物はな」

「魔物の他も出るのか」

「そうかもしれんな」


 魔物の他? 魔獣かな、いやでも猪とか出てもそこまで脅威ではないだろう。


 では人か。む、俺絡みの気がする。そうだよ、叙爵が周知されたんだ、おかしなやつが迫ってくる可能性もある。なるほど、それで護衛として増やすのね。


「リオン様、おはようございます。本日も宜しくお願いします」

「カルロス、前のままでいいよ」

「ですが」

「リオンがやり辛いと言っているのだ、従え」

「あ、はい、フリッツさん……いやー! びっくりしたぞ、貴族だってな!」

「まーね。あ、パメラも丁寧な言葉はいらないから」

「分かった!」


 お、ならこの勢いで。


「2人共、クラウディアにも俺と接するようにしてくれ」

「そうだな、えっと……クラウディア、今日も宜しく!」

「ええ、宜しく! パメラもね!」

「え、あ、はい、いえ……うん! クラウディア!」


 ふふ、クラウディアが明るい表情になった。ひょっとしてこういう関係を強く望んでいるのかもしれない。そうだよね、いつも周りは貴族令嬢扱いだ。慣れているとはいえ、常に距離を感じていたのだろう。


 そっか、ある意味孤独なのかも。本音で話せる友人はいるのだろうか。あー、セドリックの娘たちテレサやエステルがいるな、ルアンナは同じ士官学校だし。余計なお世話か。


 1番進路入り口へ到着。監視所から近いから直ぐだね。おや、付近に馬が待機している。


「これは伝令か」

「うむ、フリッツ。流石に進路へ入らないがな」


 ふーん、護衛と言い、何だかいつもと雰囲気違うね。まあ慣れるか。


「では作戦会議を始めます、集まって!」

「クラウディアは今日も剣なんだね」

「そうよ、カルロス、だから私とリオンが一緒に行動して仕留めるわ。カルロスはパメラへ引っ張ってね」

「じゃあ何体出ても1体だけ担当すればいいんだな」

「ええ、その通り。後は何が出てもリオンが倒すわ」

「はは……」


 まーね。流石にFランク相手にシンクルニウム合金の高い共鳴率だ、おまけに剣技も使える。全てオーバーキル、瞬殺だぜ。だから今日の訓練の目的は、共鳴により慣れることと、隠密の解放を取り組むことだ。そしてクラウディアを守ること。


「飛行系や木の上の魔物はその都度指示するわ、じゃあ、5班、しゅっぱーつ!」

「おーっ!」


 右こぶしを高々と上げて叫ぶ。そしてカルロスと背中から剣を抜きあった。クラウディアは腰に携行してるから自分で抜く。


 さーて、最初はやっぱりヘルラビットかな?


 進路はしばらくして東へ曲がる、そこでやっぱりヘルラビットが3体現れた。うち1体をカルロスが進路へ引っ張る間に、残り1体を俺が、1体をクラウディアが担当する。俺は全力で瞬殺して直ぐにクラウディアの様子を伺う。


「はあっ!」


 ズンッ


 んー、全然剣が入ってないな、魔物も平気そう。それを察知してかクラウディアは間合いを離す。お、ならばっ!


 スパアァァン!


 俺は一気に近づいて魔物を真っ二つにした。


「ありがと」

「パメラたちの様子を見に行こう」

「ええ」


 進路を戻るとカルロスが止めを刺していた。


「休憩!」


 クラウディアは辛そう。やっぱり剣技無しでの共鳴は相当キツいんだな。


 それから何度か魔物と遭遇する。やはりFランクばかりだ。クラウディアは1発は入れるが全く効いていない。それを見て直ぐ俺が止めを刺す。隠密については、剣技を発動する瞬間に足音を消すイメージを繰り返した。


 んー、僅かながら手応え、いや違和感か、とにかく何かを感じるんだけどな。やっぱり封印は妨害電波説か、何か聞こえて見えるけどハッキリとは分からない。でもこの方法を信じて続ける他ないな。実際、鑑定や剣技は解放出来たんだし。


 5班はブレイエム2番線へ出る。往路が終わったね。おや、何だか馬車が多いな、この時間はほとんど通っていないのに。それも皆、東へ向かっている。冒険者が町へ帰るには時間が早すぎるぞ。


 すると1台、騎士団の馬車が道を外れて止まった。そこから騎士が2人駆けてくる。


「防衛部隊長、雨です。西から積乱雲が迫っています」

「確かに朝より曇ってはいたが、そっちは降りだしたのか」

「はい、自分が出た時はフェスク駐留所の西1km先まで豪雨との報告です」


 へー、じゃあここから西6km先は悪天候か。確かに西の空が真っ暗だ。


 ゴロロロ……。


「ひっ!」

「あー、パメラは雷怖いんだよな、大丈夫、遠くだ」

「いや、カルロス、もう2~3時間のうちにはここも雷雨となるだろう。お前たち、このまま復路は予定通り訓練討伐を行うが、監視所へ到着したら昼食をとらずに帰った方がいい」

「はい、お父様」


 どうやらそれがよさそうだね。大雨の中、魔物討伐なんて危ない。


 道を行く馬車の中にはかなりしっかり濡れている馬車もあった。幌が無い荷台の冒険者はずぶ濡れの者もいる。こりゃ、相当降ってるな。


「では引き返すぞ」


 5班は再び進路へ入る。あ、剣って金属だよな。そんなの振り回してて雷落ちてこないかな。おいおい、前世で落雷直撃したんだぜ、この世界でも雷で死ぬのは嫌だ。まあ、周りの木の方がずっと高いから、落ちるとしてもそこだろうけど。


 それでも近くに落ちたら凄い音でビックリするぞ、衝撃も大きいはずだ。いくら剣と魔法の世界でも自然現象には勝てないさ。ちょっと速足で魔物もサクサク倒していこう。


 あ! 雷が落ちる所って神が関与できるのかな。


「部隊長!」

「どうした」


(神が俺に特大の雷を落とすかもしれません、最悪即死もあります)

(ふむ、そうだな)


「皆、聞け! 降りだしたら一気に雨量が増す恐れがある。従って復路は中止だ。もう一度南へ出て、森の外を歩いて監視所へ帰ることとする」

「分かりました!」


 うん、それがいい。雷は遠くで聞こえるからって安心はできないんだ。


 ピカッ!


「きゃあっ!」


 一瞬の強い光が辺りを照らす。パメラは悲鳴を上げた。


 ゴロロロ……。


「急いだほうがいいな」


 そうエリオットが呟いた時、護衛の1人が森に向かって駆け出した。それを見てもう1人も駆け出す。なんだなんだ、魔物か?


「お前は急ぎ伝令に伝えろ! 例の案件だ!」


 エリオットがそう告げると、残った護衛は物凄い速さで進路を戻って行った。例の案件? むむ、なにやら初めから打ち合わせてた様子。


「さあ、我々は監視所へ向かうぞ」

「誰かいたのか」

「……うむ」


 フリッツの問いにエリオットが応える。誰か? って誰だ。ちょっと怖いんだけど。


 再びブレイエム2番線へ出る。そこから森の外の草原を西へ歩いていると、馬車が1台近くで停車し、御者席の騎士が声を上げた。


「部隊長! 訓練討伐班に何かありましたか!」

「いや何もない。切り上げて監視所へ戻るところだ」

「でしたらお乗りください、後ろは2名おりますが、皆様も十分乗れます」


 おお、気が利く騎士だな! これは個別に評価が上がるぞ。


「部隊長、素材を載せた荷車はどうするのですか」

「ここへ置いておき後で回収させる」


 そっか。


 俺たちは荷台へと乗り込む。確かに2名の騎士だけだったが皆乗ると少し窮屈だ。まあ、乗せてもらえるのに贅沢は言わない。そして馬車は走りだし、大きく減速したかと思うと左折する。それから少し走って止まった。


「着いたぞ」


 飛ばしただろうけど早いね。皆、馬車から降りる。目の前には見慣れた監視所の城壁がそびえ立っていた。


「カルロス、パメラ、トビアス、イメルダは騎士団の馬車でメルキースへ帰るといい。ああ、これを使うか、おい! 行先はどこだったか!」

「メルキースの騎士団支部です」

「ならば途中まで一緒に連れていけ、ラウリーン中等学校とマクレームの冒険者地区だ、詳しい場所はこの者に聞くといい、それから学校で職員に悪天候のため中止になったと伝えろ」

「はっ!」


 トビアスが御者と話をしている。多分マクレームで降りる所を伝えているんだろう。カルロスとパメラは学校へ行くんだね。


「次の日程は未定だ、また案内する。さあ、降りださないうちに急ぐといい」

「迅速な対応、ありがとうございます、部隊長」


 イメルダが礼を伝えるとエリオットは少し頷いた。これ、よく考えると凄いよな、エリオットは貴族家で次期男爵だぞ。俺やクラウディアと一緒の5班メンバーとは言え、平民にここまで対応するのは異例だろうな。


 いや、やや目測を誤った埋め合わせか。最初に止まった騎士団の馬車に乗せてもらえば良かったのにね。まあ、俺もその時は雷のことに気づかなかったけど。とは言え、本当に神は雷で俺を狙い撃ちできるのだろうか。でもそれが分かった時は直撃した時だ。


 4人が乗り込むのを確認するとエリオットも乗り込んだ。あれ? 一緒に行くの? と思ったら直ぐに出てきた。何だったんだ。


「じゃあまたな、リオン、クラウディア」

「ばいばーい!」


 荷台から顔を出したカルロスとパメラに手を振った。今日の魔物討伐はいつもの4分の1だったけど、クラウディアとメンバーの距離が縮まった気がするので成果はあったと言える。比べて俺の隠密はちっとも進まないのだが。


「リオン、剣技の認識を確認した、安心しろ口外はしない」

「あ、はい」

「ほんと凄いわね、リオンは」


 ああ、そうか! いくらなんでも気づくよね。ただ5班の面々は共鳴の時点で口止めをしていたはずだが、今のは再確認か。


「さあ中へ、先程の件を詳しく話そう」


 お、そうだよ、例の案件とか言ってたよな、どうも不審者がいたっぽい。


「おお、ラウニィ、丁度いいところに。クラウディアと一緒にいてくれ」

「はい、部隊長」


 おや、話はクラウディア抜きか。


 監視所の食堂前の通路を進み1室へ入る。その時に近くの騎士へ音漏れ防止結界を施してもらった。やはり重要な話なんだな。


 部屋の中に入り椅子に座るとエリオットはおもむろに語りだした。


「実は先程の件はある程度予測されていたのだ。前回の訓練討伐時に私は森の奥に人影を見た。直ぐにお前たちに知らせなかったのは、見間違いの可能性もあったからな。そして訓練討伐終了後、進路のある森周辺を警備していた騎士たちに確認した。そしたら2名より、森の中に不審な人影を見かけたとの証言を得たのだ」


 なんと、前回そんなことがあったのか。午後と言えば、俺は剣技を覚えてサクサク進んでた時だな。そう、武器庫で共鳴をし、地図を見せて貰った日だ。


「それで1番進路森周辺の警備記録を確認したが、ここ1カ月、森の中に不審者を見たのはその日だけだった。もちろん見落とした可能性もあるが、先日の人物と同じ者が過去に森に入っていたとすれば見落とすことは無いだろう」

「何故そう言える」

「私含めて3名が目撃しているのだぞ、あまりに警戒心が薄い。言うなれば素人だ、過去に来ていれば必ず誰かの目にとまる」

「ふむ、なるほど」


 そうか、森だもんな、隠れる場所はいくらでもある。見つかってマズいならばそれ相応の動きをするはずだし。


「そして昨日と一昨日も訓練討伐は行われている。冒険者養成所の訓練生が入ってな。そして森周辺の警備に加えて、今回の様に班に護衛も同行させた。しかしながら不審な人影は誰一人目撃していない」

「む、その不審者は5班の面々が目的なのか」

「……可能性は大いにある。無論リオンが目的だろう。従って今日、再びその者は現れると確信していた」


 うへー、俺か。まあそうだろうな。え、でも。


「部隊長、森なら冒険者ではないのですか」

「1番進路のあるあの森は、訓練討伐専用だ。従って班ではない冒険者、或いは士官訓練生が入る事は禁じられている。他に入っている者がいれば、それは監視所の防衛部隊だ。その場合は最低でも2人1組で単独行動はしない。そもそも見かけた人影は騎士服ではなかった」

「なるほど、では1人で森にいることはあり得ないのですね」

「その通りだ」


 うわー、怪しい。かなり怪しいな。


「まあ森には精霊石だけを拾いに来る者もいる。それがFランクしか出ない森なら1人でも活動しやすい。加えてあの森は街道沿いで入りやすいのだ。何も制限しなければ多くの者が入るだろう」

「確かにそうですね」

「しかし頻繁にウロウロされたら、魔物の動きが偏って訓練討伐に支障をきたす、更には街道に魔物を引っ張り出す危険性もあるのだ」

「最初から討伐する気が無いならあり得ることだな」


 あー、雨上がりの精霊石拾いみたいなもんか。


「故に、あの森へ無断で入ることは固く禁じており、その規則も何年も前から広く周知している。もちろん手痛い罰則もあるのだ、それを知って入るのは余程のことだと思わないか」

「そうですね」

「つまり本人の意志ではなく誰かの命令を受けた。恐らくはリオンの戦闘を観察し、依頼者へ報告しているのではと踏んでいる」

「随分と想像が明確だな、まるで依頼者を知っているようだ」

「……こんなことをするのは貴族だ。それも今回、爵位は高い」


 なんと! 貴族の命を受けて俺を調査しているなんて。


「ウィルム侯爵か!」

「フッ察しがいいな。いや、今日だけなら他の貴族も可能性はあった。しかし、クラウスの叙爵が知れ渡る前から行動していたとなると、その時点で知っている貴族は限られるであろう」

「いやしかし妙だな。侯爵なら使わせる者も優秀な人材を用意できるだろうに」

「その通りだ、ただこれは敢えてそうしたのではないか、簡単に見つかる素人なら、今のフリッツの様に不思議に思うからな」

「ふむ、思惑にはまったか」


 はー、なんだそれ。まるで見つかることが前提の様に。あ!


「部隊長、こ、これは罠では」

「はは、察しがいいな、そう、間違いなく本物の斥候が近くにいる。あの不審者は囮だ。だがしかし全く掴めない。恐らく隠密等の高いスキルを持った者だ」


 こ、怖すぎる。


「まあ先程の者は護衛の騎士が捕える。ウィルム侯爵との繋がりは証明できんだろうがな」

「ふーむ、しかし貴族が関係ない可能性もあるぞ」

「もちろんそうだ、今話したことは私の想像でしかない。むしろ無関係あってほしいくらいだぞ、その方が面倒事にならないからな。だが、他の線が思いつかんのも確かだ」


 ウィルム侯爵か。どうしてそんなことをするんだろう。叙爵を早く承認し、クラウスの実家情報だって提供が早かった。協力的な印象なんだけどな。ミランダも侯爵に任せればいい方向に行くと言っていたし。


「まあ危害を加える様子は無い。あくまで情報収集だろう」

「その様だが、今後も気を付ける必要があるぞ」

「……その点については進路やメンバー含めて検討する。話はここまでだ、さあ、雨が降る前に村へ帰るといい」


 部屋を出て通路へ。


「少々手続きをするから待て」


 エリオットは騎士たちに何か指示をしている。ほどなく騎士たちが次々と走り出した。


「騎士団の馬車を用意させる。商会の馬車に迎えは不要と伝えるから気にするな。それから村のギルドへ訓練討伐中止の知らせを向かわせた。従って商会で降りるといい、西区保安部隊も待機させるよう指示したからな」


 なるほど、村での準備も段取りしてくれたのね。


 城壁前へ。既にポツポツと雨が降りだしている。俺とフリッツはエリオットに示された馬車に乗り込んだ。そこへ3人の騎士が同乗し馬車は出発。


 ふー、何だか妙なことになったな。

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