やればできる子YDK
「やればできるやればできる」
美夜は教室に着くなりお隣さんの名前を確認し、自分に言い聞かせていた。
「おはようございます。これじゃあ硬すぎ?おはよう!いやいや。馴れ馴れしいよね、、」
たかだか朝の挨拶だけで何を悩んでるんだって皆思ってるでしょ?違うだなーこれが。真の陰キャはね朝の挨拶で変な事言ってないかとか声変じゃないよねとか考えちゃうの!
だって変なこと言ったら後で笑いものにするんでしょ!?いじめっ子みたいに!!私知ってるんだから!
「ごきげんよう!って私は何者だ。こんな変な話し方したらそれこそ笑いものだよ、、どーしよ」
その後会話なんて振られたら私の脆弱な会話デッキでは対応できない。
陽キャと私には、城〇内くんと海〇くんのデッキくらいのパワーの差があるのだ。
・・・分かりにくいか。
「よし!じゃあ、あらかじめ会話を予想して返事を考えておこう」
予想パターンその1:一限めんどくさいよねー!
Answer:めんどくさいねー!
予想パターンその2:宿題やってきた?
Answer:もちろんやってきたよ!見してあげよっか?
予想パターンその3:今、2人きりだね、、、ねぇ女の子同士の恋愛に興味とかあるかしら?
Answer:な、なんでいきなり距離を詰めるの!やめてください!
よし!これで勝つる!
3は絶対起きないと思うけど、、てか起きたら困る。
対策をノートにカリカリと記していると、教室の扉が無造作に開かれた。
「っ!!ビクッ」
「あっ!ごめんね!誰もいないと思って勢いよく開けちゃった」
びっくりした〜。思わずビクッとしちゃったよ。
心音を落ち着かせて、入ってきた女の子に目を向ける。
ん?この子私の隣の席の子だ。
よ、よし!今なら誰もいないし絶好の挨拶チャンスだ。
「あ、あの、、おは「おはよ。美夜ちゃんはやいね」美夜ちゃん!?」
会話を割られたのもそうだけど。
いきなりの美夜ちゃん呼びに驚きが隠せないのですが!
「あっ!ごめんいきなり馴れ馴れしかったよね。八神さんって呼んだ方がいいかな?」
私は勢いよく横にブンブンと首を振る。
「・・・美夜でいいです。はい」
「そっか!ありがとうみゃーちゃん!」
「また変わってる!?」
距離の詰め方が陽キャ過ぎるぅぅ。
でも可愛いから許しちゃう。ビクンビクン。
今まであんまり注目して見てなかったけど、この子すっごく可愛い。
可愛い系の整った顔にセミロングの茶色がかった髪は綺麗にカールがかかっている。よくよく見るとうっすらメイクもしてるっぽい。
「みゃーちゃんってどこか猫っぽいなーって思ってたからピッタリだね!」
「・・・猫っぽいですか?」
「慣れない人にビクビクしたがら距離取るとことか、音に敏感な所とかね」
「うぅぅ」
分かってるならいい感じに距離詰めろよぉ。
「あはは!ごめんごめん。謝るからそんな可愛い顔で俯かないで」
「・・・・・・別に気にしてないですし」
絶対反省してないし、、、。
この子絶対いじわるさんだ。
「みゃーちゃんって話すまでもっとクールでつんつんしてるイメージだったけど、話してみるとポンコツっぽくて可愛いね!」
なんの臆面もなくディスってくるこの子はなんなのだ?あまりにいい笑顔で言うもんだから褒められるのかと勘違いしそうになったじゃないか。
「・・・もう三家さんなんて知りません」
ぷいっと彼女から目を逸らしてスマートフォンに目を向ける。
「初めて名前呼んでくれた!!」
その後、名前を読んだことに気を良くした三家さんは、朝のHRが始めるまで延々と話しかけてきた。
それに対して私は「へぇ」とか「そんなんですね」とかすごく愛想のない返事ばかりなのに彼女は気を悪くした様子もなく話し続けた。
変な人。
それが三家 千夜の第一印象だった。