第六話【2歩の反則負けでいいですから。メンチ切るのはやめてー】
三日経ったので【クラス】の確認に、「ダンジョンに行こう出張所」へ向かう。今日であってるよね?自分に自信がないので何回か確認しているのに、やっぱり不安になる小心者クオリティを黙れと怒鳴りつけながら足早に向かう。
店に入って受付に確認、合っていて一息つく。点呼の確認の後、30分ぐらいしてから【クラス】確認者たちが、用意された専用のバスに乗り込む。・・・大型バスに5人!リッチだぜ、えっ後から人来るから全員後ろから詰めてと、結局ぎゅうぎゅうずめになる。窓際がよかったけどなぜか真ん中、左はキャピキャピ女の子2人だからいいけど。
【クラス】なんだろうねー、私魔法使い系がいいなー、俺もわかるーとキャピキャピ答える。おいっ右のやつ噴き出すなよ。どんどん人を乗せながら1時間以上かかって目的地に着く、ここいらで一番大きいダンジョンだ。全員バスから吐き出されダンジョンゲートをくぐっていく。・・・おいリンボーダンスで入って行くなよ。
一階層着、ここが一階層と証明は出来ないが、みんなが一階層と言っているから一階層なのである、長い物にはまかれろ。【クラス】確認者は右へとの声が聞こえてきたので、ぞろぞろと右に曲がる。思い出せ俺はオンリーワン・・・さらに右に曲がる、隣のやつがファッとなるが構わず列を離れて・・・肩を掴まれる。この人の密度を、あの距離を一瞬で詰めやがった。
【ビキニ怪盗】が現れた。→戦う
→逃げる◎
そのコマンドは使用できません。くそがっ、びくとも動かねえ。
周りが一気に空白地帯に変わる、やめてくださいこの人とは関係ありません、そんな目で見ないでゾクゾクしちゃうから。
「なんでしょうか?」あきらめて問いかけるしか手段が無いとは、無力とは罪である。
「なんで帰ろうとしたの、僕に会いに来たんでしょ?」
「ちっげーよクラス確認しに来たんだよ、わかれよっ自分の恰好」地団駄踏んで敵対関係をアピール。
「【クラス】に貴賎無しだよ、この中にだっているかもしれないじゃないか、駄目だよ雛鳥達を傷つけること言ったら」と物憂げな顔をする問題児。
「クラスに対して言ったんじゃねえよ、ダンジョンにTバック水着で入ってるやつ限定だよ」まったく、自分の行動を振り返って見ろあの時の事、おい、やめろ馬鹿頬を染めるな、キャピキャピ女の子「キャー」とか言うな勘違いだからっ。あ、偉いっぽい人来た、原因はこのHENTAIです。俺は無実や、なんで連行されるん。
「今回の【クラス】確認者の中で唯一のALL【G】ですからねー」
なら仕方ないか。周りからガン見されてるけど。どうして居るんちみっこ?偶々今回が護衛担当?あーあの支店が、だから奴もいたのか。
ん、あの列の中でよくわかたなって?人に紛れてても分かるのかって?嫌なものはよくわかるように出来てると答えとく。おーと関心の声、もっと褒めていいのよ、心は小物だから舞い上がっちゃう。ん、さっきのお偉いさんどこら辺にいるかわかるかって?あそこじゃねとテントを指さす。それくらい余裕です、どやぁ。
ところでこの周りの白衣着た方達はお友達でしょうか、さっきからガン見されたり、ぺたぺた触られておるんですが。いや、こんな美人さんに触られるのは嬉しいんですよ。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。つい、はしゃいじゃいました。」ええのよ、美人さんはどこさわっても、夢見心地とはこれの事じゃった。
「素のALL【G】の方は大変珍しいので、データ取りに来ました、本日はよろしくお願いします。【クラス】研究者を所持してるダンジョン研究者です。周りは助手ですね。ハイ♥️、確保」…ヤメローシ○ッカー、美人局かッ
ふう、なんとか改造は免れたぜ。「皆さんとほぼ同じ検査だったでしょう?」【研究者】さんのあきれ声は聞こえないったら聞こえない、ほぼだったし+α分がどいひー。
「やっと次で【クラス】発現かー」いやー長かったぜっと。今他の人どんな様子?と【研究者】さんに話しを向ける。あれ系統の発現者が居るので男女別になるので、ここから早いですよ、今ちょうど振り分け中ですねと。
見る分には私は一向にかまわん!合同でおなしゃす心に潤い下さい。駄目に決まっているでしょうほらあっちと背中を押され、男どもが輪を作っているなかに混ざる。ふふ、美人に背中を押されながらとか羨ましかろう。嫉妬顔美味しいです。せっかくだから、仲良しアピールを【研究者】さんに向ける、HENTAIの記憶を上書きせねば。
歓声やどよめきが起きてた中、俺の番がやってきた。おおとりかよ、目立っちゃうじゃんシャイなのに。「一番最初に一番目立ってたでしょうに」とため息声で返される。また【研究者】さんにあきれられちゃう、キュンキュンしちゃうじゃないか罪作りな魔女め。
さて、男輪っかの中心部には、ダンジョンゲートにあるような、不思議な文様がびっしり書かれている魔方陣がある。ここに入って初めて【クラス】が発現する仕組みだ。職業安定所に行って3日経ってここに来なきゃいけないとか、最初のやつはよく法則見つけたもんだ、褒めて遣わす。
「ふーさすがに緊張するな」震えそうになる体を意志の力で押さえ込み中央に進む。「危険はありません怖がらなくて大丈夫ですよー」講習者さんガンバーとのちみっこの応援。
「ふ、震えてねえし、武者震いやし」いや、震えすぎーとか、生まれたての小鹿かよ、とかヤジが飛ぶ。
こいつらここのやばさ感じてねえのかよ鈍感めっ。今この時だけはこの感覚が憎らしい、なんだよあれ、さっきまで居なかったろう、こっち見てやがる、見えないのに観ているのがわかる、不思議エネルギーの塊のくせに。
くそがっ、体は拒否してるのに心が俺はここまで【クラス】にすがっていたのだと再確認させられる。体は回れ右して出口へ向かへと言ってるのに、【クラス】を発現させなきゃと心が囁く、嘘です心も逃げろと言っている、心なんてぺきっと折れてる。あれに向かうとか無理ムリまじで無理。
ヤジが聞こえる、チックショー、意地だけで自分に問う、心と体を切り離して思考しろ、でないとがちで泣く。知力【G】だろ俺、観察しろ、理解しろ、既知にしろ、恐怖を理性で押さえ込め。無理だ、理解出来ない事はいっぱいある、即決。
なんで向き合ってるんだよこのやばい奴に。明らかにさっきより増えてるだろ、やべえ吐きそう、歯がカチカチ鳴ってるうるさい黙れよ。
増える、観られる、目が背けれない、「ひぅ」目と目が触れ合い悲鳴が漏れる。覗かれる、過去の栄光、虚構にしか過ぎないもの、何もなし得なかった只の凡人が立ち上がるための分岐点、過去じゃなくその未来が視える。
一歩踏み出す。
増える、増える、奥まで観られてる、覗かれてる。新しい目と視線が合う、異形の目、ビビる、視線が交差し触れる、視える、やべえあるのか、こんなはっきりした運命点、それが未来える。
一歩踏み出す。
増える、増える、増える、見る、観られる、絡み合う、視線がはずせられない、引きずり込まれる、纏わりつく。あれだけシニカルに、斜にかまえ、回りに合わせ流されるだけの、凡人以下になった俺が感じ取れるエントロピーの極点、神の座。
足が竦む。
いや、ちょっと待って、押すな押すなよ、ほんと押すなよ!まじここやばいから「うっせいさっさとおわらせろやおっさん」「講習者さんが終わらないと皆帰れないのです、我慢です。」「アーッ」抵抗虚しく中心部に押し出される、流れ込むエネルギーがハッキリ感じられる、空間のエネルギーのうねりが見える、視える、観える、何を見てる?、どうやって見えてるんだこれ、なんだここは、理解できない、抱擁、侵蝕、さらにエネルギーが膨張・・・爆発じゃねえのこれ、やばいやばっ、かつて感じた万能感なんてゴミだったごめんなさい、絶対的神格化してた過去が価値のないモノだったと知らされた、ごめんなさい、やばいやばいばいやーあーごめんなさいごめんなさいあいあーーーーー
たーねーなーしーまーじーっくー